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第1章 冒険者はじめます
16話 対抗策と結果【前編】
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中央避難所へと逃亡の途中、曲がり角から2つの影が顔を出す。
「おっ、無事合流出来てたのか」
「お久しぶりです、ヒロト君」
その影の正体は、アルムとリレルの2人だった。
ただし、2人もオレらと同様にスケルトン様ご一行を引き連れての状態である。そう、引き連れている。
増えてるし! 増えてどうすんだよ! 単純計算で3倍になってる!?
「よっ! アルム、リレル。そっちの調子は?」
しかもこっちは呑気に挨拶しているし!
「お前のご希望通りだよ。あとでほんっっと覚えてろよ」
じろりとアルムに睨まれるサディエル。
そんな2人のやり取りをクスクスと笑いながら見るリレル、いやぁ……平和だなーって言いたいけど、もう一回言うぞ!?
今! オレら! スケルトンの大群(3倍増)に! 追われてるから!
あとオレはいつまで横抱きのままなんですかね!?
「つーか、サディエルが先にヒロト君見つけたかぁ。残念、俵持ちで運ぶ予定だったのに」
「私はお姫様抱っこ予定でした」
「オレは今、心の底から最初に合流したのがサディエルさんだったことに感謝してます」
何、この3人、オレを見かけたらどういう形で運ぶか決めてたの!?
いやまぁ、避難間に合ってない=体力少なすぎて逃げ遅れた、だもんな……そうだよな、そうなるよな。
「って、それどころじゃない! この後どうする!? どーすんだよ!?」
「いやぁ非常事態なお陰ですっかり敬語が外れてなにより。この後はそりゃ倒すよ、スケルトン」
「さっき一通り思いつく対策オール否定しておいてどうやって!?」
武器も打撃もきつい。
魔術もこれといった有効打がない。
おまけに対策アイテムもないと一通り確認したよオレ! その返しが『夢見すぎ』というおまけつきで!
「あら、具体的にどんな案だったのですか?」
「光魔術、聖水、治癒術、格闘とかハンマーだってさ。あと、剣で切るのも選択肢らしいけど」
サディエルから内容を聞かされた直後、僅かな沈黙が流れる。
そして、アルムとリレルが……やめて、その残念な目を向けながらオレを見ないで。
「……え? それらでなんで倒せるって結論になるの?」
「ご冗談ですよね……? 何をどう頑張ったらそうなるんですか?」
「ああああああ、オレの世界じゃそれが一般的なスケルトンとの戦い方なんですー!」
「魔物……いねぇもんな、君らの故郷」
「そうですよね。いないモノ、存在しないモノは想像するしかありませんわよね……存在しないものに対してそこまで好戦的な対策取って、どうするんですか?」
遠回しに『現実的なことに目向けないの?』と言われた感。
「―――ご」
「ご?」
「娯楽……?」
再びの沈黙。
ああああ、沈黙が痛い。走りながら、しかもスケルトンに追われながらという超シュール、っつーか、追われていることすら忘れそうだったけど、凄いシュール!
「……さて、ヒロト君の故郷の愉快痛快な面白さについての議論は一旦置こう」
議論放棄された上に、オレの世界が面白認定ー!
「ヒロト君に対スケルトンについての結論を言おう。壊す」
「もっと具体的に!」
「そりゃそうだな。さっき、一般的な人間の骨の耐久力は健康な人で600キロで、魔力やらで補強されているスケルトンの耐久力は1500キロオーバー。これは大丈夫か?」
「それは大丈夫! その状態でどうやるの!?」
そうこうしている間に、オレたちは無事中央避難所へ到着。
そこには、数名の冒険者たちが待機しており、サディエルたちの到着を確認すると同時に、合図が飛び交う。
サディエルはオレを地面に卸して、何かを渡してくる。
これなに……耳栓っぽいんですけど。なんで、耳栓?
「スケルトンの回答は簡単だ。1500キロ以上の負荷を与えるだけ」
「格闘術のトップに補助術ばりばり掛けても無理なのに!?」
ラスボス倒すような準備でもするのこれ!?
「そうだ。だからこそ『各個撃破は非推奨』……まっ、見た方が早い。合図があったら耳栓しなよ、鼓膜が破れるから」
え、なに、超音波でも放つの?
と、オレが目を白黒させている間に、サディエルたちを含めた冒険者たちが近づいてくるスケルトンの大群と対峙する。
ここから、冒険者vsスケルトンの大決戦……
が、起こるわけない! 今日までの流れからそれだけは100%無い!
【みなさーん! 準備はいいですかー!】
ギルドの職員さんの声が響く。
それに合図するサディエルたちを含めた冒険者たち。
【第1陣! 壁と炎を!】
「"大地よ、そり立ちて!" そして……"炎よ、荒れ狂え!"」
声が響くと同時に、この場にいる半数が魔術を放つ。
最初にスケルトンの大群を大きく囲む壁が出来上がり、見えないけれど炎って言ってるから、中でスケルトンたちを燃やしているんだろう。
けどこれって……
「負荷になってるのかこれ?」
「なってないよ。さて、そろそろ耳栓準備しとけ」
だからなんで耳栓……って。
【第2陣! 水と風を!】
「"水よ、来たれ!" "風よ、吹き荒れろ!"」
第1陣で魔術を使っていなかった残りの半分の冒険者たちが、水の魔術をスケルトンの上空に放ち雨を……って、これ炎が消えないの!?
と、思っている間に今度は強い風をスケルトンたちの上にって、攻撃にすらなってない!
無いんだけど……ちょっとまて?
いやいや、これってまさか……!?
【最後は全員で! 壁を思いっきり高く! それが終わり次第、耳栓装備!】
再び、冒険者たちによって天を衝くような壁が伸びる。
それを確認すると同時に、全員が素早く耳栓を装備する。
おっと、オレも装備しないと……じゃなくて、そうじゃない!
ここまで冒険者たちが行ったこと、まさかとおもったけど……!
上空で疑似的な"積乱雲の中にある膨大な量の水滴"を作り出す。
地面を事前に高温に保つことで、上から室温の低い層がぶつかる……"本来は"そこから四方に広がって突風になる。
オレの世界でも様々な国で発生する自然現象にして災害の1つ。
「ダウンバースト!?」
オレがそう叫んだ直後、ドンッ……! と、耳栓をしていても響く轟音。
同時に、地面がびりりっ、と揺れる。
ダウンバーストの威力を、壁中に限定にすることで通常以上の威力の突風が出たのだろう。
結果、この高い壁が大砲みたいになって、スケルトンの大群が一気に空へ放出された!?
真っ直ぐ空へと高々と打ち上げられたスケルトンたちは、しばらくすると見えなくなる。
え、これで終わりか? 遠くに飛ばして……と、思っているとオレの肩を誰かが叩く。
叩かれた方向を見ると、アルムとリレルが居て、オレの後方を指さす。
後方? って、冒険者さんたちも逃げてる!?
唖然としてると、今度は捕らえられた宇宙人のごとく、2人に両腕を抱えられて持ちあげられるオレ。
「ちょ、アルムさん!? リレルさん!? って、聞こえてねえええええええ!!」
2人も耳栓してるせいで声上げても届かない!
そのままダッシュでオレたちはその場から離れる。って、ここまでダッシュするってことは……
次の瞬間、絨毯爆撃の如くスケルトンたちが落ちてきて、その落下音が爆竹のように響き渡る。
同時に、地面も揺れる。けど、これスケルトンが射出された時より弱いってことはつまりはそうである。
オレは避難した場所から、降り注ぐスケルトンを眺める。
「……シュールって言葉がここまでしっくり来たのは、初めてだ」
ダウンバーストの原理を利用して、大砲のように垂直に空に押し上げて、あとは重力に従って自由落下して、壁の中に落ちていき、そのまま地面に衝突させて倒す。
みんながあの場から逃げたのは、空中の風とかでスケルトンが流されて落下箇所が、僅かにずれる可能性があるからだろう。
いや、やってることは理にかなっている。1体づつふっつーに倒すというか、同じ方法でも1体1体を高いたかーい、するよりも効率がいい。
実際、一定以上の高さから地面に衝突する衝撃は、並みの攻撃よりも強く、格闘術のトップに補助術ばりばり掛けて殴り倒すよりも、めちゃくちゃ早い。
だから、『各個撃破は非推奨』というのもよーくわかる。
……だけど……戦ってよせめてこうさ! 苦戦してとは言わないけどさ!
