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第二章
プロローグ
しおりを挟むリチャード・アレクサンドル1世。
現在のアズリエルにおいて、その名を轟かす圧倒的な王である。
王立孤児院出身という孤独な生い立ちではあるものの、幼い頃にはすでにジョルジュ・ネルディームを退けられるほどの力を有していた事もあり、一気に大陸中の有名人となる。
そこから彼は士官学校に入学、輝かしい戦功を上げながら、最終的には将軍の座についた。
そしてパーティーで知り合ったヘイリー王妃と結婚し、晴れて王族の一員となる。
誰もが知るアズリエルのサクセスストーリーであり、かつて挙げた戦果が「強く、独立した王国」という、国民の愛国心を強く鼓舞するものであった事から、一気に国民の支持を得た。
特にヘイリー王妃が突如として病没した時は、悲劇のヒーローとして祭り上げられる事も多かった。
しかしその政治や人間性には疑問符も付き纏う。
多数の愛人関係や、他民族を圧迫するような政治。
何よりも軍人時代から必要以上の虐殺に加担したのではという疑惑も持たれている。
国費の着服疑惑が持ち上がっている状態であり、現リチャード政権に対する反感も高まりつつあるのが現状である。
年月を重ねた小さな日本家屋の縁側。
そこには一人の老人が座り込んでいた。
昼過ぎの穏やかな春の日差しが、縁側に差し込んでいる。
それを体に浴びながら、老人は穏やかな表情を浮かべていた。
「おじいちゃん、また日向ぼっこ?」
「ああ、そうだよ」
玲は祖父に声をかけ、隣に座り込んだ。
たまたま母が実家に帰る用事があり、それに玲も付いてきたのである。
母方の実家に帰ると、いつも祖父に会う。
それが楽しみで、何かにつけて玲は母の実家に行きたがった。
祖父は常に穏やかに微笑み、玲の事を受け入れてくれた。
いつも玲が学校での話をすると、嬉しそうに聞いてくれる。
そんな祖父のことが玲は大好きだった。
「こうして穏やかな時間を過ごしているのが、やっぱり一番だよ」
「…昔はそうじゃなかったの?」
「戦争が終わった直後だったからねぇ、みんな生きるのに必死で、怖かったよ」
祖父は何度か昔の話をしてくれた。
彼は終戦前後の生まれであり、物心ついた時には日本は荒廃した状態だったらしい。
そんな中で祖母と出会い、母を産んだと行った話を、玲は何回か聞いたことがあった。
「ふーん…」
「平和な時間が一番さ…誰を憎む必要もない、差別されることもない…それが一番良い」
玲はただ黙って聞いているだけだった。
「……ん」
レイはふと目を覚ました。
どうやら飛空挺の中でうたた寝していたらしい。
(…おじいちゃん)
夢で見た祖父の姿に、レイはかつての日々に思いを馳せるのだった。
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