元ゲームオタク転生悪役令嬢は推しを幸せにするためにあらゆる死亡フラグをチート機能で叩きおります!

蓮斗♀(活動停止/再開の予定なし)

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1節[第二章]

第十四話『ヒロイン登場』

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ついに舞踏会の日。なんか待ちに待ったみたいな言い方になってるけど違うのよ。

あのね、ドレスって綺麗に見せるために下に色々仕込むのよ。その中で一番キツイのが“コルセット”!!

いや中身出る!!死ぬ!死ぬ!!くびれいらないから!

って感じで他にもマッサージやらメイクやら髪の手入れやらで用意に何時間もかけて出来上がったのがまぁ可愛い。当たり前だよね、あんな苦労したんだから。

とまぁこれで終わるわけもなくね?次はドレス選びに数時間…ってなると思ってたんだけど、なんかエイム様からドレスと靴がセットで届いてたらしくてそれを着るみたい。

メイドさんが慌ただしく動いてるわ…あと一時間で約束の時間だからかな?

「お嬢様!今日は待ちに待ったエイム様と舞踏会の日ですから存分に楽しんでいらっしゃって下さいね!」

「えっ、うっうん!」

正直エイム様との舞踏会とか緊張しすぎて話せるかもわかんないし。こんなコルセットで締められてたら口開けた瞬間中身でそうだからね。

「さっ時間ですよお嬢様!エイム様がお待ちです!」

頭でグルグルしてたらもう一時間経ったのか…ってエイム様待ってるの!?じゃあ早く行かなきゃ!

「わかった!今行く!」

早足でエイム様の待つ入口へ向かう。門の向こうには全身を黒い正装で着飾ったエイム様が立っていた。風で静かに揺れる金髪が夜の街灯に反射してキラキラと輝いている。エイム様が私が来たことに気づきゆっくりとこちらを向く。

「来てくれたんだなレイン。」

朗らかな笑顔で手を伸ばすエイム様にキュンとしてしまったのは自分の中だけに留めておこう…。

「エイム様のお誘いですから。」(ニコッ

私の微笑みなんてエイム様に比べたら月とすっぽんなんだけど一応ね?令嬢は笑顔が基本ってメイドさんに散々言われたし。

「では行こうか。」

そう言うエイム様に続いて進もうとした矢先、普段履かないヒールだったのが災いし階段を踏み外し前に倒れる。

やばい!ヒールだし慣れないドレスだから踏ん張りきかない!!

覚悟して目をつぶったが衝撃は来ない。恐る恐る目を開けるとエイム様が下敷きになっていた。

なっななななんてことを!!エエエエイム様を下敷きに!?はっ早くどかなきゃ!!

「もっ申し訳ありませんエイム様!!お怪我は!?」

急いでエイム様の上から退く。騒ぎを聞いて従者やメイドが慌てて駆けつける。エイム様はゆっくりと起き上がり私の腕や顔を触り少し微笑む。

「怪我はないようだな。」

「わっ私よりエイム様は大丈夫なのですか!?私の下敷きになっていましたから、もし怪我をなさっていたら…。」

言い終わる前にエイム様は私の頭を優しく撫でる。

「君は軽いから下敷きになったところで問題は無い。君が階段でコケるのは想定外だったが、これからはしっかりエスコートしよう。」

そう言いながら左手を伸ばすエイム様。この人女性の扱い慣れてるでしょ///生きてる年数=彼氏いないの私にこれは効くよ!!伸ばされた左手に右手を乗せ馬車まで移動する。後ろから従者やメイドさんからの微笑ましい視線は気にしたら負け。

馬車に乗り込みエイム様と向かい合う形で座る。目の前に外の景色を眺めるイケメンがいたらみんな私と同じ感じになるよきっと、もう動けないもん緊張しすぎて!

エイム様はリラックスしたように外を眺めてたまにこっちを見て微笑んでくる。その度にストレート食らってるからねこっちは。

そういえばエイム様は有名なプレント家とはいえ四男だもんね…家系の中でも苦しい立ち位置だろうな…

この世界では王が二人いてその内の一人がプレント家現当主。当主には四人の子供がいてその末っ子がエイム様。本来なら長男がなる王座にエイム様は実力で到達する。それまでに兄達から数々の妨害を仕掛けられるけど…その一つがあの馬車のやつ。あれほぼ妨害っていうより殺害未遂だけどね?

「何か考え事か?」

「ひゃあっ!?」

いつの間にか隣に座っていたエイム様にビックリし思わず変な声を上げる。その反応にツボったのかエイム様が笑い出す。ほんとに心臓に悪いことするんだから…。

「君は本当に面白い反応をするな!見ていて飽きない。」

「私しようと思ってしてるわけじゃないんですよ?」

「そこが君の良いとこだな。」

エイム様の頭の中はどうなってるんでしょうか。私の頭では到底理解不可能ですね。

「それで?何を考えていたんだ?」

言っていいものなのかな?いやいや失礼だよね!プレント家の四男だから大変ですよねって!かなり失礼だよね!でも何もありませんって言っても嘘だってバレてるだろうし…覚悟きめて言うしかないかな…。

「あっあの、エイム様は…その」

うっ…言えない。ここまで言っておいて!

「私が四男だから立場上厳しいだろうと考えていたのか?」

あっバレてましたね。さすがエイム様。でもわかってて聞くってちょっとタチ悪いですよ。

「わかってたなら聞かないでください…。」

「ハハハッ!いや、すまないすまない!君のことだから変に気遣って言えないのだろうと思ってな!」

「変にって…あまり家紋のことを言うのは作法的に良くないことですから…。」

エイム様だって気にしてないわけじゃないだろうし…。

「そんなもの今は二人なのだから気にしなくていいんだぞ?それに私はその事なら一切気にしていない!」

「気にしてない?」

「どんな立場であれ、プレント家のトップは実力で勝ち取るつもりだ!」

その言葉はどこか聞き覚えのあるセリフで、私じゃなくてこれは幼いレインの記憶…。


















「着いたぞ。」

その言葉で我に返る。馬車を降り差し伸べてくれるエイム様の手を私は優しくとる。二人で会場の扉まで手を繋いで歩く。

「考えれば二人で入場するのは初めてだな。」

「ダンスで足踏んだらごめんなさい。」

「ハハハッ君は本当に面白いな!今それを言うとは思わなかったぞ!」

「言っておかないと踏んだ瞬間固まってしまいそうなので…。」

「固まったら私が支えてあげるから大丈夫だ!」

「お願いします…。」

たわいもない会話をしながら会場前の扉に着く。従者の人がチェックをつけ会場へ案内される。

「エイム・プレント様、その婚約者レイン・ウィンター様のご入場です!」

ゆっくりと会場への入口が開く。緊張しているのが分かったのかエイム様が少し強く握り返してくれる。

中の光が差し込んでくる。目の前に会場の景色が現れる。キラキラした照明、豪華な装飾や高価なドレスを着た人々が集まっていた。繕った笑顔やむせ返る香水の匂いに軽く目眩めまいがする。

「顔色が悪いが大丈夫か?」

「あっ大丈夫です。」

レインはこういうの平気なんだろうけど、私は慣れないから顔に出ちゃうな…。

「無理はしないでくれ。久しぶりのパーティーでは何かと大変だろうからな。」

私の心情を察してくれるエイム様は軽く微笑みながら声をかけてくれる。そのおかげか少し安心する。パーティーでは最も位の高い者からダンスを始め、そこから順々に周りが踊りだすものでこの中で最も位が高いのはもちろんエイム様。

もちろんみんなレインがエイム様の婚約者だからエイム様に踊って下さいなんて言わないけれど、裏ではレインを蹴落としてエイム様の婚約者の座を狙う者はざらにいる。

実際ヒロインはレインからエイム様の婚約者の座を奪ったしね~。ゲームだとレインの誕生日パーティーの時にこんな感じでエイム様と入場して中央まで歩いたところでヒロインがエイム様に挨拶する。その姿にエイム様は虜になっちゃうんだよね…。

エイム様に引かれて会場の中央に行く。ゲームのことを思い出したからか嫌な考えが頭によぎる。





そしてその考えは当たってしまう。

「初めましてエイム・プレント様♡エミ・フィーダーと申します。」

フィーダー。それを聞いた瞬間顔が青ざめた。なぜ?どうして?が頭を埋め尽くす。

どうして!?

どうしてヒロインがいるの!?

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