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20xx年………、世界では第2の性に関する研究が飛躍的に進められていた。
完璧に副作用のない、安価な抑制剤が開発されたのを皮切りに、フェロモンに惑わされないワクチンが生み出された。
それに伴い、バース性の差別をなくす為の法律も次々と施行され、人類はもはやバース性に左右される生活からは開放されていた。
運命の番と出逢うことで起きる物語も悲劇も今は昔のこと。
項を噛む行為はもはや野蛮な行為と言われ嘲笑の対象となっていたが、それでも真実の愛に浮かれた若者の間では時折、項を噛んで番関係を成立させるものがいた。
僕の恋人である賢治はアルファだ。バース性の研究をする第一人者であり、ヒートを完璧に抑える抑制剤とワクチンを生み出した人物でもある。
そして僕はオメガで、同じ研究に携わる共同研究者兼、賢治の恋人でもあった。
そんな研究者である僕達なら、さぞやバース性を科学的に捉え、理性的に交際をしているのだと思うだろうが、実際はそうではなかった。
賢治はセックスの際に、項を噛む行為にひどく固執していた。
「ハァッ、理人、噛んでもいい?」
正常位でも騎乗位でも、達した後に賢治は必ず僕をうつ伏せに組み敷いて項を舐める。
ベロリと生暖かい舌で敏感な項を舐めれると、達したばかりの身体は敏感に震えるが、理性の残る頭で緩く首を降った。
「駄目っ………、噛まないでっ…。」
僕が項を庇うように掌で覆うと、賢治はその手を引き剥がし柔く噛みつく。
「少しだけだから……、痕が残るような噛み方はしないから……。」
言い訳をしながらも項への甘噛みとキスを繰り返す賢治は明らかにその行為に執着していた。
ワクチンを接種し、抑制剤を服用して尚、首を噛む行為を望む賢治は研究者として理性的な振る舞いをしているとは言えない。
それでも僕の気持を無視してまで行為に及ぶつもりはないらしく、僕の首は綺麗なままだった……。
つい先日までは………。
その日の僕らは強かに酔っていた。
数年の準備期間を要した学会での発表を終えた開放感からいつもより飲みすぎてしまったのだ。
ご褒美の意味を込めて予約した、ちょっとお高めなホテルも、ロマンティックな雰囲気を作り出すのに一役買っていたのかもしれない。
とにかくその日のセックスは、大いに盛り上がり、理性を無くした僕らは愚かにも項を噛むという蛮行に及んでしまったのだ。
若気の至りとは言えない自分の年齢を考えると心底呆れる。だけど後悔は無かった。
あれ程恐れていた獣の様な契約を、僕の心と身体はなんなく受け入れていた。
長年の付き合いは信頼関係を産む。賢治が僕を大切にしてくれている事は良くわかっていたし。
お互いを唯一の存在として想い合っているという自信もあった。
番関係となったことは研究者としては遺憾なことではあるが、恐れていたような抵抗感もなく、寧ろ切れない絆のようなものが生まれた気がして幸福感に包まれるようだった。
「番関係になったことだし、研究も一段落ついて良いタイミングだろう。結婚しないか?」
「丁度良いから責任をとって結婚しようって?随分おざなりなプローズじゃない?」
照れくさくて茶化すと、賢治は慌てたように言葉を重ねる。
「違うッ!そうじゃない、愛してる!!だから結婚して欲しい!!」
恋愛に関しては無頓着な賢治の不器用なプロポーズは決して格好いいものでは無かったけど、それでも僕の心に暖かく届いた。
つま先を伸ばして普段は僕からはしないキスで答える。
嬉しそうに笑う彼がただ可愛かった。
番関係が成立してから婚約までの流れはトントン拍子に進み、既に半同棲状態ではあったけど、結婚するならと、二人ででマンションを借りことになった。
今までの単身用のアパートではなく、家族世帯用のマンションで過ごす日々は新鮮で、彼と夫婦になるという事実に面映ゆい気持ちになる。
賢治の方も同じようで、まるで付き合い始めたころのようにお互いにときめいてしまっていた。
ただ同棲と同時に僕の方の研究が大詰めとなり、籍を入れるのはお預けとなっている。お互いの家族にさえ、まだ挨拶ができていない。
幸いにも同じく研究者である賢治は理解してくれており、お互いの生活がすれ違ってもギクシャクすることは無かった。
なんなら家事を一手に引き受けてくれており、サポートをしてくれている。
研究に理解のある夫だなんて最高だ。お互いを尊重できる良いパートナーに巡り会えて、仕事も充実していて、僕は世界一幸せなのかもしれないと浮かれていた。
だけどそんな愛のある生活を送る日々は突然終わりを告げることになった。
賢治が運命の番を見つけてしまったのだ。
完璧に副作用のない、安価な抑制剤が開発されたのを皮切りに、フェロモンに惑わされないワクチンが生み出された。
それに伴い、バース性の差別をなくす為の法律も次々と施行され、人類はもはやバース性に左右される生活からは開放されていた。
