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第3章 領地の防御
65ー母の特殊な結界
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そうだ。あの時、群れで襲ってきたゴブリンの背後にゴブリンキングがいたんだ。
「じゃあ、あれだ。ゴブリンキングを操れば後は勝手について行くだろ? 簡単じゃん」
「ねえ、キリシマもできるの?」
「いや、俺達ドラゴンはそんな事しねーんだ。本能的に恐れられる存在だからな」
あ、ちょっと偉そうだ。
「タイミングが良かったのか悪かったのかってとこだな」
「え? キリシマ、どうして?」
「だって、ココ。考えてみな? もし、ココ達がゴブリンを討伐していなかったらそのまま街に雪崩れ込んできていたかも知れないんだ。ゴブリンだけで済まなかったかも知らない。そうなっていたら、被害が出ていてもおかしくないだろう?」
確かに。あれ? ちょっと霧島賢いじゃん。
「ココ、俺を何だと思ってんだ? 小さくされててもエンシェントドラゴンなんだぜ」
そこ、いつも忘れちゃうよね。なんせ、小さいからさぁ。
「ふふふ」
あ、また王子に笑われちゃったよ。
「そう考えると今回は良かったと言うべきか。だが、お前達がぶどう畑へ行っていると情報が漏れていた可能性も考えないといかん」
確かにそうだ。狙ったと言えなくもない。
「殿下の部屋の場所が知られていた事といい、誰か情報を漏らしているものがいる可能性がありますね」
邸の人間がか……疑いたくないなぁ。
「ココ、邸の人間とは限らない。出入りしている者かも知れない」
「兄さま、でも知っている者が話さなければ漏れません」
「そうだね、知っているのは邸の人間って事になるね」
若しくは……しぶとく様子を伺うかだ。どこかから見ているのかも……
そう思うと気持ち悪くなってくる。
「母上、結界をお願いできますか?」
「そうね、そうしましょうか」
結界? どうしてだ?
「ココにはそろそろ話しておいても良いのではないか?」
何だ? 何? 周りを見渡すとみんな分かっているらしい。俺だけ知らないのか?
「お嬢さまはぁ、まだ子供ですからぁ」
咲、そうだった。俺はまだ8歳の子供だったよ。つい、忘れてしまう。
それから、俺はロディ兄から話を聞いた。勿論、王子も一緒にだ。
母は特別な結界を張れるそうなんだ。
どう特別かと言うと、我が家に敵意若しくは悪意を持った者だけ入れない。そんな特殊な結界を張れるらしい。そうでない者は普通に通れるんだ。
母、凄いじゃん。俺も教えてほしいなぁ。
「ロディ兄様もできるのですか?」
「挑戦したんだけどね、残念ながら僕はできなかったよ」
「ココちゃんも挑戦してみると良いわ。クリスティー先生に伝えておくわね」
「え、クリスティー先生?」
「ココ、クリスティー先生はエルフだからね。魔法には長けている」
「じゃあ、クリスティー先生もできるのですか?」
「ココちゃん、当然よ。私もここにきてからクリスティー先生に教わったのよ」
「え……」
先生、一体何歳なんだ?
「ココちゃん、それは詮索してはダメ。怖いから」
「あ……はい、母さま」
「それと、ココ。ユリシスお祖父様達にも例の下着を。念のためにね」
「はい、兄さま」
「ロディ、下着とは何だ?」
「お祖父様、まあ楽しみにしていてください」
じゃあ、早速見繕って持ってくるか。もうサイズは色々あるからな。と、咲を見ると理解したらしくピュ―ッと走って行った。
「な、な、なんだこれはぁーーー!!!!」
はい、ユリシスじーちゃんが叫んでいるよ。衝立の向こうからね。そうだよ。あのセリスアラーネアの糸で作った下着を着ているんだよ。
「旦那様! これは素晴らしいですッ!!」
と、一緒に着替えて驚いているのが、ユリシスじーちゃんの側近だ。ロディ兄の従者ランス・アローダイトの祖父でもあるマティアス・アローダイトだ。
ユリシスじーちゃんと一緒に、領地を西へ東へと走ってくれている。ユリシスじーちゃんが辺境伯の頃からずっとじーちゃんに付いてくれている。
「お義父様、そのまま服を着て出てきてください」
母が、声を掛ける。と、また大きな声で返事が返ってくる。
「おうぅ! 分かったぞぉ!」
マティアスと一緒に衝立から出て来たユリシスじーちゃん。
「これは良いッ! 着心地が全然違う! これはどうしたんだ!?」
「ココが作っているのですよ」
「お祖父様、良いでしょう? 僕だけ黒なんですよ」
ロディ、色はどうでもいいじゃん? もしかして、自慢してる?
「なんとッ! ココが作ったのか!? ロディ、黒とはなんだ!?」
「ですから、僕だけ黒色なんです。お祖父様は白色でしょう?」
「おぉッ!? 下着に黒かッ!?」
「お義父様、大切なのはそこではないのですよ」
母がそう言うと、ロディ兄が効果を話して聞かせた。状態異常無効の効果があると。
「な、な、なんとぉッ!!」
「それはまた素晴らしいですね!」
じーちゃんズが驚いているよ。ふふふ、良いだろう?
「今着た物はワシが貰っても良いのか? 良いよな!? もう着てしまったしなッ!」
はいはい、良いよ。じーちゃん用に持って来たんだからさ。
「ユリシスお祖父さま、替えの分も用意してあります。お付きの人達の分もです」
「なんとぉッ!! ココ、よくやった!」
何がだよ。アハハハ、賑やかで良いなぁ。じーちゃん、可愛いよ。
いつも声の大きい父がいないと、邸が静かでちょっと寂しかったんだ。同じくらい声の大きいじーちゃんが来てくれて、良かった。何より、心強いよ。
「じゃあ、あれだ。ゴブリンキングを操れば後は勝手について行くだろ? 簡単じゃん」
「ねえ、キリシマもできるの?」
「いや、俺達ドラゴンはそんな事しねーんだ。本能的に恐れられる存在だからな」
あ、ちょっと偉そうだ。
「タイミングが良かったのか悪かったのかってとこだな」
「え? キリシマ、どうして?」
「だって、ココ。考えてみな? もし、ココ達がゴブリンを討伐していなかったらそのまま街に雪崩れ込んできていたかも知れないんだ。ゴブリンだけで済まなかったかも知らない。そうなっていたら、被害が出ていてもおかしくないだろう?」
確かに。あれ? ちょっと霧島賢いじゃん。
「ココ、俺を何だと思ってんだ? 小さくされててもエンシェントドラゴンなんだぜ」
そこ、いつも忘れちゃうよね。なんせ、小さいからさぁ。
「ふふふ」
あ、また王子に笑われちゃったよ。
「そう考えると今回は良かったと言うべきか。だが、お前達がぶどう畑へ行っていると情報が漏れていた可能性も考えないといかん」
確かにそうだ。狙ったと言えなくもない。
「殿下の部屋の場所が知られていた事といい、誰か情報を漏らしているものがいる可能性がありますね」
邸の人間がか……疑いたくないなぁ。
「ココ、邸の人間とは限らない。出入りしている者かも知れない」
「兄さま、でも知っている者が話さなければ漏れません」
「そうだね、知っているのは邸の人間って事になるね」
若しくは……しぶとく様子を伺うかだ。どこかから見ているのかも……
そう思うと気持ち悪くなってくる。
「母上、結界をお願いできますか?」
「そうね、そうしましょうか」
結界? どうしてだ?
「ココにはそろそろ話しておいても良いのではないか?」
何だ? 何? 周りを見渡すとみんな分かっているらしい。俺だけ知らないのか?
「お嬢さまはぁ、まだ子供ですからぁ」
咲、そうだった。俺はまだ8歳の子供だったよ。つい、忘れてしまう。
それから、俺はロディ兄から話を聞いた。勿論、王子も一緒にだ。
母は特別な結界を張れるそうなんだ。
どう特別かと言うと、我が家に敵意若しくは悪意を持った者だけ入れない。そんな特殊な結界を張れるらしい。そうでない者は普通に通れるんだ。
母、凄いじゃん。俺も教えてほしいなぁ。
「ロディ兄様もできるのですか?」
「挑戦したんだけどね、残念ながら僕はできなかったよ」
「ココちゃんも挑戦してみると良いわ。クリスティー先生に伝えておくわね」
「え、クリスティー先生?」
「ココ、クリスティー先生はエルフだからね。魔法には長けている」
「じゃあ、クリスティー先生もできるのですか?」
「ココちゃん、当然よ。私もここにきてからクリスティー先生に教わったのよ」
「え……」
先生、一体何歳なんだ?
「ココちゃん、それは詮索してはダメ。怖いから」
「あ……はい、母さま」
「それと、ココ。ユリシスお祖父様達にも例の下着を。念のためにね」
「はい、兄さま」
「ロディ、下着とは何だ?」
「お祖父様、まあ楽しみにしていてください」
じゃあ、早速見繕って持ってくるか。もうサイズは色々あるからな。と、咲を見ると理解したらしくピュ―ッと走って行った。
「な、な、なんだこれはぁーーー!!!!」
はい、ユリシスじーちゃんが叫んでいるよ。衝立の向こうからね。そうだよ。あのセリスアラーネアの糸で作った下着を着ているんだよ。
「旦那様! これは素晴らしいですッ!!」
と、一緒に着替えて驚いているのが、ユリシスじーちゃんの側近だ。ロディ兄の従者ランス・アローダイトの祖父でもあるマティアス・アローダイトだ。
ユリシスじーちゃんと一緒に、領地を西へ東へと走ってくれている。ユリシスじーちゃんが辺境伯の頃からずっとじーちゃんに付いてくれている。
「お義父様、そのまま服を着て出てきてください」
母が、声を掛ける。と、また大きな声で返事が返ってくる。
「おうぅ! 分かったぞぉ!」
マティアスと一緒に衝立から出て来たユリシスじーちゃん。
「これは良いッ! 着心地が全然違う! これはどうしたんだ!?」
「ココが作っているのですよ」
「お祖父様、良いでしょう? 僕だけ黒なんですよ」
ロディ、色はどうでもいいじゃん? もしかして、自慢してる?
「なんとッ! ココが作ったのか!? ロディ、黒とはなんだ!?」
「ですから、僕だけ黒色なんです。お祖父様は白色でしょう?」
「おぉッ!? 下着に黒かッ!?」
「お義父様、大切なのはそこではないのですよ」
母がそう言うと、ロディ兄が効果を話して聞かせた。状態異常無効の効果があると。
「な、な、なんとぉッ!!」
「それはまた素晴らしいですね!」
じーちゃんズが驚いているよ。ふふふ、良いだろう?
「今着た物はワシが貰っても良いのか? 良いよな!? もう着てしまったしなッ!」
はいはい、良いよ。じーちゃん用に持って来たんだからさ。
「ユリシスお祖父さま、替えの分も用意してあります。お付きの人達の分もです」
「なんとぉッ!! ココ、よくやった!」
何がだよ。アハハハ、賑やかで良いなぁ。じーちゃん、可愛いよ。
いつも声の大きい父がいないと、邸が静かでちょっと寂しかったんだ。同じくらい声の大きいじーちゃんが来てくれて、良かった。何より、心強いよ。
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