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第7章 解呪

243ー魔王!?

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「なんだ? ココのねーちゃんなのか?」
「キリシマ、ねーちゃんと言うか今はにーちゃんだな」
「なんだそりゃ?」
「アン!」

 あ、ノワがいつもの大きさに戻っている。

「ノワ、ありがとうな」
「アン!『俺も役にたったか?』」
「ああ。助かったよ」
「アンアン!」

 やっぱノワは可愛いほうがいいよ。

「しかし、驚いた」
「な、こんな事があるんだな」

 て、事は姉貴達も前世で死んだのか?

「ココ! サキ、リュウ! 無事か!?」

 ディオシスじーちゃんと、ロディ兄がやって来た。
 心配して来てくれたんだろう。

「ルティオ、クララス、来ていたのか?」
「はい、嫌な予感がしたので」
「来て良かったですよ」

 おいおい、なんだよ。すっかり侯爵家のご子息してんじゃねーか。
 そこは良いのか? 前世、女だったのにさ。違和感ないのかよ。まあ、男顔負けの強さだったけど。

「陛下はご無事か?」

 俺は2人に事の始終を話した。そして、霧島が王を解毒し解呪した。
 今この城にはクリスティー先生が作ってくれた、精神異常や状態異常を完全に解呪するシールドが張られている。
 それでも、何人かの貴族は解呪が必要だったし近衛兵は操られていた。
 その上、王と王妃だ。この2人は意識が無かったんだ。

「解毒もしたし解呪もした。でもいつ意識が戻るか分からないな。あの侍女は意識が戻っても正気を取り戻さないかも知れねーな」

 と、霧島が言った。それだけ深く干渉されていたのだろう。操られ手先として動かされていたんだ。

「王と王妃はまだ毒で意識を失っていたから逆にマシなんだ。侍女みたいに操られている方がヤバイんだ」
「そうか、とにかく皆無事で良かった」
「知らず知らずのうちに精神干渉を受けていた人達も、仕掛けていた奴がいなくなったから徐々に元に戻るだろうよ」

 俺、ずっと魔力を温存してたんだけど。結局全然使ってないじゃん。霧島、ヒーローじゃん。

「ワッハッハッハ! 見たか、俺様の力をよ!」

 本当にこんなノリじゃなきゃいいのに。一気に覚めるぜ。

「え、ココ。そうか?」
「そうよ」

 でも助かったよ。霧島有難う。

「ココ、屋敷に戻ったら話そう」

 前世、咲良だったルティオが俺に耳打ちしてきた。
 本当だよ。聞きたい事が山ほどある。
 姉2人も転生してたって事だよな?

「屋敷に戻ってからだ」
「はい」

 会場に戻ってみると、もう落ち着いていた。
 近衛兵達は別室へ運び出されている。王子達はもちろん無事だ。色々あった晩餐会もお開きになり控室に戻ってきた。

「今日はもう帰ろう」
「そうですね」
「明日からまた忙しくなりそうだ」

 グスタフじーちゃんと従兄2人は、後始末の事をもう考えて話し合っている。

「ディオシスお祖父さま、陛下や王妃様はどうなるのですか?」
「意識を戻されるまでちゃんと人がつくよ。近衛兵達にもだ」
「そうですか」
「操られていたんだ。彼等はお咎めなしになるだろうね」

 良かった。あんな魔族に精神干渉されるなんて誰も予想できない。それに、抗えない。大きな魔力量の差があるんだ。
 俺達はグスタフじーちゃんの屋敷に戻ってきた。そして、談話室だ。メイドさんや咲がお茶を入れてくれている。

「ねえ、サキ。甘いものも欲しいわ」
「どんなのがいいですかぁ」
「ちょっと摘まむ程度でいいわ」
「はいぃ」

 と、直ぐに豆大福が出てきた。俺、ちょっと摘まむ程度って言わなかったか?

「これぇ、最新のなんですぅ。美味しいですよぅ」

 そうかよ、いただくよ。

「お、豆大福だ」
「美味そうだ」

 従兄2人も齧り付いている。

「なあに? また新しいものなの?」
「はいぃ。美味しいですよぅ」
「あら、そう。いただくわ」

 ばーちゃんは品よくデザートフォークで食べている。俺はやっぱ齧り付くよね。

「ココちゃん、女の子なのに」
「姉さま、美味しいですよ」
「そう?」
「はい。とっても」

 ああ、平和だ。やっと安心できる。
 そこに念話が入った。クリスティー先生だ。

『ココ様、ご無事ですか!?』
「はい、先生。無事に片付きました」
『それは良かったでっす』

 そして、またリモートだ。霧島が目から光線の様な白い光を出してクリスティー先生の姿を映し出す。

「なんですってッ!? 魔族ですか!?」
「はい、クリスティー先生」
「どんな姿をしていましたか?」
「えっと……大蛇なんですが上半身が人で角があって、腰のところに2つ骸骨がついていました」
「それは……」

 クリスティー先生、何かを考えている。

「それが本当ならこのまま放っておく訳にはいきませんね」
「おうよ、クリスティー先生。これは抗議するべきだぞ」
「キリシマちゃん、そうですね」

 抗議? 誰に何を言うんだ?

「その魔族に心当たりがあるのでっす。私の方から魔王に苦情を入れておきましょう」

 魔王だとッ!? ここにきてそんなワードが出るとは思わなかったぞ。

「クリスティー先生!」
「はい、ココ様」
「魔王がいるのですか?」
「そうだ、私も魔王がいるなど初めて聞いた」

 グスタフじーちゃんも驚いている。というか、皆びっくり顔だ。

「いますよ。今の魔王は紳士的で平和主義なのですよ。温和な魔族がヒューマンに化けて商人をしていたりしますね」
「なんとッ!?」

 本当に、なんとッ!? だよ。それって皆知らないと思うぜ?

「陛下はご存知ですよ。ご報告してますからね」

 クリスティー先生は王とも面識があるのか!? もう意味が分かんねー。



   ☆            ☆            ☆

読んで頂き有難うございます。
今日はハルちゃんはお休みです。
宜しくお願いします!
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