元ゲームオタク転生悪役令嬢は推しを幸せにするためにあらゆる死亡フラグをチート機能で叩きおります!

蓮斗♀(活動停止/再開の予定なし)

文字の大きさ
上 下
46 / 77
2節[第一章]

第四十三話『どうして…』

しおりを挟む

飲み物を取り終えエイム様の元へ向かう。

私の飲みたい飲み物だけなぜかなくなってたから、補充するようにスタッフさんに言ってエイム様の分だけ取ってきた。

座っていた場所へ行くと、エイム様は外を眺めながら少し微笑んでいた。

何かいい事でもあったのかな?

「何かいい事でもあったのですか?」

「あぁ、でも君には内緒だ。」

エイム様は私の方に振り返りながら人差し指を口元へ当てた。その時のエイム様の顔はいたずらっ子な子供のように無邪気だった。

「ところでレイン、君の分の飲み物はどうしたんだ?」

「あっ!ちょうどなくなっていたみたいで、スタッフの方に補充をお願いしました。」

「そうか…。」

少し考える素振りを見せてエイム様は私からのドリンクを受け取る。

「よく私の好きなドリンクを覚えていたな。君と来たのは前のパーティー以来だろう?」

そりゃ推しの好きな飲み物くらい覚えてますよ!エイム様は甘党だから紅茶にもよくたっぷり砂糖を入れるんだけど、その度に入れすぎだってフィブア様に怒られるシーンはプレイヤー内では有名だし!

何より転生前のレインがエイム様について詳しく調べてたからね。好きな食べ物からよく行くお店まで、全部調べてあった。

好きすぎるのは困りものだけど、こういう形で知識を使えばエイム様に喜んで貰える。

「エイム様のことですから、当然です。それより私の好きな飲み物を覚えてくださっているエイム様に私は驚いてますよ?」

「そりゃ、す…婚約者の好きな飲み物くらい覚えて当然だろ?」

“す”??

「エイム様、今なんて言いかけたのですか?」

「えっ?」

今絶対“す”って言ったよね?“す”って言って止まったってことは、何か言いかけたって事だよね?エイム様が何を言いかけたのか凄く気になる!

「“す”から始まる何かを言いかけましたよね?」

「いやそんな事は…」

「なんて言おうとしたのですか?」

「なっなんでもない!」

「嘘!言ってくれないと離しませんからね!」

私はエイム様を逃がさないように両手をしっかりと握り顔を近づける。

「ちょっちょっとレイン!ちかっ近い///!!」

「さぁ!素直に白状してください!!」

どもりながら決心したように顔を上げたエイム様の顔は少し紅く、その目はまっすぐ私を見つめていた。思わずドキッとして私まで顔が紅くなる。

「レイン、言いかけていた言葉なんだが…」

「はっはい///」

「私は、君のことを…」

この一瞬の時間が永遠に感じるほど、私はエイム様から目が離せなくなっていた。ドキドキが止まらない…心臓が張り裂けそう!

思わずエイム様を見ないように目をつぶる。自分の鼓動だけが聞こえ緊張していたその時、

「お取り込み中すみません。レイン様、お飲み物をお持ちしました。」

スタッフのひとりが飲み物を持って来た。

「あっありがとう…。」

スタッフがくれた飲み物を受け取ると、スタッフは一礼して会場の中へと消えていった。

「レイン、持ってくるように頼んでいたのか?」

用意するように頼んではいたけど、持ってくるようには言ってなかったような…。まっいっか!

「持ってくるようには言ってなかったんですが、多分気にして持ってきてくれたんだと思います!」

かなりヤバめの状況だったから喉カラッカラ!飲み物くれたスタッフに感謝しかない!

私の大好きな飲み物、それは「ブルームーンライト」!

綺麗な青色の飲み物で、海を写したみたいに綺麗なんだ~。

転生前の世界でもあって、「ブルームーン」っていうアルコール度数高めのカクテルをアルコール無しでジュースに改良したやつの商品名だったの。

普通なら飲めないんだけど、あるイベントをこなすと好きな飲み物ひとつゲーム内に持ち込めるの!その時に持ち込んだのが「ブルームーンライト」ってわけ!

スッキリとした甘さと程よい酸味がクセになる私が出会った中で最高の飲み物!

てわけで、いただきまーす!

「美味しそうだな。」

「あっ…」

飲もうと近づけていたコップを横からエイム様が取ってきた。そのまま一気に飲んでしまいこちらを向いて美味しそうに笑った。

「もう!人のを取らないでください!いるなら同じやつ取ってきますから!」

「いや君のやつが美味しく見えてな?つい…」

「まったく…たまにそういうヤンチャなところがありますよねエイム様って…」

下から耳を下げた子犬みたいな顔されたら許すしかないじゃん…。

「エイム様、私また取ってきますから少し待って…」

「ゴホッ…」

「!?」

その時、私の頭は真っ白になった。

音のした方を見るとエイム様は真っ青な顔色で、口元からは生暖かい赤い液体が零れている。

かろうじて名前を呼ぶ。

「エイム様…?」

「あぁ、やはりか。君が無事で、よかっ…た…」

ゆっくりゆっくり地面へと力なく倒れていくエイム様を私は咄嗟に支えた。

状況がまだ理解出来ていない。一体何が起きた?なぜエイム様が?今までなんともなかったのに…。

目の前で倒れているエイム様の姿が滲んで認識できない。視界がぼやけている。

あぁ私、泣いてるんだ。

「エイム!レイン!!」

フィブア様?

「エイム!?レイン、何があったんや!?」

あっ…そうだ。

エイム様が血を吐いて…。

倒れて。

エイム様が危ない。

助けなきゃ…。

死なせちゃいけない!!

私に渡された飲み物でエイム様が倒れた。

狙いは私だったはず…。

私のせいでエイム様を死なせるなんて、あっちゃいけないんだ…。

彼はこれから幸せになる為に生きなきゃいけないんだから…。

私のせいで…

私の…

せいで…

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

出て行ってほしいと旦那様から言われたのでその通りにしたら、今になって後悔の手紙がもたらされました

新野乃花(大舟)
恋愛
コルト第一王子と婚約者の関係にあったエミリア。しかし彼女はある日、コルトが自分の家出を望んでいる事を知ってしまう。エミリアはそれを叶える形で、静かに屋敷を去って家出をしてしまう…。コルトは最初こそその状況に喜ぶのだったが、エミリアの事を可愛がっていた国王の逆鱗に触れるところとなり、急いでエミリアを呼び戻すべく行動するのであったが…。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

処理中です...