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1節[第一章]

第七話『不覚にもトキめいてしまった』

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「ついでに靴やアクセサリーもお願いしていい?」

「かしこまりました!直ぐにお持ち致します!」

シオン君は可愛いからどんな服でも似合うだろうからな~。

「お持ちしましたレイン様!」

「ありがとう。」(ニコッ

「いっいえ!///」

笑顔は大事!ただでさえ悪役令嬢なんだから、いい印象は与えとかなきゃ!

「さぁシオン!好きなのを選びなさい!今日はシオンの服を選びに来たんだから遠慮しなくていいのよ?」

「わっ分かりました!」

シオン君はどんな服選ぶんだろ…。ゲームだとレインはいじめてたらから服なんて与えてなかったし…ハーベスト家にいる時もお兄ちゃん達のおさがりだったらしいし…

「レイン様!僕…これがいいです!」

「これ!?」

シオンが持ってきたのはあっちの世界で言う紫色のつなぎと黒いパーカーに長めのブーツだった。

「ほっほんとにこれでいいの?」

そりゃ動きやすいのがいいだろうし、シオン君が選んだならそれがいいんだろうけど…

「僕…レイン様をいつでも守れるようにしたいんです!だから、動ける服にしたくて…」

いっいい子!!そんな風に思ってくれてたんだねシオン君…

「わかったわ。シオンがいいならそれにしましょう!あっ!少しいい?」

「はい?」

本編ではこんな形じゃなかったけど、渡すものは渡さないとね…




















『シオン。また私のお茶の時間を忘れてたの?私は三時に紅茶とお菓子を用意するように言ったはずよ?』

『もっ申し訳ありません…』

『まったく、使えないんだから…せっかく買ったんだから雑用くらいしなさいよ。』

『つっ次からは必ず…』

『何回聞いたかしらそのセリフ。いい加減聞き飽きたわ。あっそうだシオン。』

『はっはい!』

『あんたにこれあげるわ。』

『へっ…』

『お礼も言えないの?』

『あっはっはい!あっありがとうございます!』

このシーンが唯一レインがシオンに優しくした瞬間だった。その時はシオンがレインの家来て一年の記念日だった。

公式では出てないから分からないけど、レインはシオンを弟のような存在と思っていたのかもしれない。悪役令嬢のレインもレインで苦しんだことが沢山あって、それのせいで優しいレインの部分が崩れてしまったのかもね…

そんなレインが記念日にシオンにあげた物。それは…

「チョーカーですか?」

「綺麗でしょ?真ん中にある宝石がシオンの目にそっくりで、思わずつけて欲しくなっちゃった。」

「そっくりですか?」

「えぇ、それにとっても似合ってる。」

シオン君はこのチョーカーを死ぬまでずっとつけてレインの優しさを忘れなかった。最後までレインが死ぬことに反対し、死ぬ直前にレインとの記憶を思い出していた。

シオン君はレインに助けてもらったことにほんとに感謝してた。もしかしたら別の感情もあったかも知れないけど…

せっかく私がレインに転生したんだからその気持ちに私が答えてあげたい…

「嬉しいです!ありがとうございます!レイン様!!」

その後シオン君は選んだ服を着て笑顔で私の方へ歩み寄ってきた。

「とっても似合ってるわねシオン。」(ニコッ

「あっあのレイン様…」

「どうしたの?」

「こっこのチョーカー…レイン様につけて欲しいです…」

シオン君は少し照れながらチョーカーを差し出した。

可愛いな~。あんまり感じないから忘れがちだけどシオン君まだ十三歳でレインより年下だからな~。

「いいわよ。後ろ向いて?」

「はい!」

シオン君は嬉しそうに後ろを向いた。私はチョーカーをシオン君の首につけた。

このチョーカーが“シオン君を守ってくれますように”と願いながら…























シオン君の服を買って街を探索しながら楽しい時間をすごした。

帰るとスベイス様が仁王立ちで玄関に立っていた。

「シオン君の服を買ってすぐ帰るんじゃないの??」

「あっ…その、カッカフェで休んでて…」

「カフェで~?」

「美味しいケーキがあって、スベお兄ちゃんと行く前にお店の雰囲気見てみたくって…ダメだった?」(ウルッ

「…。」

どっどうだ!?必殺上目遣い!!シスコンお兄ちゃんにこれは聞くだろ!

「も~仕方ないな~レインは♡」

よっよかった。許された…。

「今度はお兄ちゃんと一緒に行こうね?」(ニコッ

「はい!」

なんかスベイス様シスコン度増してない??気の所為?気の所為であって欲しいけど…まぁ、なんとかなるでしょ!

それからご飯を食べお風呂に入り寝る前に今日のことをシオン君と話していた。

「今日は楽しかった?」

「はい!レイン様がくださった服、大切にします!」

可愛い~!もうシオン君大好き!!

「ありがとう。今日はゆっくり休んでね?」

「ありがとうございます!レイン様もおやすみなさいませ。」

「うん。おやすみ」(ニコッ

シオン君はそのまま扉の方へ向かい急にピタリと足を止めた。

「レイン様」

「なぁに?」

「僕は、レイン様を必ずお守りしますから。」

その振り返った表情は幼い子供ではなく、決意に満ち溢れた少年そのものだった。

不覚にもトキめいてしまったのは言うまでもない。

「嬉しいわ。シオンに守って貰えるなら、私は安全ね!」(ニコッ

「はい。では、失礼します。」

一瞬顔を赤くしてシオン君は部屋から出ていった。あの表情を見たからか、あまり寝付けず少し睡眠不足になった。

オタクにあの顔は大砲ぶち込まれたのと同じ衝撃だからね??寝れなくなって当然だわ。

というか最近思ってたんだけどさ、それがね?私のチート能力あんま使ってないなって…。

せっかく貰ったんだから、なんか使えないかな~ってずっと思ってたの!けどあまりに強すぎて大災害起きたら目も当てれないからさ!使うに使えないんだよね…。さて、どうするか…。

「レイン様!」

「シオン!?どうしたのそんな慌てて!」

「ハッハーベスト家の王子様方がレイン様にお会いしたいと訪問されて来そうで、メイドが通してしまったと…」

「えぇ!?」

何も準備してませんが!?ってか急に訪問する人多くないこの世界!?
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