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第5章 王都へ
149ー入れるのか?
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「ココ、何言ってんだ。普通に親子喧嘩だぜ。まだ可愛らしいもんだ。ワッハッハ!」
え……小さくされて力も制限されて、その上汚い卵みたいなところに閉じ込められていたんだぞ。かなり酷くないか? まあ、霧島がそれだけの事をしたからなんだろうが。
だが、その霧島の父ドラゴンはなんと若い頃に母親と喧嘩してドラゴンブレスを放ったらしい。
「親父は街を1つ壊滅させたらしいぞ」
「え……マジ?」
「ああ、大マジだ。そん時に母親にこてんぱんにやっつけられて叱られたんだと。それからドラゴンブレスを使う時は一度考えるようになったって言ってたぞ」
なんとッ! エンシェントドラゴンの親子喧嘩は街が壊滅する規模らしい。しかも母ドラゴンとの喧嘩でだ。怖い怖い。
だから今回は霧島へのお仕置きなのか?
確かにドラゴンブレスを放ったり、こてんぱんにやっつけられたりするよりはマシなのか?
「親父はまだ優しい方だ」
「……そうなの」
言葉が出ないな。
霧島とそんな話をしながらやっと次の街が見えてきた。
すると、馬車に乗ったメイドさん達が歌を歌い出した。
「ピクニックみたいね」
俺はまたディオシスじーちゃんの馬に乗せてもらっていた。もちろん、男の子に変装している。父やじーちゃん達もちょっとだけ裕福そうな平民の格好をしている。そうは見えないけどな。だってみんな帯剣してるし、ガタイは良いし。どっちかっていうと護衛の冒険者だ。
「次の街は、うちとは相反する領主が治めているんだ」
「お祖父さま、相反するですか?」
「そうだよ。だからといって喧嘩したり仲が悪い訳ではないんだ。ただ、考え方と言うか思想が違うんだね」
ディオシスじーちゃんが話してくれた『相反する』領主。
うちは歴代が貴族や領民も皆一緒に安心して生活できるようにがモットーらしい。
「安心して生活できる事がどれだけ有難い事なのか、あの辺境の地で育ったココなら少しは分かるだろう?」
もちろん分かる。いつ何時魔物に奪われるか分からないんだからな。安心して生活できるという事は大切だ。
「次の街の領主はね、先ず貴族である自分達が潤う生活をと考える人なんだ。そんな事を言えるのも、強い魔物が出ないからだね」
なるほど。
「でも、お祖父さま。いつも、貴族は民の為にあると、民あっての国だと教わりました」
「そうだね。その通りだ。民がいないと国とは言えないだろう? 実際に民達も税を納めているんだ。それによって国が動いている。そんな事も考えないのだろうね」
貴族だからといって偉い訳ではない。偶々、貴族に生まれただけだとじーちゃんは言う。
俺は、前世の平和な世界の経験もあるからか、貴族だ平民だと思う気持ちが薄い様に思う。
選挙の度に政治家が訴える。国民の為にと。それが完璧に為されているのかは知らないが、でもそれと同じなんだな。
「その事とメイドさん達が歌い出した事と、どう関係があるのですか?」
「それはね。ほら、変装しているだろう? メイド達は旅芸人の変装をしている。自分達は旅芸人だとアピールしているんだろうね。ココは馬車に戻って大人しくしていなさい」
と、ディオシスじーちゃんに下ろされちゃった。
でも、そういう事か。なるほどね。俺もあっちのメイドさん達の仲間に入れてくれないかなぁ。
メイドのお姉さん達、いつもは皆同じ黒のメイド服で髪を後ろで1つにまとめている。メイドだからそれが定番なのだろう。
でも、今は旅芸人だ。皆、長い髪をおろしてカラフルな衣装に身を包んでいる。化粧もいつもとは違うのか? 超可愛いんだよ。いつもより若くて色っぺー。
「みんな楽しんでますねぇ」
「て、サキだってそうじゃん」
そうなんだよ。咲だって変装している。踊り子の様なヘソ出しルックだ。この世界でそれは大丈夫なのか?
超張り切ってるじゃん。俺に付いてる使用人って設定じゃなかったか? その変装は必要か? て、話だ。
「ふふふぅ。だって1度こんな格好をしてみたかったんですぅ」
そうかよ、もう何も言わねーよ。
「お嬢、言っても無駄ッスよ。あれ、気に入ってんス」
「リュウ、分かってるさ」
「そうッスか」
「リュウだって気に入ってるだろ?」
「え、何スか? 俺、変ッスか?」
いや、変じゃないよ。変じゃないけどさ。
何故か隆は遊び人の様な、いや吟遊詩人みたいなラフな格好をしている。後ろの長い上着を着て、長い羽根のついた帽子まで被っている。どうしてそれをチョイスした? 俺は未だにお前達姉弟が分からんぞ。隆だって俺に付いてる使用人の筈だぞ。
「ミリーさん達に適当にって頼んだらこうなったんスよ。なんでも俺は髪が派手だからと言われたッス」
「髪が派手だと吟遊詩人なの?」
「知らないッス」
あ、そう。もうなんでもいいよ。
そろそろ街に入る門だ。こんな集団、無事に通過できんのか? 前の街は、父と仲の良い領主だったから大丈夫だったんじゃないのか?
マジでさ、怪しい集団じゃね? 絶対に止められるぜ。
「お嬢、今日は宿に泊まれますからベッドで眠れるッスよ。フカフカだったらいいッスね」
隆、今からベッドの心配かよ。俺はそんな事より無事に通過できるかが心配だよ。
「お嬢さまぁ、大丈夫ですよぅ」
本当かよ? なんて思っていたんだが、何も言われず無事に通過した。超スムーズだったよ。
門番の兵達にメイドさん達が愛想を振り撒いている。
じゃあね~なんて言いながら手を振っている。こら、門番。鼻の下を伸ばしてんじゃねーぞ。
「ありがとぉ~!」
なんて言っている。甘いぜ。甘すぎるぞ。俺なら絶対に止めるね。チェックしまくるぞ。
え……小さくされて力も制限されて、その上汚い卵みたいなところに閉じ込められていたんだぞ。かなり酷くないか? まあ、霧島がそれだけの事をしたからなんだろうが。
だが、その霧島の父ドラゴンはなんと若い頃に母親と喧嘩してドラゴンブレスを放ったらしい。
「親父は街を1つ壊滅させたらしいぞ」
「え……マジ?」
「ああ、大マジだ。そん時に母親にこてんぱんにやっつけられて叱られたんだと。それからドラゴンブレスを使う時は一度考えるようになったって言ってたぞ」
なんとッ! エンシェントドラゴンの親子喧嘩は街が壊滅する規模らしい。しかも母ドラゴンとの喧嘩でだ。怖い怖い。
だから今回は霧島へのお仕置きなのか?
確かにドラゴンブレスを放ったり、こてんぱんにやっつけられたりするよりはマシなのか?
「親父はまだ優しい方だ」
「……そうなの」
言葉が出ないな。
霧島とそんな話をしながらやっと次の街が見えてきた。
すると、馬車に乗ったメイドさん達が歌を歌い出した。
「ピクニックみたいね」
俺はまたディオシスじーちゃんの馬に乗せてもらっていた。もちろん、男の子に変装している。父やじーちゃん達もちょっとだけ裕福そうな平民の格好をしている。そうは見えないけどな。だってみんな帯剣してるし、ガタイは良いし。どっちかっていうと護衛の冒険者だ。
「次の街は、うちとは相反する領主が治めているんだ」
「お祖父さま、相反するですか?」
「そうだよ。だからといって喧嘩したり仲が悪い訳ではないんだ。ただ、考え方と言うか思想が違うんだね」
ディオシスじーちゃんが話してくれた『相反する』領主。
うちは歴代が貴族や領民も皆一緒に安心して生活できるようにがモットーらしい。
「安心して生活できる事がどれだけ有難い事なのか、あの辺境の地で育ったココなら少しは分かるだろう?」
もちろん分かる。いつ何時魔物に奪われるか分からないんだからな。安心して生活できるという事は大切だ。
「次の街の領主はね、先ず貴族である自分達が潤う生活をと考える人なんだ。そんな事を言えるのも、強い魔物が出ないからだね」
なるほど。
「でも、お祖父さま。いつも、貴族は民の為にあると、民あっての国だと教わりました」
「そうだね。その通りだ。民がいないと国とは言えないだろう? 実際に民達も税を納めているんだ。それによって国が動いている。そんな事も考えないのだろうね」
貴族だからといって偉い訳ではない。偶々、貴族に生まれただけだとじーちゃんは言う。
俺は、前世の平和な世界の経験もあるからか、貴族だ平民だと思う気持ちが薄い様に思う。
選挙の度に政治家が訴える。国民の為にと。それが完璧に為されているのかは知らないが、でもそれと同じなんだな。
「その事とメイドさん達が歌い出した事と、どう関係があるのですか?」
「それはね。ほら、変装しているだろう? メイド達は旅芸人の変装をしている。自分達は旅芸人だとアピールしているんだろうね。ココは馬車に戻って大人しくしていなさい」
と、ディオシスじーちゃんに下ろされちゃった。
でも、そういう事か。なるほどね。俺もあっちのメイドさん達の仲間に入れてくれないかなぁ。
メイドのお姉さん達、いつもは皆同じ黒のメイド服で髪を後ろで1つにまとめている。メイドだからそれが定番なのだろう。
でも、今は旅芸人だ。皆、長い髪をおろしてカラフルな衣装に身を包んでいる。化粧もいつもとは違うのか? 超可愛いんだよ。いつもより若くて色っぺー。
「みんな楽しんでますねぇ」
「て、サキだってそうじゃん」
そうなんだよ。咲だって変装している。踊り子の様なヘソ出しルックだ。この世界でそれは大丈夫なのか?
超張り切ってるじゃん。俺に付いてる使用人って設定じゃなかったか? その変装は必要か? て、話だ。
「ふふふぅ。だって1度こんな格好をしてみたかったんですぅ」
そうかよ、もう何も言わねーよ。
「お嬢、言っても無駄ッスよ。あれ、気に入ってんス」
「リュウ、分かってるさ」
「そうッスか」
「リュウだって気に入ってるだろ?」
「え、何スか? 俺、変ッスか?」
いや、変じゃないよ。変じゃないけどさ。
何故か隆は遊び人の様な、いや吟遊詩人みたいなラフな格好をしている。後ろの長い上着を着て、長い羽根のついた帽子まで被っている。どうしてそれをチョイスした? 俺は未だにお前達姉弟が分からんぞ。隆だって俺に付いてる使用人の筈だぞ。
「ミリーさん達に適当にって頼んだらこうなったんスよ。なんでも俺は髪が派手だからと言われたッス」
「髪が派手だと吟遊詩人なの?」
「知らないッス」
あ、そう。もうなんでもいいよ。
そろそろ街に入る門だ。こんな集団、無事に通過できんのか? 前の街は、父と仲の良い領主だったから大丈夫だったんじゃないのか?
マジでさ、怪しい集団じゃね? 絶対に止められるぜ。
「お嬢、今日は宿に泊まれますからベッドで眠れるッスよ。フカフカだったらいいッスね」
隆、今からベッドの心配かよ。俺はそんな事より無事に通過できるかが心配だよ。
「お嬢さまぁ、大丈夫ですよぅ」
本当かよ? なんて思っていたんだが、何も言われず無事に通過した。超スムーズだったよ。
門番の兵達にメイドさん達が愛想を振り撒いている。
じゃあね~なんて言いながら手を振っている。こら、門番。鼻の下を伸ばしてんじゃねーぞ。
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なんて言っている。甘いぜ。甘すぎるぞ。俺なら絶対に止めるね。チェックしまくるぞ。
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