68 / 249
第3章 領地の防御
68ー魔法陣発見
しおりを挟む
「母さま、どうしてスライムが厨房から?」
「分からないの。でも、こっちから出てくるのよ」
俺は母の後をついていく。そこには、バスケットが置いてある。誰かの差し入れか何かか? どうやらそこからスライムが出てきているらしい。
と、見ている間にもスライムがポヨヨンと出てくる。
「母さま、あれですね」
「そうね」
母と一緒にたった今スライムが出て来たバスケットを開けてみる。
「母さま、これって……」
「ココちゃん、アップルパイね」
母よ、それは分かってる。開けたバスケットに入っていたのは、おいしそうなアップルパイだ。周りがボロッとなってるけど。スライムが齧ったのかな? いや、そこじゃないんだよ。
「母さま、最近のスライムはアップルパイから出てくるのですか?」
「ココちゃん、そんな訳ないでしょう」
だよね。じゃあどうしてだ?
その時、ポヨヨンとアップルパイの下からスライムが出てきた。
「奥様、俺アップルパイを持ち上げるッス」
「ええ、リュウ。お願い」
隆がホールのアップルパイを持ち上げるとそこには……
「まあ、嫌だわ。誰かしら?」
「母さま。これ、何ですか?」
「ココちゃん、魔法陣よ」
「魔法陣!?」
アップルパイの下には魔法陣が隠されていたんだ。そこから、ポヨヨンポヨヨンとスライムが次々と出てくる。
「ココちゃん、それ壊しちゃいなさい」
「母さま、どうやってですか?」
「バスケットごと壊しちゃえば良いのよ」
「な~る……」
て、事はだな。こうか?
「とぉッ!」
俺はその魔法陣の隠してあるバスケットを思い切り床に叩きつけ踏みつけた。
「うわ、お嬢。そう来るッスか」
「え? だって壊すんでしょ?」
「そうですけどぉ」
「サキ、見てみてちょうだい」
「はい、奥様ぁ」
咲がぐちゃぐちゃになったバスケットを持ち上げると魔法陣も壊れていた。
「ほら、壊れたじゃない」
「魔法陣には意志など何もないから結界に弾かれなかったのね」
「母さま、バスケットを持って来た人にも悪意や敵意がないって事ですか?」
「そうなるわね。もしかして、魔法陣の事を知らないのかも知れないわね」
「誰が持って来たんでしょうねぇ」
そうだよ。それが問題だ。メイドさんなら知ってるかな?
「お嬢、聞いてくるッス」
隆がぴゅーっと走って行った。相変わらず、早い。
あぁ、せっかくのアップルパイなのに。スライムが齧ったアップルパイなんて食べられないじゃん。
「お嬢さまぁ、食い気ですかぁ?」
うるさいよ。アップルパイ好きなんだもん、仕方ないじゃん。
「奥様、アップルパイを受け取った者を連れて来ました!」
隆がメイドさんを1人連れて戻って来た。早いね。
「アップルパイですか?」
「そうよ、バスケットに入った」
「えっとぉ、あれです。司祭様が下さったんですよ」
「司祭様!?」
「はい、手土産ですって下さいました!」
「そう、ありがとう」
司祭が持って来たものに、スライムを呼び出す魔法陣って事か?
「母上、ココ、どうだった?」
「兄さま、スライムはどうですか?」
「もう全部倒したよ。メイドが後片付けをしているよ」
そうか、メイドのお姉さん逞しいな。ありがとう、助かるよ。
「ロディ、魔法陣だったのよ」
「母上、では誰かがその魔法陣を持ち込んだという事ですか?」
「それが、司祭様らしいのよ」
「司祭様……確かに、今日はココの授業で司教様が来られていますからその付き添いですね」
「もしかして、ご存知ないのじゃないかしら?」
「魔法陣の事をですか?」
「ええ。でないと結界で入って来られないはずですもの」
「確かにそうですね。とにかく、その魔法陣はどこに?」
「ロディさまぁ、これですぅ」
「え……?」
咲がボロボロになったバスケットを差し出した。
「これ?」
「はいぃ。お嬢さまが踏みつけられてぇ」
「だって、壊さなきゃって言ったじゃない」
「そうですけどぉ」
「ココ、ここまでボロボロにしなくてもね」
「え、兄さま。ダメですか?」
「ダメと言うかね。魔法陣なら、クリスティー先生に見てもらったら誰が書いた魔法陣なのか分かったかも知れないからね」
「え? そうなのですか?」
「ココはまだ魔法陣を教わっていないのかい?」
「はい、まだです」
「ココちゃん、お勉強しなきゃね」
え……そうなのか? だから、皆引いてたのか? そんなの先に言ってくれないと。俺、知らないもん。仕方ないよ。不可抗力だよ。
と、いう事でスライム騒動は落ち着いた。だが、司祭が知っていたかどうかだ。
「ココ、司教様と司祭様はまだいらっしゃるかい?」
「はい、3階のお勉強の部屋に」
「そう。母上、話してきます」
「ええ、ロディ。お願いね」
実際に持ち込んだのは司祭様だったとしても、悪意や敵意はないという事になる。何故なら、結界が張ってあるからだ。なら、一体誰が魔法陣を忍ばせたのか? 一体何の為に?
魔法陣を忍ばせた者は確実にうちに敵意か悪意を持っている者だ。でないと、こんな質の悪い事をする意味が分からない。
一体、誰なんだ?
「分からないの。でも、こっちから出てくるのよ」
俺は母の後をついていく。そこには、バスケットが置いてある。誰かの差し入れか何かか? どうやらそこからスライムが出てきているらしい。
と、見ている間にもスライムがポヨヨンと出てくる。
「母さま、あれですね」
「そうね」
母と一緒にたった今スライムが出て来たバスケットを開けてみる。
「母さま、これって……」
「ココちゃん、アップルパイね」
母よ、それは分かってる。開けたバスケットに入っていたのは、おいしそうなアップルパイだ。周りがボロッとなってるけど。スライムが齧ったのかな? いや、そこじゃないんだよ。
「母さま、最近のスライムはアップルパイから出てくるのですか?」
「ココちゃん、そんな訳ないでしょう」
だよね。じゃあどうしてだ?
その時、ポヨヨンとアップルパイの下からスライムが出てきた。
「奥様、俺アップルパイを持ち上げるッス」
「ええ、リュウ。お願い」
隆がホールのアップルパイを持ち上げるとそこには……
「まあ、嫌だわ。誰かしら?」
「母さま。これ、何ですか?」
「ココちゃん、魔法陣よ」
「魔法陣!?」
アップルパイの下には魔法陣が隠されていたんだ。そこから、ポヨヨンポヨヨンとスライムが次々と出てくる。
「ココちゃん、それ壊しちゃいなさい」
「母さま、どうやってですか?」
「バスケットごと壊しちゃえば良いのよ」
「な~る……」
て、事はだな。こうか?
「とぉッ!」
俺はその魔法陣の隠してあるバスケットを思い切り床に叩きつけ踏みつけた。
「うわ、お嬢。そう来るッスか」
「え? だって壊すんでしょ?」
「そうですけどぉ」
「サキ、見てみてちょうだい」
「はい、奥様ぁ」
咲がぐちゃぐちゃになったバスケットを持ち上げると魔法陣も壊れていた。
「ほら、壊れたじゃない」
「魔法陣には意志など何もないから結界に弾かれなかったのね」
「母さま、バスケットを持って来た人にも悪意や敵意がないって事ですか?」
「そうなるわね。もしかして、魔法陣の事を知らないのかも知れないわね」
「誰が持って来たんでしょうねぇ」
そうだよ。それが問題だ。メイドさんなら知ってるかな?
「お嬢、聞いてくるッス」
隆がぴゅーっと走って行った。相変わらず、早い。
あぁ、せっかくのアップルパイなのに。スライムが齧ったアップルパイなんて食べられないじゃん。
「お嬢さまぁ、食い気ですかぁ?」
うるさいよ。アップルパイ好きなんだもん、仕方ないじゃん。
「奥様、アップルパイを受け取った者を連れて来ました!」
隆がメイドさんを1人連れて戻って来た。早いね。
「アップルパイですか?」
「そうよ、バスケットに入った」
「えっとぉ、あれです。司祭様が下さったんですよ」
「司祭様!?」
「はい、手土産ですって下さいました!」
「そう、ありがとう」
司祭が持って来たものに、スライムを呼び出す魔法陣って事か?
「母上、ココ、どうだった?」
「兄さま、スライムはどうですか?」
「もう全部倒したよ。メイドが後片付けをしているよ」
そうか、メイドのお姉さん逞しいな。ありがとう、助かるよ。
「ロディ、魔法陣だったのよ」
「母上、では誰かがその魔法陣を持ち込んだという事ですか?」
「それが、司祭様らしいのよ」
「司祭様……確かに、今日はココの授業で司教様が来られていますからその付き添いですね」
「もしかして、ご存知ないのじゃないかしら?」
「魔法陣の事をですか?」
「ええ。でないと結界で入って来られないはずですもの」
「確かにそうですね。とにかく、その魔法陣はどこに?」
「ロディさまぁ、これですぅ」
「え……?」
咲がボロボロになったバスケットを差し出した。
「これ?」
「はいぃ。お嬢さまが踏みつけられてぇ」
「だって、壊さなきゃって言ったじゃない」
「そうですけどぉ」
「ココ、ここまでボロボロにしなくてもね」
「え、兄さま。ダメですか?」
「ダメと言うかね。魔法陣なら、クリスティー先生に見てもらったら誰が書いた魔法陣なのか分かったかも知れないからね」
「え? そうなのですか?」
「ココはまだ魔法陣を教わっていないのかい?」
「はい、まだです」
「ココちゃん、お勉強しなきゃね」
え……そうなのか? だから、皆引いてたのか? そんなの先に言ってくれないと。俺、知らないもん。仕方ないよ。不可抗力だよ。
と、いう事でスライム騒動は落ち着いた。だが、司祭が知っていたかどうかだ。
「ココ、司教様と司祭様はまだいらっしゃるかい?」
「はい、3階のお勉強の部屋に」
「そう。母上、話してきます」
「ええ、ロディ。お願いね」
実際に持ち込んだのは司祭様だったとしても、悪意や敵意はないという事になる。何故なら、結界が張ってあるからだ。なら、一体誰が魔法陣を忍ばせたのか? 一体何の為に?
魔法陣を忍ばせた者は確実にうちに敵意か悪意を持っている者だ。でないと、こんな質の悪い事をする意味が分からない。
一体、誰なんだ?
90
お気に入りに追加
2,968
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

転生したら悪役令嬢の兄になったのですが、どうやら妹に執着されてます。そして何故か攻略対象からも溺愛されてます。
七彩 陽
ファンタジー
異世界転生って主人公や何かしらイケメン体質でチートな感じじゃないの!?ゲームの中では全く名前すら聞いたことのないモブ。悪役令嬢の義兄クライヴだった。
しかしここは魔法もあるファンタジー世界!ダンジョンもあるんだって! ドキドキワクワクして、属性診断もしてもらったのにまさかの魔法使いこなせない!?
この世界を楽しみつつ、義妹が悪役にならないように後方支援すると決めたクライヴは、とにかく義妹を歪んだ性格にしないように寵愛することにした。
『乙女ゲームなんて関係ない、ハッピーエンドを目指すんだ!』と、はりきるのだが……。
実はヒロインも転生者!
クライヴはヒロインから攻略対象認定され、そのことに全く気付かず義妹は悪役令嬢まっしぐら!?
クライヴとヒロインによって、乙女ゲームは裏設定へと突入! 世界の破滅を防げるのか!?
そして何故か攻略対象(男)からも溺愛されて逃げられない!? 男なのにヒロインに!
異世界転生、痛快ラブコメディ。
どうぞよろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる