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第3章 領地の防御
109ー子供用の一覧表
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『ココ! おれ、スゴイッ!? 上手!?』
「ええ、本当にお利口さんなのね。それに、その身体能力に魔法まで使えるなんて!」
『おれ、フェンリルだから風魔法が得意なんだ!』
「そうなの!? フェンリルって風魔法が得なの? 知らなかったわ」
「ココ、フェンリルは風の女神様の加護を受けていると言われているんだ」
「そっか、本当に森の守護者なんだ」
『おれも一緒に悪い奴等をやっつける!』
「やだぁ~!! ノワったらカッコいい!!」
『おれ、かっこいい!?』
「ええ、すっごくカッコいいわ!」
本当はすっごく可愛いんだけどな。ノワの頭をナデナデする。ハハハ。本当、癒されるぜ。
「リュウ、笛の意味をしっかり覚えさせてよ」
「そうッスよね。便利ッス」
便利とか言ってるし。でも、この先何かあった時にノワも笛の意味を知っていると良いよな。羊飼いの犬みたいな感じか? うん、確かに便利だ。
さて、ノワの訓練はリュウ達に任せておこう。霧島と違って優秀だし。ノワの首輪も必要だな。
俺は咲と作業場に戻る。いい加減に領主隊の隊服のパターンを仕上げたいんだ。後は、じーちゃんの兵達みたいに外注しても良いよな。その方が早く出来そうだ。
「お嬢様、領主隊の隊服ですか?」
「そうよ。パターンさえ作っておけばこれも外注しても良いかと思って」
「そうですね。その方が早いかも知れません」
「でしょう? で、細々した発注はこっちで仕上げちゃう程度にしておけばね」
「はい、今隊服を作ってくれている店もその方が良いでしょうし」
「そうなのよ。うちで全部作っちゃうと業務妨害になっちゃうわ」
「お嬢さまぁ、業務妨害とは違いますぅ」
「そうだけどさ、隊服の発注がなくなっちゃうと死活問題でしょう?」
「そうですねぇ、奥様のドレス関係と一緒ですねぇ」
「ああ、そうですね。奥様のドレスもですね。私達作りたかったのですけど」
「ふふふ、ありがとう」
そうなんだよな。うちと取引している店との関係もなくせないからな。
母の普段着用のドレス数着位だったら良いだろうけど、俺が手を出した事で影響がでる事は最小限にしたい。領地の経済を良くするのが目的なのに、店の経営が悪くなったりしたら元も子もない。
「お嬢様、基本のパターンを作ってもらえれば後は私が作りますよ」
「ええ、ありがとう。お願いね」
本当、ミリーさん出来る人だね。先回りしてフォローしてくれる。助かるよ。
俺がパターンを作り終えて邸に戻ろうと歩いていると前からロディ兄の従者ランスがやってきた。
「お嬢様、丁度良かったです」
「ランス、どうしたの?」
「ロディ様がお呼びですよ」
「なにかしら?」
「絵本です」
「ああ、描いてほしいと言われてたわね」
「それです」
「分かったわ」
ロディ兄の執務室へ行くとクリスティー先生もいた。
「ココ様、お待ちしてましたよ」
おう、待たなくても良いよ。
「ココ様……」
おっと、俺はよく読まれちゃうんだった。
特にこのイケメンエルフのクリスティー先生は俺の気持ちを適格に読む。
「ココ、絵本なんだけどね」
「はい、兄さま。描きますか?」
「ああ。文字を覚える大きな一覧表があっただろう。あれも頼みたいんだ」
「はい、兄さま。どっちを先に描きますか?」
「ココ、子供用の絵付きの文字の一覧表を先に頼めるかい? あれを国内の教会に配布する事になりそうなんだ」
「え? 国内ですか? 領地内の教会ではなく?」
国内だと? 国内に教会がいくつあるんだよ? 俺、そんなにたくさん描くのか? 何でそんな話しになったんだ?
「ココ様、領地内の教会には私が持って行きました」
「クリスティー先生、じゃあうちで保護している子達には?」
「もう覚えてしまったのですよ」
「え、早ッ」
「ココ、またそんな言葉使いをして」
「ごめんなさい」
「でもココ様、こっちの子供達の部屋にも貼っておきたいのでまた描いてほしいのでっす」
「それは構いませんが。どうして国内の教会にまで話が大きくなったのですか?」
「クリスティー先生が教会に持って行ったからだよ」
ロディ兄の話によると。
クリスティー先生が気軽に持って行った文字の一覧表。それを教会に併設されている孤児院に貼ったそうなんだ。そしたら、子供達が珍しがって競って覚えたらしい。それを見ていた司教様。これは各教会に是非とも欲しいと仰ったそうだ。
施設に入っている孤児達は大きくなったら独り立ちをしないといけない。大抵はどこかに住み込みで働く事になるのだそうだが、その時に少しでも武器になるだろうという事だ。
孤児の癖にと差別されてしまう。それを少しでも無くしたい。無くす為に良いきっかけになるのではないかと考えたそうだ。
いいじゃん。孤児だからと馬鹿にして差別していた大人より文字が読めたりすると面白いじゃん。
「ココ、面白いとかじゃなくね」
「はい、ごめんなさい」
本当、どうして俺はこんなに読まれてしまうんだ?
「お嬢さまは表情を見ればだいたい分かりますよぅ」
そうか。覚えておくよ。
「ええ、本当にお利口さんなのね。それに、その身体能力に魔法まで使えるなんて!」
『おれ、フェンリルだから風魔法が得意なんだ!』
「そうなの!? フェンリルって風魔法が得なの? 知らなかったわ」
「ココ、フェンリルは風の女神様の加護を受けていると言われているんだ」
「そっか、本当に森の守護者なんだ」
『おれも一緒に悪い奴等をやっつける!』
「やだぁ~!! ノワったらカッコいい!!」
『おれ、かっこいい!?』
「ええ、すっごくカッコいいわ!」
本当はすっごく可愛いんだけどな。ノワの頭をナデナデする。ハハハ。本当、癒されるぜ。
「リュウ、笛の意味をしっかり覚えさせてよ」
「そうッスよね。便利ッス」
便利とか言ってるし。でも、この先何かあった時にノワも笛の意味を知っていると良いよな。羊飼いの犬みたいな感じか? うん、確かに便利だ。
さて、ノワの訓練はリュウ達に任せておこう。霧島と違って優秀だし。ノワの首輪も必要だな。
俺は咲と作業場に戻る。いい加減に領主隊の隊服のパターンを仕上げたいんだ。後は、じーちゃんの兵達みたいに外注しても良いよな。その方が早く出来そうだ。
「お嬢様、領主隊の隊服ですか?」
「そうよ。パターンさえ作っておけばこれも外注しても良いかと思って」
「そうですね。その方が早いかも知れません」
「でしょう? で、細々した発注はこっちで仕上げちゃう程度にしておけばね」
「はい、今隊服を作ってくれている店もその方が良いでしょうし」
「そうなのよ。うちで全部作っちゃうと業務妨害になっちゃうわ」
「お嬢さまぁ、業務妨害とは違いますぅ」
「そうだけどさ、隊服の発注がなくなっちゃうと死活問題でしょう?」
「そうですねぇ、奥様のドレス関係と一緒ですねぇ」
「ああ、そうですね。奥様のドレスもですね。私達作りたかったのですけど」
「ふふふ、ありがとう」
そうなんだよな。うちと取引している店との関係もなくせないからな。
母の普段着用のドレス数着位だったら良いだろうけど、俺が手を出した事で影響がでる事は最小限にしたい。領地の経済を良くするのが目的なのに、店の経営が悪くなったりしたら元も子もない。
「お嬢様、基本のパターンを作ってもらえれば後は私が作りますよ」
「ええ、ありがとう。お願いね」
本当、ミリーさん出来る人だね。先回りしてフォローしてくれる。助かるよ。
俺がパターンを作り終えて邸に戻ろうと歩いていると前からロディ兄の従者ランスがやってきた。
「お嬢様、丁度良かったです」
「ランス、どうしたの?」
「ロディ様がお呼びですよ」
「なにかしら?」
「絵本です」
「ああ、描いてほしいと言われてたわね」
「それです」
「分かったわ」
ロディ兄の執務室へ行くとクリスティー先生もいた。
「ココ様、お待ちしてましたよ」
おう、待たなくても良いよ。
「ココ様……」
おっと、俺はよく読まれちゃうんだった。
特にこのイケメンエルフのクリスティー先生は俺の気持ちを適格に読む。
「ココ、絵本なんだけどね」
「はい、兄さま。描きますか?」
「ああ。文字を覚える大きな一覧表があっただろう。あれも頼みたいんだ」
「はい、兄さま。どっちを先に描きますか?」
「ココ、子供用の絵付きの文字の一覧表を先に頼めるかい? あれを国内の教会に配布する事になりそうなんだ」
「え? 国内ですか? 領地内の教会ではなく?」
国内だと? 国内に教会がいくつあるんだよ? 俺、そんなにたくさん描くのか? 何でそんな話しになったんだ?
「ココ様、領地内の教会には私が持って行きました」
「クリスティー先生、じゃあうちで保護している子達には?」
「もう覚えてしまったのですよ」
「え、早ッ」
「ココ、またそんな言葉使いをして」
「ごめんなさい」
「でもココ様、こっちの子供達の部屋にも貼っておきたいのでまた描いてほしいのでっす」
「それは構いませんが。どうして国内の教会にまで話が大きくなったのですか?」
「クリスティー先生が教会に持って行ったからだよ」
ロディ兄の話によると。
クリスティー先生が気軽に持って行った文字の一覧表。それを教会に併設されている孤児院に貼ったそうなんだ。そしたら、子供達が珍しがって競って覚えたらしい。それを見ていた司教様。これは各教会に是非とも欲しいと仰ったそうだ。
施設に入っている孤児達は大きくなったら独り立ちをしないといけない。大抵はどこかに住み込みで働く事になるのだそうだが、その時に少しでも武器になるだろうという事だ。
孤児の癖にと差別されてしまう。それを少しでも無くしたい。無くす為に良いきっかけになるのではないかと考えたそうだ。
いいじゃん。孤児だからと馬鹿にして差別していた大人より文字が読めたりすると面白いじゃん。
「ココ、面白いとかじゃなくね」
「はい、ごめんなさい」
本当、どうして俺はこんなに読まれてしまうんだ?
「お嬢さまは表情を見ればだいたい分かりますよぅ」
そうか。覚えておくよ。
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