元ゲームオタク転生悪役令嬢は推しを幸せにするためにあらゆる死亡フラグをチート機能で叩きおります!

蓮斗♀(活動停止/再開の予定なし)

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1節[第三章]

第二十九話『精霊の加護』

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こうして私とフィブア様は、首都にある“大図書館アーターガイスト”にやってきた。

前にフィブア様に連れていってもらった図書館もかなり大きい図書館に分類されるが、首都の四代家紋の者しか入れないこの図書館は、国の歴史がほとんど記されていると言っても過言ではないほど大きい。

分かりきってはいたが 、それだけのものが詰まった図書館の中で私の力について記された本を探すなんて不可能に近かった。

私はフィブア様と手分けをして図書館内を探した。フィブア様は右から私は左から探して行った。

「へぇ…ここには四大家紋の行事とかパーティーに参加した時の記録があるんだ。」

上から春の家紋フィーダー家、夏の家紋サマー家、秋の家紋ハーベスト家、冬の家紋ウィンター家と並んでいる。

神様がくれたチート能力だけど、もし私の前にも同じような能力を持った人がいたら…。

「あっ!」

ウィンター家の記録を眺めていると、ひとつだけ微かに光っている記録を見つけた。ほかの記録とは明らかに違うことがひと目でわかった。

私はおもわずその記録を手に取った。すると、記録から溢れていた光が鎖のような形に変化し、記録を封印するように巻きついた。

触れることも出来ず、本を開くことも出来なくなってしまった。

「これは明らかに意図的に誰かが見られないようにしてるわね…。」

ウィンター家の列にあったということは、ウィンター家の血筋の中で私のような能力を持った人がいたということ。

なら同じように能力を持つ私なら、この本の鎖を解けるかもしれない。そのための鎖って可能性もあるし。

とりあえず、鎖を解くためにいつものように呪文を…

解放レリーズ!!」

手をかざしながら呪文を唱えると、光の鎖はみるみる内に本の中へと消えていった。やはり私と同じような力で出来た鎖だったようだ。

鎖が解けたことによって本の表紙が見えるようになった。

妖精フェアリーとの契約??」

本の中はこれまで見てきた本とは全く違うものだった。これはゲームの登場人物では開けられても読むことは出来なかっただろう。

「嘘っ!?これ日本語で書いてある!」

ゲームではもちろん本のタイトルや登場人物からの手紙は日本語で表記されいる。しかし実際ゲームの中に入ると、よく分からない文字が並べられている状態なのだ。

まぁ簡単に言うと、日本語の“あ”自体が形として違うということだ。見た瞬間は戸惑ったものの、レインがこちら側の文字を覚えていた事もあって苦労はしなかった。

それでも中身は日本人なので、日本語には親しみがある。普通なら見ることのない日本語で書かれた本は、この世界に転生した私には明らかに異質に見えた。

つまりこの本はゲームの登場人物が書いたものではなく、私のような転生者が書いたものだという事だ。

「私とヒロインより前にも転生者がいたなんて…。」

ウィンター家の列にあったという事は、転生者はウィンター家の人物だったという事。

能力が私のように何でも可能なチート能力かは分からないけれど、少なくとも能力を持って転生したのは確定だろう。

「とりあえず、中を見て見なきゃ…」

1ページ1ページ全て手書きで書かれたこの本は、その人物が転生してから死ぬまでの日記のようなものだった。

ゲームの世界とは書かれていなかったため、おそらくこのゲームを知らなかったか、まだ発売していない時に転生したかのどちらかだろう。

そこからウィンター家の令嬢として転生したことや、元の世界への戻り方を探していたことが書かれていた。

その中でひときは目を引いたのが、この作者の能力について書かれている所だった。

この作者は能力についてこう書いている。

“ある日私は、冬の妖精に出会いました。冬の妖精は私が転生者であることを知っているようでした。冬の妖精は私を気に入ってくれたようで、不思議な力を授けてくれました。その日から私は、光の鎖を出せるようになりました。まだまだこの世界には不思議な事があるようです。元の世界への戻り方は、あまり進展はありません。”

その先には能力のことについて書いている場所はあまりなく、日々の行動や出来事が記されている。

「じゃあこの人は私みたいに神様からもらったんじゃなくて、妖精からもらったってこと?」

能力は神様じゃなくても授けられるんだ…。でも冬の妖精って事は春とか夏とかもいるってことなのかな?

妖精なんてホントにいるのかな?なんて考えたが、そういえばここゲームの世界だから何でもありかと諦めた。

妖精はウィンター家の書庫にも歴代で語り継がれてきた話にもいなかった。他の記録も妖精に関して書かれているものは少なく、幻とされているようだった。

「会えるなら会いたいな~…妖精さん。」

「“ならおいでよ!僕達の所へ!!”」

「えっ?」

不思議な声が聞こえた瞬間、本が白い光を放ち私はその中へ引き込まれた。





















ん??

ここは?

「“やぁ初めまして、神愛を受けたお姫様。”」(ニコッ

「へっ??」

この人は一体…誰!?
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