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第7章 解呪
239ー近衛兵
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「ココ、動くんじゃないよ」
ディオシスじーちゃんがそう言って、3人の王子がいる場所へと急ぐ。どこから出したのか手にはじーちゃんがいつも腰に付けている剣を握っている。
王子達の側には父やユリシスじーちゃん、護衛のアルベルトもいた。3人も手に剣を持っている。
「なんで? 剣を持っているじゃない」
「お嬢さまぁ、マジックバッグですぅ」
そして咲は、俺に剣を手渡す。
「持っていてくださいぃ」
咲や隆ももう装備をしっかり装着している。完璧に持って来ていたのかよ。
ああ、姉達まで剣を握っているよ。
「なによ、隠し持つとか言ってたのに。普通に剣を持ってるじゃん」
「お嬢が作ってくれたポーチサイズのマジックバッグは超便利ッス」
と、言いながら腰に付けた小さなポーチをポンポンとしている。
そうかよ、良かったよ。まさか、こんな事を予測して作った訳じゃないんだけどな。
「近衛は誰に剣を向けているのか分かっているのか!」
第1王子が叫んでいる。だが、様子がおかしい。近衛兵達の反応がないんだ。目が虚ろだ。どうなってんだ?
会場にいる貴族達は、悲鳴を上げる事さえできずに唯々震えている。
「ココ、ココ」
「キリシマ、どうしたの?」
「あれだ、一気に解呪しただろう。それが精神干渉をしてきていた元に戻って敵が動いたんだろう」
「え? どういう事よ?」
「だから、操られてんじゃねーのか?」
なんだと!? そうか、唯でさえ精神干渉を受けていただろう近衛兵だ。それが一気に深くなって操られているって事か?
「そうだ。それしかねーだろう」
霧島、意外にお利口さんじゃね?
「なんだよ、意外って!」
いや、しかし助かったよ。そうとなれば解呪だ。
「かなり深いぞ。ココは手を出すんじゃねーぞ」
そう言って霧島がまた解呪しようとした時だ。
近衛兵達が3人の王子目掛けて剣を振り翳し斬りつけた。
「させるかぁッ!」
「お守りするぞぉッ!」
父とじーちゃんの声に反応して侍従やメイドさん達も動き出す。
「サキ、リュウ、行くわよ!」
「お嬢! 駄目っス!」
「お嬢さまぁ!」
こんなの放っておける訳ないだろうよ! 俺も咲に渡された剣を持ち、会場の中央へと向かう。
周りを取り囲んだ近衛兵達、目に精気がない。無表情で皆3人の王子を狙っている。
「キリシマ!」
「おう!」
「解呪して!」
「おうよ!」
俺は父達のいる中央へと向かう。怯えて蹲っている貴族達が邪魔でなかなか辿りつけない。
霧島はバッグから目を出しながら指をクルッと回す。
「グアァァァーッ!」
近衛兵達が苦しみだした。だが、干渉が深いのだろう。黒いモヤモヤが身体に纏わりついている。それに無理矢理動かされているのか? 苦しみながらも、まだ剣を振ろうとしている。
「父さま! お祖父さま!」
「ココ! 来るんじゃないッ!」
ディオシスじーちゃんが、応戦しながら叫んでいる。剣を打ち合う音がする。
「ココちゃん、大丈夫よ!」
姉やアンジェリカ嬢も王子を守って応戦している。
「斬ってはいかんッ! 気絶させるんだぁッ!」
父が叫んでいる。近衛兵は斬るつもりできているんだぞ。それを斬らずに応戦するのか!?
「キリシマ!」
「おう!」
霧島がまた指を回す。
近衛兵達はその度に苦しみ出すが、それでも前に出て斬りつけてくる。しぶといなぁ。
「どうなってんのよ!」
「操られてんだ!」
「キリシマ、何度も解呪して!」
「分かってるって!」
霧島も指を回す。だが、解呪といっても霧島の全力で解呪する事はできないんだ。何故なら、いくら深い精神干渉でも一気に強い力で解呪してしまうと精神が耐えられなくなって崩壊してしまう可能性があるんだ。と、クリスティー先生が言ってた。
だから、これまでも何度か重ね掛けして解呪してきた。
それが、もどかしい。霧島の力なら一気に解呪できるのに、それをしてはいけない。
そして、今は操られている。本心じゃないんだ。
「ココ、構わず解呪の方に集中するんだ!」
「兄さま!」
バルト兄とロディ兄が父達と一緒に王子を守っている。
「ココ、ちょっと強めにいくぞ!」
霧島はまたバッグから指を出してヒョイと回した。
すると、一斉に近衛兵達が苦しみ出し止まったんだ。そのままの状態で固まっている。まだ身体に黒いモヤモヤが留まっている。
「キリシマ、まだだわ」
「おうよ、もう一発だ」
まだ指をヒョイと回す。様子を見ているのだろう、目から上を出している。本当にトカゲさんだ。
「こんな時にココは」
「え、何よ」
「いや、平常心って事にしといてやるわ」
なんだよ。俺はいつも平常心だぜ。慌てた事なんて……いや、いっぱいあるな。
この世界に転生したと分かった時は今までで1番慌てた。なんせ大事なムスコが無くなっていたんだから。
「ココ、お前なぁ……」
「いや、悪い」
「おう、真面目にやんな」
はいはい、これでも大真面目だ。
霧島が何度も解呪した事で、近衛兵の首筋から背中にかけて黒いモヤモヤがウネウネと動きながら出てきた。まだ元に戻ろうとしている。すると止まっていた近衛兵達がまた動き出す。
その時だ。一部の近衛兵が第3王子目掛けて剣を振り上げた。
「殿下!」
――ガキーンッ!!
エリアリア姉が近衛兵が振り下ろした剣を受け止めた。
「あ、ありがとう。エリアリア嬢」
「大丈夫です、お守りします!」
エリアリア姉、丁度良い場所にいてくれた。
そのまま姉は剣で思い切り近衛兵を打ちつけた。
護衛のアルベルトも負けていない。取り囲んでいた近衛兵を打ち付け気絶させていく。
☆ ☆ ☆
読んで頂き有難うございます。
今日はハルちゃんお休みです。
ココちゃんも後少しになってきました。最後まで宜しくお願いしまっす!
ディオシスじーちゃんがそう言って、3人の王子がいる場所へと急ぐ。どこから出したのか手にはじーちゃんがいつも腰に付けている剣を握っている。
王子達の側には父やユリシスじーちゃん、護衛のアルベルトもいた。3人も手に剣を持っている。
「なんで? 剣を持っているじゃない」
「お嬢さまぁ、マジックバッグですぅ」
そして咲は、俺に剣を手渡す。
「持っていてくださいぃ」
咲や隆ももう装備をしっかり装着している。完璧に持って来ていたのかよ。
ああ、姉達まで剣を握っているよ。
「なによ、隠し持つとか言ってたのに。普通に剣を持ってるじゃん」
「お嬢が作ってくれたポーチサイズのマジックバッグは超便利ッス」
と、言いながら腰に付けた小さなポーチをポンポンとしている。
そうかよ、良かったよ。まさか、こんな事を予測して作った訳じゃないんだけどな。
「近衛は誰に剣を向けているのか分かっているのか!」
第1王子が叫んでいる。だが、様子がおかしい。近衛兵達の反応がないんだ。目が虚ろだ。どうなってんだ?
会場にいる貴族達は、悲鳴を上げる事さえできずに唯々震えている。
「ココ、ココ」
「キリシマ、どうしたの?」
「あれだ、一気に解呪しただろう。それが精神干渉をしてきていた元に戻って敵が動いたんだろう」
「え? どういう事よ?」
「だから、操られてんじゃねーのか?」
なんだと!? そうか、唯でさえ精神干渉を受けていただろう近衛兵だ。それが一気に深くなって操られているって事か?
「そうだ。それしかねーだろう」
霧島、意外にお利口さんじゃね?
「なんだよ、意外って!」
いや、しかし助かったよ。そうとなれば解呪だ。
「かなり深いぞ。ココは手を出すんじゃねーぞ」
そう言って霧島がまた解呪しようとした時だ。
近衛兵達が3人の王子目掛けて剣を振り翳し斬りつけた。
「させるかぁッ!」
「お守りするぞぉッ!」
父とじーちゃんの声に反応して侍従やメイドさん達も動き出す。
「サキ、リュウ、行くわよ!」
「お嬢! 駄目っス!」
「お嬢さまぁ!」
こんなの放っておける訳ないだろうよ! 俺も咲に渡された剣を持ち、会場の中央へと向かう。
周りを取り囲んだ近衛兵達、目に精気がない。無表情で皆3人の王子を狙っている。
「キリシマ!」
「おう!」
「解呪して!」
「おうよ!」
俺は父達のいる中央へと向かう。怯えて蹲っている貴族達が邪魔でなかなか辿りつけない。
霧島はバッグから目を出しながら指をクルッと回す。
「グアァァァーッ!」
近衛兵達が苦しみだした。だが、干渉が深いのだろう。黒いモヤモヤが身体に纏わりついている。それに無理矢理動かされているのか? 苦しみながらも、まだ剣を振ろうとしている。
「父さま! お祖父さま!」
「ココ! 来るんじゃないッ!」
ディオシスじーちゃんが、応戦しながら叫んでいる。剣を打ち合う音がする。
「ココちゃん、大丈夫よ!」
姉やアンジェリカ嬢も王子を守って応戦している。
「斬ってはいかんッ! 気絶させるんだぁッ!」
父が叫んでいる。近衛兵は斬るつもりできているんだぞ。それを斬らずに応戦するのか!?
「キリシマ!」
「おう!」
霧島がまた指を回す。
近衛兵達はその度に苦しみ出すが、それでも前に出て斬りつけてくる。しぶといなぁ。
「どうなってんのよ!」
「操られてんだ!」
「キリシマ、何度も解呪して!」
「分かってるって!」
霧島も指を回す。だが、解呪といっても霧島の全力で解呪する事はできないんだ。何故なら、いくら深い精神干渉でも一気に強い力で解呪してしまうと精神が耐えられなくなって崩壊してしまう可能性があるんだ。と、クリスティー先生が言ってた。
だから、これまでも何度か重ね掛けして解呪してきた。
それが、もどかしい。霧島の力なら一気に解呪できるのに、それをしてはいけない。
そして、今は操られている。本心じゃないんだ。
「ココ、構わず解呪の方に集中するんだ!」
「兄さま!」
バルト兄とロディ兄が父達と一緒に王子を守っている。
「ココ、ちょっと強めにいくぞ!」
霧島はまたバッグから指を出してヒョイと回した。
すると、一斉に近衛兵達が苦しみ出し止まったんだ。そのままの状態で固まっている。まだ身体に黒いモヤモヤが留まっている。
「キリシマ、まだだわ」
「おうよ、もう一発だ」
まだ指をヒョイと回す。様子を見ているのだろう、目から上を出している。本当にトカゲさんだ。
「こんな時にココは」
「え、何よ」
「いや、平常心って事にしといてやるわ」
なんだよ。俺はいつも平常心だぜ。慌てた事なんて……いや、いっぱいあるな。
この世界に転生したと分かった時は今までで1番慌てた。なんせ大事なムスコが無くなっていたんだから。
「ココ、お前なぁ……」
「いや、悪い」
「おう、真面目にやんな」
はいはい、これでも大真面目だ。
霧島が何度も解呪した事で、近衛兵の首筋から背中にかけて黒いモヤモヤがウネウネと動きながら出てきた。まだ元に戻ろうとしている。すると止まっていた近衛兵達がまた動き出す。
その時だ。一部の近衛兵が第3王子目掛けて剣を振り上げた。
「殿下!」
――ガキーンッ!!
エリアリア姉が近衛兵が振り下ろした剣を受け止めた。
「あ、ありがとう。エリアリア嬢」
「大丈夫です、お守りします!」
エリアリア姉、丁度良い場所にいてくれた。
そのまま姉は剣で思い切り近衛兵を打ちつけた。
護衛のアルベルトも負けていない。取り囲んでいた近衛兵を打ち付け気絶させていく。
☆ ☆ ☆
読んで頂き有難うございます。
今日はハルちゃんお休みです。
ココちゃんも後少しになってきました。最後まで宜しくお願いしまっす!
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