80 / 132
第4章 聖王都エルフェル・ブルグ
77話 召喚の理由【後編】
しおりを挟む
「さっき彼に触って確信した。それは、ヒロト兄ちゃんとサディエル君が、『縁ある者』……これは俺が命名した言葉なんだが、要は "同じ魂を持つ人間同士" だからだ」
…………は?
一瞬、この魔王様が何を言っているのか理解出来なかった。
同じ魂を持つ人間、同士?
「はあああああ!? そういう場合って、もうちょい顔が似ているとか、声が似ているとか、髪の毛とか目の色も似ているとか、そんなもんじゃないの!?」
「魂は同一だけど、器と育った環境が違えばそうなるよ」
えぇぇ……
オレは思わずサディエルを見るが……全然、自分と同一人物、いや、魂が同一人物には見えないんですけど。
「あー……もしかして、おれがサディとヒロト君を一瞬見間違えたのって、まさか」
ふと、アークさんが何かを思い出したように呟く。
そう言えば、アークさんと、ここに居ないレックスさんは、初対面のオレに対して違和感抱いていたもんな。
「恐らく、それを察知したんだろうね。アークシェイド君の場合、幼い頃からサディエル君と一緒に育ったわけだから、余計にだったんだろう」
「そうなると、同様の反応をしたレックスさんは……あの人、他の人をよく見てるからその辺りか」
一方のサディエルも、結構冷静に話しを聞いて、そんなことを考察している。
……って、サディエル!?
「ちょっと、冷静過ぎない!?」
「驚いてはいるぞ。うん、めっちゃ驚いている」
そうは見えないんだけど!
「とりあえず、2人が "同じ魂" と言うのは一先ず置いときまして……それと、サディエルが狙われた理由が分かりません」
「だな。現時点だと、サディエルとヒロトが同条件なのは変わらない」
アルムとリレルも、意外と冷静だね。
普通、オレみたいに驚く場面だと思うんですけど……何、もしかして2人も心当たりがあったとか?
口に出してなかったけど、実は初対面時に一瞬ブレて見えていた可能性もあるな。
オレがぐるぐると頭を悩ませている間に、魔王カイレスティンは言葉を続ける。
「前提条件として知って貰わないといけなかったからね。まず、俺も先ほど話した通り、元は異世界の人間だ。そして、俺を召喚した人物が、俺の『縁ある者』……の、はずだったんだが」
「確か、変死体で発見されたんだったな」
本の内容を思い出しながら、アルムがそう答えた。
『なるほど、無理やり魔法陣を発動した結果、この事件が明るみになったわけですね』
『あぁ、屋敷の主人が変死体で発見されてな。その周囲の遺骨から事件が発覚……と言うのが、ここに記載されている内容だ』
そうだった、正確には死者蘇生だけど、魔王カイレスティンを召喚した人物は……
「召喚され、意識を取り戻した時には、そいつは既に事切れていた。死にたての老人と、周りに数人分の白骨化した遺体の中で目が覚めた時は、軽くパニックになったぞ……おまけに、そいつが俺の『縁ある者』だと気付いたのも、つい最近。君ら2人の関係性に気づいたからだ」
うわぁ……悲惨な光景だ。
あまり想像したくないっつーか、そんな状況に飛ばされて誰もいないとか嫌すぎる。
おまけに、死んでいたらそりゃ相手の魂を見るとか不可能だから、気づかないのも無理ないか。
「それでだ。そういった経緯から、配下として創造した魔族たちは、俺が元異世界人であることは知っている。だが、『縁ある者』については何も知識がなかった」
「……なるほど、読めてきた。ヒロト君と魔王カイレスティンは、いわば同類もしくは同志。双方とも異世界から召喚された存在だ。しかし、サディエルは違う。この世界に元から居た住人だ」
何かに納得した表情で、バークライスさんはそう言葉を続ける。
オレと魔王カイレスティンは、ある意味同じ。
だけど……サディエルは、その1点だけが違うわけで……
「サディエルには、オレを召喚しても "生き残っている"、と言う状況が生まれた。だから狙われた!?」
「そういう事だ。俺の召喚主は死んでいるのに、彼は生きていた。何かしらがあると、あの時、あの街を襲撃させた奴が感じ取ったんだろう」
その結果から、古代遺跡のある国でサディエルが狙われて、今に至ると。
はぁ……こんなの分かるわけないじゃん!
三人称とか、敵側視点でも見ることが出来ない限り、分かるわけがない!
「………それよりも重要なことなんだが」
「サディエル?」
「やっぱり……俺が、ヒロトをこの世界に呼んでしまった、ってことだよな?」
あっ、しまった。
その可能性をまだ話していなかった。
いや、アルムたちの話から総括するに、一応可能性としては考慮していたかもしれないけど、今回の話で、完全に確定してしまったわけだからな。
「サディエル、その件は以前にも言ったぞ。部屋に入る順番が異なっていれば、結果も違っていた」
「そうですね。私か、アルムの『縁ある者』が召喚されていた可能性はあります」
こちらも予想していたと言わんばかりに、アルムとリレルがフォローを入れた。
オレじゃなかった可能性も当然あるわけだよな。
今となっては、もしそうだったらと考えると違和感というか、オレじゃなかった場合が想像出来ないかな。
それにしても、アルムとリレルの『縁ある者』か……どんな人物か、ちょっと見てみたい気もする。
「サディエル、気にしなくていいよ」
「けどな、お前だって元の世界に家族や友達もいるし、将来を決める為に必要な受験も近かったんだ。それを邪魔してしまったのは……」
……何だろう。
こういう所、見覚えがあるというか、親近感というか。
内容こそ違うけど、異世界に来た当初、旅に出るか否かで、あれこれもちゃもちゃと悩んでた自分自身を見ている感覚がすごーくする。
今なら、オレとサディエルが "同じ魂を持つ人間同士" ってのも、納得出来る気がした。
「僕さ……今、サディエルが思いっきり、いつぞやのヒロトに見えいるんだけど」
「同じくです。オーガを1人で倒せって言った時に、あれこれ言っていたヒロトに似ておりますね」
オレとは別のタイミングを思い出していたらしく、アルムとリレルが呆れ顔をしている。
あ、そう言えばそのタイミングも、似たようにグダグダ悩んでたな、オレ……
「サディエル君、落ち込むのは後回しでね。今はそれが本題じゃないから」
「……わかりました」
魔王カイレスティンはそう言いながらも、サディエルを心配そうに見る。
だけど、それに気付いていない彼の表情は、とても暗い。
完全にサディエルは落ち込みモードだな。
ここまで落ち込んだ雰囲気の彼は初めて見たよ。
「そんなわけで、召喚主として生存しているサディエル君を、今日消滅させた奴が襲撃の最中に目を付けて、直近で誕生した新人に、彼を狙うように指示したみたいなんだ」
そう言えば、元々はオレに能力があるかどうかを探る為の襲撃だったもんな、あのスケルトンの大群。
オレが殺されそうになった時に、颯爽と現れて助けてくれたけど、魔族側からしたら、2人仲良く並んでいるわけで、"同じ魂を持っている" ことを見抜くのは簡単だったってことか。
「おまけに、新人の奴は今回シレっと逃亡してくれやがった。現在こちらでも捜索中だが、見つけたらタダじゃおかねーからな。あの野郎」
両手の指をバキボキと鳴らしながら、世紀末覇者よろしく怖い顔をする。
魔王様相手に良く逃げれたな……ガランドのヤツ。
あいつ、最初こそ色々ミスっててデバフ大量に食らっているけど、万全な状態でぶつかっていたら、こっちに勝ち目がなかったかもな。
「結果として、サディエル君が狙われたのは完全にこちらの管理ミスだ。ヒロト兄ちゃんが無害で、こちらと対立の意思がない以上、何事もなく元の世界に戻るなりなんなりして貰うのを、静かに待てばよかったのに、余計なことを……!」
ダン! と魔王カイレスティンは忌々しいと言わんばかりにテーブルを叩く。
それと同時に、テーブルに置いてあった飲み物が軽く跳ね上がり、水滴が少しばかりこぼれた。
近くで静かに事の成り行きを見守っていたミリィちゃんこと、ミルフェリアさんが、手際よくテーブルを拭き終えるのと待ってから、彼は話を続ける。
「ってことで、ヒロト兄ちゃんには、これまで通り何事もなく元の世界に戻る為に頑張ってくれればいいから!」
「けど、ガランドの件はどうしよう。きっとまた襲ってくる」
「ガランド……? あぁ、あいつに仮称をつけているのか」
ガランドねぇ、と魔王カイレスティンは何度か名前を繰り返し呟く。
そうだ、今ちょっと思いついたこと、提案してみようかな。
ほら、せっかく目の前に魔族の総元締めさんがいらっしゃるわけだし。
「で、ついでだから魔王様に相談したいんですけど……オレが元の世界に戻る為に、ガランドの魔力を使いたいって言ったら、ダメかな?」
========================
とりあえず今日は落ち着く為にも、一旦解散となった。
バークライスさんは頭を抱えながら、明日以降の検査予定をサディエルに伝えて、魔術省へ。
アークさんも、心配そうにサディエルの肩を叩いて、2~3言葉を交わした後、仕事があるからと海軍の方へ戻っていった。
魔王カイレスティンと、その妃であるミルフェリアさんは、オレが提案した事項を検討し後日通達する、と言ってさっさと転移の魔術で自身の領地へと戻っている。
そんなわけで、現在この部屋に居るのは、オレたち4人だけだ。
「はぁぁ……タイミング的に、俺が召喚したって可能性が高いことは分かっていたけど。ごめんなヒロト、本当にごめん。怖い目にも合わせてるし、受験勉強もままならない状況だし、親御さんたちにも申し訳ない」
「本当に気にしないでよサディエル。どう考えても不可抗力だし、どうしようもなかったんだから!」
声が戻ったこととか、痣の効果が一部解除されたこととか、オレが元の世界に帰る為の手立てに目途が立ちそうかもとか、喜ぶべき箇所が沢山あったはずなのに、サディエルの表情は浮かない。
オレと同じ魂が云々なんてのは、完全に二の次な感じだ。
そんなことよりも、オレをこっちの世界に呼んでしまったことの方が、彼の中では重大事項なんだろう。
「オレがこの世界に来た当初、そんな素振りをミリも感じさせなかったのに……」
「当時はヒロトを不安にさせない為に、猫を100匹ぐらい被っていたからなコイツ」
「そうですね。猫かぶりその2ですよ、サディエルは」
以前、サディエルがアルムに対して『猫かぶりその1』って言っていたけど、その2は自分自身のことだったのかよ。
「しかし、魔王からの返答次第だが、ヒロトが元の世界に戻る為に必要な魔力の件は、これでケリがつきそうだな」
「うん。色々大変な目にあったけど、結果的に上手くいっている。まぁ、魔王様に協力要請はちょっと予想外だったけど……」
「あら、確か先ほど、魔王も一概に悪ではない、とおっしゃっておりませんでしたか?」
リレル、よく覚えていたな。
オレは思わず苦笑いしながら、その問いかけに答える。
「うん。昔の作品はラスボス……物語の最後に倒す敵で、勧善懲悪な存在だったんだけどね。設定を捻る為か、むしろ味方だったり、人間側の方がよっぽど極悪で、みたいな展開もあったりする。今回はその味方だったパターン」
あとは、道中にこれといって魔王様の悪行を聞かなかったというのも、大きかったかもしれない。
もしも道中で、魔王様が直接あの国を滅ぼした、その街の人々を血祭りにした、とかいう話題を聞いていたら別だった。
滅んだ国はあったけど、ほら、言語統一を拒んで、魔物の襲撃への対応が遅れた結果とか、ある種の自業自得なわけだし。
そんなわけで、オレがここまでで仕入れた魔王様の情報は、ある日を境に人間と対立した。この1点のみだ。
「今の感じだと、人間との対立にも何かしら理由がありそうなんだよね。だから余計に、単純な悪人! って見れないのかも」
「お前の場合は、それに追加で同じ異世界人ってのもあるんだろうな」
「まぁね。話の内容と言葉尻から、さほど時代が離れている人じゃないっぽいし」
ワンチャン、日本人の可能性すらあるんだよね。
Gとか、Gとか、Gの話題とか。
実際の所はどうか分からないけどな。
「一応お聞きますが、信じてよろしいんですよね? あの魔王を」
リレルが、真剣な表情でそう問いかけてくる。
オレは小さく頷き……
「うん、大丈夫だと思う。根拠は何だって言われたら困るけど、もしもオレらが本当に邪魔だったら、とっくにこっちを殺しているはずだ」
何せ、魔王カイレスティンは冗談めいた感じで何度も『オレを始末しなきゃいけなかった』と言っていた。
これに関しては、間違いなく嘘じゃないんだろう。
「何より、痣の件。こっちに研究されたくないってのなら、効果を解除せずに、サディエルを殺してしまえば済む話だしさ」
「それもそうだな。それでサディエル、調子はどうだ?」
「………」
問いかけに無反応である。
それを見たアルムは、ツカツカツカと、サディエルに近づき、遠慮なく頭をはたいた。
「いって! アルム、何するんだよ!」
「人の話を聞いてない奴が悪い。お前がどれだけウダウダ悩んだ所で、ヒロトが元の世界に戻れるわけがない。だったら、やるべきことをやる。お前の口癖だろ。割り切れとはいわん、罪悪感を全部ヒロトの為に使え」
「……分かった。ありがとうアルム」
叩かれた場所を抑えながらも、サディエルはそう言った。
一度、大きく深呼吸して表情を戻す。
うん、サディエルはその方がいいな、やっぱり。
「まず声は出るようになっているし、弱体化の方も体の軽さからして問題ない」
ベッドから降りたサディエルはぴょんぴょんと軽くジャンプする。
そのまま、器用にバック転をして体の調子を確認した。
「となると、目印以外は全部外れた……と見てよろしいかもしれませんね」
「……いや、多分、弱体化は残っていると思う。今日までの分が無かったことにされただけ、という感じだ」
え? 弱体化が残ってる!?
「分かるの?」
「あぁ。カインさんに解除された時、バキン、バキンって何かが壊れる音が響いたんだけど、回数が3回だったんだ」
3回ってことは、3つの効果が消えたというわけで。
「声が出なくなる効果と」
「意識を奪った上で、体の主導権を握る効果」
「後は、意識がある上でも強制的にサディエルの体を動かす効果……で、3つか」
「多分な。それに、弱体化効果に関してはアイツに痣を付けられた時からの付き合いになるからな、違和感が拭えてない以上は残っていると思っていい」
弱体化の効果が残っているにしろ、タイムリミットが伸びたのは事実だ。
次のガランドとの戦闘において、サディエルも戦闘に参加出来る可能性がグッと高まったと思えば、いい結果だよな。
「そうなると……お前が本気の全力を出し切れる間に、アレをやった方がいいな」
「そうですね。サディエル、申し訳ありませんが検査が終わって自由になり次第、お願いできますか?」
「あぁ、任せろ。最悪出来ないと思ってた項目だったからな、やるなら今だ」
オレに分からない会話を3人が続ける。
この場合、十中八九でオレに関係することなのは確かなわけだけど……
「ヒロト」
「何、サディエル」
「俺の検査が終わって、動けるようになったら、このパーティでのコンビネーションについてを指導する。これは、帰路における必須項目だ」
コンビネーション!
そっか、ということは……
「自衛だけじゃなくて、オレもみんなと一緒に戦えるように、ってことだよね!」
「そういうことだ。開始は早くて5日後になるから、それまでにしっかり準備しておいてくれ」
…………は?
一瞬、この魔王様が何を言っているのか理解出来なかった。
同じ魂を持つ人間、同士?
「はあああああ!? そういう場合って、もうちょい顔が似ているとか、声が似ているとか、髪の毛とか目の色も似ているとか、そんなもんじゃないの!?」
「魂は同一だけど、器と育った環境が違えばそうなるよ」
えぇぇ……
オレは思わずサディエルを見るが……全然、自分と同一人物、いや、魂が同一人物には見えないんですけど。
「あー……もしかして、おれがサディとヒロト君を一瞬見間違えたのって、まさか」
ふと、アークさんが何かを思い出したように呟く。
そう言えば、アークさんと、ここに居ないレックスさんは、初対面のオレに対して違和感抱いていたもんな。
「恐らく、それを察知したんだろうね。アークシェイド君の場合、幼い頃からサディエル君と一緒に育ったわけだから、余計にだったんだろう」
「そうなると、同様の反応をしたレックスさんは……あの人、他の人をよく見てるからその辺りか」
一方のサディエルも、結構冷静に話しを聞いて、そんなことを考察している。
……って、サディエル!?
「ちょっと、冷静過ぎない!?」
「驚いてはいるぞ。うん、めっちゃ驚いている」
そうは見えないんだけど!
「とりあえず、2人が "同じ魂" と言うのは一先ず置いときまして……それと、サディエルが狙われた理由が分かりません」
「だな。現時点だと、サディエルとヒロトが同条件なのは変わらない」
アルムとリレルも、意外と冷静だね。
普通、オレみたいに驚く場面だと思うんですけど……何、もしかして2人も心当たりがあったとか?
口に出してなかったけど、実は初対面時に一瞬ブレて見えていた可能性もあるな。
オレがぐるぐると頭を悩ませている間に、魔王カイレスティンは言葉を続ける。
「前提条件として知って貰わないといけなかったからね。まず、俺も先ほど話した通り、元は異世界の人間だ。そして、俺を召喚した人物が、俺の『縁ある者』……の、はずだったんだが」
「確か、変死体で発見されたんだったな」
本の内容を思い出しながら、アルムがそう答えた。
『なるほど、無理やり魔法陣を発動した結果、この事件が明るみになったわけですね』
『あぁ、屋敷の主人が変死体で発見されてな。その周囲の遺骨から事件が発覚……と言うのが、ここに記載されている内容だ』
そうだった、正確には死者蘇生だけど、魔王カイレスティンを召喚した人物は……
「召喚され、意識を取り戻した時には、そいつは既に事切れていた。死にたての老人と、周りに数人分の白骨化した遺体の中で目が覚めた時は、軽くパニックになったぞ……おまけに、そいつが俺の『縁ある者』だと気付いたのも、つい最近。君ら2人の関係性に気づいたからだ」
うわぁ……悲惨な光景だ。
あまり想像したくないっつーか、そんな状況に飛ばされて誰もいないとか嫌すぎる。
おまけに、死んでいたらそりゃ相手の魂を見るとか不可能だから、気づかないのも無理ないか。
「それでだ。そういった経緯から、配下として創造した魔族たちは、俺が元異世界人であることは知っている。だが、『縁ある者』については何も知識がなかった」
「……なるほど、読めてきた。ヒロト君と魔王カイレスティンは、いわば同類もしくは同志。双方とも異世界から召喚された存在だ。しかし、サディエルは違う。この世界に元から居た住人だ」
何かに納得した表情で、バークライスさんはそう言葉を続ける。
オレと魔王カイレスティンは、ある意味同じ。
だけど……サディエルは、その1点だけが違うわけで……
「サディエルには、オレを召喚しても "生き残っている"、と言う状況が生まれた。だから狙われた!?」
「そういう事だ。俺の召喚主は死んでいるのに、彼は生きていた。何かしらがあると、あの時、あの街を襲撃させた奴が感じ取ったんだろう」
その結果から、古代遺跡のある国でサディエルが狙われて、今に至ると。
はぁ……こんなの分かるわけないじゃん!
三人称とか、敵側視点でも見ることが出来ない限り、分かるわけがない!
「………それよりも重要なことなんだが」
「サディエル?」
「やっぱり……俺が、ヒロトをこの世界に呼んでしまった、ってことだよな?」
あっ、しまった。
その可能性をまだ話していなかった。
いや、アルムたちの話から総括するに、一応可能性としては考慮していたかもしれないけど、今回の話で、完全に確定してしまったわけだからな。
「サディエル、その件は以前にも言ったぞ。部屋に入る順番が異なっていれば、結果も違っていた」
「そうですね。私か、アルムの『縁ある者』が召喚されていた可能性はあります」
こちらも予想していたと言わんばかりに、アルムとリレルがフォローを入れた。
オレじゃなかった可能性も当然あるわけだよな。
今となっては、もしそうだったらと考えると違和感というか、オレじゃなかった場合が想像出来ないかな。
それにしても、アルムとリレルの『縁ある者』か……どんな人物か、ちょっと見てみたい気もする。
「サディエル、気にしなくていいよ」
「けどな、お前だって元の世界に家族や友達もいるし、将来を決める為に必要な受験も近かったんだ。それを邪魔してしまったのは……」
……何だろう。
こういう所、見覚えがあるというか、親近感というか。
内容こそ違うけど、異世界に来た当初、旅に出るか否かで、あれこれもちゃもちゃと悩んでた自分自身を見ている感覚がすごーくする。
今なら、オレとサディエルが "同じ魂を持つ人間同士" ってのも、納得出来る気がした。
「僕さ……今、サディエルが思いっきり、いつぞやのヒロトに見えいるんだけど」
「同じくです。オーガを1人で倒せって言った時に、あれこれ言っていたヒロトに似ておりますね」
オレとは別のタイミングを思い出していたらしく、アルムとリレルが呆れ顔をしている。
あ、そう言えばそのタイミングも、似たようにグダグダ悩んでたな、オレ……
「サディエル君、落ち込むのは後回しでね。今はそれが本題じゃないから」
「……わかりました」
魔王カイレスティンはそう言いながらも、サディエルを心配そうに見る。
だけど、それに気付いていない彼の表情は、とても暗い。
完全にサディエルは落ち込みモードだな。
ここまで落ち込んだ雰囲気の彼は初めて見たよ。
「そんなわけで、召喚主として生存しているサディエル君を、今日消滅させた奴が襲撃の最中に目を付けて、直近で誕生した新人に、彼を狙うように指示したみたいなんだ」
そう言えば、元々はオレに能力があるかどうかを探る為の襲撃だったもんな、あのスケルトンの大群。
オレが殺されそうになった時に、颯爽と現れて助けてくれたけど、魔族側からしたら、2人仲良く並んでいるわけで、"同じ魂を持っている" ことを見抜くのは簡単だったってことか。
「おまけに、新人の奴は今回シレっと逃亡してくれやがった。現在こちらでも捜索中だが、見つけたらタダじゃおかねーからな。あの野郎」
両手の指をバキボキと鳴らしながら、世紀末覇者よろしく怖い顔をする。
魔王様相手に良く逃げれたな……ガランドのヤツ。
あいつ、最初こそ色々ミスっててデバフ大量に食らっているけど、万全な状態でぶつかっていたら、こっちに勝ち目がなかったかもな。
「結果として、サディエル君が狙われたのは完全にこちらの管理ミスだ。ヒロト兄ちゃんが無害で、こちらと対立の意思がない以上、何事もなく元の世界に戻るなりなんなりして貰うのを、静かに待てばよかったのに、余計なことを……!」
ダン! と魔王カイレスティンは忌々しいと言わんばかりにテーブルを叩く。
それと同時に、テーブルに置いてあった飲み物が軽く跳ね上がり、水滴が少しばかりこぼれた。
近くで静かに事の成り行きを見守っていたミリィちゃんこと、ミルフェリアさんが、手際よくテーブルを拭き終えるのと待ってから、彼は話を続ける。
