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ダルクガルド

ゲルファスの作戦

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――そして次のラウンドが開始した。

新しいマップになり、ロジナス・ガナスのメンバーは学校施設からのスタートとなった。即座にウィナは単独で行動し、チームから離れて近くの主要道路を目指す。

「よし、俺たちはドロスを探そう。あの男を中心に、エリアの守りを固めているはずだ」

ギュルクは他のメンバーを引き連れ、残りの9名でダルクガルドのチームに対抗する。ギュルクはゲルファスの言葉を思い出していた。

「いいかギュルク。おまえは自分を過小評価しているみたいだが、実力はドロスより確実に上だ。まずドロスの居場所を突き止めろ。あいつは防衛に定評があるから、最後まで残ると厄介極まりないぞ。最初に叩いておけば、戦力ダウンで相手の士気も下がるからな。サメイルと一緒なら遠距離攻撃が加わり、ドロスの得意とする機関銃の弾も怖くないだろうさ」

ギュルクは索敵に力を入れ、相手チームが潜んでいると思われる場所を目指して走り出す。今回、ゼインの目を引き付けるのはウィナの役目である。そして、単独で行動するウィナもゲルファスの言葉を思い出していた。

「ゼインに対抗できるのはウィナだけだ。残念ながら他のガナスではかすり傷一つも負わせられないだろう。しかしな、さっきのラウンドを見ていると、ど~もあいつだけ怪しい動きをしてるんだな。これはよくある話だが、ダルクガルドみたいな小国へ大国のガナスを引き抜いても、個人スキルの差があって連携の取れないことが多い。お互いのプライドが邪魔して仲間割れすることもあるんだよ。どうやら、それに当てはまると俺は見た。ゼインが単独行動に徹するなら、1vs1に持ち込んで釘付けにすれば、こちらにも十分な勝機はある。……後はウィナ、おまえ次第だ」

自分のいる場所を相手に知らせるように、ウィナは故意に開けた道を走ってみせた。予想した通り、遠くから伸びるゼインの射線がウィナの頭に狙いを定める。

(よし、注意を引き付けた……っ!)

ウィナは前方に回転して建物の陰に飛び込み、壁を利用してゼインの射線を切った。

(今度はこっちの番だよ、近付いて中距離戦に持ち込んでやるから!)

……先ほどの射線からゼインの居場所を特定する。おそらく、300m先の高層ビルに身を潜めているはずだ。あそこなら周囲1km範囲を360度で監視できるため、遠距離射撃に有利になると思われた。下手をすると反対側にいるギュルクにも危険が及ぶ可能性がある。

(……なら右へ左へと動いてやろうじゃない)

ウィナは建物の壁に沿って、裏通りを走りながら主要道路を目指した。主要道路に出ると、飛んで来る弾を防ぐ遮蔽物がほとんど存在しない。ゼイン相手では自殺行為に思えるが、弾を避けられる絶対的な自信があるため、ウィナにとっては想定内の判断である。

一方、ギュルクが率いるガナスのチームは、ドロスが大型ホテルに隠れていることを突き止めていた。しかし相手チームも馬鹿ではない。おそらく、こちらが集団で動いていることも悟られているだろう。

「サメイルは近くの高台に、表の入り口前には3名のガナスが待機する。俺を含め、残りの5名はホテルの裏側から侵入するため、前に待機する3名は威嚇射撃でドロスの注意を引き付けてくれ」

「了解!」

「……たぶん激しい銃撃があるぞ。絶対にやり合おうなんて思わず、生き残ることに徹してくれ」

ギュルクはアサルトライフルを肩に抱え、ホテルの裏側を目指して屈みながら進んだ。まだゼインの銃声は聞こえない。ゲルファスのアドバイスが効いているのか、ウィナが注意を引き付けていると思われた。
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