112 / 123
第五章
第七話 なんだかんだ仲良し?
しおりを挟む
「炭になっちまいな‼︎」
辺り一面を焼き尽くさんばかりの炎の塊を、サリーはロボット兵たちに向けて投げ付けた。しかし超高温の魔法を食らっても怯むことなく、敵は突進してきた。
「マジかよ、効いてねぇ!」
「なるほど、この極限状況で稼働し続けられてただけはあるな。なら、これならどうだ?」
サリーに代わってマリアが前に出たかと思うと、両手に術式を展開し、一気に魔法を解き放った。そこから放たれた絶対零度に近い冷気で作り出された巨大な氷柱は、ロボット兵たちの巨体に向かって次々と襲い掛かった。
しかしそれも無駄であった。通常なら串刺しにされて終わりのはずが、その強固な装甲の前に次々と氷柱は砕け散っていった。
「なんだと⁉︎」
複数のロボット兵がレイたち一向に襲い掛かろうとしていた。その両手はビーム兵器となっており、レイたちを目掛けて光線を発射した。当たった場所は地面が抉れ、人体に対しては相当なダメージを与えることが容易に想像できた。
「おいおい! 啖呵切ったは良いが、こいつらかなり素早い上に強いぞ!」
サリーの言葉は事実だった。ロボット兵たちはその巨躯にも関わらず、素早いスピードと連携でサリーとマリアを翻弄した。これに殺傷力のある光線兵器まで備えているのだから、かなりの強敵とみなすのは不自然では無かった。
「なんだ、もう逃げ口上か?」
「うるせぇんだよ! 文句があるなら、こいつらの動きを止めて見せろ!」
「ほう、動きを止めれば、確実に倒せるのか?」
「当たり前だろうが!」
「なるほど…ならば、この戦法だな!」
再びマリアは掌から術式を展開した。しかし発せられた冷気は敵の周りにではなく、その関節部分のみに纏わり付いた。しばらくするとその冷気は完全な氷の塊に変わり、関節部分の動きを完璧に封じた。ロボット兵達もなんとか動こうともがくが、ギリギリと耳障りな音を立てるのみであった。
「さて、動作は封じてやったぞ。ここからどう攻めに転ずる気だ?」
「へっ、任せておけよ!」
そういうと、今度はサリーが両手に術式を展開し始めた。するとその二つの掌の前に、剣のような形をした光が現れた。それは相当な高熱を放っているようで、周りの大気が歪んで見えた。
二つの光の剣を握りしめたサリーは、そのままロボット兵たちの顔面を目掛けて高く跳んだ。
「おらぁ!」
×を描くようにサリーが二刀流で斬りかかると、敵の巨体がそのまま両袈裟に切り裂かれた。そのままサリーは光の剣を次の敵の顔面に突き立て、瞬時に行動不能に陥らせた。そのまま続け様に最後の一体に向かって一刀両断に斬りかかり、そのままロボット兵の巨軀を真っ二つにした。
「へっ、どうだよ。こちとら伊達にルークスナイツの隊長はやってないぜ」
「なるほど。ただの玉砕主義者というわけでもないようだな」
「ったりめーだよ。てか、私にそんなイメージ持ってたのか!」
「仕方なかろうよ、今までの自分の言動を見直してみるといい」
「な、なんだと、この冷血女! んなんだからレイにフラれるんだろーが‼︎」
「き、貴様! 言ってはならない事を言ったな⁉︎」
「事実だろうが、二世の老け顔!」
「ああ、もう…二人とも落ち着いて」
あまりの幼稚な言い合いに、たまらずエレナが止めに入った。歴戦の強者たちを束ねる女総長に、一国の王を支える側近が、子供じみた喧嘩を繰り広げているのは滑稽でもあり、またどこか羞恥心を沸き起こさせるものであった。最後には二人ともそっぽを向いてしまい、残されたレイとエレナは頭を抱えた。
「全く、喧嘩してる場合じゃないでしょうに。早くラムダ内部に侵入しますよ」
「お、そうだったな!」
「かなり巨大な氷の中だが…破壊できるのか?」
「ええ。魔法的な防御がなければ、簡単ですよ」
