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第1章 転生後
13ー脳筋集団
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あれから王子は丸1日目を覚まさなかった。王都からの長旅にも疲れたのだろう。何より、安心して眠れたんだろうと思う。可哀想に、まだ子供なのに。
そんな事を考えながら、俺は兄2人と咲や隆と一緒に領主隊へ混ざって父の鍛練を受けていた。その様子を、目を覚ました王子が部屋の窓から見ているとも知らずにな。
「ココアリア! 弛んでいるぞぉ!」
「お嬢様ぁ! ちゃんと気合い入れて下さいぃ!」
「うっせーッ!」
「お嬢様ぁ! うっせーはないですぅ!」
「ココ! 何だその言葉使いはぁッ! 精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
あー! キツイんだよ! 俺はまだ8歳だぞ! 分かってくれてる? 咲なんてヘラヘラしてんの! 楽勝か!? 楽勝なのかよ!? てか、この家はメイドのお姉さん達も一緒に鍛練するのか!? 信じらんねー!
「殿下、お加減は如何ですか?」
「夫人、ありがとう。スッキリとして気分が良いよ」
「それは良かったですわ」
「こんなに気分が良いのは何年振りだろう」
「毒が抜けたからでしょう」
「そうか……毒か……いや、それだけではない。何も考えずに安心して眠れた。この数年はなかった事だ。本当に感謝しています」
「まだまだ体力をつけないといけませんわね」
「そう言えば、窓から見ていたのですが、ココアリア嬢まで一緒に鍛練されているのですね。驚きました」
「ふふふ。令嬢なのにと思われるでしょうが、辺境の地では最低限我が身を守るだけの力をつけませんとね」
「我が身を守る……」
王子殿下が見ている等とは露知らず……父が脳筋っぷりを発揮して叫ぶ。
「一心精進!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
「一意専心!! 鍛練を疎かにするな!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
『はぁ~い!』て、何だよ! 戦うメイドさんなのか! マジ、勘弁してくれ。可愛いなぁ。
「お嬢、お疲れっした!」
「お疲れ様でしたぁ!」
「お、おう」
ハァハァ……お、俺はまだ……息が切れて……咲や隆は何で平気なんだよ!?
膝がわらっちゃってるよ。アハ、アハハハ。
「お嬢さまぁ、お風呂に入りましょうねぇ」
「汗だくだからな」
「お嬢、マジでもうちょっと喋り方気をつけて下さいよ」
「え……そうか?」
「そうッスよ」
「お、おう。気をつける」
そんな日常を過ごしながら、王子は少しずつ外へ出られる様になっていた。
「今日はまた裏の方が騒がしいね」
「はい、殿下。なんでも総出で芋掘りらしいですよ」
「芋掘り?」
「殿下、見に行かれませんか? 気も紛れますよ」
「そうだね、ソフィ。見に行ってみようかな」
俺達は、家族や領主隊に使用人まで参加して芋掘り大会を開催するところだった。何でも彼でも脳筋すぎるんだよ。
「準備はいいかー!」
――おうー!
――はぁ~い!
父が広いジャガイモ畑の前で木箱に乗って仕切っている。何故かメイドさん達まで張り切って参加している。いいけどさ、可愛いから。女子がいると花があるよねぇ。
「まあ、王子殿下。体調は如何ですか?」
「ありがとうございます。今日は賑やかですね」
流石に母は、裏庭の隅にあるベンチで、高みの見物だ。母付きのメイドが、ヒラヒラした日傘までさしている。
「皆で芋掘りですわ。1番最初に掘り出した者には景品が出るのですよ」
「景品ですか?」
「ええ。何でも大騒ぎしてしまう癖でもあるのかしら。ふふふ」
「ハハハ。しかし、皆さん楽しそうだ」
「殿下も如何ですか?」
「私がですか?」
「ええ。ほら、ココの隣りにでもどうです?」
母の話を受け、母付きのメイドが仕切り屋さんの父の元へと走る。ご苦労な事だ。俺は、そんな話をしているとも知らず、芋を前にヤル気満々だぜ! 咲には負けねー!
「えぇー! お嬢さまぁ、今まで私に勝った事ないですよぉ!?」
「まだ子供だからよ!」
「そう言う事にしておいてあげますぅ。キャハハ」
プチむかつく! 今年こそは咲に勝ぁつ! 俺は腕まくりをして準備万端だ。
「ココアリア! 来なさい!」
「はい!」
ええー、何だよぉ。何だ? 王子がいるじゃん。顔色が随分と良くなったな。うん、良かった良かった。
「殿下をココアリアの隣に。お教えしなさい!」
「え……」
「ココアリア」
「はい、父さま。殿下、こちらです」
仕方ないなぁ。教えてやるか。
「ココ嬢、よろしくね」
「はい」
俺は、王子殿下を誘導し、ジャガイモの畝へと移動する。
「サキ、手袋ある?」
「はい、ありますよぅ」
「王子殿下、手袋をして下さい」
「ありがとう」
で、俺は説明する。まず茎の周りの土を優しく手で掘りながら少しずつじゃがいもを掘り出していく。 ある程度じゃがいもが出てきたら、スコップで株元から約20~30センチ位離れたところを掘り、一気に収穫しましょう。
「優しくです。傷付けてはいけません。父が始めの合図をしますから」
「うん、分かったよ」
大丈夫か? おっとりした王子だな。ま、頑張るんだよ。でも、無理しない様にな。
そんな事を考えながら、俺は兄2人と咲や隆と一緒に領主隊へ混ざって父の鍛練を受けていた。その様子を、目を覚ました王子が部屋の窓から見ているとも知らずにな。
「ココアリア! 弛んでいるぞぉ!」
「お嬢様ぁ! ちゃんと気合い入れて下さいぃ!」
「うっせーッ!」
「お嬢様ぁ! うっせーはないですぅ!」
「ココ! 何だその言葉使いはぁッ! 精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
あー! キツイんだよ! 俺はまだ8歳だぞ! 分かってくれてる? 咲なんてヘラヘラしてんの! 楽勝か!? 楽勝なのかよ!? てか、この家はメイドのお姉さん達も一緒に鍛練するのか!? 信じらんねー!
「殿下、お加減は如何ですか?」
「夫人、ありがとう。スッキリとして気分が良いよ」
「それは良かったですわ」
「こんなに気分が良いのは何年振りだろう」
「毒が抜けたからでしょう」
「そうか……毒か……いや、それだけではない。何も考えずに安心して眠れた。この数年はなかった事だ。本当に感謝しています」
「まだまだ体力をつけないといけませんわね」
「そう言えば、窓から見ていたのですが、ココアリア嬢まで一緒に鍛練されているのですね。驚きました」
「ふふふ。令嬢なのにと思われるでしょうが、辺境の地では最低限我が身を守るだけの力をつけませんとね」
「我が身を守る……」
王子殿下が見ている等とは露知らず……父が脳筋っぷりを発揮して叫ぶ。
「一心精進!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
「一意専心!! 鍛練を疎かにするな!!」
――おおー!!
――はぁ~い!!
『はぁ~い!』て、何だよ! 戦うメイドさんなのか! マジ、勘弁してくれ。可愛いなぁ。
「お嬢、お疲れっした!」
「お疲れ様でしたぁ!」
「お、おう」
ハァハァ……お、俺はまだ……息が切れて……咲や隆は何で平気なんだよ!?
膝がわらっちゃってるよ。アハ、アハハハ。
「お嬢さまぁ、お風呂に入りましょうねぇ」
「汗だくだからな」
「お嬢、マジでもうちょっと喋り方気をつけて下さいよ」
「え……そうか?」
「そうッスよ」
「お、おう。気をつける」
そんな日常を過ごしながら、王子は少しずつ外へ出られる様になっていた。
「今日はまた裏の方が騒がしいね」
「はい、殿下。なんでも総出で芋掘りらしいですよ」
「芋掘り?」
「殿下、見に行かれませんか? 気も紛れますよ」
「そうだね、ソフィ。見に行ってみようかな」
俺達は、家族や領主隊に使用人まで参加して芋掘り大会を開催するところだった。何でも彼でも脳筋すぎるんだよ。
「準備はいいかー!」
――おうー!
――はぁ~い!
父が広いジャガイモ畑の前で木箱に乗って仕切っている。何故かメイドさん達まで張り切って参加している。いいけどさ、可愛いから。女子がいると花があるよねぇ。
「まあ、王子殿下。体調は如何ですか?」
「ありがとうございます。今日は賑やかですね」
流石に母は、裏庭の隅にあるベンチで、高みの見物だ。母付きのメイドが、ヒラヒラした日傘までさしている。
「皆で芋掘りですわ。1番最初に掘り出した者には景品が出るのですよ」
「景品ですか?」
「ええ。何でも大騒ぎしてしまう癖でもあるのかしら。ふふふ」
「ハハハ。しかし、皆さん楽しそうだ」
「殿下も如何ですか?」
「私がですか?」
「ええ。ほら、ココの隣りにでもどうです?」
母の話を受け、母付きのメイドが仕切り屋さんの父の元へと走る。ご苦労な事だ。俺は、そんな話をしているとも知らず、芋を前にヤル気満々だぜ! 咲には負けねー!
「えぇー! お嬢さまぁ、今まで私に勝った事ないですよぉ!?」
「まだ子供だからよ!」
「そう言う事にしておいてあげますぅ。キャハハ」
プチむかつく! 今年こそは咲に勝ぁつ! 俺は腕まくりをして準備万端だ。
「ココアリア! 来なさい!」
「はい!」
ええー、何だよぉ。何だ? 王子がいるじゃん。顔色が随分と良くなったな。うん、良かった良かった。
「殿下をココアリアの隣に。お教えしなさい!」
「え……」
「ココアリア」
「はい、父さま。殿下、こちらです」
仕方ないなぁ。教えてやるか。
「ココ嬢、よろしくね」
「はい」
俺は、王子殿下を誘導し、ジャガイモの畝へと移動する。
「サキ、手袋ある?」
「はい、ありますよぅ」
「王子殿下、手袋をして下さい」
「ありがとう」
で、俺は説明する。まず茎の周りの土を優しく手で掘りながら少しずつじゃがいもを掘り出していく。 ある程度じゃがいもが出てきたら、スコップで株元から約20~30センチ位離れたところを掘り、一気に収穫しましょう。
「優しくです。傷付けてはいけません。父が始めの合図をしますから」
「うん、分かったよ」
大丈夫か? おっとりした王子だな。ま、頑張るんだよ。でも、無理しない様にな。
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