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第2章 王都からの刺客!?
34ー不審者 2
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俺達は、部屋の様子をうかがう。王子が部屋に戻るまで潜むつもりなのか気配を消していて動きがない。だが、俺達はごまかせないぞ。
「部屋の奥に2人、手前に2人ですね」
従者のランスも気付いている。さあ、やってやるぜ!
「そろそろサキがリュウと合流した頃かな」
「兄さま、そうですね」
「だから、ココ。飛び出したら駄目だからね」
「兄さま、分かってます」
「じゃあ、行くよ」
「はい」
「了解です」
俺達が部屋に踏み込もうとした時だった。
「逃げましたぁー!!」
「ランス!」
「はい!」
ロディ兄の従者であるランスが部屋へと飛び込んだ。
「何なの! 何がしたいのよ!」
「ココ! 深追いするんじゃない!」
俺が慌ててバルコニーの方へと走り始めた時だ。ロディ兄に止められた。
「兄さま!」
「リュウとサキが追いかけているだろう」
「ロディ様」
ランスが部屋に灯りをつけ部屋を見回している。
「ランス、部屋にはもういないだろう?」
「はい。全員逃げ出した様です」
「王子がいないから諦めたのか?」
「若しくは別の目的があったかです」
「別の目的か……」
「ロディさまぁ~! お嬢さまぁ~!」
「ココ、サキが呼んでるね」
「はい。兄さま、行きましょう」
俺達3人は咲が呼んでいる1階へと急いだ。今日は皆が前庭で打ち上げをしている。そんな騒がしい中で、咲はよく3階にいる俺達まで聞こえる程の声を出したよ。びっくりだ。
「サキ! 捕らえたの!?」
「いえ、4人いたのですが皆バラバラに逃げ出したので、1人しか捕まえられませんでしたぁ。それにぃ……」
「ああ、自害してしまったか」
「はい。ロディ様、申し訳ありません」
「いや、サキ。仕方ないよ」
咲の足元には、血を吐いて事切れているだろう全身黒ずくめの人物が横たわっていた。
「ランス、王子の部屋を変える様に知らせてきてくれ」
「了解です」
そうだ。王子の部屋がバレていた。見張っていたのか? それとも、邸内に知らせた者がいたのか? そんな事をする者はいない筈だが、スッキリしないな。
「ロディ、ココ!」
ランスと入れ替わりに、バルト兄が走ってやって来た。
「兄上、自害されてしまいました」
「ああ、ランスから聞いた。サキ、リュウは?」
「別の侵入者を追ってますぅ」
「兄さま、何がしたかったのでしょう」
「さあ、何だろうね」
「ロディ、タイミングが良すぎると思わないか?」
「そうですね。打ち上げをしていて騒がしい上に、警備が手薄になっていて紛れやすい。しかも、夜だ」
「そうだ。何より殿下の部屋を狙って入っている。知られていたんだろう」
「じゃあ兄さま、旗を折ったのも同じ奴等ですか?」
「多分、そうだろうね。騒ぎを起こしたかったのだろう」
隆が黒ずくめの男を2人引きずって戻ってきた。捕まえたのか、凄いな。
「リュウ、捕まえたのか?」
「バルト様、すんません。1人逃がしました。で、1人は自害されてしまいました。残りの1人は猿轡をして気絶させてます」
「よくやった」
「バルト様、王妃様かも知れません」
「なんだって? リュウ、どうしてそう思う」
「こいつです。自害した奴なんスけど、自害する直前に王妃様の名前を呼んだんスよ」
ドサッと1人を地面に転がす。こいつも血を吐いた様だが、もう事切れている。戻ってきていたランスがしゃがみ込んで見ている。毒の匂いがしないか確認しているんだ。毒によっては独特の匂いのする物があるんだ。
「ほう……」
「兄上」
「ああ、父上に報告だ」
「はい。エクター」
「おう」
エクターが父の元へ走って行った。しかし、隆。1人でよく捕まえたよ。
「バルト様、こいつ地下牢へ入れときます」
「ああ。身体検査してからだぞ」
「分かってるッス」
隆が軽々と黒ずくめの男を担いで行く。
「バルト! ロディシス!」
大きな声の父がやって来た。
「殿下の部屋かッ!?」
「はい、父上。部屋を変更します」
「ああ! もちろん、その方が良い! こいつ等か!?」
父が、地面に横たわる2人の死体を見る。黒ずくめで証拠になる様な物は持っていないだろう。
「毒か?」
「はい、多分。予め持っていた様です」
「そこまでするのか……」
「父上、1人の男が自害する直前に王妃様の名前を呼んだそうです。リュウが聞いていました」
「なんだとぉッ!?」
「1人はリュウが捕らえて牢に入れています。あと1人は逃しました」
「旦那様、とにかく死体を地下へ。検証もしなければなりません」
「ああ、そうだな。シーゲル頼んだ」
「はい。お任せを」
シーゲルが2つの死体をヒョイと両脇に抱えて行く。どんな力してんだよ。びっくりだ。
「部屋の奥に2人、手前に2人ですね」
従者のランスも気付いている。さあ、やってやるぜ!
「そろそろサキがリュウと合流した頃かな」
「兄さま、そうですね」
「だから、ココ。飛び出したら駄目だからね」
「兄さま、分かってます」
「じゃあ、行くよ」
「はい」
「了解です」
俺達が部屋に踏み込もうとした時だった。
「逃げましたぁー!!」
「ランス!」
「はい!」
ロディ兄の従者であるランスが部屋へと飛び込んだ。
「何なの! 何がしたいのよ!」
「ココ! 深追いするんじゃない!」
俺が慌ててバルコニーの方へと走り始めた時だ。ロディ兄に止められた。
「兄さま!」
「リュウとサキが追いかけているだろう」
「ロディ様」
ランスが部屋に灯りをつけ部屋を見回している。
「ランス、部屋にはもういないだろう?」
「はい。全員逃げ出した様です」
「王子がいないから諦めたのか?」
「若しくは別の目的があったかです」
「別の目的か……」
「ロディさまぁ~! お嬢さまぁ~!」
「ココ、サキが呼んでるね」
「はい。兄さま、行きましょう」
俺達3人は咲が呼んでいる1階へと急いだ。今日は皆が前庭で打ち上げをしている。そんな騒がしい中で、咲はよく3階にいる俺達まで聞こえる程の声を出したよ。びっくりだ。
「サキ! 捕らえたの!?」
「いえ、4人いたのですが皆バラバラに逃げ出したので、1人しか捕まえられませんでしたぁ。それにぃ……」
「ああ、自害してしまったか」
「はい。ロディ様、申し訳ありません」
「いや、サキ。仕方ないよ」
咲の足元には、血を吐いて事切れているだろう全身黒ずくめの人物が横たわっていた。
「ランス、王子の部屋を変える様に知らせてきてくれ」
「了解です」
そうだ。王子の部屋がバレていた。見張っていたのか? それとも、邸内に知らせた者がいたのか? そんな事をする者はいない筈だが、スッキリしないな。
「ロディ、ココ!」
ランスと入れ替わりに、バルト兄が走ってやって来た。
「兄上、自害されてしまいました」
「ああ、ランスから聞いた。サキ、リュウは?」
「別の侵入者を追ってますぅ」
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「じゃあ兄さま、旗を折ったのも同じ奴等ですか?」
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「バルト様、すんません。1人逃がしました。で、1人は自害されてしまいました。残りの1人は猿轡をして気絶させてます」
「よくやった」
「バルト様、王妃様かも知れません」
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「こいつです。自害した奴なんスけど、自害する直前に王妃様の名前を呼んだんスよ」
ドサッと1人を地面に転がす。こいつも血を吐いた様だが、もう事切れている。戻ってきていたランスがしゃがみ込んで見ている。毒の匂いがしないか確認しているんだ。毒によっては独特の匂いのする物があるんだ。
「ほう……」
「兄上」
「ああ、父上に報告だ」
「はい。エクター」
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エクターが父の元へ走って行った。しかし、隆。1人でよく捕まえたよ。
「バルト様、こいつ地下牢へ入れときます」
「ああ。身体検査してからだぞ」
「分かってるッス」
隆が軽々と黒ずくめの男を担いで行く。
「バルト! ロディシス!」
大きな声の父がやって来た。
「殿下の部屋かッ!?」
「はい、父上。部屋を変更します」
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父が、地面に横たわる2人の死体を見る。黒ずくめで証拠になる様な物は持っていないだろう。
「毒か?」
「はい、多分。予め持っていた様です」
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「1人はリュウが捕らえて牢に入れています。あと1人は逃しました」
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「ああ、そうだな。シーゲル頼んだ」
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