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第1章 転生後
27ーウルフ討伐 2
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防御壁の上にいるロディ兄が胸元から小さな笛を出した。森を見渡し領主隊を確認し、小さな細い笛を思い切り吹いた。
――ピーーー!!
小さな笛なのに、出る音は耳を劈く様な甲高い音がする。下で討伐をしている者達の耳にも届ける為だ。
「え? 何だ?」
王子が驚いて見ている。
「殿下、見ていて下さい。領主隊が移動しますよ」
「領主隊が?」
「はい。ロディ兄さまが、今合図をしたので」
「合図……」
バラバラとばらけて個々にウルフを討伐していた領主隊が、一定の方向へと動き出した。
「あ、本当だ」
「はい。ああして追い込んでいるんです」
森の広範囲のあちらこちらにいたウルフが、領主隊に追い立てられて一所へ移動し出した。
「まだだ、もう少し……」
ロディ兄が、笛を持ってジッとウルフの行方を見ている。
「ココ、サキ、先ずは手前にアースウォールだ」
「はい、兄さま」
「はいぃ、ロディ様」
俺に指示した後、ロディ兄がまた笛を吹く。
――ピーーピーー!!
すると、領主隊が一斉にウルフから距離をとった。
「ココ! サキ! 今だ!」
「「はい! アースウォール!!」」
俺と咲で森の防御壁側から囲う様に、魔法で大きな土の壁を作った。
――ピーピーピー!! ピーピーピー!!
「凄い! なんて規模だ!」
領主隊がロディ兄の笛の合図でウルフを追い込み距離をとった。その様子を見て王子が驚いている。ロディ兄の笛の合図で何十人もの領主隊が動くんだ。統率がとれているだろう? こんな討伐は見た事がないだろう。
「ココ! いくよ!」
「はい! 兄さま!」
「「アイシクルランス!!」」
ロディ兄と俺が詠唱すると、氷柱の様な巨大な槍が何本も現れ一斉に飛びウルフの体を貫く。おらぁ、いっとけー!
――ドゴゴゴゴゴ!!
――ギャオォォォーー!!
「一網打尽だ……!」
「よし!」
――ピピーーー!!
また、ロディ兄が笛を吹くと今度は領主隊が生き残ったウルフを討伐し出した。
「兄さま、終わりですね」
「ああ、上手くいったね」
「凄い……いつも、こうして?」
「殿下、時と場合によりますよ。魔物の種類によってもです」
「そうか……凄いな。ココ嬢もまだ8歳なのに魔法が使えるんだ」
「はい。母さまに教わりました」
「そう、夫人に。何もかも規格外だ……」
王子が放心状態で突っ立っているぜ。日々の訓練の賜物だよ。
そして、下から笛で合図があった。
――ピーーー!!
「よし! ココ、下に行こう!」
「はい! 兄さま!」
「何の合図なの?」
「討伐完了したんですぅ。もう、大丈夫ですぅ。殿下も下に行かれますかぁ?」
「ああ!」
あっという間に、ウルフ討伐が終わった。完璧だぜ!
討伐に出ていた父達も戻ってきた。
「ロディシス! 良い指示だったぞぉ!」
「父上、ありがとうございます!」
「ココとサキもよくやった!」
「はい、父さま!」
「ありがとうございますぅ」
「殿下、見ておられましたか!?」
「はい、驚きました。素晴らしいです!」
「そうでしょう、そうでしょうな! こんな事ができるのも我が領主隊だけでしょうな! ワッハッハッハ!!」
相変わらず、声がデカイ。テンションも高い。
「リュウが、炎で攻撃するから参ったよ」
「すんません、バルト様。つい」
「大火事になるところだったな」
「エクター、俺がいるから大丈夫だ。あれでかなりの数を減らせた」
「でしょう!?」
「だが、リュウ。森の中であの規模の炎はダメだ」
「分かってるッス。すんません!」
アハハハ、隆がバルト兄に叱られている。バルト兄が言っていたエクターとは、バルト兄の従者だ。エクター・エレイン。エレイン伯爵家5男だ。学園で同級だったそうだ。その時に意気投合し、お気楽な5男だからとバルト兄の押しかけ従者になった。従者と言うより親友の様な関係だ。ウルフカットの様な真っ赤な髪を振り乱し槍を使ってバルト兄の背中を守る。普段は、気のいい兄さんだ。
「ココ、母上は?」
「え? さあ? 上では一緒だったのですけど」
「また、魔物を収納するのが嫌なんだ」
え、そうなのか? 母ってそんな感じだっけ? バックレたのか?
「仕方ない。ココ、収納してくれ」
「え……」
「え? ココ」
「はい、バルト兄さま」
俺だけかよ。俺1人でこれだけのウルフを収納すんのかよ。母よ、頼むよ。
「お嬢、だから顔」
「ふふふ」
あ、ヤベ。王子にも笑われちまったぜ。はいはい、収納しますよ。
収納とは、亜空間収納の事だ。別空間へ収納できる。それはもう無限に収納できる。母も同じ亜空間収納を持っているが、魔物の死体を収納するのを嫌がるんだ。今日も、いつの間にか姿が見えない。超ズルイよなぁ。
「お嬢様、だいたいまとめてありますからお願いします」
「うん、分かったわ」
このよく気がつくのは、父の側近であり執事の仕事も担ってくれている、シーゲル・ブライトだ。
――ピーーー!!
小さな笛なのに、出る音は耳を劈く様な甲高い音がする。下で討伐をしている者達の耳にも届ける為だ。
「え? 何だ?」
王子が驚いて見ている。
「殿下、見ていて下さい。領主隊が移動しますよ」
「領主隊が?」
「はい。ロディ兄さまが、今合図をしたので」
「合図……」
バラバラとばらけて個々にウルフを討伐していた領主隊が、一定の方向へと動き出した。
「あ、本当だ」
「はい。ああして追い込んでいるんです」
森の広範囲のあちらこちらにいたウルフが、領主隊に追い立てられて一所へ移動し出した。
「まだだ、もう少し……」
ロディ兄が、笛を持ってジッとウルフの行方を見ている。
「ココ、サキ、先ずは手前にアースウォールだ」
「はい、兄さま」
「はいぃ、ロディ様」
俺に指示した後、ロディ兄がまた笛を吹く。
――ピーーピーー!!
すると、領主隊が一斉にウルフから距離をとった。
「ココ! サキ! 今だ!」
「「はい! アースウォール!!」」
俺と咲で森の防御壁側から囲う様に、魔法で大きな土の壁を作った。
――ピーピーピー!! ピーピーピー!!
「凄い! なんて規模だ!」
領主隊がロディ兄の笛の合図でウルフを追い込み距離をとった。その様子を見て王子が驚いている。ロディ兄の笛の合図で何十人もの領主隊が動くんだ。統率がとれているだろう? こんな討伐は見た事がないだろう。
「ココ! いくよ!」
「はい! 兄さま!」
「「アイシクルランス!!」」
ロディ兄と俺が詠唱すると、氷柱の様な巨大な槍が何本も現れ一斉に飛びウルフの体を貫く。おらぁ、いっとけー!
――ドゴゴゴゴゴ!!
――ギャオォォォーー!!
「一網打尽だ……!」
「よし!」
――ピピーーー!!
また、ロディ兄が笛を吹くと今度は領主隊が生き残ったウルフを討伐し出した。
「兄さま、終わりですね」
「ああ、上手くいったね」
「凄い……いつも、こうして?」
「殿下、時と場合によりますよ。魔物の種類によってもです」
「そうか……凄いな。ココ嬢もまだ8歳なのに魔法が使えるんだ」
「はい。母さまに教わりました」
「そう、夫人に。何もかも規格外だ……」
王子が放心状態で突っ立っているぜ。日々の訓練の賜物だよ。
そして、下から笛で合図があった。
――ピーーー!!
「よし! ココ、下に行こう!」
「はい! 兄さま!」
「何の合図なの?」
「討伐完了したんですぅ。もう、大丈夫ですぅ。殿下も下に行かれますかぁ?」
「ああ!」
あっという間に、ウルフ討伐が終わった。完璧だぜ!
討伐に出ていた父達も戻ってきた。
「ロディシス! 良い指示だったぞぉ!」
「父上、ありがとうございます!」
「ココとサキもよくやった!」
「はい、父さま!」
「ありがとうございますぅ」
「殿下、見ておられましたか!?」
「はい、驚きました。素晴らしいです!」
「そうでしょう、そうでしょうな! こんな事ができるのも我が領主隊だけでしょうな! ワッハッハッハ!!」
相変わらず、声がデカイ。テンションも高い。
「リュウが、炎で攻撃するから参ったよ」
「すんません、バルト様。つい」
「大火事になるところだったな」
「エクター、俺がいるから大丈夫だ。あれでかなりの数を減らせた」
「でしょう!?」
「だが、リュウ。森の中であの規模の炎はダメだ」
「分かってるッス。すんません!」
アハハハ、隆がバルト兄に叱られている。バルト兄が言っていたエクターとは、バルト兄の従者だ。エクター・エレイン。エレイン伯爵家5男だ。学園で同級だったそうだ。その時に意気投合し、お気楽な5男だからとバルト兄の押しかけ従者になった。従者と言うより親友の様な関係だ。ウルフカットの様な真っ赤な髪を振り乱し槍を使ってバルト兄の背中を守る。普段は、気のいい兄さんだ。
「ココ、母上は?」
「え? さあ? 上では一緒だったのですけど」
「また、魔物を収納するのが嫌なんだ」
え、そうなのか? 母ってそんな感じだっけ? バックレたのか?
「仕方ない。ココ、収納してくれ」
「え……」
「え? ココ」
「はい、バルト兄さま」
俺だけかよ。俺1人でこれだけのウルフを収納すんのかよ。母よ、頼むよ。
「お嬢、だから顔」
「ふふふ」
あ、ヤベ。王子にも笑われちまったぜ。はいはい、収納しますよ。
収納とは、亜空間収納の事だ。別空間へ収納できる。それはもう無限に収納できる。母も同じ亜空間収納を持っているが、魔物の死体を収納するのを嫌がるんだ。今日も、いつの間にか姿が見えない。超ズルイよなぁ。
「お嬢様、だいたいまとめてありますからお願いします」
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このよく気がつくのは、父の側近であり執事の仕事も担ってくれている、シーゲル・ブライトだ。
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