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2節[第二章]

第五十六話『失敗?』

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中に入ると生徒会長と書かれた名札をつけた男の子と女の子が立っていた。

「お話は聞いております。」

「まずはこちらへ。」

私たちは2人の案内で校長室へ辿り着いた。

ソファーに座るよう促され、机に2人が紅茶を出してくれた。

そして向かいのソファーへと座り、2人が今回の潜入について説明してくれた。

今回やる事は簡潔に言えば、イジメの主犯を捕まえること。

イジメの主犯を捕まえない限り、学校からイジメは無くならない。

しかし、未だにイジメの主犯は分からず目星もつけられていないそう。

そこで、私たちがイジメられている子に話を聞いて主犯を炙り出すということになった。

名前は私たちの方で偽名に変え、ヤヌア様はAクラス、ズハイ様はBクラス、私はCクラスに潜入する。

イジメはそれぞれのクラスで起きているため、同じ主犯にたどり着くかは分からないが、イジメは全て解決しないと意味が無い。

ヤヌア様は私と別れることにあまり乗り気ではなかったが、効率よく探すには別れるのが一番いいのは目に見えていた。

「大丈夫ですよヤヌア兄様!私は普通の女の子より強いですから!」

そういうと、ヤヌア様は納得したように私の頭を撫でた。

エイム様の件で四代家紋の人達みんなが、私の力を認めてくれた。

ヤヌア様やスベイス様も私の事をよく頼るようになった。

今回も私の力でイジメ解決の手助けをしたいと思った。

私の力は万能性が高く、どんな事もやろうと思えば出来ることがほとんど。

イジメは許せる行為ではないし、選ばれたからには成果を出したい。

生徒会のふたりが教室へ案内してくれる。ヤヌア様とズハイ様はそれぞれの教室へ行き、お昼頃に3人で合流することになった。

私はCクラスへと足を踏み入れる。

中には私より可愛い煌びやかな女の子や礼儀のなった男の子達が、話をしたり本を読んだりと自由に過ごしていた。

私が後ろの扉のところで立っていると、教室にいた全ての生徒が私を見ていることに気づいた。

全員が私を見ている中、あるひとりの女の子が話しかけてきた。

「あら、貴女は新しい方ですの?」

女の子は金髪のロールがかかった髪をツインテールに結び、いかにも貴族だというレースの付いた扇子を持っている。

これは恋愛マンガの悪役令嬢の典型的な資質だわ。ここまでくるともはや凄いわ。

まぁ本物の悪役令嬢は私なんだけどね??

ヤヌア様とズハイ様、そして私はイジメられている子に近づきやすくするため、平民出身として噂を流してもらった。

私の髪は水色で完全に目立つため、黒髪へと自分のチート能力で姿を変えている。

下手へたに刺激して潜入の邪魔はされたくないんだけど…。あんまり下手したてに出ると舐められて結局邪魔されかねない。

う~ん…。あれ?そういえばこの子ってどこかで見たような…。

「貴女まさか平民出身?」

「はっはい…。」

「はぁ…これだから嫌なのよ平民出身は。ろくに返事も出来ないなんて…。」

あっ!思い出した!この子あの時パーティー会場にいた子だ!

私の社交界デビュー記念パーティーで、挨拶に来た子が連れていた女の子。

確か妹とか言ってたはず!挨拶した時は可愛い恥ずかしがり屋の女の子だと思ってたのに…。

実はそうじゃなかったのかな?

「貴女出身は?」

しゅっ出身!?

まずい!そこまで考えてなかった!

「あっえっと…。」

私が返答にしどろもどろしていると、女の子と私の間に誰かが割り込んできた。

「もう止めたらどうだ、ユリアンヌ嬢!彼女が困っているじゃないか!」

割り込んできたのは高身長の貴族の男の子だった。

男の子が言った名前で女の子がウィンター家直属の家系である、スノー家だと分かり思わず目を逸らした。

直属の家系とか下手なことを言ったら100パーセントバレる!

私が気配を潜めていると、ユリアンヌちゃんと男の子の会話がヒートアップしていた。

「アルベン様、新人は私のように位の高いものに真っ先に挨拶するのが礼儀ですわ!」

「彼女が平民出身だと分かったなら、教えてあげるのが優しさだ!貴族ならば平民を大切にするべきではないのか?」

アルベンという男の子の発言で教室がザワつき始める。

でもユリアンヌちゃんが言っていることも間違っている訳では無い。

ただ、平民はその教養を受けずに育っている事を忘れてはいけない。

「ユリアンヌ様、すぐにお返事出来ず申し訳ありません。」

とりあえず今やることは、この教室の雰囲気を元に戻すこと。

そして2人から目をつけられすぎないようにすること。

こういう時はどちらにも好印象を与えて教室に溶け込むのが一番いい。

この教室はユリアンヌちゃんとアルベン君の派閥に別れているみたいだし。

どっちも敵に回すと潜入の邪魔になる。

「改めて、ラーヘル・アクシオンと申します。出身はウィンター方面です。」

ラーヘル・アクシオンは私が考えた偽名、完全にレイン・ウィンターを想像できないように作った。

でもさすがに出身地は用意できていなかったので、ウィンター方面とだけ伝えた。

そもそもウィンター方面を仕切るウィンター家出身なので間違いではない。

しかし、このユリアンヌちゃんが私の社交界デビュー記念パーティーに来ていたのを私は忘れていた。

「ウィンター方面ですって?」

ウィンター方面に彼女が食いついてしまった。

せめて別の場所の方が良かったかな!?

結局その場では先生が来て事なきを得たけど、次の休み時間にユリアンヌちゃんに詰め寄られ、お昼時間に校舎裏に来るように言われてしまった。

これもしかしなくても、私やらかした??
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