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第1章 転生後
16ーセリスアラーネア
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翌日から王子は本当に鍛練を見る為に外へ出て来る様になった。
「殿下、見るだけでは勿体ないですな。我々が鍛練しているのを見ながら、ゆっくりとで構いません。庭を歩かれたらどうです?」
「歩くか……そうだね。そうしよう」
「ゆっくりと無理をせずです」
「分かった」
父がそう王子に話した。王子の後ろに付いているソフィリアに目配せをしている。
無理させない様に、ゆっくりとだ。いいなぁ。俺もあっちがいい。
「ココアリア! よそ見しない!」
げげ、叱られちゃった。なんせ、まだ身体が小さいからなぁ。前世の俺だったらこれ位楽勝なんだが。
「えぇー、そうですかぁ?」
咲、口に出していないのに俺の心を読むなよ。
「だってぇ、お嬢さまはぁ1番体力が無かったと思いますよぅ」
「え……マジ?」
「大マジですぅ」
「精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
ああ、今日も始まってしまったよ。鍛練と言う名の地獄がな。
「ココアリア! 集中!」
げげげ! また叱られちゃった!
「万能一心!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
「鍛練を疎かにするなー!」
はい、今日も数回酸欠になりました。キツイです。チーン、て音がしそうだぜ。その場にしゃがみ込み肩で息をする。メイドさんでもこなしているのに、俺だけ何故だ。納得できない。
「ハァハァ……サキ、み、水」
「はいぃ、お嬢さまぁ」
ん、スポドリじゃん。柚子っぽい柑橘が喉越し爽やかだ。そっか、俺が作ったんだっけ? 確か、5歳位の時にさ。それよりも、キンキンに冷えたビールが飲みたいぃ。
「はいはいぃ、そうですねぇ」
「お嬢、『アレ』が届きましたよ」
「リュウ、あれって……あれ?」
「そうっス。あれッス」
「やだぁ、全然分かんなぁいぃ!」
あざとい。わざとだろ、それ。
「わざとじゃないですぅ」
はいはい。そうか、届いたか。
「サキ、午後からあたしの予定は?」
「そうですねぇ、何しますぅ?」
「リュウ、午後から見に行くわ」
「了解ッス」
ふふ。ふふふ。ふははは! 待っていたんだよ。そうかい、そうかい。やっと届いたかい。やっぱうちの領地にいたんだな。
「て、デカッ! 超デカ! 引くわ」
俺は、裏庭にある小屋まで来ていた。そこで、隆が話していた『アレ』を見たんだが。
「マジ? 何でこんなにデカイんだ? 怖いじゃん」
「そりゃ、お嬢。魔物ッスから」
「え、魔物なの? これ?」
「はい。でも、大人しいもんスよ。あ、ただ噛まれたら指が捥げます」
やだ、何それ!? 超怖い!
「お嬢さまぁ、いいから説明して下さいよぅ」
「ばっか、咲。見て分かんないの?」
「えー、蜘蛛?」
「蚕の代わりよ、超デカイ蜘蛛だけど」
「の、魔物ッス」
蚕みたいなんだよ、魔物らしいけど。蚕みたいに糸を出す。いや、蜘蛛なんだけど。意味不明。
絹の様な糸が取れる蜘蛛なんだ。しかも、超デカイ。体長はおよそ50~60センチ、脚を広げた際の幅はなんと1メートル。脚が細くて長いタイプじゃなくて、タランチュラの様にもっさりと毛が生えているタイプだ。だが、毒はない。無害な蜘蛛だ。
それに、何故か身体が白い。蜘蛛なのに、蚕の様な繭を作る。そして、その繭から糸が取れる。絹の様に軽くて丈夫。しかも、艶やかでしなやかだけど適度な伸縮性もあり状態異常無効の効果を得られる糸が取れるんだ。凄くない? 見つけた俺も、天才じゃない? まあ、魔物図鑑に普通に載っていたんだけど。魔物図鑑に載っていたんだから、歴とした魔物だ。
それを、俺は飼育したかった。だから、探してもらっていたんだ。この領地の森にしか生息していなくて珍しいらしく、動きも素早い。しかも臆病だときた。臆病な為、滅多に姿を見せないので本当に生息しているのかも不明だった。だって、誰も態々蜘蛛を意識して見ないだろう? だから、なかなか捕獲できなかった。やっと、捕まえたんだ。
「あら、もう繭を作ってるじゃない」
「はい。こいつセリスアラーネアって言うんスけど、このデカい葉が好物でこれを食べるからデカくなるらしいッス。で、腹一杯になったら繭を作り出すそうッスよ」
「へえー。で?」
「で? 以上ッス」
なんでだよ! 肝心のとこは無いのか!?
「繭からどうやって糸にするの?」
「え? 手で? 普通にぴーッて引っ張って?」
嘘だよ! そんな訳ないだろう!
これがまた、大雑把だった。繭から糸にする方法がだ。調べたよ、魔物辞典で。
先ず、縦に切れ目を入れて中にいるセリスアラーネアを取り出す。そして、人肌程度に温めた湯の中でバッシャバッシャと思い切り振る。そしたらあら不思議。解けて糸になるんだそうだ。
「凄いファンタジー」
「お嬢の存在の方が、ファンタジーッス」
そうかよ、ありがとう。多分だが、糸と糸をくっ付けている接着成分が温める事によって湯に溶け出すんだろうな。
繭から出したら、餌をやって腹が一杯になったらまた繭を作り出すらしい。エンドレスじゃん! そりゃいいね。
◇ ◇ ◇
あぁ~、6位に下がっちゃった(ToT)
でも! でもまだ6位です! オマケにまだ序盤!頑張りまっす!
皆様、有難うございます!
「殿下、見るだけでは勿体ないですな。我々が鍛練しているのを見ながら、ゆっくりとで構いません。庭を歩かれたらどうです?」
「歩くか……そうだね。そうしよう」
「ゆっくりと無理をせずです」
「分かった」
父がそう王子に話した。王子の後ろに付いているソフィリアに目配せをしている。
無理させない様に、ゆっくりとだ。いいなぁ。俺もあっちがいい。
「ココアリア! よそ見しない!」
げげ、叱られちゃった。なんせ、まだ身体が小さいからなぁ。前世の俺だったらこれ位楽勝なんだが。
「えぇー、そうですかぁ?」
咲、口に出していないのに俺の心を読むなよ。
「だってぇ、お嬢さまはぁ1番体力が無かったと思いますよぅ」
「え……マジ?」
「大マジですぅ」
「精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
ああ、今日も始まってしまったよ。鍛練と言う名の地獄がな。
「ココアリア! 集中!」
げげげ! また叱られちゃった!
「万能一心!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
「鍛練を疎かにするなー!」
はい、今日も数回酸欠になりました。キツイです。チーン、て音がしそうだぜ。その場にしゃがみ込み肩で息をする。メイドさんでもこなしているのに、俺だけ何故だ。納得できない。
「ハァハァ……サキ、み、水」
「はいぃ、お嬢さまぁ」
ん、スポドリじゃん。柚子っぽい柑橘が喉越し爽やかだ。そっか、俺が作ったんだっけ? 確か、5歳位の時にさ。それよりも、キンキンに冷えたビールが飲みたいぃ。
「はいはいぃ、そうですねぇ」
「お嬢、『アレ』が届きましたよ」
「リュウ、あれって……あれ?」
「そうっス。あれッス」
「やだぁ、全然分かんなぁいぃ!」
あざとい。わざとだろ、それ。
「わざとじゃないですぅ」
はいはい。そうか、届いたか。
「サキ、午後からあたしの予定は?」
「そうですねぇ、何しますぅ?」
「リュウ、午後から見に行くわ」
「了解ッス」
ふふ。ふふふ。ふははは! 待っていたんだよ。そうかい、そうかい。やっと届いたかい。やっぱうちの領地にいたんだな。
「て、デカッ! 超デカ! 引くわ」
俺は、裏庭にある小屋まで来ていた。そこで、隆が話していた『アレ』を見たんだが。
「マジ? 何でこんなにデカイんだ? 怖いじゃん」
「そりゃ、お嬢。魔物ッスから」
「え、魔物なの? これ?」
「はい。でも、大人しいもんスよ。あ、ただ噛まれたら指が捥げます」
やだ、何それ!? 超怖い!
「お嬢さまぁ、いいから説明して下さいよぅ」
「ばっか、咲。見て分かんないの?」
「えー、蜘蛛?」
「蚕の代わりよ、超デカイ蜘蛛だけど」
「の、魔物ッス」
蚕みたいなんだよ、魔物らしいけど。蚕みたいに糸を出す。いや、蜘蛛なんだけど。意味不明。
絹の様な糸が取れる蜘蛛なんだ。しかも、超デカイ。体長はおよそ50~60センチ、脚を広げた際の幅はなんと1メートル。脚が細くて長いタイプじゃなくて、タランチュラの様にもっさりと毛が生えているタイプだ。だが、毒はない。無害な蜘蛛だ。
それに、何故か身体が白い。蜘蛛なのに、蚕の様な繭を作る。そして、その繭から糸が取れる。絹の様に軽くて丈夫。しかも、艶やかでしなやかだけど適度な伸縮性もあり状態異常無効の効果を得られる糸が取れるんだ。凄くない? 見つけた俺も、天才じゃない? まあ、魔物図鑑に普通に載っていたんだけど。魔物図鑑に載っていたんだから、歴とした魔物だ。
それを、俺は飼育したかった。だから、探してもらっていたんだ。この領地の森にしか生息していなくて珍しいらしく、動きも素早い。しかも臆病だときた。臆病な為、滅多に姿を見せないので本当に生息しているのかも不明だった。だって、誰も態々蜘蛛を意識して見ないだろう? だから、なかなか捕獲できなかった。やっと、捕まえたんだ。
「あら、もう繭を作ってるじゃない」
「はい。こいつセリスアラーネアって言うんスけど、このデカい葉が好物でこれを食べるからデカくなるらしいッス。で、腹一杯になったら繭を作り出すそうッスよ」
「へえー。で?」
「で? 以上ッス」
なんでだよ! 肝心のとこは無いのか!?
「繭からどうやって糸にするの?」
「え? 手で? 普通にぴーッて引っ張って?」
嘘だよ! そんな訳ないだろう!
これがまた、大雑把だった。繭から糸にする方法がだ。調べたよ、魔物辞典で。
先ず、縦に切れ目を入れて中にいるセリスアラーネアを取り出す。そして、人肌程度に温めた湯の中でバッシャバッシャと思い切り振る。そしたらあら不思議。解けて糸になるんだそうだ。
「凄いファンタジー」
「お嬢の存在の方が、ファンタジーッス」
そうかよ、ありがとう。多分だが、糸と糸をくっ付けている接着成分が温める事によって湯に溶け出すんだろうな。
繭から出したら、餌をやって腹が一杯になったらまた繭を作り出すらしい。エンドレスじゃん! そりゃいいね。
◇ ◇ ◇
あぁ~、6位に下がっちゃった(ToT)
でも! でもまだ6位です! オマケにまだ序盤!頑張りまっす!
皆様、有難うございます!
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