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16.とんでもないよ〜!
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第2王子エーピオス殿下に聖女候補はベッタリだよ。
王子の腕にしがみついて体をピタッとくっつけている。よくあんな事ができるよね。本当、見てらんないよ。気持ち悪い。
「お兄様、はしたない。離れて下さい」
「ソフィア、そう言うな。ミーアが可愛いから仕方ないだろう」
「お兄様、婚約者がいるのですよ。ミーア様、あなたもあなたです。軽々しく男性にくっついてはいけません」
「えぇー、どうしてですかぁ? だってエーピオス殿下はあたしに会いに来て下さったのですよねッ!」
「あ? ああ。もちろんだ!」
「お兄様! 見学なのでしょう? 参りますよ!」
ああ、もうソフィア。放っておけば良いのに。でも、放っておけないんだよね。だって、実の兄だもんね。
「ソフィア様はあたしに意地悪ばかりおっしゃるのですよ。きっと、あたしの事が嫌いなんですわぁ」
「ソフィア、そうなのか?」
「私は当たり前の事を言っているだけですわ。嫌いも好きもありません。お兄様、参りますよ。学長がお待ちですわ」
「そうか。仕方ないな」
「えぇ! エーピオス殿下ぁ、良いじゃないですかぁ! 一緒にゆっくりしましょう! ねッ!」
ああ、見ているだけで気分が悪くなる。
「あたし、お茶を持ってますのよ。殿下、ご一緒しましょうッ。ねッ!」
「そうか! そうだな!」
「お兄様!」
「ソフィア、一杯だけ良いだろう?」
出た!駄目だ。駄目なやつだ。飲んだら駄目だよぉ!
「お兄様……お父様に言いつけますよ。よろしいのですか?」
「ソフィア、待て。それは困る。行くよ。行くから」
おお、ソフィアよく言ったよ! グッジョブだよ。
第2王子は聖女候補を無理矢理腕から引き離してソフィアと去って行った。
未練がましく何度も聖女候補を振り返りながらね。僕はその時にしっかり見たよ。
聖女候補の悔しそうな顔をね。これは、第2王子を取り込もうとしているよね。確実にさ。
第2王子相手だと、取り巻きのオネストもニキティスも大人しいんだね。僕の時とえらい違いじゃない。僕には突っかかってくるのにさぁ。酷いなぁ。
それから、第2王子は学長と暫く話をしていたらしく、学長室から出てくるとそのまま学園を後にした。
「テテ、待っていたわ。学園はどうだったの? 第2王子は来たのでしょう?」
家に帰ると、ばーちゃんが僕を待っていた。もう気持ちが疲れちゃったよ。その第2王子のお陰でさ。
「ばーちゃん、来たよ。ソフィアが案内していた」
僕は、学園であった事をばーちゃんに話して聞かせた。
確かに、聖女候補目当てで学園に来たのだろうと思うんだ。でもね、まだソフィアの言う事を聞いていたし、オネストやニキティスほど精神干渉を受けてないと思うんだよ。だって、ちゃんと自分で聖女候補の腕を剥がしていたからね。
「そうね。でも、王族でその状態ならマズイわね」
何? 何なの? ばーちゃんどう言う事なの?
「テティ、忘れたの? 王族は元々状態異常を防御する魔道具を持っているわ」
あー、そうだった。そんな事を言ってたなぁ。
王族は狙われる事もある。毒を仕込まれたら終わりだからね。気付かないと命に関わるよ。そんな事態が起こらない様に状態異常を防御する魔道具を持っている。危機管理だよね。
そんな王族の第2王子が、精神干渉されている。やばいよ、ヤバイ!
「ばーちゃん、やっぱあの飲み物だよ」
「そうね。私もそう思うわ」
「ばーちゃん、大聖堂はどうだったの?」
「それがね……」
ばーちゃんの話によると、大聖堂はとんでもない事になっていたそうなんだよ。
「信者が? 王都民が、て事なの?」
「そうよ。聖水をもらう為に列を作っていたわ。しかも、皆お金や食べ物を寄付しているのよ」
え、マジで!? 聖水をもらうのに寄付は必要ないじゃん。何でそんな事に?
「ブラン、いるかい?」
「はいなー! ばーちゃんどうした?」
ブランが昨日言っていた様に、姉が大聖堂自体を鑑定したらしい。
普通なら、『ブリタニア王国大聖堂』とでも出る筈なんだろうね。それが、そうではなかったらしいよ。
「じゃあ、ばーちゃん。何て見えたの?」
「テテ、それがね……『元大聖堂の巣窟』と見えたそうなのよ」
「ええッ!? 『巣窟』何それ!?」
「ばーちゃん、マジかよ?」
「ブラン、そうなの。もう意味が分からないわ」
「大聖堂の人達8割……いや、もしかしたら9割は精神干渉を受けているな」
「ブラン、そうなの?」
「テテ、そうなるな。もう大聖堂として機能してないんだ。このままだと王都が乗っ取られてしまう」
「お祖母様、本当ですか!?」
あ、兄上だ。いつの間に帰ってきていたんだよ。
ばーちゃんはもう一度、同じ話を兄上に話した。
僕が学園で見てきた事もね。
やっぱ、あの飲み物だよ。明らかに怪しいよ。
「その飲み物、手に入らないかなぁ?」
ん? 兄上、何で僕を見るのかな?
僕は何もできないよ? いや、近寄りたくないからね。
「イデス、私達は顔を知られているからね。隊員の誰かに平民の格好をさせて並ばせてみたらどう? 寄付のお金を少し持たせてね」
「そうですね。それが1番気付かれないですね。早速、父上に相談しましょう」
どんどん話がヤバくなっていくじゃん。どうなってんの? あ、もしかしてさぁ。
「ばーちゃん、もしかして聖女候補は僕を攻略できないから第2王子をターゲットにしたのかな?」
「そうだろうね」
「テテ、一度さぁニキティスだっけ? 跳ね返しただろう?」
「ああ、ブランの加護でだっけ?」
「そうだ。その時に少し感じたんじゃないか? こいつは何かに守られているってな。それで、諦めたんだろう」
じゃあ、もしかしてドラゴンが苦手とか?
「いや、それ位だと何なのか分かってないだろう。俺様なら直ぐに分かるけどな!」
白い小さなトカゲにしか見えないドラゴンが胸を張ってるよ。ぷぷぷ。
「テテ、何だったら今すぐ元の大きさに戻ってもいいよ?」
え、それはやめてね。おうちが壊れちゃうよ。
王子の腕にしがみついて体をピタッとくっつけている。よくあんな事ができるよね。本当、見てらんないよ。気持ち悪い。
「お兄様、はしたない。離れて下さい」
「ソフィア、そう言うな。ミーアが可愛いから仕方ないだろう」
「お兄様、婚約者がいるのですよ。ミーア様、あなたもあなたです。軽々しく男性にくっついてはいけません」
「えぇー、どうしてですかぁ? だってエーピオス殿下はあたしに会いに来て下さったのですよねッ!」
「あ? ああ。もちろんだ!」
「お兄様! 見学なのでしょう? 参りますよ!」
ああ、もうソフィア。放っておけば良いのに。でも、放っておけないんだよね。だって、実の兄だもんね。
「ソフィア様はあたしに意地悪ばかりおっしゃるのですよ。きっと、あたしの事が嫌いなんですわぁ」
「ソフィア、そうなのか?」
「私は当たり前の事を言っているだけですわ。嫌いも好きもありません。お兄様、参りますよ。学長がお待ちですわ」
「そうか。仕方ないな」
「えぇ! エーピオス殿下ぁ、良いじゃないですかぁ! 一緒にゆっくりしましょう! ねッ!」
ああ、見ているだけで気分が悪くなる。
「あたし、お茶を持ってますのよ。殿下、ご一緒しましょうッ。ねッ!」
「そうか! そうだな!」
「お兄様!」
「ソフィア、一杯だけ良いだろう?」
出た!駄目だ。駄目なやつだ。飲んだら駄目だよぉ!
