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第4章 立ち向かう
137ーマジックバッグを作ろう 2
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翌日、ロディ兄がマジックバッグ用のバッグを揃えてくれた。話していた通り、領主隊には剣帯に着けられる小さなポーチだ。驚いた事に、メイドさんや従者達もそのサイズが良いと希望を出してきた。
「うちは皆戦うからだろうね」
と、ロディ兄が言っていた。そのロディ兄やバルト兄、そして父も同じサイズだ。結局ポーチは全員にだった。そして、一緒に行く料理班は別途ボストンバッグ程度のバッグを用意する事になった。
予め、大量の食料を作って其々のポーチにも入れたいらしい。
もちろん、王都までの道中何も作らないという訳にはいかない。だから食料品や調理器具も持って行く。その為のバッグらしい。
「ココ様、お上手になりましたねッ」
「クリスティー先生、有難うございます」
「今のココ様が作ったマジックバッグなら先日作った物より容量が大きいでしょうね」
「本当ですか?」
「はい、お上手でっす」
ヘヘヘ、褒められちゃったよ。でも、俺って付与ばかりしていないか? まあ、今回のマジックバッグは言い出しっぺだけどさ。
「お嬢さまぁ、でも料理人が喜んでましたよぅ」
「そう?」
「はいぃ。なんせ沢山入りますし時間停止ですからねぇ」
「そりゃそうか」
いつでも何処でも新鮮な食料が使えるんだからな。
でも、マジックバッグの製作は誰にも手伝ってもらえない。クリスティー先生と2人でせっせと作っている。
「皆、ココ様程の魔力量はありませんからね。仕方ないでっす」
はい。仕方ないですね。頑張りまっす。あ、また語尾がうつっちゃった。
そうして、マジックバッグ製作に丸3日掛かって王都へ行く全員の分を作った。
父に兄、じーちゃん達そしてメイドさんに侍従達、それから領主隊とじーちゃん達の兵の分だ。俺、超頑張ったよ。
準備もそろそろ出来ただろう頃の昼下がり。談話室にみんな集まっている。
ティータイムだ。おやつタイムだね。
今日のおやつは何だ? おぉッ、アップルパイじゃん! 俺大好きだよ。
シナモンを入れて砂糖で甘く煮たりんごとカスタードクリームが入っている。パイ生地がサックサクで中身がしっとり甘酸っぱい。美味いなぁ。
「どうやって王都まで行くかですが」
ああ、甘酸っぱいりんごとカスタードクリームのバランスが絶妙だよ。
「ココ、聞いているか?」
「え? バルト兄さま、何ですか?」
「ココ、だからね。王都までどうやって行くかだ」
「兄さま、馬です」
「ココ……」
え? 俺変な事言ったか?
「まあ、単純なココだから仕方ない。多分うちは見張られているんだ。うちが総出で王都へ向かったとなったら必ず追手がつくだろう。襲撃される事も考えられる。王都まで誤魔化せるとは思わないが、少しでもその目を逸らしたいんだ」
なるほどね。うん、ウマウマだ。
「ココ、アップルパイに夢中だね」
「ロディ兄さま、だってとっても美味しいです」
「そうだね」
「ふふふ」
あ、また王子に笑われちゃったぞ。
「変装でもしますか?」
「ココ、どんな変装をするんだい?」
「そうですねぇ~、人数も多いですからぁ……」
「そうなんだよ。捕らえた者達を護送する隊は堂々と王都へ向かうけどね」
「旅芸人にでもなりますか?」
なんてな。そんな訳にはいかないさ。
「旅芸人か……」
「ロディ……」
「兄上、良いかも知れませんね」
「ああ、そうだな」
え? マジ!? 俺、超適当に言ったんだけど。
「人数が多くても不思議じゃないだろう? それに、道中本当に歌ったりしようか?」
「ですね。メイド達も張り切るんじゃないですか?」
うわ、本気かよ。それから急に皆が張り切りだした。メイドさんや従者の中では誰が付いていくのか争奪戦になったらしい。俺はよく知らないけど。
どうして、そんな事で張り切るかなぁ。面白がってないか?
「ハハハ、皆変化が欲しいのじゃないか?」
「ロディ兄さま、そうですか?」
「いや、よく理解できないけどね」
だよな。俺もよく理解できないぞ。
領主隊からは兄や王子の代わりをする人間が選ばれた。遠目で見るとそう見えなくもないって程度だ。まあ、直ぐにバレるだろうね。
みんなテンションが変だよ。張り切っているけどさ、絶対にバレるぜ?
「ココ、良いんだよ。少しの間だけ誤魔化せればそれで良いんだ」
「まあ、それでも最低2~3日は稼ぎたいけどな」
こんな安直な案で2~3日も稼げんのか? とも思うが。
それからロディ兄はなんと幌馬車を改造しだした。勿論、ロディ兄が直接にではない。ドワーフの親方がだ。
「乗り心地は大事だろう?」
確かに。直ぐにお尻が痛くなるのは嫌だね。
「ココの大事な可愛いお尻を守らないとね」
いや、それを口に出すのは止めてほしい。一応、これでも女児だ。
そして、厨房も戦争だった。とにかく護送する領主隊の分は、十分な量を持たせたいと本当に沢山作ってはマジックバッグへガンガン入れていた。
みんな、張り切っているね。俺はマジックバッグを作ったからもうする事がないよ。
そうだ、可愛い子達と遊ぼう。と、裏に来ている。そして、また張り切っているのが奴だ。
「ブワッハッハッハ! 何回やっても一緒だぜ! じーちゃんもまだまだだなッ!」
そう、奴だ。霧島だ。今日はじーちゃんと対戦したらしい。
「本当にキリシマは強いなぁ」
「そりゃあこれでもドラゴンだからなッ!」
なんて言って胸を張っている。能力を解放しなければヘナチョコだったのに。
「ココ、それでも本当の俺の力と比べたら大した事ないんだぞ」
そりゃ、エンシェントドラゴンなんだもんな。今は小っせーけどさ。
それでも、クリスティー先生に感謝しろよ。
「分かってるっての!」
本当かよ。
「うちは皆戦うからだろうね」
と、ロディ兄が言っていた。そのロディ兄やバルト兄、そして父も同じサイズだ。結局ポーチは全員にだった。そして、一緒に行く料理班は別途ボストンバッグ程度のバッグを用意する事になった。
予め、大量の食料を作って其々のポーチにも入れたいらしい。
もちろん、王都までの道中何も作らないという訳にはいかない。だから食料品や調理器具も持って行く。その為のバッグらしい。
「ココ様、お上手になりましたねッ」
「クリスティー先生、有難うございます」
「今のココ様が作ったマジックバッグなら先日作った物より容量が大きいでしょうね」
「本当ですか?」
「はい、お上手でっす」
ヘヘヘ、褒められちゃったよ。でも、俺って付与ばかりしていないか? まあ、今回のマジックバッグは言い出しっぺだけどさ。
「お嬢さまぁ、でも料理人が喜んでましたよぅ」
「そう?」
「はいぃ。なんせ沢山入りますし時間停止ですからねぇ」
「そりゃそうか」
いつでも何処でも新鮮な食料が使えるんだからな。
でも、マジックバッグの製作は誰にも手伝ってもらえない。クリスティー先生と2人でせっせと作っている。
「皆、ココ様程の魔力量はありませんからね。仕方ないでっす」
はい。仕方ないですね。頑張りまっす。あ、また語尾がうつっちゃった。
そうして、マジックバッグ製作に丸3日掛かって王都へ行く全員の分を作った。
父に兄、じーちゃん達そしてメイドさんに侍従達、それから領主隊とじーちゃん達の兵の分だ。俺、超頑張ったよ。
準備もそろそろ出来ただろう頃の昼下がり。談話室にみんな集まっている。
ティータイムだ。おやつタイムだね。
今日のおやつは何だ? おぉッ、アップルパイじゃん! 俺大好きだよ。
シナモンを入れて砂糖で甘く煮たりんごとカスタードクリームが入っている。パイ生地がサックサクで中身がしっとり甘酸っぱい。美味いなぁ。
「どうやって王都まで行くかですが」
ああ、甘酸っぱいりんごとカスタードクリームのバランスが絶妙だよ。
「ココ、聞いているか?」
「え? バルト兄さま、何ですか?」
「ココ、だからね。王都までどうやって行くかだ」
「兄さま、馬です」
「ココ……」
え? 俺変な事言ったか?
「まあ、単純なココだから仕方ない。多分うちは見張られているんだ。うちが総出で王都へ向かったとなったら必ず追手がつくだろう。襲撃される事も考えられる。王都まで誤魔化せるとは思わないが、少しでもその目を逸らしたいんだ」
なるほどね。うん、ウマウマだ。
「ココ、アップルパイに夢中だね」
「ロディ兄さま、だってとっても美味しいです」
「そうだね」
「ふふふ」
あ、また王子に笑われちゃったぞ。
「変装でもしますか?」
「ココ、どんな変装をするんだい?」
「そうですねぇ~、人数も多いですからぁ……」
「そうなんだよ。捕らえた者達を護送する隊は堂々と王都へ向かうけどね」
「旅芸人にでもなりますか?」
なんてな。そんな訳にはいかないさ。
「旅芸人か……」
「ロディ……」
「兄上、良いかも知れませんね」
「ああ、そうだな」
え? マジ!? 俺、超適当に言ったんだけど。
「人数が多くても不思議じゃないだろう? それに、道中本当に歌ったりしようか?」
「ですね。メイド達も張り切るんじゃないですか?」
うわ、本気かよ。それから急に皆が張り切りだした。メイドさんや従者の中では誰が付いていくのか争奪戦になったらしい。俺はよく知らないけど。
どうして、そんな事で張り切るかなぁ。面白がってないか?
「ハハハ、皆変化が欲しいのじゃないか?」
「ロディ兄さま、そうですか?」
「いや、よく理解できないけどね」
だよな。俺もよく理解できないぞ。
領主隊からは兄や王子の代わりをする人間が選ばれた。遠目で見るとそう見えなくもないって程度だ。まあ、直ぐにバレるだろうね。
みんなテンションが変だよ。張り切っているけどさ、絶対にバレるぜ?
「ココ、良いんだよ。少しの間だけ誤魔化せればそれで良いんだ」
「まあ、それでも最低2~3日は稼ぎたいけどな」
こんな安直な案で2~3日も稼げんのか? とも思うが。
それからロディ兄はなんと幌馬車を改造しだした。勿論、ロディ兄が直接にではない。ドワーフの親方がだ。
「乗り心地は大事だろう?」
確かに。直ぐにお尻が痛くなるのは嫌だね。
「ココの大事な可愛いお尻を守らないとね」
いや、それを口に出すのは止めてほしい。一応、これでも女児だ。
そして、厨房も戦争だった。とにかく護送する領主隊の分は、十分な量を持たせたいと本当に沢山作ってはマジックバッグへガンガン入れていた。
みんな、張り切っているね。俺はマジックバッグを作ったからもうする事がないよ。
そうだ、可愛い子達と遊ぼう。と、裏に来ている。そして、また張り切っているのが奴だ。
「ブワッハッハッハ! 何回やっても一緒だぜ! じーちゃんもまだまだだなッ!」
そう、奴だ。霧島だ。今日はじーちゃんと対戦したらしい。
「本当にキリシマは強いなぁ」
「そりゃあこれでもドラゴンだからなッ!」
なんて言って胸を張っている。能力を解放しなければヘナチョコだったのに。
「ココ、それでも本当の俺の力と比べたら大した事ないんだぞ」
そりゃ、エンシェントドラゴンなんだもんな。今は小っせーけどさ。
それでも、クリスティー先生に感謝しろよ。
「分かってるっての!」
本当かよ。
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