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第4章 立ち向かう
138ー驚いた
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俺は本当に目先の事しか考えてないんだな、と反省したよ。何かって?
ロディ兄だ。この兄がだ、前に話していた文字の一覧表とえんぴつをセットで領地内の各家庭に配布したんだ。
言い出しっぺの俺は、そんな事すっかり忘れていたよ。あれから、ロディ兄はしっかりと準備していたんだ。ガラスペンの売れ行きも上々だった。その収益を当てたらしい。
俺は少し安く売ってくれれば良いかなぁ、て程度に考えていたんだ。それが、各家庭に1セットだが無償配布したんだ。
やるね、ロディ兄。
そして、子供用の一覧表と絵本の作成も着々と進んでいた。領地内で絵心のある人を人伝に何人も探し出し、俺が描いたものを手本に作成していたんだ。
びっくりだね。そうなんだ、これだけでも驚いていたのにだ。
「お嬢様! がっつり褒めてくださいッ!」
と、言っているのはナタリーさんだ。
俺がマジックバッグ製作やなんやかんやで暫く作業場に来られなかった間に、大量の下着セットを作っていたんだ。
「本当に驚いたわ」
「ロディ様が取り敢えず森の近くに住んでいる人達から配布したいと仰っていたので頑張りました!」
ミリーさんもう無理しないでくれよ。
「お嬢様、それだけじゃないですよ! ジャジャーン!」
と、言ってルリアさんが出してきたのは父や兄、王子の上着とホワイトシャツにトラウザーズだ。
「上着しか飾りは出来なかったんですけど、同じ生地で作っています。これなら公の場にも着て行けますでしょう?」
と、マニューさん。これ、生地を織るのも飾りだって大変だっただろうに。
「王都へ行かれると聞きました。何があるか分からないので、出来る事はしておきたかったのです」
「ミリーさん、みんな、ありがとう!」
「奥様とお嬢様のドレスも生地を提供してますからね!」
「ええ、ありがとう!」
もう、ありがとうとしか言葉が出ないよ。こんなに頑張って無理したんじゃないのか?
「お嬢様達がお留守の間はゆっくりさせてもらいますよ」
本当だよ、ミリーさん。みんな、ゆっくりしてくれよ。
いやいや、それだけじゃないぞ。
「ちょっとマニューさん、この生地どうやったの!? 柄が浮き出ているじゃない!」
「ふふふ。気付きましたか?」
そりゃあ気付くさ。父達の上着に使っている生地だ。よく見ると柄が織り込まれているんだ。これは凄い!
「ルイソさんですよ」
「え、ミリーさん。ルイソさんが考えたの?」
「考えただけでなく、実践してくれたんですよ」
「え? マニューさん、意味が分からない!」
マニューさんの話によると、ルイソさんが……
「試したい事があるんですねぇ。1台織機を使わせて欲しいのですねぇ」
と、突然言ってきたのだそうだ。幸い、織機がフル活動している時じゃなかった。
「構いませんよ」
と、貸したらしい。そして暫く試行錯誤していたそうなんだが、織れた生地を見て驚いたんだそうだ。柄が織り込まれている。どうやったんだ? と、早速教えてもらったらしい。
「実は同系色で微妙に色が違うんですよ。あ、違うわ。ルイソさんが言うには糸の艶が違うそうなんです」
凄いな、そんな糸まで作り出していたのかよ!?
「その糸を柄になるように使うんです。あんまりうまく説明できませんけど」
いや、俺も聞いてもよく分からないよ。天才は違うね。て、思うさ。
「この飾りに使っている糸ももしかしてそうなの?」
「そうなんですねぇ」
ミリーさん、口調がルイソ爺さんになってるぞ。
「なんでも、糸に綺麗な艶が出せたから飾りに使えると言ってきたんですよ」
ルイソ爺さん、どこまで先を読んでいるんだ?
「ルイソ爺さんって天才よね」
「本当ですねぇ」
艶が違うなんて、餌で調節しているんだろうけど。何を食べさせたら艶が出るんだよ。俺にはさっぱり分からんぞ。それを思いつくルイソ爺さんて、本当に何者なんだ?
「お野菜といえばルイソさんだったんですけどぉ」
「サキ、そうなの?」
「はいぃ、領地のお野菜はみんなルイソさんが改良をしたものですからぁ」
「そうなんだ」
「でもぉ、もうお野菜はやり尽くしたんでしょうねぇ」
え、そんな問題か?
「新しい事に目がいってるんじゃないですかぁ?」
「そう?」
「いえぇ、知りませんけどぉ」
なんだよ、それ。適当かよ。
「エヘッ」
あ、誤魔化したな。
なんでもいいや。とにかく、凄い事をしているんだって分かったよ。
「お嬢様、後ですね」
え、まだあるのか?
「メイドさん達やお嬢様の街娘風の普段着も作ってみたんです」
「ミリーさん、凄い!」
「サキさんがデザインを描いてくれたのでパターンから作ったんですよ」
「いつの間にそんな事をしていたの?」
「お嬢さまはぁ、マジックバッグを作るのに大変そうでしたからぁ」
まあな、丸3日掛かってしまったからな。
「みんな頑張りましたよ。気をつけて行ってらして下さいね」
「そうです。今回は危険だと聞きました」
「無事に帰ってきて下さいね」
「帰ってらしたらまた一緒に甘いおやつを食べましょうねッ」
「みんな、ありがとう!」
よく頑張ってくれたよ。本当に感謝だ。ありがとう。
ロディ兄だ。この兄がだ、前に話していた文字の一覧表とえんぴつをセットで領地内の各家庭に配布したんだ。
言い出しっぺの俺は、そんな事すっかり忘れていたよ。あれから、ロディ兄はしっかりと準備していたんだ。ガラスペンの売れ行きも上々だった。その収益を当てたらしい。
俺は少し安く売ってくれれば良いかなぁ、て程度に考えていたんだ。それが、各家庭に1セットだが無償配布したんだ。
やるね、ロディ兄。
そして、子供用の一覧表と絵本の作成も着々と進んでいた。領地内で絵心のある人を人伝に何人も探し出し、俺が描いたものを手本に作成していたんだ。
びっくりだね。そうなんだ、これだけでも驚いていたのにだ。
「お嬢様! がっつり褒めてくださいッ!」
と、言っているのはナタリーさんだ。
俺がマジックバッグ製作やなんやかんやで暫く作業場に来られなかった間に、大量の下着セットを作っていたんだ。
「本当に驚いたわ」
「ロディ様が取り敢えず森の近くに住んでいる人達から配布したいと仰っていたので頑張りました!」
ミリーさんもう無理しないでくれよ。
「お嬢様、それだけじゃないですよ! ジャジャーン!」
と、言ってルリアさんが出してきたのは父や兄、王子の上着とホワイトシャツにトラウザーズだ。
「上着しか飾りは出来なかったんですけど、同じ生地で作っています。これなら公の場にも着て行けますでしょう?」
と、マニューさん。これ、生地を織るのも飾りだって大変だっただろうに。
「王都へ行かれると聞きました。何があるか分からないので、出来る事はしておきたかったのです」
「ミリーさん、みんな、ありがとう!」
「奥様とお嬢様のドレスも生地を提供してますからね!」
「ええ、ありがとう!」
もう、ありがとうとしか言葉が出ないよ。こんなに頑張って無理したんじゃないのか?
「お嬢様達がお留守の間はゆっくりさせてもらいますよ」
本当だよ、ミリーさん。みんな、ゆっくりしてくれよ。
いやいや、それだけじゃないぞ。
「ちょっとマニューさん、この生地どうやったの!? 柄が浮き出ているじゃない!」
「ふふふ。気付きましたか?」
そりゃあ気付くさ。父達の上着に使っている生地だ。よく見ると柄が織り込まれているんだ。これは凄い!
「ルイソさんですよ」
「え、ミリーさん。ルイソさんが考えたの?」
「考えただけでなく、実践してくれたんですよ」
「え? マニューさん、意味が分からない!」
マニューさんの話によると、ルイソさんが……
「試したい事があるんですねぇ。1台織機を使わせて欲しいのですねぇ」
と、突然言ってきたのだそうだ。幸い、織機がフル活動している時じゃなかった。
「構いませんよ」
と、貸したらしい。そして暫く試行錯誤していたそうなんだが、織れた生地を見て驚いたんだそうだ。柄が織り込まれている。どうやったんだ? と、早速教えてもらったらしい。
「実は同系色で微妙に色が違うんですよ。あ、違うわ。ルイソさんが言うには糸の艶が違うそうなんです」
凄いな、そんな糸まで作り出していたのかよ!?
「その糸を柄になるように使うんです。あんまりうまく説明できませんけど」
いや、俺も聞いてもよく分からないよ。天才は違うね。て、思うさ。
「この飾りに使っている糸ももしかしてそうなの?」
「そうなんですねぇ」
ミリーさん、口調がルイソ爺さんになってるぞ。
「なんでも、糸に綺麗な艶が出せたから飾りに使えると言ってきたんですよ」
ルイソ爺さん、どこまで先を読んでいるんだ?
「ルイソ爺さんって天才よね」
「本当ですねぇ」
艶が違うなんて、餌で調節しているんだろうけど。何を食べさせたら艶が出るんだよ。俺にはさっぱり分からんぞ。それを思いつくルイソ爺さんて、本当に何者なんだ?
「お野菜といえばルイソさんだったんですけどぉ」
「サキ、そうなの?」
「はいぃ、領地のお野菜はみんなルイソさんが改良をしたものですからぁ」
「そうなんだ」
「でもぉ、もうお野菜はやり尽くしたんでしょうねぇ」
え、そんな問題か?
「新しい事に目がいってるんじゃないですかぁ?」
「そう?」
「いえぇ、知りませんけどぉ」
なんだよ、それ。適当かよ。
「エヘッ」
あ、誤魔化したな。
なんでもいいや。とにかく、凄い事をしているんだって分かったよ。
「お嬢様、後ですね」
え、まだあるのか?
「メイドさん達やお嬢様の街娘風の普段着も作ってみたんです」
「ミリーさん、凄い!」
「サキさんがデザインを描いてくれたのでパターンから作ったんですよ」
「いつの間にそんな事をしていたの?」
「お嬢さまはぁ、マジックバッグを作るのに大変そうでしたからぁ」
まあな、丸3日掛かってしまったからな。
「みんな頑張りましたよ。気をつけて行ってらして下さいね」
「そうです。今回は危険だと聞きました」
「無事に帰ってきて下さいね」
「帰ってらしたらまた一緒に甘いおやつを食べましょうねッ」
「みんな、ありがとう!」
よく頑張ってくれたよ。本当に感謝だ。ありがとう。
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