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第3章 領地の防御

107ー母のオーダー

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「あッ! ココ、メイド服も可愛いぞぉッ!」
「え、もう着ているのですか?」

 この部屋に来る直前にメイドさんへ渡したところだぞ?

「ココちゃん、もうみんな着ているわよ」
「母さま」

 母もやってきた。メイドさんが2人付いて来た。新しいメイド服を着ている。

「ほんと、可愛いですね」
「お嬢さまぁ~、あたしも着替えてきても良いですかぁ?」

 咲、そうだよね。

「良いわよ。終わったら部屋に戻るわ」
「はいぃ!」

 そりゃ、自分でアレンジして可愛くなったメイド服だからね。早く着たいだろうな。
 咲がいそいそと部屋を出て行った。

「サキはきっと暗器も装備しないといけないからね」
「ロディ兄さま、やめてください」
「ハハハ。サキだけじゃなかったね。うちのメイドさんはみんな戦えるメイドさん達だからね」

 え、やっぱそうなのか!? じゃあ、みんなスカートの中とかに投げナイフとかを隠しているのか?
 と、メイドさん達を見ると、ニッコリされちゃった。やべー、これは本当に隠しているよ。

「あとは、お義父様達の分かしら?」
「母さま、父さまと兄さま達の分もです」
「ココちゃん、どんな感じになるの?」
「領主隊は今までと同じモスグリーンがメインです。父さま達は黒ですね。お祖父さま達も黒なので家族は黒に統一しました。それにモスグリーンのアクセントが入ります」
「いいね。で、お祖父様達の隊服は外部に依頼するんだろう?」
「はい、お祖父さま2人とシゲ爺の分だけうちで作ります」
「え!? ココちゃん、シゲ爺もなの?」
「はい、母さま。でもシゲ爺は戦闘服じゃないですよ。防御と付与はありますけど」
「まあ、普段着に防御なのね。ふふふ。シゲ爺らしいわ」
「シゲ爺は普段から魔物を間引いてくれているからね」

 やっぱ本当だったんだ。シゲ爺、できる爺さんだぜ。

「なんだ? もうそんな事まで決まっているのかッ!?」
「父上、きっとカッコいい隊服ができますよ」
「ロディ! そうかそうかッ!」
「父上、またこんなところで……て、あれ? みんなお揃いですか?」

 バルト兄までやってきた。きっと父が抜け出してきたのだろう。ペンを口実にさ。

「いや、バルト。ロディにペンをもらってな」
「もう、父上は目を離すとすぐに部屋を出て行くから……」
「バルト、あなたも座らない?」

 メイドさんがお茶を出してくれる。ロディ兄の執務室なのに家族が揃ってしまったよ。談話室じゃないんだからさ。でもやっぱ、父とバルト兄がいると安心感が違う。

「ロディ、俺もあのペンが欲しいんだけど」
「兄上、もう予備を父上に差し上げましたよ」
「あら、私の予備の分もエリアちゃんに送っちゃったわ」
「えぇー、俺の方が書類を沢山書いているのに」
「バルト! それは人聞きが悪いぞッ!」
「父上、本当の事ですから」

 おやおや、バルト兄の方が真面目に執務をしているらしい。エリアちゃんとは王都の学園にいる姉の事だ。

「ココちゃん、ノワちゃんは一緒じゃないの?」
「え? さあ? シゲ爺かお祖父さまやリュウと一緒じゃないですか?」
「もう、ノワちゃんまでシゲ爺に懐いているの?」

 までとは?

「シュンとアキもね、シゲ爺に懐いているのよ」

 ああ、そう言えば一緒にいたな。シゲ爺、小汚い爺さんなのに何故だ?

「ぶどう畑で育てる方が良いかしら?」
「母上、まだ決めるのは早いでしょう」
「ロディ、そうかしら?」
「はい、全部見て経験させてからですね」
「そうだわね、それよりココちゃん」
「はい、母さま」

 なんだ? まだ何かあるのか?

「私も欲しいわ」

 え……!? もう何もない筈なんだが?

「母さま、何をですか?」
「だからね、ココちゃんとお揃がいいわ」
「母さま、もしかして戦闘服ですか?」
「ええ、だって私だけないのですもの。そんなの嫌よ」

 嫌よって……

「父さま、ロディ兄さま……」
「ああ! そうだなッ! ココと揃いが良いなッ!」

 いやいや、父ったら何を言っているんだ?

「ココ、母さまはそういう人だよ?」
「ロディ兄さま、でも……」
「ココ、母上も辺境伯一家だ」
「バルト兄さま、分かりました! 作りますッ!」
「ココちゃん、ありがとう! ココちゃんのスカートは3段のフリルだったでしょう? 私のはもう1段増やしてちょうだい。もう少し長い方が良いのよ。それとフード付きのマントも欲しいわ」

 ああもう、好きにしてくれ。まさか、母から戦闘服を強請られるとは思わなかったよ。

「それとね、ココちゃん。従者服を忘れているわ」
「あ……」

 本当だ。忘れてたッ! メイド服にばかり気を取られていてすっかり忘れていたぜ。
 俺は一旦部屋に戻り、着替えを済ませた咲と一緒に作業場へと戻った。

「まさか、母さまが欲しいと言い出すなんて思いもしなかったわよ」
「ほんとですねぇ」
「ね、いつ着るのよ」
「ふふふぅ」
「それにリュウ達の従者服よ」
「ああ、そう言えば忘れていましたねぇ」
「でしょう?」

 作業場に戻ると皆フル活動だった。
 ああ、こんなに頑張ってくれているのに、また追加を言うのか……

「あら、サキさん。とっても可愛い!」

 生地を織りながらマニューさんが言う。

「え、どれどれ」

 と、ミリーさんが見に来た。

「いいですね、とっても可愛いですね」
「うんうん、このリボン型になっているポッケも可愛いですね」

 みんな女子だ。咲がモデルの様になっている。
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