そういうとレイは、重力魔法の術式を右手に浮かべた。そこから放たれた黒い線のようなものが、ラムダを飲み込んでいる巨大な氷塊に向かっていったかと思うと、次々に氷は粉々になっていった。ガラガラと大きな音を立ててラムダの船体は地面に落ち、周囲に細かな氷を残すだけとなっていた。
「これなら侵入も楽になるはずだ」
「うぉ…相変わらず凄ぇ」
「侵入口を探さなければな…レイ、ザイオンに侵入したときは、どこから中に入った?」
「確か東側の側面だったと思います…見た感じ、船体の形やデザインに違いは無い。なら、同じ東側面に扉があるとみていいでしょう」
「よし、なら行くだけですね」
そして東側面に向かっていくと、レイの予測通りに扉があった。しかし強固にロックされており、手動で開けることは難しそうであった。
「まどろっこしい。力尽くで開けちまおうぜ」
「いや、それはまずい。ワープ施設の電力が生きているともなれば、艦内のセキュリティも生きている可能性が高い。無理矢理開ければ、さっきのロボット兵が襲ってくるばかりか、アルケーへの道筋自体が閉ざされてしまうかもしれない」
「素晴らしい。脳筋女とは違うようだな」
「んだとテメェ!」
「もう、姉さんも大佐も落ち着いてって言ってるのに…それで、どうするんですか?」
「…やったことはないが、セキュリティシステムを騙すことが出来れば、なんとかなるかもしれない」
その大きな鉄扉の横には、ID認証用と思しきパネルがあった。レイはパネルの前に右手を置き、術式を展開した。
『ピピ…登録外、入艦を許可できませ…ザー、ピー、登ろ…ガガ、ガー………認証完了、お帰りなさいませ』
機械音声がそう告げると、その大きな鉄の扉は両方に開かれていった。
「よし、これで中に入れるな」
「機械のハッキングまで出来るとは…つくづくお前は恐ろしいやつだな」
「別に悪用はしないから大丈夫ですよ」
「わかっているさ。その程度の事は、私がよく知っている……お前の彼女と同じくらいな」
エレナが複雑な表情を浮かべたのを見て、マリアがそう付け足した。
辺り一面を焼き尽くさんばかりの炎の塊を、サリーはロボット兵たちに向けて投げ付けた。しかし超高温の魔法を食らっても怯むことなく、敵は突進してきた。
「マジかよ、効いてねぇ!」
「なるほど、この極限状況で稼働し続けられてただけはあるな。なら、これならどうだ?」
サリーに代わってマリアが前に出たかと思うと、両手に術式を展開し、一気に魔法を解き放った。そこから放たれた絶対零度に近い冷気で作り出された巨大な氷柱は、ロボット兵たちの巨体に向かって次々と襲い掛かった。
しかしそれも無駄であった。通常なら串刺しにされて終わりのはずが、その強固な装甲の前に次々と氷柱は砕け散っていった。
「なんだと⁉︎」
複数のロボット兵がレイたち一向に襲い掛かろうとしていた。その両手はビーム兵器となっており、レイたちを目掛けて光線を発射した。当たった場所は地面が抉れ、人体に対しては相当なダメージを与えることが容易に想像できた。
「おいおい! 啖呵切ったは良いが、こいつらかなり素早い上に強いぞ!」
サリーの言葉は事実だった。ロボット兵たちはその巨躯にも関わらず、素早いスピードと連携でサリーとマリアを翻弄した。これに殺傷力のある光線兵器まで備えているのだから、かなりの強敵とみなすのは不自然では無かった。
「なんだ、もう逃げ口上か?」
「うるせぇんだよ! 文句があるなら、こいつらの動きを止めて見せろ!」
「ほう、動きを止めれば、確実に倒せるのか?」
「当たり前だろうが!」
「なるほど…ならば、この戦法だな!」
再びマリアは掌から術式を展開した。しかし発せられた冷気は敵の周りにではなく、その関節部分のみに纏わり付いた。しばらくするとその冷気は完全な氷の塊に変わり、関節部分の動きを完璧に封じた。ロボット兵達もなんとか動こうともがくが、ギリギリと耳障りな音を立てるのみであった。
「さて、動作は封じてやったぞ。ここからどう攻めに転ずる気だ?」
「へっ、任せておけよ!」
そういうと、今度はサリーが両手に術式を展開し始めた。するとその二つの掌の前に、剣のような形をした光が現れた。それは相当な高熱を放っているようで、周りの大気が歪んで見えた。
二つの光の剣を握りしめたサリーは、そのままロボット兵たちの顔面を目掛けて高く跳んだ。
「おらぁ!」
×を描くようにサリーが二刀流で斬りかかると、敵の巨体がそのまま両袈裟に切り裂かれた。そのままサリーは光の剣を次の敵の顔面に突き立て、瞬時に行動不能に陥らせた。そのまま続け様に最後の一体に向かって一刀両断に斬りかかり、そのままロボット兵の巨軀を真っ二つにした。
「へっ、どうだよ。こちとら伊達にルークスナイツの隊長はやってないぜ」
「なるほど。ただの玉砕主義者というわけでもないようだな」
「ったりめーだよ。てか、私にそんなイメージ持ってたのか!」
「仕方なかろうよ、今までの自分の言動を見直してみるといい」
「な、なんだと、この冷血女! んなんだからレイにフラれるんだろーが‼︎」
「き、貴様! 言ってはならない事を言ったな⁉︎」
「事実だろうが、二世の老け顔!」
「ああ、もう…二人とも落ち着いて」
あまりの幼稚な言い合いに、たまらずエレナが止めに入った。歴戦の強者たちを束ねる女総長に、一国の王を支える側近が、子供じみた喧嘩を繰り広げているのは滑稽でもあり、またどこか羞恥心を沸き起こさせるものであった。最後には二人ともそっぽを向いてしまい、残されたレイとエレナは頭を抱えた。
「全く、喧嘩してる場合じゃないでしょうに。早くラムダ内部に侵入しますよ」
「お、そうだったな!」
「かなり巨大な氷の中だが…破壊できるのか?」
「ええ。魔法的な防御がなければ、簡単ですよ」
そういうとレイは、重力魔法の術式を右手に浮かべた。そこから放たれた黒い線のようなものが、ラムダを飲み込んでいる巨大な氷塊に向かっていったかと思うと、次々に氷は粉々になっていった。ガラガラと大きな音を立ててラムダの船体は地面に落ち、周囲に細かな氷を残すだけとなっていた。
「これなら侵入も楽になるはずだ」
「うぉ…相変わらず凄ぇ」
「侵入口を探さなければな…レイ、ザイオンに侵入したときは、どこから中に入った?」
「確か東側の側面だったと思います…見た感じ、船体の形やデザインに違いは無い。なら、同じ東側面に扉があるとみていいでしょう」
「よし、なら行くだけですね」
そして東側面に向かっていくと、レイの予測通りに扉があった。しかし強固にロックされており、手動で開けることは難しそうであった。
「まどろっこしい。力尽くで開けちまおうぜ」
「いや、それはまずい。ワープ施設の電力が生きているともなれば、艦内のセキュリティも生きている可能性が高い。無理矢理開ければ、さっきのロボット兵が襲ってくるばかりか、アルケーへの道筋自体が閉ざされてしまうかもしれない」
「素晴らしい。脳筋女とは違うようだな」
「んだとテメェ!」
「もう、姉さんも大佐も落ち着いてって言ってるのに…それで、どうするんですか?」
「…やったことはないが、セキュリティシステムを騙すことが出来れば、なんとかなるかもしれない」
その大きな鉄扉の横には、ID認証用と思しきパネルがあった。レイはパネルの前に右手を置き、術式を展開した。
『ピピ…登録外、入艦を許可できませ…ザー、ピー、登ろ…ガガ、ガー………認証完了、お帰りなさいませ』
機械音声がそう告げると、その大きな鉄の扉は両方に開かれていった。
「よし、これで中に入れるな」
「機械のハッキングまで出来るとは…つくづくお前は恐ろしいやつだな」
「別に悪用はしないから大丈夫ですよ」
「わかっているさ。その程度の事は、私がよく知っている……お前の彼女と同じくらいな」
エレナが複雑な表情を浮かべたのを見て、マリアがそう付け足した。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる