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第6章 王都

192ー作ってみた

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 スイーツの話が出たのでどうせならとアイスクリームを作ってみたんだ。料理人達と試行錯誤しながらね。だって俺は前世食べるだけで作ったことなんてないからさ。
 ミルクを凍らせれば良いんじゃね? なんて簡単に考えていたらそんな事はなかった。
 単純に凍らせても駄目なんだね。卵とミルク、砂糖を混ぜ合わせて一度火にかける。沸騰させないようにトロミがつくまでゆっくりと混ぜる。それから凍らせるんだ。
 そんな事知らなかったから、最初はミルクシャーベットになってしまった。
 そこで活躍したのが隆だ。

「お嬢、プリンもいっとくッスか?」
「リュウ、何でそんなに知ってるのよ」
「色々やらされたッスから」

 なんと、隆が作り方を知っていたんだ。なんでも前世の姉達に作らされたらしい。市販の物より隆が作った物の方が美味しいと言われて作っていたそうだ。
 本当、俺の知らないところで色々やってたんだね。ご苦労なこった。

「まあ! とっても美味しいわ!」

 と、ばーちゃんが感動だ。だって手作りだもんな。そりゃ美味しいよ。それに材料に領地の物を使っているから余計に美味い。卵もミルクも濃いんだ。コクがあるって言うのか?
 試しに作ったシュークリームとエクレア、それにバニラアイスとプリン。これでもう決まりじゃね? そのうち、アイス片手に王都見学なんて流行るかもな。

「本当だ。良い名物になるぞ」
「ええ、でも材料が問題ですわね」
「領地から持ってこさせますよ」
「まあ、ロディ。本当?」
「はい、ココがマジックバッグを作ってくれたので可能ですよ。ですのでお祖母様。材料費プラス3割頂けますか?」
「3割か?」
「それはちょっとお高いわね」
「ロディ、原価率は3割と言われているんだぞ」
「仕方ありませんね。では1割だけ」
「そうね、それなら良いわね」

 なんだか商談になっている。俺は知らないけど。
 えんぴつやガラスペンの売り上げも領地の収入になっている。儲かっているんじゃないか?

「ココ、えんぴつは利益度外視なんだ」
「ロディ兄さま、そうなんですか?」
「えんぴつは文字を勉強する切っ掛けになればと思っているからね」

 なるほど。領地でも無料で配っていたもんな。この国の識字率を上げる為か。
 文字が書けない読めないナタリーさんが、えんぴつで練習して書けるようになったらガラスペンを使いたくなったんだ。
 それが良い例だよ。みんな書ける様になったら次はペンを使いたくなる。そんな時にガラスペンはとても使いやすいんだ。
 まさか、貴族達の贈り物に使われるとは思わなかったんだけど。
 ガラスに凝った細工をしている物もあるらしい。
 元はガラスだ。しかもほんの少しで良いんだ。そう価格が高くなってしまう物でもない。それが、貴族向けになると違う。凝った装飾がつき色や形も多種多様になり良いお値段の贈り物になる。普段そんな飾りのついたペンを使うのか? と、思ってしまう様な装飾のあるものまで売られていた。もう、俺の手を離れたんだから文句はない。
 流通されているのならそれでいいさ。

「暫く待機だね」

 ロディ兄がそう言った。城の状況だ。なにしろ情報が少ない。入ってこない。
 おかしいところは確かにあるのに、掴めない。一体誰が何をしているのか? 何が目的なのか?
 母の兄、イーヴェル伯父さんやロディ兄、父やバルト兄まで毎日色んなところで調べたりしているのだが、情報が入ってこない。
 無闇に動いてこっちの尻尾を捕まれるのもよくない。と、言う事で、暫く待機となった。
 俺は暇になったから、何をしようか?

「ココ! ヒマか!?」
「おう」

 煩いのがやって来たぞ。

「ココ、ヒデーな」
「キリシマ何? どうしたの?」
「裏で対戦しようぜッ!」
「しないわよ」
「なんでだよ、じーちゃん達もいるぜ?」

 本当に脳筋なんだから。動いていないと死んじゃうかの様にずっと何やら動いている。マグロなのか? ほら、泳ぎを止めると酸欠状態で窒息死してしまうって言うじゃん?

「ココ、お前何言ってんだ?」
「なんでもないわよ」

 そんな日常を送りながら数日経った頃だ。突然、第1王子からお呼びが掛かったんだ。

「ココ、気を抜いてはいけないよ」
「はい、ロディ兄さま」

 と、俺達はまた祖父母に連れられて城に来ている。今日は謁見の間ではなく、普通に応接室の様な部屋に通された。豪華なソファーだ。うん、座り心地も良いぞ。
 一体何だろう? 急に呼び出されると不安だ。また手に汗握るぜ。
 ドアが開き、第1王子が入ってきた。おや? 一緒にいるのは誰だ?

「セーデルマン侯爵、夫人、呼び出してすまないな。ロディシスやココアリア嬢もよく来てくれた」
「私は第2王子のニコルクス・ヴェルムナンドだ。今日は同席させてもらいます」

 なんと、第2王子殿下だった。ニコルクス・ヴェルムナンド殿下。柔らかそうなダークブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳で、第1王子に比べると少し頼りなげに見える。これは、姉が『少し頼りない』と話していたから先入観だろうか。
 そんな事を思っていると、いつの間にか人払いをされていた。部屋の中には2人のメイドさんのみが残っている……て、あれ? あれれ? うちのメイドさん達じゃね? 俺、一緒にオヤツ食べた覚えがあるぞ。
 俺がじっと見ていたら、2人はウインクした。やっぱそうじゃん。王子の側にまで入り込んでいるのかよ!?


   ☆            ☆            ☆

読んで頂きありがとうございます。
今日はハルちゃん考え中です。実は編集作業が忙しかったので、全然書けていないのです💦
投稿するにしても遅くになります。
申し訳ありません!
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感想 73

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