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第6章 王都
202ーどうしてこうなった?
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「ココ……」
「はい、ロディ兄さま」
「今日は帰ろうか」
「えぇ~」
「ロディシス、構わん」
「はい?」
「私の侍従として居ればよい」
「え、しかし……」
「構わん。その方が城の奥にまで入れるぞ」
あ、それは良いな。良い考えだ。ノワがまだ入っていない場所に行けるって事だ。
「本当に宜しいのですか?」
「ああ。構わない。全面的に協力するぞ」
「ありがとうございます」
「いや、父上や王家を助ける為の事なのだから協力するのは当然だ」
先に第1王子を解呪しておいてよかった。良い方向に進んだじゃん。てか、俺はどうしたら良いんだ?
「ココアリア嬢は……そうだな……」
どうしてこうなった? 2回目だ。
俺は今、第2王子ニコルクス殿下の執務室にいる。何故なら、第1王子の「ニコルクスの侍従見習いにでもなるか?」と、いう鶴の一声でこうなったんだ。
「ココアリア嬢も強いのか?」
と、いきなり第2王子に聞かれた。
「いえ、あたしは姉程ではありません」
「そうか! よかった。後で手合わせをしないか?」
「はい」
王子殿下に嫌だとは言えない。
隆は俺と一緒に第2王子のそばにいる。咲はメイドさん達と一緒に仕事をする事になった。なのに、この部屋にいる。平然として第2王子にお茶を出している。
「この者達も強いのか?」
「はい、2人共強いですよ」
「そ、そうか」
おや、何か拘っているか? 王子殿下なんだから強くなくても良いじゃん。守られる側なんだからさ。
「その……フィルドラクスは今までどうしていた?」
「はい。来られた当初の頃は、毒やらなにやらで……」
「ど、毒だと!?」
「はい。深く毒に侵されておられましたし、精神干渉もありました」
「一体誰が!?」
「でも、解呪してからは祖父達と一緒に鍛練されていましたよ。今はもうお元気にされています」
「た、鍛練か?」
「はい。お祖父さま達と」
「前辺境伯の事なのか?」
「はい、そうです。ユリシスお祖父さまとディオシスお祖父さまです」
「お2人となのか……私より強くなっているのかも知れないな」
「殿下、無理にお強くなられなくても」
「ココアリア嬢はエリアリア嬢の強さを知っているか?」
「はい。こちらに来る時にも姉さまに助けられました」
「そうなのか?」
「はい。でも姉さまみたいに強くなられなくても、王子殿下なのですから」
「ココアリア嬢は優しいのだな。エリアリア嬢なんて……」
あ、やっぱ姉は第2王子をイジッているな。トラウマになったらどうすんだよ。
「殿下、姉の言うことは気になさらないでください」
「そ、そうか?」
「はい。殿下には殿下の良いところがあります」
「そうか! どんなところだ?」
え? そんなの会ってまだ2度目なのに知る訳ねーじゃん。
「えっとぉ……」
言葉が続かない……
「いや、良いんだ。無理にそう言ってくれなくてもな」
なんだよ、そんなに拘る必要ないって。マジでさ。
「殿下、あたしも強くありません。辺境伯家なので鍛練はしますし多少人より魔法は使えますが、それでもあたしはいつもこの2人に守られています。それでも良いんです」
「そうか……?」
「はい。殿下がお出来になる事をされていれば良いと思います」
「有難う」
姉よ、どんだけイジッていたんだ。心が折れてないか? ちょっとやり過ぎだ。それとも本当に弱いのか? そんな事よりもだ。
「殿下、では殿下の従者見習いという事で動かせて頂きます」
「ああ。しかし、危険な事はしてはいけない。ココアリア嬢にもしもの事があったら私は辺境伯に顔向けできない」
「はい。ありがとうございます」
俺は第2王子の部屋を出て、周辺を歩いてみた。ロディ兄は兄で第1王子の周辺を探っているだろう。俺には探るなんて事は出来ないから、取り敢えず歩いて見ている。すれ違う貴族や働いている人達を見ているんだ。
「お嬢、どうッスか?」
「全滅だわね」
「全滅ッスか!?」
「そうよ、全滅よ。すれ違う人みんなだわ」
「どうするんッスか?」
「そうよね……ノワちゃん連れてきたらよかったわ」
「ああ、盲点ッスね」
なんで盲点なんだよ。全然盲点なんかじゃないだろうよ。ノワはノワで別の場所を歩いている筈なんだ。だからなぁ……と思いながら庭に出た。ここは城の1番奥だ。その中庭だ。直接王族に接する人や、王城で働く重鎮達、その従者や部下等、かなり中枢に入った場所だ。
下働きの者などは入る事が出来ない場所だ。
貴族でも役職を持っているか、呼び出された者位しか入れないだろう。
そんな場所だ。まあ、当然と言えばそうなんだが……会いたくない奴が前から歩いてきた。
俺は素知らぬ顔をして脇に避け頭を下げる。このまま通り過ぎてほしい。と、祈りながら。
「あら? あなた見た事がないわね」
ああ、通り過ぎてくれなかった。俺が会いたくなかった相手、第1王女のマールミーア・ヴェルムナンドだ。
「あなた、誰の従者なの? 顔を上げなさい」
ああ、バレないように……と思いながら顔を上げようとした。
「第2王子殿下の従者見習いでございます。本日から登城しております」
隆だった。第1王女の目についたのは俺ではなく、隆だったんだ。良かったぜ。俺は、頭を下げたままで待つ。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます。
今日は後ほどハルちゃんも投稿します。
宜しくお願いします!
「はい、ロディ兄さま」
「今日は帰ろうか」
「えぇ~」
「ロディシス、構わん」
「はい?」
「私の侍従として居ればよい」
「え、しかし……」
「構わん。その方が城の奥にまで入れるぞ」
あ、それは良いな。良い考えだ。ノワがまだ入っていない場所に行けるって事だ。
「本当に宜しいのですか?」
「ああ。構わない。全面的に協力するぞ」
「ありがとうございます」
「いや、父上や王家を助ける為の事なのだから協力するのは当然だ」
先に第1王子を解呪しておいてよかった。良い方向に進んだじゃん。てか、俺はどうしたら良いんだ?
「ココアリア嬢は……そうだな……」
どうしてこうなった? 2回目だ。
俺は今、第2王子ニコルクス殿下の執務室にいる。何故なら、第1王子の「ニコルクスの侍従見習いにでもなるか?」と、いう鶴の一声でこうなったんだ。
「ココアリア嬢も強いのか?」
と、いきなり第2王子に聞かれた。
「いえ、あたしは姉程ではありません」
「そうか! よかった。後で手合わせをしないか?」
「はい」
王子殿下に嫌だとは言えない。
隆は俺と一緒に第2王子のそばにいる。咲はメイドさん達と一緒に仕事をする事になった。なのに、この部屋にいる。平然として第2王子にお茶を出している。
「この者達も強いのか?」
「はい、2人共強いですよ」
「そ、そうか」
おや、何か拘っているか? 王子殿下なんだから強くなくても良いじゃん。守られる側なんだからさ。
「その……フィルドラクスは今までどうしていた?」
「はい。来られた当初の頃は、毒やらなにやらで……」
「ど、毒だと!?」
「はい。深く毒に侵されておられましたし、精神干渉もありました」
「一体誰が!?」
「でも、解呪してからは祖父達と一緒に鍛練されていましたよ。今はもうお元気にされています」
「た、鍛練か?」
「はい。お祖父さま達と」
「前辺境伯の事なのか?」
「はい、そうです。ユリシスお祖父さまとディオシスお祖父さまです」
「お2人となのか……私より強くなっているのかも知れないな」
「殿下、無理にお強くなられなくても」
「ココアリア嬢はエリアリア嬢の強さを知っているか?」
「はい。こちらに来る時にも姉さまに助けられました」
「そうなのか?」
「はい。でも姉さまみたいに強くなられなくても、王子殿下なのですから」
「ココアリア嬢は優しいのだな。エリアリア嬢なんて……」
あ、やっぱ姉は第2王子をイジッているな。トラウマになったらどうすんだよ。
「殿下、姉の言うことは気になさらないでください」
「そ、そうか?」
「はい。殿下には殿下の良いところがあります」
「そうか! どんなところだ?」
え? そんなの会ってまだ2度目なのに知る訳ねーじゃん。
「えっとぉ……」
言葉が続かない……
「いや、良いんだ。無理にそう言ってくれなくてもな」
なんだよ、そんなに拘る必要ないって。マジでさ。
「殿下、あたしも強くありません。辺境伯家なので鍛練はしますし多少人より魔法は使えますが、それでもあたしはいつもこの2人に守られています。それでも良いんです」
「そうか……?」
「はい。殿下がお出来になる事をされていれば良いと思います」
「有難う」
姉よ、どんだけイジッていたんだ。心が折れてないか? ちょっとやり過ぎだ。それとも本当に弱いのか? そんな事よりもだ。
「殿下、では殿下の従者見習いという事で動かせて頂きます」
「ああ。しかし、危険な事はしてはいけない。ココアリア嬢にもしもの事があったら私は辺境伯に顔向けできない」
「はい。ありがとうございます」
俺は第2王子の部屋を出て、周辺を歩いてみた。ロディ兄は兄で第1王子の周辺を探っているだろう。俺には探るなんて事は出来ないから、取り敢えず歩いて見ている。すれ違う貴族や働いている人達を見ているんだ。
「お嬢、どうッスか?」
「全滅だわね」
「全滅ッスか!?」
「そうよ、全滅よ。すれ違う人みんなだわ」
「どうするんッスか?」
「そうよね……ノワちゃん連れてきたらよかったわ」
「ああ、盲点ッスね」
なんで盲点なんだよ。全然盲点なんかじゃないだろうよ。ノワはノワで別の場所を歩いている筈なんだ。だからなぁ……と思いながら庭に出た。ここは城の1番奥だ。その中庭だ。直接王族に接する人や、王城で働く重鎮達、その従者や部下等、かなり中枢に入った場所だ。
下働きの者などは入る事が出来ない場所だ。
貴族でも役職を持っているか、呼び出された者位しか入れないだろう。
そんな場所だ。まあ、当然と言えばそうなんだが……会いたくない奴が前から歩いてきた。
俺は素知らぬ顔をして脇に避け頭を下げる。このまま通り過ぎてほしい。と、祈りながら。
「あら? あなた見た事がないわね」
ああ、通り過ぎてくれなかった。俺が会いたくなかった相手、第1王女のマールミーア・ヴェルムナンドだ。
「あなた、誰の従者なの? 顔を上げなさい」
ああ、バレないように……と思いながら顔を上げようとした。
「第2王子殿下の従者見習いでございます。本日から登城しております」
隆だった。第1王女の目についたのは俺ではなく、隆だったんだ。良かったぜ。俺は、頭を下げたままで待つ。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます。
今日は後ほどハルちゃんも投稿します。
宜しくお願いします!
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