「おっ、無事合流出来てたのか」
「お久しぶりです、ヒロト君」
その影の正体は、アルムとリレルの2人だった。
ただし、2人もオレらと同様にスケルトン様ご一行を引き連れての状態である。そう、引き連れている。
増えてるし! 増えてどうすんだよ! 単純計算で3倍になってる!?
「よっ! アルム、リレル。そっちの調子は?」
しかもこっちは呑気に挨拶しているし!
「お前のご希望通りだよ。あとでほんっっと覚えてろよ」
じろりとアルムに睨まれるサディエル。
そんな2人のやり取りをクスクスと笑いながら見るリレル、いやぁ……平和だなーって言いたいけど、もう一回言うぞ!?
今! オレら! スケルトンの大群(3倍増)に! 追われてるから!
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「私はお姫様抱っこ予定でした」
「オレは今、心の底から最初に合流したのがサディエルさんだったことに感謝してます」
何、この3人、オレを見かけたらどういう形で運ぶか決めてたの!?
いやまぁ、避難間に合ってない=体力少なすぎて逃げ遅れた、だもんな……そうだよな、そうなるよな。
「って、それどころじゃない! この後どうする!? どーすんだよ!?」
「いやぁ非常事態なお陰ですっかり敬語が外れてなにより。この後はそりゃ倒すよ、スケルトン」
「さっき一通り思いつく対策オール否定しておいてどうやって!?」
武器も打撃もきつい。
魔術もこれといった有効打がない。
おまけに対策アイテムもないと一通り確認したよオレ! その返しが『夢見すぎ』というおまけつきで!
「あら、具体的にどんな案だったのですか?」
「光魔術、聖水、治癒術、格闘とかハンマーだってさ。あと、剣で切るのも選択肢らしいけど」
サディエルから内容を聞かされた直後、僅かな沈黙が流れる。
そして、アルムとリレルが……やめて、その残念な目を向けながらオレを見ないで。
「……え? それらでなんで倒せるって結論になるの?」
「ご冗談ですよね……? 何をどう頑張ったらそうなるんですか?」
「ああああああ、オレの世界じゃそれが一般的なスケルトンとの戦い方なんですー!」
「魔物……いねぇもんな、君らの故郷」
「そうですよね。いないモノ、存在しないモノは想像するしかありませんわよね……存在しないものに対してそこまで好戦的な対策取って、どうするんですか?」
遠回しに『現実的なことに目向けないの?』と言われた感。
「―――ご」
「ご?」
「娯楽……?」
再びの沈黙。
ああああ、沈黙が痛い。走りながら、しかもスケルトンに追われながらという超シュール、っつーか、追われていることすら忘れそうだったけど、凄いシュール!
「……さて、ヒロト君の故郷の愉快痛快な面白さについての議論は一旦置こう」
議論放棄された上に、オレの世界が面白認定ー!
「ヒロト君に対スケルトンについての結論を言おう。壊す」
「もっと具体的に!」
「そりゃそうだな。さっき、一般的な人間の骨の耐久力は健康な人で600キロで、魔力やらで補強されているスケルトンの耐久力は1500キロオーバー。これは大丈夫か?」
「それは大丈夫! その状態でどうやるの!?」
そうこうしている間に、オレたちは無事中央避難所へ到着。
そこには、数名の冒険者たちが待機しており、サディエルたちの到着を確認すると同時に、合図が飛び交う。
サディエルはオレを地面に卸して、何かを渡してくる。
これなに……耳栓っぽいんですけど。なんで、耳栓?
「スケルトンの回答は簡単だ。1500キロ以上の負荷を与えるだけ」
「格闘術のトップに補助術ばりばり掛けても無理なのに!?」
ラスボス倒すような準備でもするのこれ!?
「そうだ。だからこそ『各個撃破は非推奨』……まっ、見た方が早い。合図があったら耳栓しなよ、鼓膜が破れるから」
え、なに、超音波でも放つの?
と、オレが目を白黒させている間に、サディエルたちを含めた冒険者たちが近づいてくるスケルトンの大群と対峙する。
ここから、冒険者vsスケルトンの大決戦……
が、起こるわけない! 今日までの流れからそれだけは100%無い!
【みなさーん! 準備はいいですかー!】
ギルドの職員さんの声が響く。
それに合図するサディエルたちを含めた冒険者たち。
【第1陣! 壁と炎を!】
「"大地よ、そり立ちて!" そして……"炎よ、荒れ狂え!"」
声が響くと同時に、この場にいる半数が魔術を放つ。
最初にスケルトンの大群を大きく囲む壁が出来上がり、見えないけれど炎って言ってるから、中でスケルトンたちを燃やしているんだろう。
けどこれって……
「負荷になってるのかこれ?」
「なってないよ。さて、そろそろ耳栓準備しとけ」
だからなんで耳栓……って。
【第2陣! 水と風を!】
「"水よ、来たれ!" "風よ、吹き荒れろ!"」
第1陣で魔術を使っていなかった残りの半分の冒険者たちが、水の魔術をスケルトンの上空に放ち雨を……って、これ炎が消えないの!?
と、思っている間に今度は強い風をスケルトンたちの上にって、攻撃にすらなってない!
無いんだけど……ちょっとまて?
いやいや、これってまさか……!?
【最後は全員で! 壁を思いっきり高く! それが終わり次第、耳栓装備!】
再び、冒険者たちによって天を衝くような壁が伸びる。
それを確認すると同時に、全員が素早く耳栓を装備する。
おっと、オレも装備しないと……じゃなくて、そうじゃない!
ここまで冒険者たちが行ったこと、まさかとおもったけど……!
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地面を事前に高温に保つことで、上から室温の低い層がぶつかる……"本来は"そこから四方に広がって突風になる。
オレの世界でも様々な国で発生する自然現象にして災害の1つ。
「ダウンバースト!?」
オレがそう叫んだ直後、ドンッ……! と、耳栓をしていても響く轟音。
同時に、地面がびりりっ、と揺れる。
ダウンバーストの威力を、壁中に限定にすることで通常以上の威力の突風が出たのだろう。
結果、この高い壁が大砲みたいになって、スケルトンの大群が一気に空へ放出された!?
真っ直ぐ空へと高々と打ち上げられたスケルトンたちは、しばらくすると見えなくなる。
え、これで終わりか? 遠くに飛ばして……と、思っているとオレの肩を誰かが叩く。
叩かれた方向を見ると、アルムとリレルが居て、オレの後方を指さす。
後方? って、冒険者さんたちも逃げてる!?
唖然としてると、今度は捕らえられた宇宙人のごとく、2人に両腕を抱えられて持ちあげられるオレ。
「ちょ、アルムさん!? リレルさん!? って、聞こえてねえええええええ!!」
2人も耳栓してるせいで声上げても届かない!
そのままダッシュでオレたちはその場から離れる。って、ここまでダッシュするってことは……
次の瞬間、絨毯爆撃の如くスケルトンたちが落ちてきて、その落下音が爆竹のように響き渡る。
同時に、地面も揺れる。けど、これスケルトンが射出された時より弱いってことはつまりはそうである。
オレは避難した場所から、降り注ぐスケルトンを眺める。
「……シュールって言葉がここまでしっくり来たのは、初めてだ」
ダウンバーストの原理を利用して、大砲のように垂直に空に押し上げて、あとは重力に従って自由落下して、壁の中に落ちていき、そのまま地面に衝突させて倒す。
みんながあの場から逃げたのは、空中の風とかでスケルトンが流されて落下箇所が、僅かにずれる可能性があるからだろう。
いや、やってることは理にかなっている。1体づつふっつーに倒すというか、同じ方法でも1体1体を高いたかーい、するよりも効率がいい。
実際、一定以上の高さから地面に衝突する衝撃は、並みの攻撃よりも強く、格闘術のトップに補助術ばりばり掛けて殴り倒すよりも、めちゃくちゃ早い。
だから、『各個撃破は非推奨』というのもよーくわかる。
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