運命の番と出逢うことで起きる物語も悲劇も今は昔のこと。
項を噛む行為はもはや野蛮な行為と言われ嘲笑の対象となっていたが、それでも真実の愛に浮かれた若者の間では時折、項を噛んで番関係を成立させるものがいた。
僕の恋人である賢治はアルファだ。バース性の研究をする第一人者であり、ヒートを完璧に抑える抑制剤とワクチンを生み出した人物でもある。
そして僕はオメガで、同じ研究に携わる共同研究者兼、賢治の恋人でもあった。
そんな研究者である僕達なら、さぞやバース性を科学的に捉え、理性的に交際をしているのだと思うだろうが、実際はそうではなかった。
賢治はセックスの際に、項を噛む行為にひどく固執していた。
「ハァッ、理人、噛んでもいい?」
正常位でも騎乗位でも、達した後に賢治は必ず僕をうつ伏せに組み敷いて項を舐める。
ベロリと生暖かい舌で敏感な項を舐めれると、達したばかりの身体は敏感に震えるが、理性の残る頭で緩く首を降った。
「駄目っ………、噛まないでっ…。」
僕が項を庇うように掌で覆うと、賢治はその手を引き剥がし柔く噛みつく。
「少しだけだから……、痕が残るような噛み方はしないから……。」
言い訳をしながらも項への甘噛みとキスを繰り返す賢治は明らかにその行為に執着していた。
ワクチンを接種し、抑制剤を服用して尚、首を噛む行為を望む賢治は研究者として理性的な振る舞いをしているとは言えない。
それでも僕の気持を無視してまで行為に及ぶつもりはないらしく、僕の首は綺麗なままだった……。
つい先日までは………。
その日の僕らは強かに酔っていた。
数年の準備期間を要した学会での発表を終えた開放感からいつもより飲みすぎてしまったのだ。
ご褒美の意味を込めて予約した、ちょっとお高めなホテルも、ロマンティックな雰囲気を作り出すのに一役買っていたのかもしれない。
とにかくその日のセックスは、大いに盛り上がり、理性を無くした僕らは愚かにも項を噛むという蛮行に及んでしまったのだ。
若気の至りとは言えない自分の年齢を考えると心底呆れる。だけど後悔は無かった。
あれ程恐れていた獣の様な契約を、僕の心と身体はなんなく受け入れていた。
長年の付き合いは信頼関係を産む。賢治が僕を大切にしてくれている事は良くわかっていたし。
お互いを唯一の存在として想い合っているという自信もあった。
番関係となったことは研究者としては遺憾なことではあるが、恐れていたような抵抗感もなく、寧ろ切れない絆のようなものが生まれた気がして幸福感に包まれるようだった。
「番関係になったことだし、研究も一段落ついて良いタイミングだろう。結婚しないか?」
「丁度良いから責任をとって結婚しようって?随分おざなりなプローズじゃない?」
照れくさくて茶化すと、賢治は慌てたように言葉を重ねる。
「違うッ!そうじゃない、愛してる!!だから結婚して欲しい!!」
恋愛に関しては無頓着な賢治の不器用なプロポーズは決して格好いいものでは無かったけど、それでも僕の心に暖かく届いた。
つま先を伸ばして普段は僕からはしないキスで答える。
嬉しそうに笑う彼がただ可愛かった。
番関係が成立してから婚約までの流れはトントン拍子に進み、既に半同棲状態ではあったけど、結婚するならと、二人ででマンションを借りことになった。
今までの単身用のアパートではなく、家族世帯用のマンションで過ごす日々は新鮮で、彼と夫婦になるという事実に面映ゆい気持ちになる。
賢治の方も同じようで、まるで付き合い始めたころのようにお互いにときめいてしまっていた。
ただ同棲と同時に僕の方の研究が大詰めとなり、籍を入れるのはお預けとなっている。お互いの家族にさえ、まだ挨拶ができていない。
幸いにも同じく研究者である賢治は理解してくれており、お互いの生活がすれ違ってもギクシャクすることは無かった。
なんなら家事を一手に引き受けてくれており、サポートをしてくれている。
研究に理解のある夫だなんて最高だ。お互いを尊重できる良いパートナーに巡り会えて、仕事も充実していて、僕は世界一幸せなのかもしれないと浮かれていた。
だけどそんな愛のある生活を送る日々は突然終わりを告げることになった。
賢治が運命の番を見つけてしまったのだ。
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ド天然アルファの執着はちょっとおかしい
のは
BL
一嶌はそれまで、オメガに興味が持てなかった。彼らには托卵の習慣があり、いつでも男を探しているからだ。だが澄也と名乗るオメガに出会い一嶌は恋に落ちた。その瞬間から一嶌の暴走が始まる。
【アルファ→なんかエリート。ベータ→一般人。オメガ→男女問わず子供産む(この世界では産卵)くらいのゆるいオメガバースなので優しい気持ちで読んでください】
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