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第6章 王都
219ー飛んでいった
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「ディオシスお祖父さま、兄さま」
と、俺は霧島の計画を説明した。
「そんな事ができるのか!?」
「できるそうですよ」
「どうしてもっと早く思いつかない」
「ね、そうですよね」
「え? 俺の所為か?」
いや、誰の所為でもないさ。ただ、思いつかなかったってだけだ。
分かっているなら先に言ってほしかったけどさ。
「なんだよ、俺が悪いみたいじゃん」
そんな事ないって。ふふふ。
「じゃあ、僕がキリシマと中央に行こう」
「では、ココは私と部屋の前で待機だね」
ロディ兄とバッグに入った霧島は、大聖堂の中心付近へ。
俺とディオシスじーちゃんは、司教様に連れられて教皇様と枢機卿様の部屋のすぐ前で待機だ。
霧島のタイミングで解呪をしてもらう。
俺には念話があるからね。念話で教えてくるだろう。
『ココ、待機してっか?』
『いつでもいいわよ』
『よし、いくぜッ!』
霧島がそう言うと、大聖堂が光に包まれた。この光は一般人には見えているのか? どうなんだろう? 俺はずっと鑑定眼で見ているから見えるけど……と、思って隣にいるじーちゃんを見た。
「ココ、始まったか?」
「はい、今光ってますよ」
「そうなのか?」
どうやら、何も見えないらしい。
光が収まって来た頃だ。2つの部屋からうめき声が聞こえてきた。
「だ、誰かいませんか!?」
「た、助けてください!」
二つの部屋から其々に付き人らしき人が飛び出てきた。
「どうしました!?」
じーちゃんが駆け寄る。
「教皇様が……!」
「枢機卿様が……!」
「ココ!」
「はいッ!」
よし、反応が出ているぞ。俺はそのまま先ず手前の1つ目の部屋に入った。そこには、確かにお偉いさんらしいちょっと豪華なキャソックという司教様が着ているような祭服を着ている。ただ、色が真紅だ。階位によって色が決まっているらしい。
その真紅のキャソックを着た人物がデスクの前で苦しんでいる。
「こちらはどなたですか?」
ディオシスじーちゃんが付いて来て聞いてくれている。
「枢機卿様です。急に苦しみだされて……」
はいはい、よし。やるぞ。
「お嬢、魔力を込め過ぎたら駄目っスよ」
「分かってるわ」
リュウは心配しているのだろう。万が一俺が倒れたりした時に直ぐに支えられる距離にいる。よくできた従者だ。俺は、両手を枢機卿に向けて俺は詠唱した。
「ディスエンチャント」
枢機卿の背中から首筋に掛けて、黒いモヤモヤとしたものが浮き出てきてもがいている。
まだ、完璧に出ないか。もう1度だ。
「ディスエンチャント」
今度こそ、もう耐えられないと『グゥォォォ』と呻き声をあげながらモヤモヤが身体から出てどこかに消えて行った。よし、念のために『ピュリフィケーション』と唱えた。部屋が白い光で満たされそして光が消えていく。これで、完璧だ。
「ココ、次の部屋だ。大丈夫か?」
「はい、まだまだいけます!」
次の部屋だ。俺達は隣の部屋へと向かう。
「どうした?」
「あ……あ、教皇様が……」
と、部屋から転げ出てきたお付きらしき人が部屋の中を指さしている。
見るとそこには、身体を黒い靄で覆われた老人がデスクに突っ伏していた。真っ白なキャソックが黒い靄で見えていない。
「ココ、これは酷いな」
「お祖父さま、見えますか?」
「ああ、私にも靄が見えるぞ」
教皇が1番酷い干渉を受けていたらしい。枢機卿の様に苦しむだけでなく、モヤモヤが身体全体に纏わりついているんだ。
「お嬢さまぁ」
「お嬢、気を付けてくださいッス」
「分かった」
俺は、その教皇らしき人物に手を向ける。
「ディスエンチャント」
どうだ? さっきよりも魔力を込めたんだが。
黒いモヤモヤがまだ身体について蠢いている。苦しそうになんとも言い様のない呻き声をあげている。
「もう1回だわ! ディスエンチャント!」
俺は今迄で1番魔力を込めて詠唱した。すると、身体を抜け出した黒いモヤモヤがこちらに向かって来た。
「げッ!」
「ココ!」
「お嬢!」
咲と隆が俺の前に出る。すかさず、もう1回だ!
「ディスエンチャント!」
ごっそりと魔力を持って行かれる感覚を初めて感じた。すると、黒いモヤモヤは……
『グギャォォォー!』
と、叫び声を上げながら、それはどこかに飛び去って行った。よし『ピュリフィケーション』だ。これで完璧だ。
「ココ、大丈夫か!」
「はい、お祖父様。大丈夫です」
「お嬢、肩貸すッスか?」
「リュウ、大丈夫よ。ありがとう」
「お嬢さまぁ」
「サキ、大丈夫よ。かなり魔力を持っていかれたけど、まだ大丈夫」
「良かったですぅ」
咲が泣きそうな顔をしてこっちを見ている。大丈夫だ。心配すんな。
「あの方向は城だ」
「お祖父さま、そうですね」
どちらのモヤモヤも城に向かって飛び去って行ったんだ。と、いう事は、敵はやっぱ城の中にいるぞ。王か? 王妃か? どっちだ?
「ココ!」
ロディ兄が飛び込んできた。心配かけたんだな。
「兄さま、大丈夫です」
『ココ、スゲーのが飛んで行ったぞ』
『ね、お城よね』
『そうだな。それより、ココ。かなり魔力を使ったな』
『初めて魔力が抜ける感覚がしたわ』
『おう、よく覚えておくんだ。それで今半分位だ』
『そうなの?』
『ああ』
それでも半分か。俺の感覚だともっと持っていかれた気がした。なら、まだまだいけるな。
『ばか! 魔力が空っぽになったら駄目なんだ。少しは残しておかねーと』
『そうなの?』
『ああ。でないと後で苦しむ事になるぞ。寝込むだけでなく高熱は出るし吐くぞ』
うっ……それは嫌だなぁ。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます。
今日はハルちゃんお休みです。
宜しくお願い致しまっす!
と、俺は霧島の計画を説明した。
「そんな事ができるのか!?」
「できるそうですよ」
「どうしてもっと早く思いつかない」
「ね、そうですよね」
「え? 俺の所為か?」
いや、誰の所為でもないさ。ただ、思いつかなかったってだけだ。
分かっているなら先に言ってほしかったけどさ。
「なんだよ、俺が悪いみたいじゃん」
そんな事ないって。ふふふ。
「じゃあ、僕がキリシマと中央に行こう」
「では、ココは私と部屋の前で待機だね」
ロディ兄とバッグに入った霧島は、大聖堂の中心付近へ。
俺とディオシスじーちゃんは、司教様に連れられて教皇様と枢機卿様の部屋のすぐ前で待機だ。
霧島のタイミングで解呪をしてもらう。
俺には念話があるからね。念話で教えてくるだろう。
『ココ、待機してっか?』
『いつでもいいわよ』
『よし、いくぜッ!』
霧島がそう言うと、大聖堂が光に包まれた。この光は一般人には見えているのか? どうなんだろう? 俺はずっと鑑定眼で見ているから見えるけど……と、思って隣にいるじーちゃんを見た。
「ココ、始まったか?」
「はい、今光ってますよ」
「そうなのか?」
どうやら、何も見えないらしい。
光が収まって来た頃だ。2つの部屋からうめき声が聞こえてきた。
「だ、誰かいませんか!?」
「た、助けてください!」
二つの部屋から其々に付き人らしき人が飛び出てきた。
「どうしました!?」
じーちゃんが駆け寄る。
「教皇様が……!」
「枢機卿様が……!」
「ココ!」
「はいッ!」
よし、反応が出ているぞ。俺はそのまま先ず手前の1つ目の部屋に入った。そこには、確かにお偉いさんらしいちょっと豪華なキャソックという司教様が着ているような祭服を着ている。ただ、色が真紅だ。階位によって色が決まっているらしい。
その真紅のキャソックを着た人物がデスクの前で苦しんでいる。
「こちらはどなたですか?」
ディオシスじーちゃんが付いて来て聞いてくれている。
「枢機卿様です。急に苦しみだされて……」
はいはい、よし。やるぞ。
「お嬢、魔力を込め過ぎたら駄目っスよ」
「分かってるわ」
リュウは心配しているのだろう。万が一俺が倒れたりした時に直ぐに支えられる距離にいる。よくできた従者だ。俺は、両手を枢機卿に向けて俺は詠唱した。
「ディスエンチャント」
枢機卿の背中から首筋に掛けて、黒いモヤモヤとしたものが浮き出てきてもがいている。
まだ、完璧に出ないか。もう1度だ。
「ディスエンチャント」
今度こそ、もう耐えられないと『グゥォォォ』と呻き声をあげながらモヤモヤが身体から出てどこかに消えて行った。よし、念のために『ピュリフィケーション』と唱えた。部屋が白い光で満たされそして光が消えていく。これで、完璧だ。
「ココ、次の部屋だ。大丈夫か?」
「はい、まだまだいけます!」
次の部屋だ。俺達は隣の部屋へと向かう。
「どうした?」
「あ……あ、教皇様が……」
と、部屋から転げ出てきたお付きらしき人が部屋の中を指さしている。
見るとそこには、身体を黒い靄で覆われた老人がデスクに突っ伏していた。真っ白なキャソックが黒い靄で見えていない。
「ココ、これは酷いな」
「お祖父さま、見えますか?」
「ああ、私にも靄が見えるぞ」
教皇が1番酷い干渉を受けていたらしい。枢機卿の様に苦しむだけでなく、モヤモヤが身体全体に纏わりついているんだ。
「お嬢さまぁ」
「お嬢、気を付けてくださいッス」
「分かった」
俺は、その教皇らしき人物に手を向ける。
「ディスエンチャント」
どうだ? さっきよりも魔力を込めたんだが。
黒いモヤモヤがまだ身体について蠢いている。苦しそうになんとも言い様のない呻き声をあげている。
「もう1回だわ! ディスエンチャント!」
俺は今迄で1番魔力を込めて詠唱した。すると、身体を抜け出した黒いモヤモヤがこちらに向かって来た。
「げッ!」
「ココ!」
「お嬢!」
咲と隆が俺の前に出る。すかさず、もう1回だ!
「ディスエンチャント!」
ごっそりと魔力を持って行かれる感覚を初めて感じた。すると、黒いモヤモヤは……
『グギャォォォー!』
と、叫び声を上げながら、それはどこかに飛び去って行った。よし『ピュリフィケーション』だ。これで完璧だ。
「ココ、大丈夫か!」
「はい、お祖父様。大丈夫です」
「お嬢、肩貸すッスか?」
「リュウ、大丈夫よ。ありがとう」
「お嬢さまぁ」
「サキ、大丈夫よ。かなり魔力を持っていかれたけど、まだ大丈夫」
「良かったですぅ」
咲が泣きそうな顔をしてこっちを見ている。大丈夫だ。心配すんな。
「あの方向は城だ」
「お祖父さま、そうですね」
どちらのモヤモヤも城に向かって飛び去って行ったんだ。と、いう事は、敵はやっぱ城の中にいるぞ。王か? 王妃か? どっちだ?
「ココ!」
ロディ兄が飛び込んできた。心配かけたんだな。
「兄さま、大丈夫です」
『ココ、スゲーのが飛んで行ったぞ』
『ね、お城よね』
『そうだな。それより、ココ。かなり魔力を使ったな』
『初めて魔力が抜ける感覚がしたわ』
『おう、よく覚えておくんだ。それで今半分位だ』
『そうなの?』
『ああ』
それでも半分か。俺の感覚だともっと持っていかれた気がした。なら、まだまだいけるな。
『ばか! 魔力が空っぽになったら駄目なんだ。少しは残しておかねーと』
『そうなの?』
『ああ。でないと後で苦しむ事になるぞ。寝込むだけでなく高熱は出るし吐くぞ』
うっ……それは嫌だなぁ。
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