224 / 249
第6章 王都
224ーピエロ?
しおりを挟む
「嫌です」
「何を言っているのかしら?」
「だから、嫌です」
「私は王女なのよ。王女殿下なの! 言う事が聞けないの!?」
「王女様だからと言って人を拉致しても良いんですか? 王女様にも婚約者がいらっしゃると聞きました。なのに、良いのですか?」
「婚約者? 父上が勝手に決めたのよ。ロディシス様という人がいるというのに迷惑だわ」
「ロディ兄さまには婚約者がいます。とっても仲が良いですよ」
「そ、そんな事……なかったことにすれば良いのよ!」
「無理です」
「私は王女なのよ! 無理な事なんてないのッ!」
「いいえ、ありますよ。いくら王女様でも、人の気持ちを操る事はできません」
「な、な、なんなのッ! 私が、この私が仲良くしてあげると言っているのよッ!」
「だから、結構です」
これはもう、解呪しとくか? と、咲を見る。
「えぇ~。お嬢さまお1人でですかぁ?」
「キリシマが来るわよ」
「ならいいですぅ」
「何を意味の分からない事を言っているの!? 私の話を聞いているの!? 聞けないのなら私の風属性魔法でその可愛らしいお顔に傷が付くことになるわよ!」
何か言ってるけど。さて、やるか。
『キリシマ、いい?』
『おうよ! いつでもいいぞ!』
「王女さま、あなたは精神干渉を受けているのです。そこにおられるオリヴィア様もそうでした。ですので、解呪させて頂きます」
「な、何を言っているの!?」
隣にいるオリヴィア嬢まで驚いた顔をしている。
「オリヴィア様、そうなのですよ。お城に用もないのに押しかけておられましたね? あの時に解呪したのです」
「あ、あの時の……男の子だと思っていましたわ」
そうだな、あの時は男装していたな。ノワも一緒だった。まだノワで解呪できただけ軽いもんだったんだ。
じゃあ、もういいよな? 前置きはしたぞ。
「何を訳の分からない事を言ってるのよ! いい加減にしなさいッ!」
王女がとうとうキレて手に持っていた洋扇を振りかざし俺を殴ろうとした。
『キリシマ』
『おうよッ!』
そして、霧島がポポンと出てきた。
「いくわよ!」
「おう!」
「ディスエンチャント!」
俺は王女に向かって手を翳し詠唱した。
すると、王女は苦しみだした。そして王女の背中や首筋から真っ黒なモヤモヤが浮き出し、まだ王女に纏わり付いている。
「ココ、もう1回だ!」
「ええ! ディスエンチャント!」
さっきより多く魔力を込めて詠唱した。それでもまだ中に入ろうとする黒いモヤモヤ。ウネウネ動いているのが超気持ち悪い。
「キリシマ! 引っ張り出すわよ!」
「おうッ!」
王女のそばに行き、黒いモヤモヤをガシッと掴みキリシマと2人で引っ張り出そうとする。
「グォォォー!」
なんとも言えない背筋が凍る様な唸り声を上げて、まだ王女の中に戻ろうとする。
「ココ、もう一発だッ!」
「サキ! これ捕まえてて!」
「えぇー! 嫌ですぅー! 気持ち悪いですぅ!」
「何言ってんの! 早くッ!」
「はいぃー!」
咲がモヤモヤを両手で思い切り掴みだそうとする。嫌だと言っていた割には思い切りがいい。ガッシリ両手で掴んでいる。
「いくわよ! ディスエンチャント!」
「ギャォォォォー!!」
叫び声をあげて、真っ黒なモヤモヤが何処かへ飛んで行った。
「あー、もったいない! あれ、追いかけたかったわ!」
「ココ、お前何言ってんだ。今更だぜ」
「そう? やっぱあそこよね?」
「そこしかねーだろうよ」
「念のため、ピュリフィケーション」
真っ白に輝く光が王女の身体を包み込み消えていった。王女はそのまま、ソファーに崩れるように倒れた。オリヴィア嬢が震えながら固まっている。ちょっと怖かったか?
そんな事にはもう慣れっこの咲が、窓から黒いモヤモヤを探している。早いな、もう窓の側まで行ってんのかよ。
「お嬢さまぁ、やっぱお城ですねぇ」
「決まりね」
「あ、ロディシス様とディオシス様ですぅ!」
お、もう来たのか。俺も窓から顔を出し手を振る。
「ロディ兄さま! ディオシスお祖父さま!」
「「ココ!」」
あ、王女を放ったままだった。どうだ?
「気を失っておられます。私もそうだったのね?」
オリヴィア嬢が王女のそばでじっと見ている。
「ええ。でも王女さまほどではなかったのです。だから、ふら付いた程度でしたでしょう?」
「ええ。王女様は大丈夫なの?」
「今日1日は気が付かれないと思いますが大丈夫です」
「そう……あの……ごめんなさい。お止めできなくて……」
相手は王女だから言い難いだろうからもういいさ。俺は何ともなかったしな。それよりも……
「オリヴィア様のご家族も精神干渉されている可能性があります」
「ええ、お父様だわ」
「はい。お分かりになられますか?」
「先日からどこかおかしいと思っていたの。精神干渉だったのね」
自分が解呪されたから違和感があるんだろうな。王子達も言っていた。解呪してから、些細な事だがおかしい事に気が付くと。
「ココ!」
「ココ! 無事か!?」
ロディ兄とディオシスじーちゃんが血相を変えて部屋に入って来た。そして、固まっている。
おや? もしかして俺を拉致った奴等をやっつけたりしたのか? 手に剣を持っている。俺がやりたかったのにさぁ。
「ココ、どういう事なんだ?」
「まさか、王女殿下が?」
「はい。首謀者でした。兄さまと仲良くしたいとか言ってました」
「ハァ~、なんて馬鹿な事を……」
事の一部始終を2人に話して聞かせた。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます!
今日は先にハルちゃんを投稿しております。宜しくお願い致します!
「何を言っているのかしら?」
「だから、嫌です」
「私は王女なのよ。王女殿下なの! 言う事が聞けないの!?」
「王女様だからと言って人を拉致しても良いんですか? 王女様にも婚約者がいらっしゃると聞きました。なのに、良いのですか?」
「婚約者? 父上が勝手に決めたのよ。ロディシス様という人がいるというのに迷惑だわ」
「ロディ兄さまには婚約者がいます。とっても仲が良いですよ」
「そ、そんな事……なかったことにすれば良いのよ!」
「無理です」
「私は王女なのよ! 無理な事なんてないのッ!」
「いいえ、ありますよ。いくら王女様でも、人の気持ちを操る事はできません」
「な、な、なんなのッ! 私が、この私が仲良くしてあげると言っているのよッ!」
「だから、結構です」
これはもう、解呪しとくか? と、咲を見る。
「えぇ~。お嬢さまお1人でですかぁ?」
「キリシマが来るわよ」
「ならいいですぅ」
「何を意味の分からない事を言っているの!? 私の話を聞いているの!? 聞けないのなら私の風属性魔法でその可愛らしいお顔に傷が付くことになるわよ!」
何か言ってるけど。さて、やるか。
『キリシマ、いい?』
『おうよ! いつでもいいぞ!』
「王女さま、あなたは精神干渉を受けているのです。そこにおられるオリヴィア様もそうでした。ですので、解呪させて頂きます」
「な、何を言っているの!?」
隣にいるオリヴィア嬢まで驚いた顔をしている。
「オリヴィア様、そうなのですよ。お城に用もないのに押しかけておられましたね? あの時に解呪したのです」
「あ、あの時の……男の子だと思っていましたわ」
そうだな、あの時は男装していたな。ノワも一緒だった。まだノワで解呪できただけ軽いもんだったんだ。
じゃあ、もういいよな? 前置きはしたぞ。
「何を訳の分からない事を言ってるのよ! いい加減にしなさいッ!」
王女がとうとうキレて手に持っていた洋扇を振りかざし俺を殴ろうとした。
『キリシマ』
『おうよッ!』
そして、霧島がポポンと出てきた。
「いくわよ!」
「おう!」
「ディスエンチャント!」
俺は王女に向かって手を翳し詠唱した。
すると、王女は苦しみだした。そして王女の背中や首筋から真っ黒なモヤモヤが浮き出し、まだ王女に纏わり付いている。
「ココ、もう1回だ!」
「ええ! ディスエンチャント!」
さっきより多く魔力を込めて詠唱した。それでもまだ中に入ろうとする黒いモヤモヤ。ウネウネ動いているのが超気持ち悪い。
「キリシマ! 引っ張り出すわよ!」
「おうッ!」
王女のそばに行き、黒いモヤモヤをガシッと掴みキリシマと2人で引っ張り出そうとする。
「グォォォー!」
なんとも言えない背筋が凍る様な唸り声を上げて、まだ王女の中に戻ろうとする。
「ココ、もう一発だッ!」
「サキ! これ捕まえてて!」
「えぇー! 嫌ですぅー! 気持ち悪いですぅ!」
「何言ってんの! 早くッ!」
「はいぃー!」
咲がモヤモヤを両手で思い切り掴みだそうとする。嫌だと言っていた割には思い切りがいい。ガッシリ両手で掴んでいる。
「いくわよ! ディスエンチャント!」
「ギャォォォォー!!」
叫び声をあげて、真っ黒なモヤモヤが何処かへ飛んで行った。
「あー、もったいない! あれ、追いかけたかったわ!」
「ココ、お前何言ってんだ。今更だぜ」
「そう? やっぱあそこよね?」
「そこしかねーだろうよ」
「念のため、ピュリフィケーション」
真っ白に輝く光が王女の身体を包み込み消えていった。王女はそのまま、ソファーに崩れるように倒れた。オリヴィア嬢が震えながら固まっている。ちょっと怖かったか?
そんな事にはもう慣れっこの咲が、窓から黒いモヤモヤを探している。早いな、もう窓の側まで行ってんのかよ。
「お嬢さまぁ、やっぱお城ですねぇ」
「決まりね」
「あ、ロディシス様とディオシス様ですぅ!」
お、もう来たのか。俺も窓から顔を出し手を振る。
「ロディ兄さま! ディオシスお祖父さま!」
「「ココ!」」
あ、王女を放ったままだった。どうだ?
「気を失っておられます。私もそうだったのね?」
オリヴィア嬢が王女のそばでじっと見ている。
「ええ。でも王女さまほどではなかったのです。だから、ふら付いた程度でしたでしょう?」
「ええ。王女様は大丈夫なの?」
「今日1日は気が付かれないと思いますが大丈夫です」
「そう……あの……ごめんなさい。お止めできなくて……」
相手は王女だから言い難いだろうからもういいさ。俺は何ともなかったしな。それよりも……
「オリヴィア様のご家族も精神干渉されている可能性があります」
「ええ、お父様だわ」
「はい。お分かりになられますか?」
「先日からどこかおかしいと思っていたの。精神干渉だったのね」
自分が解呪されたから違和感があるんだろうな。王子達も言っていた。解呪してから、些細な事だがおかしい事に気が付くと。
「ココ!」
「ココ! 無事か!?」
ロディ兄とディオシスじーちゃんが血相を変えて部屋に入って来た。そして、固まっている。
おや? もしかして俺を拉致った奴等をやっつけたりしたのか? 手に剣を持っている。俺がやりたかったのにさぁ。
「ココ、どういう事なんだ?」
「まさか、王女殿下が?」
「はい。首謀者でした。兄さまと仲良くしたいとか言ってました」
「ハァ~、なんて馬鹿な事を……」
事の一部始終を2人に話して聞かせた。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます!
今日は先にハルちゃんを投稿しております。宜しくお願い致します!
76
お気に入りに追加
2,978
あなたにおすすめの小説
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる