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第5章 王都へ
145ー何でだ?
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「どうしてこんなになるまで盗賊団を捕まえられなかったのかだ」
「ロディ兄さま?」
「街を守っている兵達がいる。街には冒険者ギルドもあった。なのにここまでなのはおかしいね」
「殿下」
冒険者ギルド、あったのか? 俺は全然気がつかなかった。
大きな街だ。辺境に1番近い街だから、他所に比べると魔物討伐のクエストもあって冒険者も多く滞在しているのだそうだ。
大店の仕入れだとかになると、冒険者に護衛を依頼するのだそうだ。それでも、盗賊団に襲われた。それだけ手強い盗賊団だったのだろうか?
それにしては、父とじーちゃんがアッサリと捕縛してきたよな。俺には分からんな。
「お嬢さまぁ、まだまだお子ちゃまですからぁ」
「うっせーよ」
「ふふふぅ」
実際、そうなんだ。この世界では、まだまだお子ちゃまだから知らない事が多い。悔しいけどな。
ロディ兄と王子は父達を待っていた。
だが、なかなか戻って来ない。領主邸には戻っている筈だ。どうしたのだろう?
「もしかして、父上も気付いたか?」
「ロディ、そうかも知れないね」
何だ? 何の事なんだよ。教えてくれよ。
「ココ、どうして今まで盗賊団を捕まえられなかったのかだね」
「兄さま、それは逃げ足が速いからと伯爵様が……」
「そうだね」
「それだけではないだろうね」
「殿下……」
「尋問しているのかも知れない」
「そうだね」
昼食が終わってもまだ父達は戻って来なかった。
「何をしているのかしら?」
「お嬢、多分尋問ッスよ」
「それは兄さまも言ってらしたわ」
「だから時間が掛かってるんスよ」
「だからね、何の尋問をしているのかって事よ」
「そりゃあ、色々っス」
なんだよ、もしかして隆も分かっているのか? 分かってないのって俺だけ?
「お嬢さまぁ、お茶でも入れましょうかぁ?」
「いいわ、サキ。庭でも散歩するわ」
「はいですぅ」
「お嬢、じっとしてらんない性分ッスよね」
うっせーんだよ。じっと待っているのが苦手なんだよ。
庭に出たら、ディオシスじーちゃんとノワ、それに霧島がいた。
「ココ、どうした。何考え込んでんだ?」
「アウゥ?」
「なんでもないわ。父さま達が遅いなぁって思って」
そういいながらノワの頭を撫でる。千切れんばかりに尻尾を振っている。ああ、癒されるぜ。
「ココ、まだ尋問中みたいだ」
「ディオシスお祖父さま、長くないですか?」
「色々あるのだろう」
「また、色々ですか?」
「どうした?」
その色々が俺には分からない。ロディ兄と王子は分かっているみたいだが、俺だけ分からないとディオシスじーちゃんに話した。
「なんだ、そんな事か。ココは令嬢なんだしまだ幼い。分からなくて当然なんだよ」
「だってお祖父さま、わたしだけ分からないのは嫌です」
「アハハハ、その内分かるさ」
だからさぁ、俺は今知りたいんだ。
「ココ、ロディは何と言っていた?」
「兄さまは……」
どうして今まで盗賊団を捕まえられなかったか。と言っていた。逃げ足が速いだけではないのだろう。そんな口ぶりだった。
だから、どういう事なんだ?
「ヒントはロディが言っているよ」
「お祖父さま、分かりません」
「アハハハ。じゃあ大人しく待っていなさい」
なんだよ、じーちゃんも教えてくれないんだ。
そんな事をしていたら、裏から父とユリシスじーちゃんが歩いてきた。
「父さま、ユリシスお祖父さま」
「なんだ、ココどうしたッ!」
うん、相変わらず声が大きい。
「父さま、盗賊団を尋問したのですか?」
「ああ」
「ココ、また後でなッ!」
それだけ言って、父とユリシスじーちゃんは邸に入って行った。
「ココ、行こう」
「え? ディオシスお祖父さま、いいのですか?」
「ああ。その目でしっかりと見ると良い」
「はい、お祖父さま」
なんだか分からんが、ハッキリするらしい。
俺はディオシスじーちゃんに連れられて父の後を追った。
どうやら応接室で伯爵と話しているらしい。父の大きな声が聞こえる。
「これはイカンぞッ!」
「街の腐敗につながるッ!」
父もユリシスじーちゃんも大きな声で憤慨している。
何があったのだろう?
そこに街の兵が数人呼ばれたらしく、部屋に入って行った。
「衛兵の責任者だね」
「なかなか捕まえられなかったからですか?」
俺は、ディオシスじーちゃんと部屋の外で見ていた。
なんだか、入り難い空気なんだよな。
「なんとッ! 気付いていなかったのかぁッ!?」
また父の大きな声だ。
そしてまた衛兵が3人入って行った。呼ばれたのかな?
「濡れ衣だ! 俺は知らない!」
今度は兵らしき声が聞こえた。なんだ? どうしたんだ?
「ココ、よく考えてみなさい。衛兵の責任者が呼ばれた。その後で、2人の兵に挟まれながらまた兵が入って行った。そして、あの言葉だ」
父が、街の腐敗に繋がると言っていた。知らなかったのかとも。そして兵達。
「ロディ兄さま?」
「街を守っている兵達がいる。街には冒険者ギルドもあった。なのにここまでなのはおかしいね」
「殿下」
冒険者ギルド、あったのか? 俺は全然気がつかなかった。
大きな街だ。辺境に1番近い街だから、他所に比べると魔物討伐のクエストもあって冒険者も多く滞在しているのだそうだ。
大店の仕入れだとかになると、冒険者に護衛を依頼するのだそうだ。それでも、盗賊団に襲われた。それだけ手強い盗賊団だったのだろうか?
それにしては、父とじーちゃんがアッサリと捕縛してきたよな。俺には分からんな。
「お嬢さまぁ、まだまだお子ちゃまですからぁ」
「うっせーよ」
「ふふふぅ」
実際、そうなんだ。この世界では、まだまだお子ちゃまだから知らない事が多い。悔しいけどな。
ロディ兄と王子は父達を待っていた。
だが、なかなか戻って来ない。領主邸には戻っている筈だ。どうしたのだろう?
「もしかして、父上も気付いたか?」
「ロディ、そうかも知れないね」
何だ? 何の事なんだよ。教えてくれよ。
「ココ、どうして今まで盗賊団を捕まえられなかったのかだね」
「兄さま、それは逃げ足が速いからと伯爵様が……」
「そうだね」
「それだけではないだろうね」
「殿下……」
「尋問しているのかも知れない」
「そうだね」
昼食が終わってもまだ父達は戻って来なかった。
「何をしているのかしら?」
「お嬢、多分尋問ッスよ」
「それは兄さまも言ってらしたわ」
「だから時間が掛かってるんスよ」
「だからね、何の尋問をしているのかって事よ」
「そりゃあ、色々っス」
なんだよ、もしかして隆も分かっているのか? 分かってないのって俺だけ?
「お嬢さまぁ、お茶でも入れましょうかぁ?」
「いいわ、サキ。庭でも散歩するわ」
「はいですぅ」
「お嬢、じっとしてらんない性分ッスよね」
うっせーんだよ。じっと待っているのが苦手なんだよ。
庭に出たら、ディオシスじーちゃんとノワ、それに霧島がいた。
「ココ、どうした。何考え込んでんだ?」
「アウゥ?」
「なんでもないわ。父さま達が遅いなぁって思って」
そういいながらノワの頭を撫でる。千切れんばかりに尻尾を振っている。ああ、癒されるぜ。
「ココ、まだ尋問中みたいだ」
「ディオシスお祖父さま、長くないですか?」
「色々あるのだろう」
「また、色々ですか?」
「どうした?」
その色々が俺には分からない。ロディ兄と王子は分かっているみたいだが、俺だけ分からないとディオシスじーちゃんに話した。
「なんだ、そんな事か。ココは令嬢なんだしまだ幼い。分からなくて当然なんだよ」
「だってお祖父さま、わたしだけ分からないのは嫌です」
「アハハハ、その内分かるさ」
だからさぁ、俺は今知りたいんだ。
「ココ、ロディは何と言っていた?」
「兄さまは……」
どうして今まで盗賊団を捕まえられなかったか。と言っていた。逃げ足が速いだけではないのだろう。そんな口ぶりだった。
だから、どういう事なんだ?
「ヒントはロディが言っているよ」
「お祖父さま、分かりません」
「アハハハ。じゃあ大人しく待っていなさい」
なんだよ、じーちゃんも教えてくれないんだ。
そんな事をしていたら、裏から父とユリシスじーちゃんが歩いてきた。
「父さま、ユリシスお祖父さま」
「なんだ、ココどうしたッ!」
うん、相変わらず声が大きい。
「父さま、盗賊団を尋問したのですか?」
「ああ」
「ココ、また後でなッ!」
それだけ言って、父とユリシスじーちゃんは邸に入って行った。
「ココ、行こう」
「え? ディオシスお祖父さま、いいのですか?」
「ああ。その目でしっかりと見ると良い」
「はい、お祖父さま」
なんだか分からんが、ハッキリするらしい。
俺はディオシスじーちゃんに連れられて父の後を追った。
どうやら応接室で伯爵と話しているらしい。父の大きな声が聞こえる。
「これはイカンぞッ!」
「街の腐敗につながるッ!」
父もユリシスじーちゃんも大きな声で憤慨している。
何があったのだろう?
そこに街の兵が数人呼ばれたらしく、部屋に入って行った。
「衛兵の責任者だね」
「なかなか捕まえられなかったからですか?」
俺は、ディオシスじーちゃんと部屋の外で見ていた。
なんだか、入り難い空気なんだよな。
「なんとッ! 気付いていなかったのかぁッ!?」
また父の大きな声だ。
そしてまた衛兵が3人入って行った。呼ばれたのかな?
「濡れ衣だ! 俺は知らない!」
今度は兵らしき声が聞こえた。なんだ? どうしたんだ?
「ココ、よく考えてみなさい。衛兵の責任者が呼ばれた。その後で、2人の兵に挟まれながらまた兵が入って行った。そして、あの言葉だ」
父が、街の腐敗に繋がると言っていた。知らなかったのかとも。そして兵達。
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