24 / 249
第1章 転生後
24ー試着会
しおりを挟む
「兄さま、これあと何台作ってもらえますか?」
「親方、どうかな?」
ロディシスが、ドワーフのおじさんに聞いた。親方らしい。普段はこんなの作ってないんだろうな。
「これで良いならすぐに次作るぞ」
「本当ですか! 取り敢えずあと最低2台は欲しいです。兄さま」
「分かった分かった。親方、頼めるかな?」
「おう、任せな!」
「ありがとう!」
「アハハハ! お嬢、任せな! こんな変わったの作るのはおもしれーからな!」
「ねえ、親方。織り機とかも作れるの?」
「作った事はねーが、俺に作れない物はないぞ!」
「本当に!?」
俺は、親方に織り機を見せる。
「これね、古いの。もっと、早くて色んな厚みの物が織れるといいんだけど。糸紡ぎ機もなの。原始的なのよ」
「原始的って、お嬢。こんなもんだろうよ」
「糸を紡ぐのって自動でできない?」
「ふむ……できない事もないがな。どっちが急ぐんだ?」
「ミシンね」
「み、み?」
「ミシンよ、ミシン。親方が作ってくれた縫う道具よ。ミシンって言うの」
「ほう。じゃあ、そっち作ってからだな」
「うん、それでいいわ」
いいねー、いいじゃん。これで、超スムーズに進むぜ。ミシンがあるのと無いのとだと縫う速さが全然違うからな。
「ココ、じゃあ雇った人達にも仕事を教えてくれるかい」
「はい、兄さま」
男性2人には、セリスアラーネアの世話と糸の色分けを管理してもらう事と、繭から糸にするまでを担当してもらおう。女性には、糸を紡ぐ人、布を織る人、型紙に合わせて布地を切る人、縫う人。全部一通りを試してもらって、向き不向きと本人の希望を考慮して決める。
「ココ、じゃあ僕は黒で頼むよ」
「はい、兄さま。分かってますよ」
「楽しみにしてるよ」
「兄さま、それより先に殿下の分を作らなくてもいいのですか?」
「そうだったね。状態異常無効だったか。リュウ、今それは何を作っているんだ?」
「これは旦那様のです」
「それ、そこそこで良いから先に殿下の分を作ろう」
「ロディ様、王子殿下のは黒じゃなくて良いんスか?」
「黒は僕だよ」
「え……」
「リュウ、何かな?」
「いえ……」
「取り敢えず、今あるのが白だろ? それでいい。殿下の分を優先してくれるかな」
「……分かりました」
「でも、兄さま。先に母さまの分を作ります」
「ああ、それでいいよ。じゃあ、リュウ頼んだよ」
「はい」
ロディシスは黒に拘ってないか? 俺のせいか?
「お嬢さまがぁ、余計な事を言うからですよぅ」
はいはい。けどさ、俺は黒が良いんだよ。
そして、俺達は手分けして入ってきた人達に教えてまわった。教えながらだったから、多少もたつきはしたが無事に皆に教え、母の下着も上下が完成した。早速、母に試着してもらおうと母の部屋に来ている。
「ちょっと、ココ。これはどうしたらいいの!?」
「サキ、お願い」
「はいぃ」
咲が、衝立の向こうにいる母を手伝いに入った。
「奥さまぁ、こう着けて……こう……ここからグッとですねぇ」
「えぇ!? そこからなの?」
「はいぃ。お肉をこうグッと……」
「まあ!」
「いいですねぇ。お尻もこう……」
「あらあら、まあまあ!」
何なんだよ。実況中継じゃないんだからさ。どうだ? いい感じだと思うよ? 咲と一緒に拘って作ったんだ。力作だよ。
母が普段用のドレスを着て衝立の向こうから出て来た。お、いいじゃん。スッキリしてるな。メリハリがある。
「ココちゃん! 凄くいいわ! それに楽なのよ! これなら、コルセットはいらないわね」
それは、母が細いからだよ。40歳なのに、ナイスバディだ。
「見て見て、このお胸! なんて事でしょう!」
ふわっはっはっ! どーだよ、いいだろう? まあ、ブラも拘ったけど、パンティもだよ。飽く迄も細やかに可愛らしく。その代わり、ガードルはしっかりお腹をカバーする長さにした。しかも、ちょっと凝ったんだ。母が好きそうな刺繍入りだ。将来的には淡いピンクとかで作りたいね。黒もいいなぁ。いや、先にゴムが欲しいなぁ。パンツが紐って、面倒なんだよなぁ。
「お嬢さまぁ、変なお顔になってますぅ」
悪かったね! 突っ込まないで! スルーして!
「うん、完璧だわ!」
「奥様ぁ、普段用も作っているんですぅ」
「そうなの!?」
「はい、母さま。普段用はそれほど締め付けないんですよ。お肉を支える様に作っています。垂れちゃうのは嫌ですから」
「それは大事だわ」
この世界、貴族は普段もドレスだ。と、言っても夜会に着ていく様なドレスではない。もっと、シンプルでアッサリしている。コルセットもつけない。だからこそ、この下着は重要だろう。
取り敢えず、母の分が完成したので、それからは王子の下着に取り掛かった。
※ ― ※ ― ※
皆さまのお陰で、ココちゃんのお話しが、HOT男性向けランキング8位まで返り咲いてます!
有難うございます!
今日は、後ほどまた1話投稿します。
宜しくお願いします!
「親方、どうかな?」
ロディシスが、ドワーフのおじさんに聞いた。親方らしい。普段はこんなの作ってないんだろうな。
「これで良いならすぐに次作るぞ」
「本当ですか! 取り敢えずあと最低2台は欲しいです。兄さま」
「分かった分かった。親方、頼めるかな?」
「おう、任せな!」
「ありがとう!」
「アハハハ! お嬢、任せな! こんな変わったの作るのはおもしれーからな!」
「ねえ、親方。織り機とかも作れるの?」
「作った事はねーが、俺に作れない物はないぞ!」
「本当に!?」
俺は、親方に織り機を見せる。
「これね、古いの。もっと、早くて色んな厚みの物が織れるといいんだけど。糸紡ぎ機もなの。原始的なのよ」
「原始的って、お嬢。こんなもんだろうよ」
「糸を紡ぐのって自動でできない?」
「ふむ……できない事もないがな。どっちが急ぐんだ?」
「ミシンね」
「み、み?」
「ミシンよ、ミシン。親方が作ってくれた縫う道具よ。ミシンって言うの」
「ほう。じゃあ、そっち作ってからだな」
「うん、それでいいわ」
いいねー、いいじゃん。これで、超スムーズに進むぜ。ミシンがあるのと無いのとだと縫う速さが全然違うからな。
「ココ、じゃあ雇った人達にも仕事を教えてくれるかい」
「はい、兄さま」
男性2人には、セリスアラーネアの世話と糸の色分けを管理してもらう事と、繭から糸にするまでを担当してもらおう。女性には、糸を紡ぐ人、布を織る人、型紙に合わせて布地を切る人、縫う人。全部一通りを試してもらって、向き不向きと本人の希望を考慮して決める。
「ココ、じゃあ僕は黒で頼むよ」
「はい、兄さま。分かってますよ」
「楽しみにしてるよ」
「兄さま、それより先に殿下の分を作らなくてもいいのですか?」
「そうだったね。状態異常無効だったか。リュウ、今それは何を作っているんだ?」
「これは旦那様のです」
「それ、そこそこで良いから先に殿下の分を作ろう」
「ロディ様、王子殿下のは黒じゃなくて良いんスか?」
「黒は僕だよ」
「え……」
「リュウ、何かな?」
「いえ……」
「取り敢えず、今あるのが白だろ? それでいい。殿下の分を優先してくれるかな」
「……分かりました」
「でも、兄さま。先に母さまの分を作ります」
「ああ、それでいいよ。じゃあ、リュウ頼んだよ」
「はい」
ロディシスは黒に拘ってないか? 俺のせいか?
「お嬢さまがぁ、余計な事を言うからですよぅ」
はいはい。けどさ、俺は黒が良いんだよ。
そして、俺達は手分けして入ってきた人達に教えてまわった。教えながらだったから、多少もたつきはしたが無事に皆に教え、母の下着も上下が完成した。早速、母に試着してもらおうと母の部屋に来ている。
「ちょっと、ココ。これはどうしたらいいの!?」
「サキ、お願い」
「はいぃ」
咲が、衝立の向こうにいる母を手伝いに入った。
「奥さまぁ、こう着けて……こう……ここからグッとですねぇ」
「えぇ!? そこからなの?」
「はいぃ。お肉をこうグッと……」
「まあ!」
「いいですねぇ。お尻もこう……」
「あらあら、まあまあ!」
何なんだよ。実況中継じゃないんだからさ。どうだ? いい感じだと思うよ? 咲と一緒に拘って作ったんだ。力作だよ。
母が普段用のドレスを着て衝立の向こうから出て来た。お、いいじゃん。スッキリしてるな。メリハリがある。
「ココちゃん! 凄くいいわ! それに楽なのよ! これなら、コルセットはいらないわね」
それは、母が細いからだよ。40歳なのに、ナイスバディだ。
「見て見て、このお胸! なんて事でしょう!」
ふわっはっはっ! どーだよ、いいだろう? まあ、ブラも拘ったけど、パンティもだよ。飽く迄も細やかに可愛らしく。その代わり、ガードルはしっかりお腹をカバーする長さにした。しかも、ちょっと凝ったんだ。母が好きそうな刺繍入りだ。将来的には淡いピンクとかで作りたいね。黒もいいなぁ。いや、先にゴムが欲しいなぁ。パンツが紐って、面倒なんだよなぁ。
「お嬢さまぁ、変なお顔になってますぅ」
悪かったね! 突っ込まないで! スルーして!
「うん、完璧だわ!」
「奥様ぁ、普段用も作っているんですぅ」
「そうなの!?」
「はい、母さま。普段用はそれほど締め付けないんですよ。お肉を支える様に作っています。垂れちゃうのは嫌ですから」
「それは大事だわ」
この世界、貴族は普段もドレスだ。と、言っても夜会に着ていく様なドレスではない。もっと、シンプルでアッサリしている。コルセットもつけない。だからこそ、この下着は重要だろう。
取り敢えず、母の分が完成したので、それからは王子の下着に取り掛かった。
※ ― ※ ― ※
皆さまのお陰で、ココちゃんのお話しが、HOT男性向けランキング8位まで返り咲いてます!
有難うございます!
今日は、後ほどまた1話投稿します。
宜しくお願いします!
98
お気に入りに追加
2,968
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる