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1節[第二章]

第二十三話『専属メイドと専属従者』

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街の件から数時間後、カミリアを見送った街の人達からのたくさんの荷物を兵士に任せ、私はカミリアにウィンター家の中を案内していた。

「ここがあなたの部屋よ。自由に使って構わないから。」

「分かりました。」

カミリアの言葉は北の街で発祥した独特の言語で普通の人には理解が難しい言葉だった。なのでここでの言語を覚えるまでは、私の能力で翻訳して聞こえるようにしている。

迎えてくれたお兄様達にカミリアを紹介したらかなり驚いていたけど、フィブア様が理由と経緯を説明してくれたから二人はカミリアを歓迎してくれた。

カミリアはずっと独りだったけどその前の生活で一通りのマナーは覚えてるみたい。お兄様達はもちろん、従者の人やメイドの子にもしっかり挨拶してたしお辞儀の仕方が綺麗。

普通従者とメイドはそれぞれ一部屋に四人くらいで寝るんだけど、私は専属の人だけを割り当ててるから個別の部屋を用意出来る。

だからシオンも個人の部屋があるし、カミリアにも個人の部屋を用意している。私の専属だと普段やるようなことから、危険を伴うことまで全て担うことになる。

シオンにはこれまでヒロインについてどことなく探るようにお願いはしているのだ。まだ、シオンはカミリアには会っていないけど…。

「あの、レイン様?」

「ん?どうしたの?」

「私の隣の方はどんな方なのですか?」

カミリアに言われて隣の部屋を見れば、そこはシオンの部屋だった。私がシオンにあげた部屋ではあるが、シオンの部屋には入ったことがないため中は知らない。

「隣はあなたより前にいる同じ専属従者の部屋よ。ここの事は沢山知っているから、色々教わってね。」

カミリアはシオンと同い年だが原作ではあまり関わることはなかった。どうなるかは私にも分からない。仲良くなってくれるって私は信じてる!

「先に入っていた方ですか…?一体どんな「レイン様。」…!!」

「シオン!」

カミリアの方を向けばその奥にシオンが歩いてきた。少し表情が強ばっているのがわかる。

「シオン?どっどうしたの?」

その表情に私は少し怯む。あんな顔のシオン見たことない!

シオンは私の前に立ちそして、

「わっ!!」

勢いよく抱きしめた。

普段大人しいシオンがこんなことするとは…。

「シオン?」

「…しました。」

「えっ?」

抱きしめられ埋まっていた顔を上げてシオンの顔を見ると、今にも泣きそうな顔をしていた。手も僅かながら震えている。

「心配しました。」

抱きしめる力は緩まず泣きそうな顔を私に見られないように必死に隠すシオンの姿を見て、私はそっと背中を撫でた。

シオンはきっと、私が何も伝えずにフィブア様やエイム様と一緒に北の方へ行ってしまったから不安でしか無かったのだろう。

その時シオンにはヒロインの出席するパーティーを調べてもらっていた。そのためシオンはここにおらず、このことを伝え忘れたのだ。

帰ってきた時、自分の主人が突然いなくなり北の吹雪が止まない土地に行ったと知れば不安にもなる。

「ごめんね…何も伝えなくて。急に決まったことだったから。」

シオンの背中をゆっくりと撫でてあげれば徐々に落ち着き少し離れた。泣いたあとだからか顔が赤い。

「大丈夫よ、私は無事だしここにいるから。ね?」

優しくてを握れば、もう手の震えは止まっていた。

「すみません、お見苦しい姿をお見せしました。そちらの方は?」

シオンの見ている先にはカミリアがいた。カミリアは視線に気づき少し会釈をする。シオンも軽く会釈し二人が向かいあう。どうか仲良くなりますように!

「シオン、この子はカミリア。北の街で見つけた新しい私の専属メイドよ、色々教えてあげてね?」(ニコッ

「初めまして。カミリア・アヤメシアと申します。」

「初めまして。レイン様専属従者のシオン・ハーベストです。」

互いに自己紹介が終わり少しの間沈黙が続く。

気まづい空気が流れる中シオンがカミリアに話を振った。

「あなたがいた北の街はどんな所だったのか聞いてもいいですか?」

「私のいた街ですか?」

「はい、北の街は地図で見た事はあるものの詳しくは知らないもので…もしよく食していたものなどあればそれも知りたいと思いまして。」

すごいハキハキ喋ってる!!あの大人しくて前に出ないシオンが!!

「今まで北の街にいたのならこちらの食に慣れるまでの間、よく食していたものを織り交ぜながらの方が馴染みやすいでしょう?」

あっ…。そうか、シオンは…

「僕もここに来る前との食の違いでレイン様にご迷惑をかけてしまいましたから。」

シオンはここに来る前とウィンター家との食事の差が激しすぎてあまり食べれなかったから…その時のことを考えてるのかも。

「なるほど…今から少しお時間をいただければ紙に書いてお渡しできます。」

「ならお願いします。すみませんレイン様、少し失礼します。」

「気にしないで?私も後は部屋に戻るだけだし。じゃあカミリアをよろしくねシオン。」

「かしこまりました。」

「レイン様、失礼いたします。」

そうして二人は話しながら廊下を歩いていった。思ったよりすんなり仲良くなってくれたみたいでよかった。

「このまま何事もなくみんなが生きてくれたらいいのにな…」

澄んだ青空を見上げながら届きもしない願いを口にした。






















あれ?そういえばカミリアに能力があるっていうのは一体何だったんだろう…。






















「あなたは隠してるんですね。」

「自覚は早いうちにしていたからね。」

「私よりあなたの方がかなり強いみたいだけど、レイン様とあなたはどっちが強いのかしら。」

「そりゃ勿論…」

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