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第2章 王都からの刺客!?
51ーゴブリン戦
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ぶどう棚を眺めながら四阿で昼食をとる。良い天気だし、気持ち良い。前世でもこんな事しなかったなぁ。外で食べるなんて小学校の遠足以来か?
「城にいた時には想像もできなかったよ」
「殿下、どうされました?」
「ロディ、外で食事をするなんて初めてだ。気持ちが良いものなんだね」
「お母上がご健在の頃に、庭園でお茶などはされませんでしたか?」
「ああ、母が生きていた頃はご一緒した事があった。だが、母と2人でだ。皆で食事をするなんて初めてだよ」
「うちは従者やお付きの者達ともよく一緒に食べますからね。領主隊も一緒だと、宴会の様になりますよ」
「アハハハ。打ち上げの時は大騒ぎだったね」
「代々の辺境伯が受け継いできた事ですのよ。同じ食事を摂って結束を固めるのだそうですわ」
「なるほど」
「ただ主人に付き従うのではなく、間違っている事は間違えていると指摘できる事が大切なのですわ」
「素晴らしい事です」
「うまッ!」
おいおい、隆。お前今の話聞いてたか? 間違っている事は間違えていると指摘するんだぞ。
「リュウ」
「お嬢、マジで! これ食べて下さいよ! フィレオフィッシュッス!」
ああ、隆。本当にさぁ……
「うまッ! タルタルソースがめちゃ美味しい!」
「ね、お嬢。美味いっしょ!」
「ココちゃん、あなたそんな言葉を使っちゃダメよ」
「母さま、ごめんなさい。でも、これ食べてみて下さい。お魚のフライとタルタルソースが絶妙ですよ!」
「ふふふ」
あ、王子に笑われてしまったぜ。でもさ、本当に美味しいんだ。ふんわりしっとりしたパンに、サクサクした衣の魚フライが挟んであって、手作りのタルタルソースが絶妙だ。
「ココはまだまだ食い気だね。僕は安心したよ」
ロディ兄、何だよそれ。
「もう、ココちゃんったら」
「美味しい。本当に美味しいね。僕は初めて食べたよ」
「ね、殿下。美味しいですよね」
「アハハハ。ココには敵わないなぁ」
「ロディ兄さまも食べてみて下さい!」
平和で良いよなぁ。ぶどうジュースも美味いし。言う事ないよ。
俺達はのんびりと昼食を摂り、ぶどうやぶどうジュースを沢山貰って帰途に着いた。
その馬車の中だ。俺はウトウトとしていたんだ。森の直ぐそばに馬車が差し掛かった時だ。急に馬車がガタンと止まった。
「ん……サキ?」
「お嬢さまぁ、そのままですぅ」
「どうしたのかな?」
「殿下も動かないで下さいぃ」
「え?」
咲が何かを感じ取っている。すると、外が慌ただしくなり、戦っている気配がした。
「サキ」
「賊じゃありません。これは、魔物ですぅ」
「姉貴、外に出るな!」
御者台にいた隆がそう呼びかけ、馬車から飛び降りた。外で隆が叫んでいる。
「馬車を走らせろ! 振り切れ!」
途端に馬車がスピードをあげ走り出す。
「リュウ!」
「お嬢さまぁ、ダメですぅ!」
領地内の移動だから護衛の数も少ない。俺は、何とか外の状況を把握しようと馬車の窓から外を見た。
ゴブリンの群れだ。緑色の体色で腰にはボロ布を巻き、手に貧相な武器を持って襲ってくる。だが、目つきが漫画やアニメで見たよりずっと凶暴だ。
「サキ、群れだわ。これだけの数を動かしているんだからキングがいるかも」
「お嬢さまぁ、リュウ達に任せておけば大丈夫ですぅ」
「でも、サキ! 数が多いの!」
その時、俺達が乗った馬車に振動があった。ドシン! と何かが馬車の上に落ちてきた様な振動だ。すると、天井をガンガンと打ち付ける音がした。ゴブリンが乗って屋根を打ち破ろうとしているのだろう。
咲が俺に覆い被さり叫ぶ。ダメだ、このシチュエーションはダメだ! 最後の時を思い出すじゃねーか!
「殿下もお嬢さまも頭を保護して下さいぃ!」
すると、天井が破られる事はなく、ギャー!と言う叫び声と共に転げ落ちる音がした。こんなのじっとしてらんねーよ!
「サキ! 母さま達の馬車は!?」
「大丈夫ですぅ。先を走っていますぅ」
よし、ならこの馬車が殿だな。俺は咲を押し退け窓を開けた。
「お嬢さまぁ、ダメですぅ!」
「サキ! 多いのよ! こんな数おかしいわ!」
「でもダメですぅ!」
「サキ、馬車の上に登れない?」
「お嬢さまぁ」
「お願い!」
「はぁ~、分かりましたぁ。私にしがみ付いて下さいぃ」
「サキ! ありがとう!」
俺はガシッとサキの身体に両手両足でしがみ付いた。
「いいですかぁ? 絶対に離さないで下さいぃ」
「分かった!」
「え!? ココ嬢! 危険だ!」
「殿下、大丈夫です!」
サキは馬車のドアを開けると、馬車を止めさせた。そして、ドアの上枠を掴んで弾みをつけ俺を胸にくっつけたまま身を翻し馬車の屋根に飛び乗った。
「サキ、凄いな。びっくりしたわ」
「仕込まれましたからぁ」
ああ、なぁ~る。前世の姉達だな。
馬車の上から見渡すと、数十ものゴブリンが襲撃してきていた。おかしいぞ。防御壁があるんだ。その防御壁をどうやって越えたんだ?
俺は胸元から小さな笛を取り出し思い切り吹いた。前にロディ兄が防御壁の上から吹いていたあの笛だ。領主隊や俺達家族は万一に備えて皆持っている。
――ピーピーピー!! ピーピーピー!!
笛の合図で、ゴブリンを応戦していた隆達が一斉に距離を取った。
「サキ! いくぞ!!」
「はいぃ!」
「「ウインドカッター!!」」
空中に無数の風の刃が現れ、ゴブリン目掛けて飛び斬り刻む。
――ギャオォォォーーー!!
一気に数を減らしたゴブリンを隆達が殲滅する。すると、どこからかゴブリンキングが姿を現した。身体はゴブリンと同じ様に緑色をしているが、人の何倍もの身長で右手に大剣らしき物をもっている。
◇ ◇ ◇
読んでいただき有難うございます!
キリの良いとこまで投稿したいので、後ほどもう1話投稿します。
よろしくお願いします!
「城にいた時には想像もできなかったよ」
「殿下、どうされました?」
「ロディ、外で食事をするなんて初めてだ。気持ちが良いものなんだね」
「お母上がご健在の頃に、庭園でお茶などはされませんでしたか?」
「ああ、母が生きていた頃はご一緒した事があった。だが、母と2人でだ。皆で食事をするなんて初めてだよ」
「うちは従者やお付きの者達ともよく一緒に食べますからね。領主隊も一緒だと、宴会の様になりますよ」
「アハハハ。打ち上げの時は大騒ぎだったね」
「代々の辺境伯が受け継いできた事ですのよ。同じ食事を摂って結束を固めるのだそうですわ」
「なるほど」
「ただ主人に付き従うのではなく、間違っている事は間違えていると指摘できる事が大切なのですわ」
「素晴らしい事です」
「うまッ!」
おいおい、隆。お前今の話聞いてたか? 間違っている事は間違えていると指摘するんだぞ。
「リュウ」
「お嬢、マジで! これ食べて下さいよ! フィレオフィッシュッス!」
ああ、隆。本当にさぁ……
「うまッ! タルタルソースがめちゃ美味しい!」
「ね、お嬢。美味いっしょ!」
「ココちゃん、あなたそんな言葉を使っちゃダメよ」
「母さま、ごめんなさい。でも、これ食べてみて下さい。お魚のフライとタルタルソースが絶妙ですよ!」
「ふふふ」
あ、王子に笑われてしまったぜ。でもさ、本当に美味しいんだ。ふんわりしっとりしたパンに、サクサクした衣の魚フライが挟んであって、手作りのタルタルソースが絶妙だ。
「ココはまだまだ食い気だね。僕は安心したよ」
ロディ兄、何だよそれ。
「もう、ココちゃんったら」
「美味しい。本当に美味しいね。僕は初めて食べたよ」
「ね、殿下。美味しいですよね」
「アハハハ。ココには敵わないなぁ」
「ロディ兄さまも食べてみて下さい!」
平和で良いよなぁ。ぶどうジュースも美味いし。言う事ないよ。
俺達はのんびりと昼食を摂り、ぶどうやぶどうジュースを沢山貰って帰途に着いた。
その馬車の中だ。俺はウトウトとしていたんだ。森の直ぐそばに馬車が差し掛かった時だ。急に馬車がガタンと止まった。
「ん……サキ?」
「お嬢さまぁ、そのままですぅ」
「どうしたのかな?」
「殿下も動かないで下さいぃ」
「え?」
咲が何かを感じ取っている。すると、外が慌ただしくなり、戦っている気配がした。
「サキ」
「賊じゃありません。これは、魔物ですぅ」
「姉貴、外に出るな!」
御者台にいた隆がそう呼びかけ、馬車から飛び降りた。外で隆が叫んでいる。
「馬車を走らせろ! 振り切れ!」
途端に馬車がスピードをあげ走り出す。
「リュウ!」
「お嬢さまぁ、ダメですぅ!」
領地内の移動だから護衛の数も少ない。俺は、何とか外の状況を把握しようと馬車の窓から外を見た。
ゴブリンの群れだ。緑色の体色で腰にはボロ布を巻き、手に貧相な武器を持って襲ってくる。だが、目つきが漫画やアニメで見たよりずっと凶暴だ。
「サキ、群れだわ。これだけの数を動かしているんだからキングがいるかも」
「お嬢さまぁ、リュウ達に任せておけば大丈夫ですぅ」
「でも、サキ! 数が多いの!」
その時、俺達が乗った馬車に振動があった。ドシン! と何かが馬車の上に落ちてきた様な振動だ。すると、天井をガンガンと打ち付ける音がした。ゴブリンが乗って屋根を打ち破ろうとしているのだろう。
咲が俺に覆い被さり叫ぶ。ダメだ、このシチュエーションはダメだ! 最後の時を思い出すじゃねーか!
「殿下もお嬢さまも頭を保護して下さいぃ!」
すると、天井が破られる事はなく、ギャー!と言う叫び声と共に転げ落ちる音がした。こんなのじっとしてらんねーよ!
「サキ! 母さま達の馬車は!?」
「大丈夫ですぅ。先を走っていますぅ」
よし、ならこの馬車が殿だな。俺は咲を押し退け窓を開けた。
「お嬢さまぁ、ダメですぅ!」
「サキ! 多いのよ! こんな数おかしいわ!」
「でもダメですぅ!」
「サキ、馬車の上に登れない?」
「お嬢さまぁ」
「お願い!」
「はぁ~、分かりましたぁ。私にしがみ付いて下さいぃ」
「サキ! ありがとう!」
俺はガシッとサキの身体に両手両足でしがみ付いた。
「いいですかぁ? 絶対に離さないで下さいぃ」
「分かった!」
「え!? ココ嬢! 危険だ!」
「殿下、大丈夫です!」
サキは馬車のドアを開けると、馬車を止めさせた。そして、ドアの上枠を掴んで弾みをつけ俺を胸にくっつけたまま身を翻し馬車の屋根に飛び乗った。
「サキ、凄いな。びっくりしたわ」
「仕込まれましたからぁ」
ああ、なぁ~る。前世の姉達だな。
馬車の上から見渡すと、数十ものゴブリンが襲撃してきていた。おかしいぞ。防御壁があるんだ。その防御壁をどうやって越えたんだ?
俺は胸元から小さな笛を取り出し思い切り吹いた。前にロディ兄が防御壁の上から吹いていたあの笛だ。領主隊や俺達家族は万一に備えて皆持っている。
――ピーピーピー!! ピーピーピー!!
笛の合図で、ゴブリンを応戦していた隆達が一斉に距離を取った。
「サキ! いくぞ!!」
「はいぃ!」
「「ウインドカッター!!」」
空中に無数の風の刃が現れ、ゴブリン目掛けて飛び斬り刻む。
――ギャオォォォーーー!!
一気に数を減らしたゴブリンを隆達が殲滅する。すると、どこからかゴブリンキングが姿を現した。身体はゴブリンと同じ様に緑色をしているが、人の何倍もの身長で右手に大剣らしき物をもっている。
◇ ◇ ◇
読んでいただき有難うございます!
キリの良いとこまで投稿したいので、後ほどもう1話投稿します。
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