「ってことで、ヒロト兄ちゃんには、これまで通り何事もなく元の世界に戻る為に頑張ってくれればいいから!」
「けど、ガランドの件はどうしよう。きっとまた襲ってくる」
「ガランド……? あぁ、あいつに仮称をつけているのか」
ガランドねぇ、と魔王カイレスティンは何度か名前を繰り返し呟く。
そうだ、今ちょっと思いついたこと、提案してみようかな。
ほら、せっかく目の前に魔族の総元締めさんがいらっしゃるわけだし。
「で、ついでだから魔王様に相談したいんですけど……オレが元の世界に戻る為に、ガランドの魔力を使いたいって言ったら、ダメかな?」
========================
とりあえず今日は落ち着く為にも、一旦解散となった。
バークライスさんは頭を抱えながら、明日以降の検査予定をサディエルに伝えて、魔術省へ。
アークさんも、心配そうにサディエルの肩を叩いて、2~3言葉を交わした後、仕事があるからと海軍の方へ戻っていった。
魔王カイレスティンと、その妃であるミルフェリアさんは、オレが提案した事項を検討し後日通達する、と言ってさっさと転移の魔術で自身の領地へと戻っている。
そんなわけで、現在この部屋に居るのは、オレたち4人だけだ。
「はぁぁ……タイミング的に、俺が召喚したって可能性が高いことは分かっていたけど。ごめんなヒロト、本当にごめん。怖い目にも合わせてるし、受験勉強もままならない状況だし、親御さんたちにも申し訳ない」
「本当に気にしないでよサディエル。どう考えても不可抗力だし、どうしようもなかったんだから!」
声が戻ったこととか、痣の効果が一部解除されたこととか、オレが元の世界に帰る為の手立てに目途が立ちそうかもとか、喜ぶべき箇所が沢山あったはずなのに、サディエルの表情は浮かない。
オレと同じ魂が云々なんてのは、完全に二の次な感じだ。
そんなことよりも、オレをこっちの世界に呼んでしまったことの方が、彼の中では重大事項なんだろう。
「オレがこの世界に来た当初、そんな素振りをミリも感じさせなかったのに……」
「当時はヒロトを不安にさせない為に、猫を100匹ぐらい被っていたからなコイツ」
「そうですね。猫かぶりその2ですよ、サディエルは」
以前、サディエルがアルムに対して『猫かぶりその1』って言っていたけど、その2は自分自身のことだったのかよ。
「しかし、魔王からの返答次第だが、ヒロトが元の世界に戻る為に必要な魔力の件は、これでケリがつきそうだな」
「うん。色々大変な目にあったけど、結果的に上手くいっている。まぁ、魔王様に協力要請はちょっと予想外だったけど……」
「あら、確か先ほど、魔王も一概に悪ではない、とおっしゃっておりませんでしたか?」
リレル、よく覚えていたな。
オレは思わず苦笑いしながら、その問いかけに答える。
「うん。昔の作品はラスボス……物語の最後に倒す敵で、勧善懲悪な存在だったんだけどね。設定を捻る為か、むしろ味方だったり、人間側の方がよっぽど極悪で、みたいな展開もあったりする。今回はその味方だったパターン」
あとは、道中にこれといって魔王様の悪行を聞かなかったというのも、大きかったかもしれない。
もしも道中で、魔王様が直接あの国を滅ぼした、その街の人々を血祭りにした、とかいう話題を聞いていたら別だった。
滅んだ国はあったけど、ほら、言語統一を拒んで、魔物の襲撃への対応が遅れた結果とか、ある種の自業自得なわけだし。
そんなわけで、オレがここまでで仕入れた魔王様の情報は、ある日を境に人間と対立した。この1点のみだ。
「今の感じだと、人間との対立にも何かしら理由がありそうなんだよね。だから余計に、単純な悪人! って見れないのかも」
「お前の場合は、それに追加で同じ異世界人ってのもあるんだろうな」
「まぁね。話の内容と言葉尻から、さほど時代が離れている人じゃないっぽいし」
ワンチャン、日本人の可能性すらあるんだよね。
Gとか、Gとか、Gの話題とか。
実際の所はどうか分からないけどな。
「一応お聞きますが、信じてよろしいんですよね? あの魔王を」
リレルが、真剣な表情でそう問いかけてくる。
オレは小さく頷き……
「うん、大丈夫だと思う。根拠は何だって言われたら困るけど、もしもオレらが本当に邪魔だったら、とっくにこっちを殺しているはずだ」
何せ、魔王カイレスティンは冗談めいた感じで何度も『オレを始末しなきゃいけなかった』と言っていた。
これに関しては、間違いなく嘘じゃないんだろう。
「何より、痣の件。こっちに研究されたくないってのなら、効果を解除せずに、サディエルを殺してしまえば済む話だしさ」
「それもそうだな。それでサディエル、調子はどうだ?」
「………」
問いかけに無反応である。
それを見たアルムは、ツカツカツカと、サディエルに近づき、遠慮なく頭をはたいた。
「いって! アルム、何するんだよ!」
「人の話を聞いてない奴が悪い。お前がどれだけウダウダ悩んだ所で、ヒロトが元の世界に戻れるわけがない。だったら、やるべきことをやる。お前の口癖だろ。割り切れとはいわん、罪悪感を全部ヒロトの為に使え」
「……分かった。ありがとうアルム」
叩かれた場所を抑えながらも、サディエルはそう言った。
一度、大きく深呼吸して表情を戻す。
うん、サディエルはその方がいいな、やっぱり。
「まず声は出るようになっているし、弱体化の方も体の軽さからして問題ない」
ベッドから降りたサディエルはぴょんぴょんと軽くジャンプする。
そのまま、器用にバック転をして体の調子を確認した。
「となると、目印以外は全部外れた……と見てよろしいかもしれませんね」
「……いや、多分、弱体化は残っていると思う。今日までの分が無かったことにされただけ、という感じだ」
え? 弱体化が残ってる!?
「分かるの?」
「あぁ。カインさんに解除された時、バキン、バキンって何かが壊れる音が響いたんだけど、回数が3回だったんだ」
3回ってことは、3つの効果が消えたというわけで。
「声が出なくなる効果と」
「意識を奪った上で、体の主導権を握る効果」
「後は、意識がある上でも強制的にサディエルの体を動かす効果……で、3つか」
「多分な。それに、弱体化効果に関してはアイツに痣を付けられた時からの付き合いになるからな、違和感が拭えてない以上は残っていると思っていい」
弱体化の効果が残っているにしろ、タイムリミットが伸びたのは事実だ。
次のガランドとの戦闘において、サディエルも戦闘に参加出来る可能性がグッと高まったと思えば、いい結果だよな。
「そうなると……お前が本気の全力を出し切れる間に、アレをやった方がいいな」
「そうですね。サディエル、申し訳ありませんが検査が終わって自由になり次第、お願いできますか?」
「あぁ、任せろ。最悪出来ないと思ってた項目だったからな、やるなら今だ」
オレに分からない会話を3人が続ける。
この場合、十中八九でオレに関係することなのは確かなわけだけど……
「ヒロト」
「何、サディエル」
「俺の検査が終わって、動けるようになったら、このパーティでのコンビネーションについてを指導する。これは、帰路における必須項目だ」
コンビネーション!
そっか、ということは……
「自衛だけじゃなくて、オレもみんなと一緒に戦えるように、ってことだよね!」
「そういうことだ。開始は早くて5日後になるから、それまでにしっかり準備しておいてくれ」
0
お気に入りに追加
310
あなたにおすすめの小説

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる