36 / 249
第2章 王都からの刺客!?
36ー一夜明けて
しおりを挟む
「え? でも、侵入者が……」
「もう終わりましたよ。さ、殿下。寝ましょうね」
「え? 終わったの?」
「はい。終わりました」
「終わりましたよぅ。安心しておやすみ下さいぃ」
「え、そうなの?」
「はい、殿下」
「そう……」
俺と咲は殿下を部屋まで送る。
「ココ嬢に怪我はないの?」
「ありませんよ。怪我する訳ありません」
「そうなの?」
「はい」
「そう、良かった。じゃあ、寝るよ。ココ嬢も寝るんだよね?」
「はい、もう寝ます」
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
さて、メイドさん。何か見つけたかな? と、思って振り返ってみると首を横に振られてしまった。
「あー、なんにもなかったみたいですねぇ」
「そうね。でも、メイドさん達よく出来てるわ」
「ですねぇ」
多分、事が終わるまでスタンバっていたんだろうよ。速攻で箒片手にやって来たもんな。よく、教育されてるよ。
「そこら辺の男には負けませんしねぇ」
「え? そうなの?」
「当たり前じゃないですかぁ。戦うメイドさん達ですぅ」
「スゴイわね……」
おお怖い。怒らせない様にしよう。仲良くしておこう。
「アハハ。お嬢さまぁ、何思ってんですかぁ。もう、寝ますよぅ」
「おう」
俺と咲は自分の部屋へと戻った。サキは俺とコネクティングルームみたくドアで繋がった部屋だ。従者部屋って言うの? 隆は夜の見張り当番にも入っているから咲の方が四六時中俺のそばにいる。俺が女だって事もある。俺が男だったら多分サキはあの部屋にはいないだろう。隆が従者部屋に入っているはずだ。
「目が覚めちゃったわ」
「そんな事ないですよぅ。ベッドへ入ったら絶対に直ぐ寝ますよぅ」
相変わらず酷い言い草だ。
「さ、お嬢さまぁ。寝ましょうねぇ」
「はいはい。分かったよ」
俺は大人しく言われる通りにベッドへ入った。即落ちだった。咲の言う事が正しかった。あんな事があった後でも寝られるんだな。我ながらビックリだ。
翌朝、外が少し騒がしくて目が覚めた。
「あ、お嬢さまぁ。騒がしかったですかぁ?」
「いや、外で何やってるの?」
「昨夜の賊ですよぅ。折られた旗と奴等が使った縄を外してるんですぅ」
「ああ……」
そっか。縄で降りてきていたな。旗、どうすんだろう。
「サキ、お腹すいたわ」
「はいぃ。支度して食事にしましょうねぇ」
咲に言われて俺は着替える。顔も洗って身支度をして食堂へと行った。
「ココ嬢、おはよう」
「殿下、おはようございます。眠れましたか?」
「うん。あれから直ぐに寝てしまったよ」
「良かったです」
そうか。あんな騒ぎの後でも眠れて良かったよ。
「僕のせいで危険な目に合わせてしまった」
「危険ですか?」
「うん。危険だよね?」
「そうですか?」
「え?」
「大した事ないですよ」
「そうなのかい?」
「はい。下にいたリュウ達は剣を抜きもしなかったそうですよ」
「え……」
「メイドさん達も平気でお片付けしていたでしょう?」
「ああ、そう言えば……」
「大した事ありません。気にする事ないですよ。それに、殿下のせいなんかじゃありませんよ」
「そうか……ありがとう」
「ほら、しっかり食べて下さい」
「うん。いただくよ」
そうさ。そんな事気にする必要ないさ。王子が悪いんじゃない。狙ってくる奴等が悪いんだ。王子はもっと怒っていいんだ。
食事を済ませて食堂を出ると隆が控えていた。
「リュウ、もう片付けは済んだの?」
「はい。それよりお嬢、黒の糸が出来たそうッス」
お、そうかい。そうかい。じゃあ、ロディシスのボクサーパンツ作らなきゃな。
「ロディ兄さまのサイズは分かるの?」
「後で姉貴が聞いてきますよ。まだ布地にしないと駄目ッス」
「そうね。見に行くわ」
「お嬢、その前に鍛練ッス」
「あぁ……」
マジ、バックれたい……。
「ココアリア! 弛んでいるぞぉー!」
「お嬢! 気合いッス!」
ほら、張り切ってるよ。父が。デカイ声だよ。マジで。
「精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!
「一意専心!!」
――おおー!!
――きゃぁ~!
俺もう吐きそうだよ。何か黄色い声が混じってるぞ。戦うメイドさん達だ。朝から元気だね。
「お嬢さまぁ、大丈夫ですかぁ?」
「あ? ハァハァ……ああ」
「今日は午後からお勉強の時間ですぅ」
「え、じゃあ見に行けないじゃない」
「大丈夫ですぅ。今日はまだ布地にするので精一杯だと思いますぅ」
「そう……」
でもなぁ……そうは言ってもパターンは起こしておきたいんだ。だからさぁ……。
「お勉強の後に顔をだしますかぁ?」
「いや、サキ。これから行くわ」
「はいぃ」
ちゃっちゃとロディシスのボクサーパンツを作ってしまってそれ以外のにも取り掛かりたいんだ。なんせ、状態異常無効に防御力アップだからな。
昨夜の様な事が、今後もないとは言えないだろう。
※ ※ ※
読んでいただき有難うございます!
今日は夜にもう1話投稿します。よろしくお願いします!
「もう終わりましたよ。さ、殿下。寝ましょうね」
「え? 終わったの?」
「はい。終わりました」
「終わりましたよぅ。安心しておやすみ下さいぃ」
「え、そうなの?」
「はい、殿下」
「そう……」
俺と咲は殿下を部屋まで送る。
「ココ嬢に怪我はないの?」
「ありませんよ。怪我する訳ありません」
「そうなの?」
「はい」
「そう、良かった。じゃあ、寝るよ。ココ嬢も寝るんだよね?」
「はい、もう寝ます」
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
さて、メイドさん。何か見つけたかな? と、思って振り返ってみると首を横に振られてしまった。
「あー、なんにもなかったみたいですねぇ」
「そうね。でも、メイドさん達よく出来てるわ」
「ですねぇ」
多分、事が終わるまでスタンバっていたんだろうよ。速攻で箒片手にやって来たもんな。よく、教育されてるよ。
「そこら辺の男には負けませんしねぇ」
「え? そうなの?」
「当たり前じゃないですかぁ。戦うメイドさん達ですぅ」
「スゴイわね……」
おお怖い。怒らせない様にしよう。仲良くしておこう。
「アハハ。お嬢さまぁ、何思ってんですかぁ。もう、寝ますよぅ」
「おう」
俺と咲は自分の部屋へと戻った。サキは俺とコネクティングルームみたくドアで繋がった部屋だ。従者部屋って言うの? 隆は夜の見張り当番にも入っているから咲の方が四六時中俺のそばにいる。俺が女だって事もある。俺が男だったら多分サキはあの部屋にはいないだろう。隆が従者部屋に入っているはずだ。
「目が覚めちゃったわ」
「そんな事ないですよぅ。ベッドへ入ったら絶対に直ぐ寝ますよぅ」
相変わらず酷い言い草だ。
「さ、お嬢さまぁ。寝ましょうねぇ」
「はいはい。分かったよ」
俺は大人しく言われる通りにベッドへ入った。即落ちだった。咲の言う事が正しかった。あんな事があった後でも寝られるんだな。我ながらビックリだ。
翌朝、外が少し騒がしくて目が覚めた。
「あ、お嬢さまぁ。騒がしかったですかぁ?」
「いや、外で何やってるの?」
「昨夜の賊ですよぅ。折られた旗と奴等が使った縄を外してるんですぅ」
「ああ……」
そっか。縄で降りてきていたな。旗、どうすんだろう。
「サキ、お腹すいたわ」
「はいぃ。支度して食事にしましょうねぇ」
咲に言われて俺は着替える。顔も洗って身支度をして食堂へと行った。
「ココ嬢、おはよう」
「殿下、おはようございます。眠れましたか?」
「うん。あれから直ぐに寝てしまったよ」
「良かったです」
そうか。あんな騒ぎの後でも眠れて良かったよ。
「僕のせいで危険な目に合わせてしまった」
「危険ですか?」
「うん。危険だよね?」
「そうですか?」
「え?」
「大した事ないですよ」
「そうなのかい?」
「はい。下にいたリュウ達は剣を抜きもしなかったそうですよ」
「え……」
「メイドさん達も平気でお片付けしていたでしょう?」
「ああ、そう言えば……」
「大した事ありません。気にする事ないですよ。それに、殿下のせいなんかじゃありませんよ」
「そうか……ありがとう」
「ほら、しっかり食べて下さい」
「うん。いただくよ」
そうさ。そんな事気にする必要ないさ。王子が悪いんじゃない。狙ってくる奴等が悪いんだ。王子はもっと怒っていいんだ。
食事を済ませて食堂を出ると隆が控えていた。
「リュウ、もう片付けは済んだの?」
「はい。それよりお嬢、黒の糸が出来たそうッス」
お、そうかい。そうかい。じゃあ、ロディシスのボクサーパンツ作らなきゃな。
「ロディ兄さまのサイズは分かるの?」
「後で姉貴が聞いてきますよ。まだ布地にしないと駄目ッス」
「そうね。見に行くわ」
「お嬢、その前に鍛練ッス」
「あぁ……」
マジ、バックれたい……。
「ココアリア! 弛んでいるぞぉー!」
「お嬢! 気合いッス!」
ほら、張り切ってるよ。父が。デカイ声だよ。マジで。
「精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!
「一意専心!!」
――おおー!!
――きゃぁ~!
俺もう吐きそうだよ。何か黄色い声が混じってるぞ。戦うメイドさん達だ。朝から元気だね。
「お嬢さまぁ、大丈夫ですかぁ?」
「あ? ハァハァ……ああ」
「今日は午後からお勉強の時間ですぅ」
「え、じゃあ見に行けないじゃない」
「大丈夫ですぅ。今日はまだ布地にするので精一杯だと思いますぅ」
「そう……」
でもなぁ……そうは言ってもパターンは起こしておきたいんだ。だからさぁ……。
「お勉強の後に顔をだしますかぁ?」
「いや、サキ。これから行くわ」
「はいぃ」
ちゃっちゃとロディシスのボクサーパンツを作ってしまってそれ以外のにも取り掛かりたいんだ。なんせ、状態異常無効に防御力アップだからな。
昨夜の様な事が、今後もないとは言えないだろう。
※ ※ ※
読んでいただき有難うございます!
今日は夜にもう1話投稿します。よろしくお願いします!
109
お気に入りに追加
2,960
あなたにおすすめの小説

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる