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第2章 王都からの刺客!?
36ー一夜明けて
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「え? でも、侵入者が……」
「もう終わりましたよ。さ、殿下。寝ましょうね」
「え? 終わったの?」
「はい。終わりました」
「終わりましたよぅ。安心しておやすみ下さいぃ」
「え、そうなの?」
「はい、殿下」
「そう……」
俺と咲は殿下を部屋まで送る。
「ココ嬢に怪我はないの?」
「ありませんよ。怪我する訳ありません」
「そうなの?」
「はい」
「そう、良かった。じゃあ、寝るよ。ココ嬢も寝るんだよね?」
「はい、もう寝ます」
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
さて、メイドさん。何か見つけたかな? と、思って振り返ってみると首を横に振られてしまった。
「あー、なんにもなかったみたいですねぇ」
「そうね。でも、メイドさん達よく出来てるわ」
「ですねぇ」
多分、事が終わるまでスタンバっていたんだろうよ。速攻で箒片手にやって来たもんな。よく、教育されてるよ。
「そこら辺の男には負けませんしねぇ」
「え? そうなの?」
「当たり前じゃないですかぁ。戦うメイドさん達ですぅ」
「スゴイわね……」
おお怖い。怒らせない様にしよう。仲良くしておこう。
「アハハ。お嬢さまぁ、何思ってんですかぁ。もう、寝ますよぅ」
「おう」
俺と咲は自分の部屋へと戻った。サキは俺とコネクティングルームみたくドアで繋がった部屋だ。従者部屋って言うの? 隆は夜の見張り当番にも入っているから咲の方が四六時中俺のそばにいる。俺が女だって事もある。俺が男だったら多分サキはあの部屋にはいないだろう。隆が従者部屋に入っているはずだ。
「目が覚めちゃったわ」
「そんな事ないですよぅ。ベッドへ入ったら絶対に直ぐ寝ますよぅ」
相変わらず酷い言い草だ。
「さ、お嬢さまぁ。寝ましょうねぇ」
「はいはい。分かったよ」
俺は大人しく言われる通りにベッドへ入った。即落ちだった。咲の言う事が正しかった。あんな事があった後でも寝られるんだな。我ながらビックリだ。
翌朝、外が少し騒がしくて目が覚めた。
「あ、お嬢さまぁ。騒がしかったですかぁ?」
「いや、外で何やってるの?」
「昨夜の賊ですよぅ。折られた旗と奴等が使った縄を外してるんですぅ」
「ああ……」
そっか。縄で降りてきていたな。旗、どうすんだろう。
「サキ、お腹すいたわ」
「はいぃ。支度して食事にしましょうねぇ」
咲に言われて俺は着替える。顔も洗って身支度をして食堂へと行った。
「ココ嬢、おはよう」
「殿下、おはようございます。眠れましたか?」
「うん。あれから直ぐに寝てしまったよ」
「良かったです」
そうか。あんな騒ぎの後でも眠れて良かったよ。
「僕のせいで危険な目に合わせてしまった」
「危険ですか?」
「うん。危険だよね?」
「そうですか?」
「え?」
「大した事ないですよ」
「そうなのかい?」
「はい。下にいたリュウ達は剣を抜きもしなかったそうですよ」
「え……」
「メイドさん達も平気でお片付けしていたでしょう?」
「ああ、そう言えば……」
「大した事ありません。気にする事ないですよ。それに、殿下のせいなんかじゃありませんよ」
「そうか……ありがとう」
「ほら、しっかり食べて下さい」
「うん。いただくよ」
そうさ。そんな事気にする必要ないさ。王子が悪いんじゃない。狙ってくる奴等が悪いんだ。王子はもっと怒っていいんだ。
食事を済ませて食堂を出ると隆が控えていた。
「リュウ、もう片付けは済んだの?」
「はい。それよりお嬢、黒の糸が出来たそうッス」
お、そうかい。そうかい。じゃあ、ロディシスのボクサーパンツ作らなきゃな。
「ロディ兄さまのサイズは分かるの?」
「後で姉貴が聞いてきますよ。まだ布地にしないと駄目ッス」
「そうね。見に行くわ」
「お嬢、その前に鍛練ッス」
「あぁ……」
マジ、バックれたい……。
「ココアリア! 弛んでいるぞぉー!」
「お嬢! 気合いッス!」
ほら、張り切ってるよ。父が。デカイ声だよ。マジで。
「精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!
「一意専心!!」
――おおー!!
――きゃぁ~!
俺もう吐きそうだよ。何か黄色い声が混じってるぞ。戦うメイドさん達だ。朝から元気だね。
「お嬢さまぁ、大丈夫ですかぁ?」
「あ? ハァハァ……ああ」
「今日は午後からお勉強の時間ですぅ」
「え、じゃあ見に行けないじゃない」
「大丈夫ですぅ。今日はまだ布地にするので精一杯だと思いますぅ」
「そう……」
でもなぁ……そうは言ってもパターンは起こしておきたいんだ。だからさぁ……。
「お勉強の後に顔をだしますかぁ?」
「いや、サキ。これから行くわ」
「はいぃ」
ちゃっちゃとロディシスのボクサーパンツを作ってしまってそれ以外のにも取り掛かりたいんだ。なんせ、状態異常無効に防御力アップだからな。
昨夜の様な事が、今後もないとは言えないだろう。
※ ※ ※
読んでいただき有難うございます!
今日は夜にもう1話投稿します。よろしくお願いします!
「もう終わりましたよ。さ、殿下。寝ましょうね」
「え? 終わったの?」
「はい。終わりました」
「終わりましたよぅ。安心しておやすみ下さいぃ」
「え、そうなの?」
「はい、殿下」
「そう……」
俺と咲は殿下を部屋まで送る。
「ココ嬢に怪我はないの?」
「ありませんよ。怪我する訳ありません」
「そうなの?」
「はい」
「そう、良かった。じゃあ、寝るよ。ココ嬢も寝るんだよね?」
「はい、もう寝ます」
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
さて、メイドさん。何か見つけたかな? と、思って振り返ってみると首を横に振られてしまった。
「あー、なんにもなかったみたいですねぇ」
「そうね。でも、メイドさん達よく出来てるわ」
「ですねぇ」
多分、事が終わるまでスタンバっていたんだろうよ。速攻で箒片手にやって来たもんな。よく、教育されてるよ。
「そこら辺の男には負けませんしねぇ」
「え? そうなの?」
「当たり前じゃないですかぁ。戦うメイドさん達ですぅ」
「スゴイわね……」
おお怖い。怒らせない様にしよう。仲良くしておこう。
「アハハ。お嬢さまぁ、何思ってんですかぁ。もう、寝ますよぅ」
「おう」
俺と咲は自分の部屋へと戻った。サキは俺とコネクティングルームみたくドアで繋がった部屋だ。従者部屋って言うの? 隆は夜の見張り当番にも入っているから咲の方が四六時中俺のそばにいる。俺が女だって事もある。俺が男だったら多分サキはあの部屋にはいないだろう。隆が従者部屋に入っているはずだ。
「目が覚めちゃったわ」
「そんな事ないですよぅ。ベッドへ入ったら絶対に直ぐ寝ますよぅ」
相変わらず酷い言い草だ。
「さ、お嬢さまぁ。寝ましょうねぇ」
「はいはい。分かったよ」
俺は大人しく言われる通りにベッドへ入った。即落ちだった。咲の言う事が正しかった。あんな事があった後でも寝られるんだな。我ながらビックリだ。
翌朝、外が少し騒がしくて目が覚めた。
「あ、お嬢さまぁ。騒がしかったですかぁ?」
「いや、外で何やってるの?」
「昨夜の賊ですよぅ。折られた旗と奴等が使った縄を外してるんですぅ」
「ああ……」
そっか。縄で降りてきていたな。旗、どうすんだろう。
「サキ、お腹すいたわ」
「はいぃ。支度して食事にしましょうねぇ」
咲に言われて俺は着替える。顔も洗って身支度をして食堂へと行った。
「ココ嬢、おはよう」
「殿下、おはようございます。眠れましたか?」
「うん。あれから直ぐに寝てしまったよ」
「良かったです」
そうか。あんな騒ぎの後でも眠れて良かったよ。
「僕のせいで危険な目に合わせてしまった」
「危険ですか?」
「うん。危険だよね?」
「そうですか?」
「え?」
「大した事ないですよ」
「そうなのかい?」
「はい。下にいたリュウ達は剣を抜きもしなかったそうですよ」
「え……」
「メイドさん達も平気でお片付けしていたでしょう?」
「ああ、そう言えば……」
「大した事ありません。気にする事ないですよ。それに、殿下のせいなんかじゃありませんよ」
「そうか……ありがとう」
「ほら、しっかり食べて下さい」
「うん。いただくよ」
そうさ。そんな事気にする必要ないさ。王子が悪いんじゃない。狙ってくる奴等が悪いんだ。王子はもっと怒っていいんだ。
食事を済ませて食堂を出ると隆が控えていた。
「リュウ、もう片付けは済んだの?」
「はい。それよりお嬢、黒の糸が出来たそうッス」
お、そうかい。そうかい。じゃあ、ロディシスのボクサーパンツ作らなきゃな。
「ロディ兄さまのサイズは分かるの?」
「後で姉貴が聞いてきますよ。まだ布地にしないと駄目ッス」
「そうね。見に行くわ」
「お嬢、その前に鍛練ッス」
「あぁ……」
マジ、バックれたい……。
「ココアリア! 弛んでいるぞぉー!」
「お嬢! 気合いッス!」
ほら、張り切ってるよ。父が。デカイ声だよ。マジで。
「精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!
「一意専心!!」
――おおー!!
――きゃぁ~!
俺もう吐きそうだよ。何か黄色い声が混じってるぞ。戦うメイドさん達だ。朝から元気だね。
「お嬢さまぁ、大丈夫ですかぁ?」
「あ? ハァハァ……ああ」
「今日は午後からお勉強の時間ですぅ」
「え、じゃあ見に行けないじゃない」
「大丈夫ですぅ。今日はまだ布地にするので精一杯だと思いますぅ」
「そう……」
でもなぁ……そうは言ってもパターンは起こしておきたいんだ。だからさぁ……。
「お勉強の後に顔をだしますかぁ?」
「いや、サキ。これから行くわ」
「はいぃ」
ちゃっちゃとロディシスのボクサーパンツを作ってしまってそれ以外のにも取り掛かりたいんだ。なんせ、状態異常無効に防御力アップだからな。
昨夜の様な事が、今後もないとは言えないだろう。
※ ※ ※
読んでいただき有難うございます!
今日は夜にもう1話投稿します。よろしくお願いします!
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