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第6章 王都
212ー王都の商人
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ばーちゃんがそんな俺とじーちゃんの話を聞いてとんでもない事を言い出した。
「そうよ、ココちゃん。もしかしたら素敵な殿方と大恋愛をしてしまうかも知れないわよ」
「えぇ~」
「ココちゃんのお父様とお母様の様にね」
ああ、そうだった。2人は大恋愛だったそうだ。信じらんないけどな。だって、あの脳筋の父と高位貴族の令嬢だった母だ。
「でもね、ココちゃんのお父様は学生の頃から領地の事や領民の事を1番に考えていたわ。周りの人達を大切にする人だったの。多少は脳筋かも知れないけど、とっても好青年だったのよ。だからすぐに気に入ったの」
そうなのか。父は良い奴だったんだ。俺達も、そんな事理解できないだろうって幼い頃から領地を領民を大切にすることを教えられた。
父は若い頃からそれを思う人だったんだな。
「そりゃ、あの親に育てられたんだからな」
そうだ。父の父はユリシスじーちゃんだ。引退した今でも領民の為に領地を西へ東へと走ってくれる人だ。辺境伯が代々受け継いできた事なのだろう。
「そうだよ。私達も親から教えられて育ったんだ。ココもそうだろう?」
「はい、お祖父さま」
そんな話をしながらばーちゃんが行ったお店で何人か解呪した。
同じ城に出入りしている商人でも、パパッと納品して終わりのところは大丈夫なんだ。でも、ドレスの為に採寸だったりアクセサリーを選んだりとか時間が掛かると駄目だ。多分だけど、その商人が通される部屋とかに例の魔法陣があるんじゃないのか?
そんな気がするぜ。これはもう1度、城に行かないといけないな。
「ココ、再度調べないといけないな」
「お祖父さま、そうですね。でも、ノワちゃんが入った部屋は解呪できていないのでしょうか?」
「それも確認だ」
もっと隅から隅まで確認しなきゃな。
そして、貴族達をどうするかだ。今のところ、第2王子の婚約者セシリア・フレドリカ嬢の家族と、例の勝手に城に入っていたお騒がせ令嬢オリヴィア・ハーレイ侯爵令嬢の家族だ。前宰相だったという父親なんて精神干渉されている確率が高い。
今のところ、予想されるのはそれだけだ。でもきっともっと多くの貴族が精神干渉されているだろう。
たった数日、城に潜入しただけで2家も判明したのだから、実際はどれだけなのか想像もつかない。
城に出入りするだろう貴族が一堂に会する事はないのだろうか?
「ココちゃん、今日はあっちのスイーツにしましょう」
ばーちゃんが全く関係のない事に気がいっている。スイーツには勝てないね。
「はい、お祖母さま」
「アハハハ、ココも食い気だね」
「だってお祖父さま、王都の食べ物には興味があります」
「領地の方がずっと美味しいと私は思うよ」
「そうね、それは私もそう思うわ」
おやおや。それは領地のハイスペックじーちゃん達のお陰だ。
シゲ爺達、元気にしてるかなぁ。
「ココちゃんはどれにするの?」
と、ばーちゃんと今日はシフォンケーキを食べて帰った。
「お祖母さま、美味しかったです」
「あら、そうかしら?」
「え?」
「だって、領地の料理人が作る物の方が美味しいわ。生クリームなんて全然違うもの」
ああ、それはそうだ。でも、仕方ない。元から違うんだから。
「ココは知っていたのか?」
「お祖父さま、それ位は知ってます。モーモーちゃんです」
「アハハハ!」
なんだよ、間違ってないだろう? とびきり美味なミルクを出すでっかいモーモーちゃんだ。
「あれは魔物なんだよ」
「知ってます。もっと小さい頃にそばに行こうとして叱られましたから」
「なのに、モーモーちゃんなのか?」
「はい。うちではモーモーちゃんで通ってます」
「アハハハ」
「フフフフ。ココちゃんったらまだまだ可愛らしいわね」
あれ? なんか変な事を言ったか? まあいいや。
「あたしはシゲ爺のぶどうジュースが1番好きです」
「ああ、あれは絶品だ」
「そうよね。いつも少ししか飲めなくて残念なのよ」
「お祖母さま、これからはマジックバッグがありますから大丈夫です!」
「まあ! そうね。嬉しいわ」
「今年のワインも絶品でしたよ」
「そうなのですか? 楽しみだわ」
ああ、ユリシスじーちゃんが浴びるように飲んでたワインだ。
「そうだ、ココちゃん。良い事を思いついたわ。早く帰りましょう」
なんだ? どうした? と、俺は『?』のままばーちゃんに引っ張られるように屋敷に戻ってきた。
屋敷には今日も賑やかな声がする。
「キリシマー! 少しは手加減せんかー!」
「なに言ってんだ! じーちゃんに手加減してたら俺がやられちまうだろう!」
また2人で何かしているよ。て、鍛練に決まっているんだけど。
「ココ! 戻ったか!」
「はい、ユリシスお祖父さま」
「キリシマは強いなッ! どんどん強くなっとるぞ!」
「俺の真の実力はまだまだだぜ!」
はいはい、賑やかだね。てか、煩いよ。
「ココ、また美味いもん食ってきたのか?」
「どうして?」
「甘い匂いがするぞ」
「料理人が作るスイーツの方が美味しいわよ」
「そうか?」
「そうよ」
あれ? ばーちゃんがもういない。どこに行ったんだ?
「何やら思いついたらしいね」
「ディオシスお祖父さま、そう言ってましたね」
ばーちゃん、何を思いついたんだ?
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます。
今日は先にハルちゃんを投稿しております。宜しくお願いしまっす!
「そうよ、ココちゃん。もしかしたら素敵な殿方と大恋愛をしてしまうかも知れないわよ」
「えぇ~」
「ココちゃんのお父様とお母様の様にね」
ああ、そうだった。2人は大恋愛だったそうだ。信じらんないけどな。だって、あの脳筋の父と高位貴族の令嬢だった母だ。
「でもね、ココちゃんのお父様は学生の頃から領地の事や領民の事を1番に考えていたわ。周りの人達を大切にする人だったの。多少は脳筋かも知れないけど、とっても好青年だったのよ。だからすぐに気に入ったの」
そうなのか。父は良い奴だったんだ。俺達も、そんな事理解できないだろうって幼い頃から領地を領民を大切にすることを教えられた。
父は若い頃からそれを思う人だったんだな。
「そりゃ、あの親に育てられたんだからな」
そうだ。父の父はユリシスじーちゃんだ。引退した今でも領民の為に領地を西へ東へと走ってくれる人だ。辺境伯が代々受け継いできた事なのだろう。
「そうだよ。私達も親から教えられて育ったんだ。ココもそうだろう?」
「はい、お祖父さま」
そんな話をしながらばーちゃんが行ったお店で何人か解呪した。
同じ城に出入りしている商人でも、パパッと納品して終わりのところは大丈夫なんだ。でも、ドレスの為に採寸だったりアクセサリーを選んだりとか時間が掛かると駄目だ。多分だけど、その商人が通される部屋とかに例の魔法陣があるんじゃないのか?
そんな気がするぜ。これはもう1度、城に行かないといけないな。
「ココ、再度調べないといけないな」
「お祖父さま、そうですね。でも、ノワちゃんが入った部屋は解呪できていないのでしょうか?」
「それも確認だ」
もっと隅から隅まで確認しなきゃな。
そして、貴族達をどうするかだ。今のところ、第2王子の婚約者セシリア・フレドリカ嬢の家族と、例の勝手に城に入っていたお騒がせ令嬢オリヴィア・ハーレイ侯爵令嬢の家族だ。前宰相だったという父親なんて精神干渉されている確率が高い。
今のところ、予想されるのはそれだけだ。でもきっともっと多くの貴族が精神干渉されているだろう。
たった数日、城に潜入しただけで2家も判明したのだから、実際はどれだけなのか想像もつかない。
城に出入りするだろう貴族が一堂に会する事はないのだろうか?
「ココちゃん、今日はあっちのスイーツにしましょう」
ばーちゃんが全く関係のない事に気がいっている。スイーツには勝てないね。
「はい、お祖母さま」
「アハハハ、ココも食い気だね」
「だってお祖父さま、王都の食べ物には興味があります」
「領地の方がずっと美味しいと私は思うよ」
「そうね、それは私もそう思うわ」
おやおや。それは領地のハイスペックじーちゃん達のお陰だ。
シゲ爺達、元気にしてるかなぁ。
「ココちゃんはどれにするの?」
と、ばーちゃんと今日はシフォンケーキを食べて帰った。
「お祖母さま、美味しかったです」
「あら、そうかしら?」
「え?」
「だって、領地の料理人が作る物の方が美味しいわ。生クリームなんて全然違うもの」
ああ、それはそうだ。でも、仕方ない。元から違うんだから。
「ココは知っていたのか?」
「お祖父さま、それ位は知ってます。モーモーちゃんです」
「アハハハ!」
なんだよ、間違ってないだろう? とびきり美味なミルクを出すでっかいモーモーちゃんだ。
「あれは魔物なんだよ」
「知ってます。もっと小さい頃にそばに行こうとして叱られましたから」
「なのに、モーモーちゃんなのか?」
「はい。うちではモーモーちゃんで通ってます」
「アハハハ」
「フフフフ。ココちゃんったらまだまだ可愛らしいわね」
あれ? なんか変な事を言ったか? まあいいや。
「あたしはシゲ爺のぶどうジュースが1番好きです」
「ああ、あれは絶品だ」
「そうよね。いつも少ししか飲めなくて残念なのよ」
「お祖母さま、これからはマジックバッグがありますから大丈夫です!」
「まあ! そうね。嬉しいわ」
「今年のワインも絶品でしたよ」
「そうなのですか? 楽しみだわ」
ああ、ユリシスじーちゃんが浴びるように飲んでたワインだ。
「そうだ、ココちゃん。良い事を思いついたわ。早く帰りましょう」
なんだ? どうした? と、俺は『?』のままばーちゃんに引っ張られるように屋敷に戻ってきた。
屋敷には今日も賑やかな声がする。
「キリシマー! 少しは手加減せんかー!」
「なに言ってんだ! じーちゃんに手加減してたら俺がやられちまうだろう!」
また2人で何かしているよ。て、鍛練に決まっているんだけど。
「ココ! 戻ったか!」
「はい、ユリシスお祖父さま」
「キリシマは強いなッ! どんどん強くなっとるぞ!」
「俺の真の実力はまだまだだぜ!」
はいはい、賑やかだね。てか、煩いよ。
「ココ、また美味いもん食ってきたのか?」
「どうして?」
「甘い匂いがするぞ」
「料理人が作るスイーツの方が美味しいわよ」
「そうか?」
「そうよ」
あれ? ばーちゃんがもういない。どこに行ったんだ?
「何やら思いついたらしいね」
「ディオシスお祖父さま、そう言ってましたね」
ばーちゃん、何を思いついたんだ?
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます。
今日は先にハルちゃんを投稿しております。宜しくお願いしまっす!
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