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第6章 王都
188ー感度良好でっす?
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「そんなにか!?」
「ココちゃん!?」
え? なんだよ。もうまた俺やり過ぎちゃったか? でも、安心じゃね? これを持っているだけで多少の事は大丈夫だぜ。
「出来るだけ目立たないのが良いな。第1王子殿下にお持ち頂こうと思う。今日解呪した側近達もだ」
「はい、お祖父さま。じゃあ、ネックレスが良いですね。服の中に隠せます」
俺は出した魔石の中からネックレスタイプを選んで見せる。小さな魔石を幾つも繋げてある。形も色々だ。可愛らしく花の様に繋げた物もあれば、シンプルに1本に繋げた物まで色々だ。王子殿下ならシンプルな物が良いんじゃないか?
じーちゃんはそれらを手に取ってみる。
「それでも効果は変わりないのか?」
「はい、関係ありませんよ」
「じゃあ、それをイーヴェルに持たせよう」
「お祖父さま達も持っていて下さる方が安心です」
「ココ、そうかい?」
「はい。あのお城では何があってもおかしくありませんから」
ちゃんと全員鑑定眼でみた訳ではないが、城にいる殆どの人、いや、もしかしたら全員解呪が必要なのかも知れないぞ。そんなレベルだった。あの時、第1王子に付いていた人達、俺達が四阿でお茶をしている間、控えていた人達は全員だった。
どうすんだよ。クリスティー先生に相談したいなぁ。あ、通信機器を考えておくんだった。いつでもどこにいても話せるような魔道具をさ。しくったなぁ。
「ココ、クリスティー先生かい?」
「はい。城の人達ですが、かなりの人達に解呪が必要です。そんなのどうすれば良いのか、あたしには分かりません」
「元は何なのだろう?」
「お祖父さま、元ですか?」
「ああ、元だよ。精神干渉なりをしてきている根源だ」
そうか、何だろう? 俺には分からないな。王妃とか見てみれば分かるのかな?
「超美味かったなー! 俺あれ好きだぞ!」
「ワッハッハッハ! キリシマは甘党だな!」
「じーちゃんだって食ってたじゃねーか」
ああ、また廊下が騒がしい。霧島とじーちゃん達だ。食べ終わったみたいだな。本当、もう少し声を抑えられないかね? じーちゃんといい霧島といい、父といい……て、あれ? 今日も父を見ていないぞ? どうしたんだろう?
「ココ、父上は父上で動いているんだよ」
「そうなのですか?」
秘密にできない人なのに、大丈夫なのか?
「ハハハ、兄上が付いているから大丈夫だろう……多分」
多分とか言っちゃったよ。目線も逸らされてしまった。ちょっと不安が残るんだね。その気持ちは俺にも分かるぞ。
「ココ、食べたか?」
大きな声で話しながらじーちゃん達が部屋に入ってきた。
「はい、お祖父さま。美味しかったです」
「美味かったなー!」
「キリシマ、また食べていたのね」
「アン!」
「ノワも食べたの? 美味しかった?」
「アンアン」
フハハ、ノワは可愛い。俺の癒しだよ。抱っこしようっと。ああ、癒されるぜ。
「そうだ、キリシマ。大勢の人を一度に解呪できないの?」
「そりゃ、時と場合によるぜ。城の人間か?」
霧島がフワリフワリと俺の肩に止まってきた。
「そう。あの場にいた人達みんな解呪が必要だったでしょう?」
「そうだな……ココ、解呪する時に何を考えてる?」
「何も」
「何も考えてないのかよ!」
「うん、何も」
「今度解呪する時にだな、元に返してやるぜっ! て思いながらやってみ?」
「え? 呪いを返すって事?」
「おう、もし近くにいたら分かるぞ」
「なるほど」
霧島は知識が豊富だ。クリスティー先生とは違った角度から切り込んでくる。ドラゴンならではなのだろうか? 精神干渉だったにしろ、呪いだったにしろ根源に返すか。考えた事もなかったぞ。人を呪わば穴二つって事だな。
「キリシマ、クリスティー先生と念話ができるだろう?」
「おう、できるぜ」
なんだと!?
「クリスティー先生とはいつでも念話で話せるぜ」
信じらんねー! 自慢気に腕組んでんじゃねーぞ。俺はそんな事知らなかったぞ。
「なんだよ、ココ」
「クリスティー先生に相談したかったのよ」
「複数の人を解呪する方法か?」
「そう」
「ちょっと待てよ」
と、キリシマが言った。きっと、領地にいるクリスティー先生と念話で話しているのだろう。
「ココ、俺と念話で話す時みたいにクリスティー先生を思い浮かべて話してみ?」
「クリスティー先生を? そうしたらあたしもクリスティー先生と念話ができるの?」
「ココの魔力量なら大丈夫だろうって事だ。試してみるんだ」
「分かったわ」
クリスティー先生と念話で話せるなんて超便利だぜ。
俺はちょっと息を吐いて集中した。
『クリスティー先生、聞こえますか?』
『はいッ、感度良好でっす』
ブハハ、久しぶりのクリスティー先生だ。相変わらずだなぁ。
『お変わりない様で良かったでっす』
『クリスティー先生も。そっちは大丈夫ですか?』
『ええ、なんともありませんよ。心配はいりません』
良かった。影武者がバレてから気になっていたんだ。
『シゲ爺もいますからねッ』
クリスティー先生とシゲ爺がいるなら、大抵の事は大丈夫だとは思うんだけど。心配だったんだ。
『キリシマから定期的に連絡は受けていたんですよ』
え、そうなのか? あいつ、何も言わなかったぞ。
『キリシマは彼なりにココ様を心配しているのですよ』
そうかなぁ~。
『ふふふ。そうなのでっす』
『お前らなぁ、俺様をネタにすんじゃねーよ』
「キリシマ、クリスティー先生と連絡を取っているなんて聞いてなかったわよ」
「まあ、な」
なんだよ、その煮え切らない返事はよ。
「ココ、キリシマなりの心遣いだよ」
「ロディ兄さまも知っていたのですか?」
「ごめんよ。定期的に報告をしてもらってたんだ」
そうだったのかよ。母達が無事かどうか位は教えて欲しかったぜ。マジで心配していたからな。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます!
今日は後ほど、ハルちゃん投稿します。
宜しくお願いします!
「ココちゃん!?」
え? なんだよ。もうまた俺やり過ぎちゃったか? でも、安心じゃね? これを持っているだけで多少の事は大丈夫だぜ。
「出来るだけ目立たないのが良いな。第1王子殿下にお持ち頂こうと思う。今日解呪した側近達もだ」
「はい、お祖父さま。じゃあ、ネックレスが良いですね。服の中に隠せます」
俺は出した魔石の中からネックレスタイプを選んで見せる。小さな魔石を幾つも繋げてある。形も色々だ。可愛らしく花の様に繋げた物もあれば、シンプルに1本に繋げた物まで色々だ。王子殿下ならシンプルな物が良いんじゃないか?
じーちゃんはそれらを手に取ってみる。
「それでも効果は変わりないのか?」
「はい、関係ありませんよ」
「じゃあ、それをイーヴェルに持たせよう」
「お祖父さま達も持っていて下さる方が安心です」
「ココ、そうかい?」
「はい。あのお城では何があってもおかしくありませんから」
ちゃんと全員鑑定眼でみた訳ではないが、城にいる殆どの人、いや、もしかしたら全員解呪が必要なのかも知れないぞ。そんなレベルだった。あの時、第1王子に付いていた人達、俺達が四阿でお茶をしている間、控えていた人達は全員だった。
どうすんだよ。クリスティー先生に相談したいなぁ。あ、通信機器を考えておくんだった。いつでもどこにいても話せるような魔道具をさ。しくったなぁ。
「ココ、クリスティー先生かい?」
「はい。城の人達ですが、かなりの人達に解呪が必要です。そんなのどうすれば良いのか、あたしには分かりません」
「元は何なのだろう?」
「お祖父さま、元ですか?」
「ああ、元だよ。精神干渉なりをしてきている根源だ」
そうか、何だろう? 俺には分からないな。王妃とか見てみれば分かるのかな?
「超美味かったなー! 俺あれ好きだぞ!」
「ワッハッハッハ! キリシマは甘党だな!」
「じーちゃんだって食ってたじゃねーか」
ああ、また廊下が騒がしい。霧島とじーちゃん達だ。食べ終わったみたいだな。本当、もう少し声を抑えられないかね? じーちゃんといい霧島といい、父といい……て、あれ? 今日も父を見ていないぞ? どうしたんだろう?
「ココ、父上は父上で動いているんだよ」
「そうなのですか?」
秘密にできない人なのに、大丈夫なのか?
「ハハハ、兄上が付いているから大丈夫だろう……多分」
多分とか言っちゃったよ。目線も逸らされてしまった。ちょっと不安が残るんだね。その気持ちは俺にも分かるぞ。
「ココ、食べたか?」
大きな声で話しながらじーちゃん達が部屋に入ってきた。
「はい、お祖父さま。美味しかったです」
「美味かったなー!」
「キリシマ、また食べていたのね」
「アン!」
「ノワも食べたの? 美味しかった?」
「アンアン」
フハハ、ノワは可愛い。俺の癒しだよ。抱っこしようっと。ああ、癒されるぜ。
「そうだ、キリシマ。大勢の人を一度に解呪できないの?」
「そりゃ、時と場合によるぜ。城の人間か?」
霧島がフワリフワリと俺の肩に止まってきた。
「そう。あの場にいた人達みんな解呪が必要だったでしょう?」
「そうだな……ココ、解呪する時に何を考えてる?」
「何も」
「何も考えてないのかよ!」
「うん、何も」
「今度解呪する時にだな、元に返してやるぜっ! て思いながらやってみ?」
「え? 呪いを返すって事?」
「おう、もし近くにいたら分かるぞ」
「なるほど」
霧島は知識が豊富だ。クリスティー先生とは違った角度から切り込んでくる。ドラゴンならではなのだろうか? 精神干渉だったにしろ、呪いだったにしろ根源に返すか。考えた事もなかったぞ。人を呪わば穴二つって事だな。
「キリシマ、クリスティー先生と念話ができるだろう?」
「おう、できるぜ」
なんだと!?
「クリスティー先生とはいつでも念話で話せるぜ」
信じらんねー! 自慢気に腕組んでんじゃねーぞ。俺はそんな事知らなかったぞ。
「なんだよ、ココ」
「クリスティー先生に相談したかったのよ」
「複数の人を解呪する方法か?」
「そう」
「ちょっと待てよ」
と、キリシマが言った。きっと、領地にいるクリスティー先生と念話で話しているのだろう。
「ココ、俺と念話で話す時みたいにクリスティー先生を思い浮かべて話してみ?」
「クリスティー先生を? そうしたらあたしもクリスティー先生と念話ができるの?」
「ココの魔力量なら大丈夫だろうって事だ。試してみるんだ」
「分かったわ」
クリスティー先生と念話で話せるなんて超便利だぜ。
俺はちょっと息を吐いて集中した。
『クリスティー先生、聞こえますか?』
『はいッ、感度良好でっす』
ブハハ、久しぶりのクリスティー先生だ。相変わらずだなぁ。
『お変わりない様で良かったでっす』
『クリスティー先生も。そっちは大丈夫ですか?』
『ええ、なんともありませんよ。心配はいりません』
良かった。影武者がバレてから気になっていたんだ。
『シゲ爺もいますからねッ』
クリスティー先生とシゲ爺がいるなら、大抵の事は大丈夫だとは思うんだけど。心配だったんだ。
『キリシマから定期的に連絡は受けていたんですよ』
え、そうなのか? あいつ、何も言わなかったぞ。
『キリシマは彼なりにココ様を心配しているのですよ』
そうかなぁ~。
『ふふふ。そうなのでっす』
『お前らなぁ、俺様をネタにすんじゃねーよ』
「キリシマ、クリスティー先生と連絡を取っているなんて聞いてなかったわよ」
「まあ、な」
なんだよ、その煮え切らない返事はよ。
「ココ、キリシマなりの心遣いだよ」
「ロディ兄さまも知っていたのですか?」
「ごめんよ。定期的に報告をしてもらってたんだ」
そうだったのかよ。母達が無事かどうか位は教えて欲しかったぜ。マジで心配していたからな。
☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます!
今日は後ほど、ハルちゃん投稿します。
宜しくお願いします!
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