16 / 98
〜第一章〜 異世界転生編
俺の新しい異世界生活がしっかりと始まりました⑭
しおりを挟む
国王様の城でアリス達に出会ってから、数週間が経ったある夜の事だった。
最近は、アリスとの仲が良くなったからか手紙が多く、それを読んでいる。
手紙を読んでいる俺をユリアは睨みながら見てくる。
それでも、アリスと仲良くなった事は俺にとっても嬉しい事だった。今後も付き合いはあると思うし、このまま仲が悪いと、両親からも心配されてしまう。
「お兄様、手紙を読むのはいいですけど、その・・・・・・」
「その・・・・・・どうしたんだい?」
俺はユリアが言おうとしている事は薄々分かっているが、あえて少し焦らす事で反応を見るのが、最近楽しくなっている。
ユリアには悪いがいちいち反応が可愛いからついやってしまう。
「・・・・・・お兄様は意地悪です」
これはこれは、少しご機嫌斜めになってしまった様だ。だがこんな時の対策も俺はしっかりしている。
「ごめんごめん。ユリアが可愛いからつい」
「もう・・・・・・」
ユリアはプクっと頬を膨らましながらも、俺の事を許してくれる。それにこのプクっとした顔が可愛い。
以前アリスに、手紙で少しユリアに甘いと書かれていたが、俺はシスコンになってしまったので仕方の無い事だった。
「ユリア、俺がこの家を出て旅に出ると言ったらお前はどう思う?」
ここで俺は急な話題を振る。しかしこれはふざけて聞いているのではなく、真剣だった。
俺は十歳になったら、五年くらいの長旅に出ようと考えていた。
一応、その前に八歳になってギルド登録をし、少し経験を積んでからの話だ。
理由は単純で、俺がこの世界を見て回りたいからと言うもので、深い意味はない。
「・・・・・・止めると言いたいとこですが、お兄様がどうしてもと言うのならば、私は止めません」
ユリアは少し考えてから答えを出した。本当にこの子は良く出来た子だ。きっと、俺の事をよく考えた結果なんだろう。
「そうか。ありがとうな」
俺は再度ユリアの頭を撫でる。この幸せな時間を誰にも汚されたく無い。
どうせ旅に出るなら強くなって帰ってきた方がいいだろう。
俺は、旅に出たら絶対に強くなって帰って来るとここに誓っておこう。
まだ両親の承諾は受けていないが、何とか説得は出来ると思っている。
「はい。だって私は、お兄様の妹ですから」
その時のユリアの顔は、何だかいつもの笑顔とは違う、また別の笑顔だった。
「さて、そろそろ寝る時間だ。ユリアももう戻らないと」
「お兄様が意地悪したので私は戻りません」
なるほどさっきのお返しと言うことか。俺は可愛い妹を無理やり部屋に戻す様な趣味は持ち合わせていない。これはどうしたものか。
「・・・・・・一緒に寝てくれるなら許してあげますけど」
困っている俺に、ユリアは助け舟を出してくれる。いや、これはきっとユリアが俺と寝たくて仕掛けた罠では無いのかと勘ぐりもする。流石にそれは無いか。
「分かったよ。一緒に寝るから許して」
「良いですよ」
俺はベットの半分に寝転がり、ユリアをもう片方に寝かせる。
その時、ユリアの表情が少し喜んでいる様に見えた気がした。
最近は、アリスとの仲が良くなったからか手紙が多く、それを読んでいる。
手紙を読んでいる俺をユリアは睨みながら見てくる。
それでも、アリスと仲良くなった事は俺にとっても嬉しい事だった。今後も付き合いはあると思うし、このまま仲が悪いと、両親からも心配されてしまう。
「お兄様、手紙を読むのはいいですけど、その・・・・・・」
「その・・・・・・どうしたんだい?」
俺はユリアが言おうとしている事は薄々分かっているが、あえて少し焦らす事で反応を見るのが、最近楽しくなっている。
ユリアには悪いがいちいち反応が可愛いからついやってしまう。
「・・・・・・お兄様は意地悪です」
これはこれは、少しご機嫌斜めになってしまった様だ。だがこんな時の対策も俺はしっかりしている。
「ごめんごめん。ユリアが可愛いからつい」
「もう・・・・・・」
ユリアはプクっと頬を膨らましながらも、俺の事を許してくれる。それにこのプクっとした顔が可愛い。
以前アリスに、手紙で少しユリアに甘いと書かれていたが、俺はシスコンになってしまったので仕方の無い事だった。
「ユリア、俺がこの家を出て旅に出ると言ったらお前はどう思う?」
ここで俺は急な話題を振る。しかしこれはふざけて聞いているのではなく、真剣だった。
俺は十歳になったら、五年くらいの長旅に出ようと考えていた。
一応、その前に八歳になってギルド登録をし、少し経験を積んでからの話だ。
理由は単純で、俺がこの世界を見て回りたいからと言うもので、深い意味はない。
「・・・・・・止めると言いたいとこですが、お兄様がどうしてもと言うのならば、私は止めません」
ユリアは少し考えてから答えを出した。本当にこの子は良く出来た子だ。きっと、俺の事をよく考えた結果なんだろう。
「そうか。ありがとうな」
俺は再度ユリアの頭を撫でる。この幸せな時間を誰にも汚されたく無い。
どうせ旅に出るなら強くなって帰ってきた方がいいだろう。
俺は、旅に出たら絶対に強くなって帰って来るとここに誓っておこう。
まだ両親の承諾は受けていないが、何とか説得は出来ると思っている。
「はい。だって私は、お兄様の妹ですから」
その時のユリアの顔は、何だかいつもの笑顔とは違う、また別の笑顔だった。
「さて、そろそろ寝る時間だ。ユリアももう戻らないと」
「お兄様が意地悪したので私は戻りません」
なるほどさっきのお返しと言うことか。俺は可愛い妹を無理やり部屋に戻す様な趣味は持ち合わせていない。これはどうしたものか。
「・・・・・・一緒に寝てくれるなら許してあげますけど」
困っている俺に、ユリアは助け舟を出してくれる。いや、これはきっとユリアが俺と寝たくて仕掛けた罠では無いのかと勘ぐりもする。流石にそれは無いか。
「分かったよ。一緒に寝るから許して」
「良いですよ」
俺はベットの半分に寝転がり、ユリアをもう片方に寝かせる。
その時、ユリアの表情が少し喜んでいる様に見えた気がした。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
異世界でいきなり経験値2億ポイント手に入れました
雪華慧太
ファンタジー
会社が倒産し無職になった俺は再就職が決まりかけたその日、あっけなく昇天した。
女神の手違いで死亡した俺は、無理やり異世界に飛ばされる。
強引な女神の加護に包まれて凄まじい勢いで異世界に飛ばされた結果、俺はとある王国を滅ぼしかけていた凶悪な邪竜に激突しそれを倒した。
くっころ系姫騎士、少し天然な聖女、ツンデレ魔法使い! アニメ顔負けの世界の中で、無職のままカンストした俺は思わぬ最強スキルを手にすることになったのだが……。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる