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第3章 領地の防御
73ーペンとえんぴつが欲しい
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※筆記用具についてのお話しになります。が、現実とは違います。あくまでも、このお話しでの設定です。ご了承ください。
◇ ◇ ◇
張り切って教材を作ろうと、思ったんだけどさ!
「何だよ! 筆もペン先もなってないッ!」
「お嬢さまぁ、これが普通ですよぅ」
「信じらんないッ!」
原案を考えたんだけどさ、この世界絵筆も文字を書くペン先もなってないんだよ! よくみんなこんなので文字を書いてるぜ!
「筆はまあ許せるさ。ダメなのはペン先、なんだこれッ!? これ、羽!? こっちはこれ何!? 何の植物だよ!? 有り得ない!」
「ブハハハ! お嬢、ちょっと若が出てるッス」
悪いね、ついさ。でも隆、笑い事じゃないんだよ。直ぐにインクが掠れるから何度もつけ直さなきゃならない。こんなので絵は描けない。全然滑らかさがないじゃん!
「ちょっとロディ兄さまへ聞きに行こうかな」
「お嬢、一緒ッスよ」
「ロディ兄さまもこれを使ってるのか?」
「そうッス。まあ、王都の金持ち貴族とか王様とかは、前世の万年筆みたいな金属のペン先みたいッスけど」
「何それ、ペン先にも差別があんのかよ!?」
「いや、そうじゃなくて。王都には売ってるって事っス」
「げッ、最悪じゃん」
ペン……ペン……ペンなぁ……
筆かぁ……筆って何の毛で出来てんだ?
「とにかくロディ兄さまに聞いてみるわ。もしかしたら買ってもらえるかもしれないし」
「分かりましたぁ」
と、言うが早いか咲はもうロディ兄のところへピュ―ッと走って行った。
まいった。まさかこんなところで、基本的な壁にぶつかるなんて思いもしなかったよ。
「お嬢、前世はなんでもありましたから」
「そうね、PCですぐに描けたものね」
「そうッスね」
「PCどころの騒ぎじゃないぜ!」
「ブハハハハ! お嬢、興奮したら若が出てるッス」
はいはい、気をつけるよ。本当にさ、笑い事じゃないぜ。文字を覚える為の教材擬きを作ろうと思ったら、筆記用具から考えないといけないなんてな。まいったよ。
ペンなぁ……心当たりがない訳じゃないんだけどさぁ。一から作るとなるとまた大変じゃね? それよりも、ロディ兄が何か持っていてくれる事を願うよ。
「お嬢さまぁ、今から良いそうですよぅ」
「分かったわ」
さぁ、行こう。早く行こう。ロディ兄に聞いてみよう。と、期待して来たんだ。
「ココ、何を言ってるんだい。これが普通だろう」
まじかぁ……そうッスかぁ……
「で、どうして突然ペンなんだい?」
「兄さま、絵筆もです」
「ああ、それは大丈夫だよ。水彩画でも良いのかな?」
「はい! ありますか!?」
「ああ、それなら絵具と絵筆を一式取り寄せてあげるよ」
「やった!」
「で、ココ。何をするんだい?」
そこで、俺は作業してくれている女性陣の話をした。文字を読めない。だから、種類別に分けてある物を見分けられないと。
これからもっと種類は増えるだろう。だから、ここで頑張って文字を覚えて貰おうと思う。その教材擬きを作ろうと考えていると話したんだ。
「ココ、偉いよ。とっても良い事だ。領地の識字率を上げる事は長年の課題だったんだ」
「そうなのですか?」
「ああ。だけどね、毎日の生活の方が大事だろう? だから、なかなか広がらなかったんだよ」
「兄さま、分かりやすい教本がないのではないですか?」
「それもあるね。貴族はみな幼い頃から教師に付いて教わるからね」
「はい。でも、子供用もあって良いと思います」
「その通りだよ。しかし、教材から作るという考えもなかったね」
「兄さま、文字だけでなく簡単な四則計算も必要です。自分を守る事にもなります」
「ココ……今、兄様は感動している」
なんだ? 何かのアニメのセリフみたいだぞ。と、思っていたらガシッと抱きしめられた。苦しいぜ。じーちゃんと違って良い香りがするぜ。
「素晴らしいよ! ココはその教材を描けるんだね?」
「描こうと思ったのです。でも、筆記用具がこれでは……」
「ああ、ペン先か」
「そうです」
「王都に行けば、金属のペン先を売っているけど」
「兄さま、ここから王都まで遠いです」
「そうだね」
仕方ないなぁ。試してみるか?
「兄さま、ガラスはありますか?」
「また、話が飛んだね。大きなガラスはないよ」
「いえ、小さくて大丈夫です」
「ん? まさか、ペン先かい?」
「はい、そうです」
「ココ、ガラスでかい?」
「はい。確か出来る筈です。羽よりは使いやすいと思います」
「そうなのかい?」
「はい、多分」
「じゃあ、工房に連絡しておいてあげるよ。できたら兄様も欲しいね」
「はい、分かりました!」
よし、やったぜ! 水彩絵の具と絵筆はある。あとはペンだ。と、ロディ兄に相談して、俺達はさっさと部屋に戻ってきた。
「お嬢さまぁ、何ですかぁ?」
「サキ、あれだ。前世でも持っていたわよ。ガラスペンよ」
「ああ、なぁ~るぅ」
「ね、あれなら良いでしょう?」
「はいぃ。羽ペンよりずっと使いやすいですよねぇ」
「鉛筆も作りたいね」
「えぇ~、鉛筆ですかぁ?」
「そう。でもどうやって作ったら良いのか分からないわ」
「お嬢、それこそロディ様に相談するッス」
「そうだった! もう1度行くわ!」
また、ロディ兄の執務室へと向かう。
「ココ、どうしたんだい?」
「兄さま! えんぴつですッ!」
「え? 何だって?」
俺はロディ兄に絵で説明した。木で包んであって中に芯が入っていて……とな。
「ふむ。ココは色んな事を思いつくんだね。少しだけ時間をくれるかい?」
「はい、兄さま。出来そうですか?」
「ああ、簡単だろう。しかし、そんな事思いつかなかったよ。便利なのに、どうして考えなかったのだろう」
そりゃあ、貴族で羽ペンを使うのが当たり前の生活だからだよ。
でも、庶民はいちいちそんなの使っていられないんだ。持ち運びも出来ない。そんな不便なもん使わないさ。その上、識字率が低い。筆記用具の必要性が低いんだ。
紙は厚めだけど、あるからまだマシだ。紙を作るなんて、どう転んでも俺には出来そうもないからな。
「じゃあ、兄様。お願いします」
「ああ、分かったよ」
と、ロディ兄に話して翌日だ。なんと、もうえんぴつが出来上がってきた。早いな。
◇ ◇ ◇
張り切って教材を作ろうと、思ったんだけどさ!
「何だよ! 筆もペン先もなってないッ!」
「お嬢さまぁ、これが普通ですよぅ」
「信じらんないッ!」
原案を考えたんだけどさ、この世界絵筆も文字を書くペン先もなってないんだよ! よくみんなこんなので文字を書いてるぜ!
「筆はまあ許せるさ。ダメなのはペン先、なんだこれッ!? これ、羽!? こっちはこれ何!? 何の植物だよ!? 有り得ない!」
「ブハハハ! お嬢、ちょっと若が出てるッス」
悪いね、ついさ。でも隆、笑い事じゃないんだよ。直ぐにインクが掠れるから何度もつけ直さなきゃならない。こんなので絵は描けない。全然滑らかさがないじゃん!
「ちょっとロディ兄さまへ聞きに行こうかな」
「お嬢、一緒ッスよ」
「ロディ兄さまもこれを使ってるのか?」
「そうッス。まあ、王都の金持ち貴族とか王様とかは、前世の万年筆みたいな金属のペン先みたいッスけど」
「何それ、ペン先にも差別があんのかよ!?」
「いや、そうじゃなくて。王都には売ってるって事っス」
「げッ、最悪じゃん」
ペン……ペン……ペンなぁ……
筆かぁ……筆って何の毛で出来てんだ?
「とにかくロディ兄さまに聞いてみるわ。もしかしたら買ってもらえるかもしれないし」
「分かりましたぁ」
と、言うが早いか咲はもうロディ兄のところへピュ―ッと走って行った。
まいった。まさかこんなところで、基本的な壁にぶつかるなんて思いもしなかったよ。
「お嬢、前世はなんでもありましたから」
「そうね、PCですぐに描けたものね」
「そうッスね」
「PCどころの騒ぎじゃないぜ!」
「ブハハハハ! お嬢、興奮したら若が出てるッス」
はいはい、気をつけるよ。本当にさ、笑い事じゃないぜ。文字を覚える為の教材擬きを作ろうと思ったら、筆記用具から考えないといけないなんてな。まいったよ。
ペンなぁ……心当たりがない訳じゃないんだけどさぁ。一から作るとなるとまた大変じゃね? それよりも、ロディ兄が何か持っていてくれる事を願うよ。
「お嬢さまぁ、今から良いそうですよぅ」
「分かったわ」
さぁ、行こう。早く行こう。ロディ兄に聞いてみよう。と、期待して来たんだ。
「ココ、何を言ってるんだい。これが普通だろう」
まじかぁ……そうッスかぁ……
「で、どうして突然ペンなんだい?」
「兄さま、絵筆もです」
「ああ、それは大丈夫だよ。水彩画でも良いのかな?」
「はい! ありますか!?」
「ああ、それなら絵具と絵筆を一式取り寄せてあげるよ」
「やった!」
「で、ココ。何をするんだい?」
そこで、俺は作業してくれている女性陣の話をした。文字を読めない。だから、種類別に分けてある物を見分けられないと。
これからもっと種類は増えるだろう。だから、ここで頑張って文字を覚えて貰おうと思う。その教材擬きを作ろうと考えていると話したんだ。
「ココ、偉いよ。とっても良い事だ。領地の識字率を上げる事は長年の課題だったんだ」
「そうなのですか?」
「ああ。だけどね、毎日の生活の方が大事だろう? だから、なかなか広がらなかったんだよ」
「兄さま、分かりやすい教本がないのではないですか?」
「それもあるね。貴族はみな幼い頃から教師に付いて教わるからね」
「はい。でも、子供用もあって良いと思います」
「その通りだよ。しかし、教材から作るという考えもなかったね」
「兄さま、文字だけでなく簡単な四則計算も必要です。自分を守る事にもなります」
「ココ……今、兄様は感動している」
なんだ? 何かのアニメのセリフみたいだぞ。と、思っていたらガシッと抱きしめられた。苦しいぜ。じーちゃんと違って良い香りがするぜ。
「素晴らしいよ! ココはその教材を描けるんだね?」
「描こうと思ったのです。でも、筆記用具がこれでは……」
「ああ、ペン先か」
「そうです」
「王都に行けば、金属のペン先を売っているけど」
「兄さま、ここから王都まで遠いです」
「そうだね」
仕方ないなぁ。試してみるか?
「兄さま、ガラスはありますか?」
「また、話が飛んだね。大きなガラスはないよ」
「いえ、小さくて大丈夫です」
「ん? まさか、ペン先かい?」
「はい、そうです」
「ココ、ガラスでかい?」
「はい。確か出来る筈です。羽よりは使いやすいと思います」
「そうなのかい?」
「はい、多分」
「じゃあ、工房に連絡しておいてあげるよ。できたら兄様も欲しいね」
「はい、分かりました!」
よし、やったぜ! 水彩絵の具と絵筆はある。あとはペンだ。と、ロディ兄に相談して、俺達はさっさと部屋に戻ってきた。
「お嬢さまぁ、何ですかぁ?」
「サキ、あれだ。前世でも持っていたわよ。ガラスペンよ」
「ああ、なぁ~るぅ」
「ね、あれなら良いでしょう?」
「はいぃ。羽ペンよりずっと使いやすいですよねぇ」
「鉛筆も作りたいね」
「えぇ~、鉛筆ですかぁ?」
「そう。でもどうやって作ったら良いのか分からないわ」
「お嬢、それこそロディ様に相談するッス」
「そうだった! もう1度行くわ!」
また、ロディ兄の執務室へと向かう。
「ココ、どうしたんだい?」
「兄さま! えんぴつですッ!」
「え? 何だって?」
俺はロディ兄に絵で説明した。木で包んであって中に芯が入っていて……とな。
「ふむ。ココは色んな事を思いつくんだね。少しだけ時間をくれるかい?」
「はい、兄さま。出来そうですか?」
「ああ、簡単だろう。しかし、そんな事思いつかなかったよ。便利なのに、どうして考えなかったのだろう」
そりゃあ、貴族で羽ペンを使うのが当たり前の生活だからだよ。
でも、庶民はいちいちそんなの使っていられないんだ。持ち運びも出来ない。そんな不便なもん使わないさ。その上、識字率が低い。筆記用具の必要性が低いんだ。
紙は厚めだけど、あるからまだマシだ。紙を作るなんて、どう転んでも俺には出来そうもないからな。
「じゃあ、兄様。お願いします」
「ああ、分かったよ」
と、ロディ兄に話して翌日だ。なんと、もうえんぴつが出来上がってきた。早いな。
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