「お兄様……お父様に言いつけますよ。よろしいのですか?」
「ソフィア、待て。それは困る。行くよ。行くから」
おお、ソフィアよく言ったよ! グッジョブだよ。
第2王子は聖女候補を無理矢理腕から引き離してソフィアと去って行った。
未練がましく何度も聖女候補を振り返りながらね。僕はその時にしっかり見たよ。
聖女候補の悔しそうな顔をね。これは、第2王子を取り込もうとしているよね。確実にさ。
第2王子相手だと、取り巻きのオネストもニキティスも大人しいんだね。僕の時とえらい違いじゃない。僕には突っかかってくるのにさぁ。酷いなぁ。
それから、第2王子は学長と暫く話をしていたらしく、学長室から出てくるとそのまま学園を後にした。
「テテ、待っていたわ。学園はどうだったの? 第2王子は来たのでしょう?」
家に帰ると、ばーちゃんが僕を待っていた。もう気持ちが疲れちゃったよ。その第2王子のお陰でさ。
「ばーちゃん、来たよ。ソフィアが案内していた」
僕は、学園であった事をばーちゃんに話して聞かせた。
確かに、聖女候補目当てで学園に来たのだろうと思うんだ。でもね、まだソフィアの言う事を聞いていたし、オネストやニキティスほど精神干渉を受けてないと思うんだよ。だって、ちゃんと自分で聖女候補の腕を剥がしていたからね。
「そうね。でも、王族でその状態ならマズイわね」
何? 何なの? ばーちゃんどう言う事なの?
「テティ、忘れたの? 王族は元々状態異常を防御する魔道具を持っているわ」
あー、そうだった。そんな事を言ってたなぁ。
王族は狙われる事もある。毒を仕込まれたら終わりだからね。気付かないと命に関わるよ。そんな事態が起こらない様に状態異常を防御する魔道具を持っている。危機管理だよね。
そんな王族の第2王子が、精神干渉されている。やばいよ、ヤバイ!
「ばーちゃん、やっぱあの飲み物だよ」
「そうね。私もそう思うわ」
「ばーちゃん、大聖堂はどうだったの?」
「それがね……」
ばーちゃんの話によると、大聖堂はとんでもない事になっていたそうなんだよ。
「信者が? 王都民が、て事なの?」
「そうよ。聖水をもらう為に列を作っていたわ。しかも、皆お金や食べ物を寄付しているのよ」
え、マジで!? 聖水をもらうのに寄付は必要ないじゃん。何でそんな事に?
「ブラン、いるかい?」
「はいなー! ばーちゃんどうした?」
ブランが昨日言っていた様に、姉が大聖堂自体を鑑定したらしい。
普通なら、『ブリタニア王国大聖堂』とでも出る筈なんだろうね。それが、そうではなかったらしいよ。
「じゃあ、ばーちゃん。何て見えたの?」
「テテ、それがね……『元大聖堂の巣窟』と見えたそうなのよ」
「ええッ!? 『巣窟』何それ!?」
「ばーちゃん、マジかよ?」
「ブラン、そうなの。もう意味が分からないわ」
「大聖堂の人達8割……いや、もしかしたら9割は精神干渉を受けているな」
「ブラン、そうなの?」
「テテ、そうなるな。もう大聖堂として機能してないんだ。このままだと王都が乗っ取られてしまう」
「お祖母様、本当ですか!?」
あ、兄上だ。いつの間に帰ってきていたんだよ。
ばーちゃんはもう一度、同じ話を兄上に話した。
僕が学園で見てきた事もね。
やっぱ、あの飲み物だよ。明らかに怪しいよ。
「その飲み物、手に入らないかなぁ?」
ん? 兄上、何で僕を見るのかな?
僕は何もできないよ? いや、近寄りたくないからね。
「イデス、私達は顔を知られているからね。隊員の誰かに平民の格好をさせて並ばせてみたらどう? 寄付のお金を少し持たせてね」
「そうですね。それが1番気付かれないですね。早速、父上に相談しましょう」
どんどん話がヤバくなっていくじゃん。どうなってんの? あ、もしかしてさぁ。
「ばーちゃん、もしかして聖女候補は僕を攻略できないから第2王子をターゲットにしたのかな?」
「そうだろうね」
「テテ、一度さぁニキティスだっけ? 跳ね返しただろう?」
「ああ、ブランの加護でだっけ?」
「そうだ。その時に少し感じたんじゃないか? こいつは何かに守られているってな。それで、諦めたんだろう」
じゃあ、もしかしてドラゴンが苦手とか?
「いや、それ位だと何なのか分かってないだろう。俺様なら直ぐに分かるけどな!」
白い小さなトカゲにしか見えないドラゴンが胸を張ってるよ。ぷぷぷ。
「テテ、何だったら今すぐ元の大きさに戻ってもいいよ?」
え、それはやめてね。おうちが壊れちゃうよ。
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