7 / 8
序章
1-6 呪いの偽造
しおりを挟む
もう話を聞いているのが辛くなった。王子は嘘八百を並べ立てているし、背後霊のように王子に取り憑いている取り巻きがそこそこウザい。そして王も何もしない。
、、、もういい加減にしてくれないかな?
いっそこの場を何か爆薬とかで混乱させて、そのすきに逃げ出すとかもありだろう。しない予定だけど。
取り敢えず、ただただ黙っているだけはつまらない。無駄に長引くことでわたしの願う国外追放がなくなるかもしれないのだ。それは困る。
「王子、わたしを国外追放にしてくださいな。」
「は?!」
「いえ、だから文字通りです。国外追放にしてください。」
アルフレートもその言葉に頷き、普段なら絶対ないであろう王子に頭を下げる行為を行ったのだ。
「ご覧の通り、妹もその様に願っております。私が管理者として付いて行きますので、ご心配なさらないでください。陛下も、ですよ。」
アルフレートが王を引っ張り出してきた。突然話題に上がったからか、ちょっと王は混乱していた。
「ご自分の息子の事です、もう少し態度を改められたほうがよろしいかと。」
「貴様!公爵の分際で何を、、、もう良い、この二人を直ちに国外追放にせよ!」
キレたらしい王子が叫んだ。
、、、、ヒャッホウ!やっと、やっとだよ。超嬉しいんですけど。
「(この王子から離れられる事に)感謝致します殿下。ではわたくしはこれにて。」
大広間の出口に向かって歩くわたしを、アルフレートが追いかける。
広間を出たところの階段で、姿を見えなくする魔術具を起動する。更にそれから、盗み聞き防止の魔術具をダブルで起動する。
「呪いだ」
開口一番、アルフレートはそう言った。それもいっそ気持ち悪いほどの笑顔で。
「ここに呪いをかける。この国の守護壁の巨大魔術具をいじって、この魔力を溜めておける魔術具に転送するんだ。第一あの魔術具の担当は私とパウリーネだ。魔力を返していただきたいから。そうすれば、魔物の活動が活発になる呪いを偽造できる。それから、例のを持ってるかい?」
「ええ。」
実は先程、何でもかんでもしまい込んでおける「箱」の魔術具を持ってくるように言われたのだ。勿論その中は、箱の作成者の自由だ。その場所に望む物を持ってきたりできるのだ。
「これと貴族登録の本を使えば、時限式で第二王子派の貴族を消して箱に入れることができる。数日洗脳すれば、王子の影響も少しは薄くなるはずだ。王子からすれば味方の消える呪いだし、その貴族からすれば拷問を受けることになる。それと後は、王に『黒の手紙』を一日につき百通くらい送れば良いはず」
『黒の手紙』は、簡単に言えば真っ黒の紙に白の文字で文を書いてある特殊な魔法をかけることで使える物だ。無論、ここに魔法陣を書けばそれが発動する。
、、、やってることがえげつない!どれも地味に怖いから。
「パウリーネは貴族登録の方をお願い。私は魔術具だ。くれぐれも気をつけてね。これをあげるから。」
アルフレートは、ベルトの籠の中の瓶から先程私が飴玉と予想したものを数粒取り出した。
「わたしは飴ではつられませんからね」
飴でつられてたまるか。
「違う違う。こう見えても爆弾だから。赤は炎爆弾、緑は爆弾と同時にツルが体にくっつく。黄色は、レオン・ミヒャエルスの『ヘルガ』を解剖して量産した粘着液を吐き出すスライム入り。紫は周囲にいる人間を気絶させられるからね。あと青は凍らせられるやつ」
レオン・ミヒャエルスは、今から四百年ほども昔の魔物学者だ。『ヘルガ』は、彼が捕まえたスライムの一体の名前らしい。幼くして亡くなった彼の娘の名前だとかそうではないとか。現在は普通に出回っている。効能が何であれ、この手のスライムは基本恐ろしいのだ。伝説レベルの話だが、スライム学者がクーデターを起こした事もあったらしい。
「じゃ、行くから。頑張ってね☆」
アルフレートは姿を消した。
☆は何だ☆は。
とは言え頼りになるアルフレートがどこかへ行ってしまうのは心細い。なるべくさっさと終わらせてしまいたいところである。
貴族登録の書のある部屋は、城の最奥の「エリネルンの間」にある。貴族の生き死にが関わっているだけあって、警備も硬いはずだ。
途中数度転びかけながらではあったがたどり着くと、やはりそこには尋問会に参加できなかった不運な下級貴族二人がいた。おそらく侯爵位や伯爵位など上の方の貴族から押し付けられたのだろう。黙ってぼーっとしている。
、、、こ、これはチャンス!
取り敢えずこの二人を倒せば、侵入は自由だ。
と思ったが。
「っあ!痛い!」
あろうことか、わたしはここで声を上げたのだ。転んだ。しかも、姿を消したり盗み聞き防止の魔術具も全て取っ払った後なので丸見えだ。絶体絶命のピーンチ!
「おいそこの者、待て!!」
Uターンして戻ろうとしたけれど、逃げられなかった。
、、、そうだ、爆弾!
適当に一つ掴んで放り投げる。何色かなんて気にしてられない。
ダッシュで部屋に入り込む。
「ハルシュルッセル」
鍵をかけておく。わたしより魔力が強いか何かでないとここを開けるのは不可能なので、一安心だ。王かなにかで無い限りは入ってくるのは無理なはずだ。
、、、もういい加減にしてくれないかな?
いっそこの場を何か爆薬とかで混乱させて、そのすきに逃げ出すとかもありだろう。しない予定だけど。
取り敢えず、ただただ黙っているだけはつまらない。無駄に長引くことでわたしの願う国外追放がなくなるかもしれないのだ。それは困る。
「王子、わたしを国外追放にしてくださいな。」
「は?!」
「いえ、だから文字通りです。国外追放にしてください。」
アルフレートもその言葉に頷き、普段なら絶対ないであろう王子に頭を下げる行為を行ったのだ。
「ご覧の通り、妹もその様に願っております。私が管理者として付いて行きますので、ご心配なさらないでください。陛下も、ですよ。」
アルフレートが王を引っ張り出してきた。突然話題に上がったからか、ちょっと王は混乱していた。
「ご自分の息子の事です、もう少し態度を改められたほうがよろしいかと。」
「貴様!公爵の分際で何を、、、もう良い、この二人を直ちに国外追放にせよ!」
キレたらしい王子が叫んだ。
、、、、ヒャッホウ!やっと、やっとだよ。超嬉しいんですけど。
「(この王子から離れられる事に)感謝致します殿下。ではわたくしはこれにて。」
大広間の出口に向かって歩くわたしを、アルフレートが追いかける。
広間を出たところの階段で、姿を見えなくする魔術具を起動する。更にそれから、盗み聞き防止の魔術具をダブルで起動する。
「呪いだ」
開口一番、アルフレートはそう言った。それもいっそ気持ち悪いほどの笑顔で。
「ここに呪いをかける。この国の守護壁の巨大魔術具をいじって、この魔力を溜めておける魔術具に転送するんだ。第一あの魔術具の担当は私とパウリーネだ。魔力を返していただきたいから。そうすれば、魔物の活動が活発になる呪いを偽造できる。それから、例のを持ってるかい?」
「ええ。」
実は先程、何でもかんでもしまい込んでおける「箱」の魔術具を持ってくるように言われたのだ。勿論その中は、箱の作成者の自由だ。その場所に望む物を持ってきたりできるのだ。
「これと貴族登録の本を使えば、時限式で第二王子派の貴族を消して箱に入れることができる。数日洗脳すれば、王子の影響も少しは薄くなるはずだ。王子からすれば味方の消える呪いだし、その貴族からすれば拷問を受けることになる。それと後は、王に『黒の手紙』を一日につき百通くらい送れば良いはず」
『黒の手紙』は、簡単に言えば真っ黒の紙に白の文字で文を書いてある特殊な魔法をかけることで使える物だ。無論、ここに魔法陣を書けばそれが発動する。
、、、やってることがえげつない!どれも地味に怖いから。
「パウリーネは貴族登録の方をお願い。私は魔術具だ。くれぐれも気をつけてね。これをあげるから。」
アルフレートは、ベルトの籠の中の瓶から先程私が飴玉と予想したものを数粒取り出した。
「わたしは飴ではつられませんからね」
飴でつられてたまるか。
「違う違う。こう見えても爆弾だから。赤は炎爆弾、緑は爆弾と同時にツルが体にくっつく。黄色は、レオン・ミヒャエルスの『ヘルガ』を解剖して量産した粘着液を吐き出すスライム入り。紫は周囲にいる人間を気絶させられるからね。あと青は凍らせられるやつ」
レオン・ミヒャエルスは、今から四百年ほども昔の魔物学者だ。『ヘルガ』は、彼が捕まえたスライムの一体の名前らしい。幼くして亡くなった彼の娘の名前だとかそうではないとか。現在は普通に出回っている。効能が何であれ、この手のスライムは基本恐ろしいのだ。伝説レベルの話だが、スライム学者がクーデターを起こした事もあったらしい。
「じゃ、行くから。頑張ってね☆」
アルフレートは姿を消した。
☆は何だ☆は。
とは言え頼りになるアルフレートがどこかへ行ってしまうのは心細い。なるべくさっさと終わらせてしまいたいところである。
貴族登録の書のある部屋は、城の最奥の「エリネルンの間」にある。貴族の生き死にが関わっているだけあって、警備も硬いはずだ。
途中数度転びかけながらではあったがたどり着くと、やはりそこには尋問会に参加できなかった不運な下級貴族二人がいた。おそらく侯爵位や伯爵位など上の方の貴族から押し付けられたのだろう。黙ってぼーっとしている。
、、、こ、これはチャンス!
取り敢えずこの二人を倒せば、侵入は自由だ。
と思ったが。
「っあ!痛い!」
あろうことか、わたしはここで声を上げたのだ。転んだ。しかも、姿を消したり盗み聞き防止の魔術具も全て取っ払った後なので丸見えだ。絶体絶命のピーンチ!
「おいそこの者、待て!!」
Uターンして戻ろうとしたけれど、逃げられなかった。
、、、そうだ、爆弾!
適当に一つ掴んで放り投げる。何色かなんて気にしてられない。
ダッシュで部屋に入り込む。
「ハルシュルッセル」
鍵をかけておく。わたしより魔力が強いか何かでないとここを開けるのは不可能なので、一安心だ。王かなにかで無い限りは入ってくるのは無理なはずだ。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる