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第3章 領地の防御
93ーお土産
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「まあ、パンケーキなの?」
「はい、母さま。トレントがメープルシロップを沢山落としたんです!」
「あら! ラッキーねッ!」
「そうですよねッ!」
母と2人で呑気な事を言ってるよ。皆の前にメイドさん達がパンケーキを並べてくれる。もちろん、メープルシロップもたっぷりとある。香ばしい良い香りがするぜ。
「ココ、マッシュも出たんだろう?」
「はい、兄さま。キノコも沢山拾ってきました」
「そう、じゃあ明日早速クリスティー先生に頼もう」
「兄さま、クリスティー先生ですか?」
「ああ。回復薬の作り方を教わるといいよ」
「え、それもクリスティー先生ですか?」
「そりゃそうだ、ココ。エルフなんだから」
「え? キリシマ。エルフは魔法なんでしょう?」
「回復薬を作ったりするのも得意だぜ」
「そうなんだ」
へえ~、よく知ってるなぁ。まあ、いいや。
「ほら、お腹すいてるでしょう? 沢山食べてね。これをかけると甘くて美味しいのよ」
俺は、側に座らせた猫獣人の兄妹の世話を焼く。
キュゥ~と小さなお腹の音がした。
「ふふふ。美味しそうでしょう?」
「う、うん」
「本当に食べても良いの?」
「いいわよ。沢山食べてね」
嬉しそうに2人はナイフとフォークを上手に使ってパンケーキを食べだした。
ホカホカでフワフワのパンケーキに生クリームが添えてある。そこに、バターを塗ってメープルシロップをたっぷりとかける。ナイフを入れるとふわっふわで柔らかい。これはメレンゲをしっかり泡立てたな。少し厚めのパンケーキだ。
「ココ、これかけるのか?」
「そうよ、キリシマ。切ってあげるわ」
「おう、頼むぜ」
霧島がフォークで食べやすい大きさに切りメープルシロップをたっぷりとかける。
「さ、どうぞ」
「ありがとな、いただき!」
小さな手で器用にフォークを使って、パクッとパンケーキを食べるキリシマ。
「うんめ~!!」
「ね、美味しいでしょう?」
「ふわっふわじゃん!」
「アン! アン!」
「ノワ食べる?」
「アン!」
パンケーキを数切れ、お皿に取り分けてあげる。あれ? ワンちゃんってこんなの食べたら駄目じゃん。
「お嬢、犬じゃないッス」
「はいぃ、フェンリルですぅ」
「そうだった」
「ここの料理は本当にうめーな!」
霧島、口の周りがベタベタのテッカテカだ。生クリームまでついている。猫獣人の子達も夢中で食べている。
うちの料理人達はみんな腕が良いからな。
「お嬢さまが色々注文つけるからですよぅ」
「え? そう?」
「そうッスね」
「そうだね、ポテトフライや魚のフライはうちの領地位じゃないかな?」
「兄さま、そうなのですか!?」
驚いたよ、そうなのか?
「ココがもっと小さい時にね、言い出したんだ。それからだね、みんなで芋ほりして一緒にフライを食べるのは」
げ、そうなのかよ。俺はてっきり代々やってるんだと思っていたよ。
「芋ほり大会は代々やっているそうよ。一気に収穫できて手間が省けるからじゃないかしら」
「ワッハッハッハ、その通りだなッ!」
なんだ、やってんじゃん。ユリシスじーちゃんもお口の周りが光ってるぜ。せっかくの口髭が台無しだ。
「ふふふ。確かに、見た事のない料理が多いね」
「殿下、そうなのですか?」
「うん、まあ僕はあんまり知らないけどね」
そっか、3年幽閉状態だったからか?
「母上がまだ生きていらした時は、普通に城の料理を食べていたけどそれでもここは知らない料理が多いよ。なにより、とっても美味しい」
そうなのか。ちょっと自重しよう。
「ぷぷぷ、お嬢今更ッスよ」
「きっと無理ですぅ」
お前ら酷いね。パンケーキが美味しいからいいや。
みんなで和やかにお茶をしていると、玄関が騒がしくなった。
そして、ロディ兄の従者のランスが慌てて入ってきた。
「王都の旦那様からです!」
と、手紙をロディ兄に手渡した。
何かあったのか? それとも、そろそろ帰ってくるのか?
「うん、明後日には到着するみたいだ」
「今回は時間が掛かったわね」
「色々あったのかも知れませんね」
まあ、辺境の領地から王都に行くだけで半月は掛かっちゃうんだけどね。
それにしても、今回はちょっと長かったような気がする。
「あちらとも色々お話しをしていたのでしょう」
あちらとは、母の実家だ。さて、どんな話を持って帰ってくるかな?
と期待しつつ、俺は相変わらず作業場に来ている。
「お嬢様ぁ! ご無事で良かったですぅ!」
また、咲みたいな喋り方になっているのは1番年下のナタリーさんだ。心配してくれていたんだな。有難うよ。
「有難う、大丈夫よ。お土産があるのよ」
「えぇッ!? 討伐に出てお土産ですか!?」
「さっき焼いてもらったの。温かいうちに食べてね」
咲が焼き立てのパンケーキを出す。
「え!? お嬢様、パンケーキがお土産ですか?」
「違うわよ、それにかけるメープルシロップよ」
「「メープルシロップ!!」」
声が揃っちゃったのは、ナタリーさんとミリーさんだ。ミリーさんも甘党なのか?
「そうなの。メープルトレントが出たのよ」
「えぇッ!! トレントですか!?」
「そう、メープルトレントと、ハニートレントと、マッシュトレントがね。だから、沢山かけて食べて」
咲がお茶を入れてくれる。
「それは嬉しいです! お嬢様、お怪我もなく?」
「ええ。なんともないわ」
◇ ◇ ◇
読んでいただき有難うございます!
これを書いている時にパンケーキが食べたくなって焼きました!
皆さんも同じ気持ちになって欲しいでっす!
いつも、ありがとうございます!
「はい、母さま。トレントがメープルシロップを沢山落としたんです!」
「あら! ラッキーねッ!」
「そうですよねッ!」
母と2人で呑気な事を言ってるよ。皆の前にメイドさん達がパンケーキを並べてくれる。もちろん、メープルシロップもたっぷりとある。香ばしい良い香りがするぜ。
「ココ、マッシュも出たんだろう?」
「はい、兄さま。キノコも沢山拾ってきました」
「そう、じゃあ明日早速クリスティー先生に頼もう」
「兄さま、クリスティー先生ですか?」
「ああ。回復薬の作り方を教わるといいよ」
「え、それもクリスティー先生ですか?」
「そりゃそうだ、ココ。エルフなんだから」
「え? キリシマ。エルフは魔法なんでしょう?」
「回復薬を作ったりするのも得意だぜ」
「そうなんだ」
へえ~、よく知ってるなぁ。まあ、いいや。
「ほら、お腹すいてるでしょう? 沢山食べてね。これをかけると甘くて美味しいのよ」
俺は、側に座らせた猫獣人の兄妹の世話を焼く。
キュゥ~と小さなお腹の音がした。
「ふふふ。美味しそうでしょう?」
「う、うん」
「本当に食べても良いの?」
「いいわよ。沢山食べてね」
嬉しそうに2人はナイフとフォークを上手に使ってパンケーキを食べだした。
ホカホカでフワフワのパンケーキに生クリームが添えてある。そこに、バターを塗ってメープルシロップをたっぷりとかける。ナイフを入れるとふわっふわで柔らかい。これはメレンゲをしっかり泡立てたな。少し厚めのパンケーキだ。
「ココ、これかけるのか?」
「そうよ、キリシマ。切ってあげるわ」
「おう、頼むぜ」
霧島がフォークで食べやすい大きさに切りメープルシロップをたっぷりとかける。
「さ、どうぞ」
「ありがとな、いただき!」
小さな手で器用にフォークを使って、パクッとパンケーキを食べるキリシマ。
「うんめ~!!」
「ね、美味しいでしょう?」
「ふわっふわじゃん!」
「アン! アン!」
「ノワ食べる?」
「アン!」
パンケーキを数切れ、お皿に取り分けてあげる。あれ? ワンちゃんってこんなの食べたら駄目じゃん。
「お嬢、犬じゃないッス」
「はいぃ、フェンリルですぅ」
「そうだった」
「ここの料理は本当にうめーな!」
霧島、口の周りがベタベタのテッカテカだ。生クリームまでついている。猫獣人の子達も夢中で食べている。
うちの料理人達はみんな腕が良いからな。
「お嬢さまが色々注文つけるからですよぅ」
「え? そう?」
「そうッスね」
「そうだね、ポテトフライや魚のフライはうちの領地位じゃないかな?」
「兄さま、そうなのですか!?」
驚いたよ、そうなのか?
「ココがもっと小さい時にね、言い出したんだ。それからだね、みんなで芋ほりして一緒にフライを食べるのは」
げ、そうなのかよ。俺はてっきり代々やってるんだと思っていたよ。
「芋ほり大会は代々やっているそうよ。一気に収穫できて手間が省けるからじゃないかしら」
「ワッハッハッハ、その通りだなッ!」
なんだ、やってんじゃん。ユリシスじーちゃんもお口の周りが光ってるぜ。せっかくの口髭が台無しだ。
「ふふふ。確かに、見た事のない料理が多いね」
「殿下、そうなのですか?」
「うん、まあ僕はあんまり知らないけどね」
そっか、3年幽閉状態だったからか?
「母上がまだ生きていらした時は、普通に城の料理を食べていたけどそれでもここは知らない料理が多いよ。なにより、とっても美味しい」
そうなのか。ちょっと自重しよう。
「ぷぷぷ、お嬢今更ッスよ」
「きっと無理ですぅ」
お前ら酷いね。パンケーキが美味しいからいいや。
みんなで和やかにお茶をしていると、玄関が騒がしくなった。
そして、ロディ兄の従者のランスが慌てて入ってきた。
「王都の旦那様からです!」
と、手紙をロディ兄に手渡した。
何かあったのか? それとも、そろそろ帰ってくるのか?
「うん、明後日には到着するみたいだ」
「今回は時間が掛かったわね」
「色々あったのかも知れませんね」
まあ、辺境の領地から王都に行くだけで半月は掛かっちゃうんだけどね。
それにしても、今回はちょっと長かったような気がする。
「あちらとも色々お話しをしていたのでしょう」
あちらとは、母の実家だ。さて、どんな話を持って帰ってくるかな?
と期待しつつ、俺は相変わらず作業場に来ている。
「お嬢様ぁ! ご無事で良かったですぅ!」
また、咲みたいな喋り方になっているのは1番年下のナタリーさんだ。心配してくれていたんだな。有難うよ。
「有難う、大丈夫よ。お土産があるのよ」
「えぇッ!? 討伐に出てお土産ですか!?」
「さっき焼いてもらったの。温かいうちに食べてね」
咲が焼き立てのパンケーキを出す。
「え!? お嬢様、パンケーキがお土産ですか?」
「違うわよ、それにかけるメープルシロップよ」
「「メープルシロップ!!」」
声が揃っちゃったのは、ナタリーさんとミリーさんだ。ミリーさんも甘党なのか?
「そうなの。メープルトレントが出たのよ」
「えぇッ!! トレントですか!?」
「そう、メープルトレントと、ハニートレントと、マッシュトレントがね。だから、沢山かけて食べて」
咲がお茶を入れてくれる。
「それは嬉しいです! お嬢様、お怪我もなく?」
「ええ。なんともないわ」
◇ ◇ ◇
読んでいただき有難うございます!
これを書いている時にパンケーキが食べたくなって焼きました!
皆さんも同じ気持ちになって欲しいでっす!
いつも、ありがとうございます!
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