136 / 249
第4章 立ち向かう
136ークリスティー先生は子供好き
しおりを挟む
「ココ様も成人する頃には今より魔力量が増えているでしょうからね」
成人する頃か。やっぱ早く大きくなりたい。じれったいよ。
「それまでは、今の歳のココ様を楽しんでください」
と、クリスティー先生はニッコリと俺に微笑みかけた。おお、イケメンだ。さすがエルフ。
「クリスティー先生、楽しむのですか?」
「そうでっす。8歳の今の時は2度とはないのですよ。8歳の感受性で足掻いてください。私達の様に長い時間を生きる者にとってはそんな風に思いますね。自分の8歳の頃なんてもう覚えてもいませんから」
8歳の今を楽しむか……
「分かりました、クリスティー先生」
「はい、ココ様は良い子でっす」
そうして、マジックバッグ製作はロディ兄が元になるバッグを手配してくれるまで待つことになった。
ああ、する事がなくなってしまったよ。よし、可愛い子達でも見に行こうかなと。
そう思ってクリスティー先生も一緒に裏へ向かっていた。そしたら裏から聞こえてきたよ。奴の声が。
「俺様に勝てるわけねーだろうッ! 1万年はえーぞッ!」
また偉そうに言っている。今度は何をしているんだ?
「シュンの鍛練に付き合っているのですよ」
「シュンですか?」
「そうでっす」
クリスティー先生はニコニコと平然としている。いやいや、シュンはまだ7歳だぞ。俺より1歳下なんだぞ。
「彼は身体能力がとっても高いですね。それに志がありまっす」
「志ですか?」
「はい。領主隊に入るという目標ですね」
ああ、言っていたな。そして、じーちゃん達みたいに強くカッコよくなるんだと。一緒に討伐に出るんだと。
「でも、まだノワちゃんの足元にも及びません」
「クリスティー先生、ノワはワンちゃんですよ」
「いえいえ、ブラックフェンリルですよ」
「そうでした」
「ふふふ。とは言っても、ノワちゃんは強いですね。この邸の誰よりも強いかも知れません」
「えぇッ?」
「そりゃそうでっす。ブラックフェンリルですから」
ブラックフェンリルってそんなに強いのか!? 俺、全然知らなかったよ。
「お嬢、森の守護者だと教えられたじゃないッスか」
「守護者って言ってもよく分かんないわよ」
「ふふふ。森に生息するどの魔物よりも強いという事ですね」
「え……」
ノワちゃん、可愛い見かけとちがってスゴイじゃん! 俺、びっくりだよ。
裏の鍛練場に行くとそのノワが走って来た。
「アンアンアン!」
「ノワ、今日も可愛い」
「アンアン! 『違うぞ、おれはカッコいいだ!』」
「ふふふ、カッコ可愛いわ」
「あんあん!」
ノワを抱っこする。このモフモフが、可愛いノワちゃんがどの魔物よりも強いんだと。ああ、世の中おかしいぞ。
「あーッ! ココさまー!」
シュンが手を振ってくれる。もう片方の手には木剣が握られている。
領主隊を目指すのは良いんだ。だが、剣を振るということは命のやり取りをするということなんだ。そんな事、まだシュンには分からない。なのに、良いのか? とも思ってしまう。
「ココ様、順に勉強していく事でしょう」
「クリスティー先生……」
「歳を重ねないと分からない事や、経験を重ねないと見えない事がありまっす。順にゆっくりと勉強していけば良いのでっす。まだまだ未来は沢山あるのですから」
そうだった。シュンはまだまだ子供だ。これから選べる未来も沢山あるんだ。
「ココ様もですよ。同じ子供でっす。ちょっとおてんばさんですけどねッ」
また、おてんばさんて言われちゃったよ。
母にも言われたし。俺そんな事はないと思うんだけどなぁ。
「お嬢、自分の事はよく見えないって言うッスね」
隆、煩いよ。
「ココ! どうしたッ!?」
「ユリシスお祖父さま、時間が空いてしまって」
「おうッ! なら一緒に鍛練するかッ!?」
いや、遠慮しとくよ。鍛練は1日1回で十分だよ。
と、裏の鍛練場にいたメンバーが、じーちゃん2人にシゲ爺、霧島だった。うん、いつものメンバーだね。シュン、こんな濃い人達の中に入って大丈夫なのか?
「じーちゃんもシゲ爺も超カッケーんだよ!」
そうかい、良かったね。そのメンバーの色に染まらない事を願うよ。
いつまでも可愛いシュンでいて欲しい。
「アキはどうしたの?」
「昼寝!」
ああ、なるほどね。アキの昼寝中はシュンが鍛練してるって言ってたね。
「ココ様、俺もっと強くなるからさ、そしたら相手してくれよなッ!」
「いいわよ~。でもわたしに勝てるかしら?」
「頑張るッ!」
ああ、もう返事まで可愛い!
いやいや、1歳下なだけだからね。勘違いするんじゃないよ。でも、シュンって幼いよな。猫耳があるから余計にそう思うのかな?
「成長速度が人間とは少し違う様ですね」
ほうほう。クリスティー先生は何でも知っているんだな。
「なによりシュンは素直で可愛いでっす」
うん、それには俺も大賛成だよ。本当に素直で可愛い。
「此処に来てすぐの頃は2人共夜中に泣いて起きたりしていたのでっす。今はもうそんな事もありませんけど」
ああ、そりゃそうだ。辛い事が多かっただろうに。
「シュンもアキもこれからでっす。此処に保護されて本当に良かったでっす」
そう言ってもらえると俺も嬉しい。母達が良く面倒を見てくれているお陰だよ。クリスティー先生もな。
「クリスティー先生、有難うございます」
「おや、何ですか?」
「先生もシュンやアキに色々して下さったと聞いています」
「ふふふ。私は子供が好きなのでっす。エルフは長命種ですが子供が少ないのですよ。ですので、本当に子供は可愛いでっす」
可愛いだけで世話はできないだろうに。クリスティー先生も有難う。
成人する頃か。やっぱ早く大きくなりたい。じれったいよ。
「それまでは、今の歳のココ様を楽しんでください」
と、クリスティー先生はニッコリと俺に微笑みかけた。おお、イケメンだ。さすがエルフ。
「クリスティー先生、楽しむのですか?」
「そうでっす。8歳の今の時は2度とはないのですよ。8歳の感受性で足掻いてください。私達の様に長い時間を生きる者にとってはそんな風に思いますね。自分の8歳の頃なんてもう覚えてもいませんから」
8歳の今を楽しむか……
「分かりました、クリスティー先生」
「はい、ココ様は良い子でっす」
そうして、マジックバッグ製作はロディ兄が元になるバッグを手配してくれるまで待つことになった。
ああ、する事がなくなってしまったよ。よし、可愛い子達でも見に行こうかなと。
そう思ってクリスティー先生も一緒に裏へ向かっていた。そしたら裏から聞こえてきたよ。奴の声が。
「俺様に勝てるわけねーだろうッ! 1万年はえーぞッ!」
また偉そうに言っている。今度は何をしているんだ?
「シュンの鍛練に付き合っているのですよ」
「シュンですか?」
「そうでっす」
クリスティー先生はニコニコと平然としている。いやいや、シュンはまだ7歳だぞ。俺より1歳下なんだぞ。
「彼は身体能力がとっても高いですね。それに志がありまっす」
「志ですか?」
「はい。領主隊に入るという目標ですね」
ああ、言っていたな。そして、じーちゃん達みたいに強くカッコよくなるんだと。一緒に討伐に出るんだと。
「でも、まだノワちゃんの足元にも及びません」
「クリスティー先生、ノワはワンちゃんですよ」
「いえいえ、ブラックフェンリルですよ」
「そうでした」
「ふふふ。とは言っても、ノワちゃんは強いですね。この邸の誰よりも強いかも知れません」
「えぇッ?」
「そりゃそうでっす。ブラックフェンリルですから」
ブラックフェンリルってそんなに強いのか!? 俺、全然知らなかったよ。
「お嬢、森の守護者だと教えられたじゃないッスか」
「守護者って言ってもよく分かんないわよ」
「ふふふ。森に生息するどの魔物よりも強いという事ですね」
「え……」
ノワちゃん、可愛い見かけとちがってスゴイじゃん! 俺、びっくりだよ。
裏の鍛練場に行くとそのノワが走って来た。
「アンアンアン!」
「ノワ、今日も可愛い」
「アンアン! 『違うぞ、おれはカッコいいだ!』」
「ふふふ、カッコ可愛いわ」
「あんあん!」
ノワを抱っこする。このモフモフが、可愛いノワちゃんがどの魔物よりも強いんだと。ああ、世の中おかしいぞ。
「あーッ! ココさまー!」
シュンが手を振ってくれる。もう片方の手には木剣が握られている。
領主隊を目指すのは良いんだ。だが、剣を振るということは命のやり取りをするということなんだ。そんな事、まだシュンには分からない。なのに、良いのか? とも思ってしまう。
「ココ様、順に勉強していく事でしょう」
「クリスティー先生……」
「歳を重ねないと分からない事や、経験を重ねないと見えない事がありまっす。順にゆっくりと勉強していけば良いのでっす。まだまだ未来は沢山あるのですから」
そうだった。シュンはまだまだ子供だ。これから選べる未来も沢山あるんだ。
「ココ様もですよ。同じ子供でっす。ちょっとおてんばさんですけどねッ」
また、おてんばさんて言われちゃったよ。
母にも言われたし。俺そんな事はないと思うんだけどなぁ。
「お嬢、自分の事はよく見えないって言うッスね」
隆、煩いよ。
「ココ! どうしたッ!?」
「ユリシスお祖父さま、時間が空いてしまって」
「おうッ! なら一緒に鍛練するかッ!?」
いや、遠慮しとくよ。鍛練は1日1回で十分だよ。
と、裏の鍛練場にいたメンバーが、じーちゃん2人にシゲ爺、霧島だった。うん、いつものメンバーだね。シュン、こんな濃い人達の中に入って大丈夫なのか?
「じーちゃんもシゲ爺も超カッケーんだよ!」
そうかい、良かったね。そのメンバーの色に染まらない事を願うよ。
いつまでも可愛いシュンでいて欲しい。
「アキはどうしたの?」
「昼寝!」
ああ、なるほどね。アキの昼寝中はシュンが鍛練してるって言ってたね。
「ココ様、俺もっと強くなるからさ、そしたら相手してくれよなッ!」
「いいわよ~。でもわたしに勝てるかしら?」
「頑張るッ!」
ああ、もう返事まで可愛い!
いやいや、1歳下なだけだからね。勘違いするんじゃないよ。でも、シュンって幼いよな。猫耳があるから余計にそう思うのかな?
「成長速度が人間とは少し違う様ですね」
ほうほう。クリスティー先生は何でも知っているんだな。
「なによりシュンは素直で可愛いでっす」
うん、それには俺も大賛成だよ。本当に素直で可愛い。
「此処に来てすぐの頃は2人共夜中に泣いて起きたりしていたのでっす。今はもうそんな事もありませんけど」
ああ、そりゃそうだ。辛い事が多かっただろうに。
「シュンもアキもこれからでっす。此処に保護されて本当に良かったでっす」
そう言ってもらえると俺も嬉しい。母達が良く面倒を見てくれているお陰だよ。クリスティー先生もな。
「クリスティー先生、有難うございます」
「おや、何ですか?」
「先生もシュンやアキに色々して下さったと聞いています」
「ふふふ。私は子供が好きなのでっす。エルフは長命種ですが子供が少ないのですよ。ですので、本当に子供は可愛いでっす」
可愛いだけで世話はできないだろうに。クリスティー先生も有難う。
78
お気に入りに追加
2,977
あなたにおすすめの小説
ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました
星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる