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第1章 転生後
8ー大きな土産
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そんな理由もあり、うちの領地の兵達は国内でも最強だ。対人戦、対魔物戦にしても怯まず立ち向かう屈強な集団だ。この辺境の地を、延いては国を自分達が守っているんだと誇りを持っている。ぶっちゃけ国内最強の脳筋集団だ。
皆、鍛練大好き。三度の飯も好きだが、同じくらいに鍛練も好き。て、勢いで毎日毎日楽しそうに鍛練に精を出している。
その頭……いや、そんな集団を纏めているのが、父だ。
誰よりも強く、誰よりも戦術に長けている。そして、正義感も強く豪快だ。しかも人情味に溢れ、ついでに涙もろい。その為、兵士達からも、領民達からも絶大の信頼を得ている。
王家まで、一目や二目も置く辺境伯だ。辺境を一手に担っている状況から邪険には出来ないんだ。だが、家族愛が暑苦しい父でもある。
そんな辺境伯家の末っ子令嬢に俺は転生した。
「うん、だいたい覚えてるな」
「えぇ~、だいたいですかぁ?」
「まあ、ぼちぼちハッキリしてくるんじゃないの? 昨日よりは思い出してるから」
「そうッスか?」
しかし、何度も言うが女の子だよ。幼児の。まだ8歳だよ。しかも、誘拐なんてされちゃってさ。物騒じゃんか。どうすんだよ。俺、もっと強くなんなきゃな。うん。
「え……お嬢。まだ8歳なのに、それ以上強くなってどうすんッスか?」
「え……?」
「そうですよぅ。お嬢さまは充分強いんですよぅ」
本当に!? まだ8歳なのに、俺そんなに強いの!? うっそだぁ。
俺が、今世の状況を頭の中で整理して、擦り合わせてなんとか折り合いをつけ令嬢らしい態度も取れる様になって暫くした頃、熱血漢の父と兄が領地に戻って来た。大きなお土産を持ってだ。
「あなた……そのお方は……」
母が固まっている。いや、母だけでなく2番目の兄もだ。俺はさっぱり分からない。
ふわふわしたプラチナブロンドの髪にミッドナイトブルーの瞳の華奢な男の子が、父に手を取られて馬車から降りてきた。
「知らない者もいるだろう。紹介する。第3王子殿下であらせられる、フィルドラクス・ヴェルムナンド殿下だ」
なんだって!? 第3王子を連れて帰って来てどうするんだよ!? 脳筋親父、一体何考えているんだ!?
突然の王子登場にも動じず、母が前に出て挨拶をする。
「妻のティエリア・インペラートと申します。お目に掛かれて光栄でございます。長旅、お疲れでしょう? 急ぎ部屋をご用意致します。その間、お茶でもいかがですか?」
母が、狼狽えることなく第3王子を応接室へ案内しろとメイドに指示する。メイドや使用人達は弾かれた様に動き出した。大急ぎで第3王子の部屋を用意する為だ。
脳筋親父よ。先に文で知らせるとかしないと使用人達が大迷惑じゃないか。
「バルト、ロディ、ココいらっしゃい」
逃げようと思ったのに……母に指名されちゃったよ。仕方ない。
「お嬢様、お嬢さまですからねぇ」
咲が、こっそりと俺に耳打ちする。咲、日本語になってないぜ。てか、日本語喋ってないんだけど。分かってるよ。お嬢様らしくするさ。
第3王子を通した応接室へと行くのかと思ったら、父の執務室へと連れて行かれた。なんだ? どうした? 王子のところに行かなくていいのか?
「あなた、事情を説明してくださいな」
母の目がちょっと怖い。大人しく座っていよう。隣に座っているロディ兄が俺の頭を撫でながらにっこりとしている。ロディ兄はもう状況が理解できているのだろう。
「ココの誘拐の件はこっちの思惑通りに通した。心配ない。バカブータダ子爵は爵位剥奪となるだろう。でだ、王城で私は見たんだ」
「父上、第3王子が冷遇でもされていましたか?」
「ロディ、その通りだ」
「やっぱり」
何だ? 何で分かるんだ? 俺はさっぱりなんだけど?
「父上、私から説明します」
「ああ、バルト。頼む」
1番上のバルトシス兄さんだ。通称、バルト。そのバルト兄さんが、父が見て調べた王城での第3王子の状況を話して聞かせた。
この国には3人の王子殿下と1人の王女殿下がいる。
第1王子と、第2子の王女、第3子である第2王子の母親は言わずもがな王妃だ。唯一、末っ子に当たる第3王子の母親だけが違う。今はもう亡き第1側室だ。流行り病で亡くなられたのが3年前。それから、第3王子殿下は迫害されていた。
別宮へ移され、幽閉の様な処遇を受けていたんだ。まともな食事を出してもらえず、外にも出して貰えなかった。メイドと護衛も以前から付いている者2人に減らされた。それが、王子と一緒にやって来た護衛とメイドの2人だ。あの2人が断固として離れなかった為、仕方なくだそうだ。
親父が拝謁した際に、第3王子だけがその場にいなかったのを不審に思い調べたのだそうだ。
親父は変なところで勘が働く。おかしいと引っかかったんだろう。そんな状況の王子を、黙って放っておけるような人じゃない。
このまま、王城に置いておけば命に関わると判断した親父は、無理矢理第3王子を暫く引き取ると言って連れ帰って来たと言う訳だ。
どんな理由をつけたかは知らないが、無茶をする。しかし、そんな無茶が通るのも王国の要である辺境の地を治めている親父だからだ。
それよりもだ。王は気付いていないのか? それとも、共犯なのか?
皆、鍛練大好き。三度の飯も好きだが、同じくらいに鍛練も好き。て、勢いで毎日毎日楽しそうに鍛練に精を出している。
その頭……いや、そんな集団を纏めているのが、父だ。
誰よりも強く、誰よりも戦術に長けている。そして、正義感も強く豪快だ。しかも人情味に溢れ、ついでに涙もろい。その為、兵士達からも、領民達からも絶大の信頼を得ている。
王家まで、一目や二目も置く辺境伯だ。辺境を一手に担っている状況から邪険には出来ないんだ。だが、家族愛が暑苦しい父でもある。
そんな辺境伯家の末っ子令嬢に俺は転生した。
「うん、だいたい覚えてるな」
「えぇ~、だいたいですかぁ?」
「まあ、ぼちぼちハッキリしてくるんじゃないの? 昨日よりは思い出してるから」
「そうッスか?」
しかし、何度も言うが女の子だよ。幼児の。まだ8歳だよ。しかも、誘拐なんてされちゃってさ。物騒じゃんか。どうすんだよ。俺、もっと強くなんなきゃな。うん。
「え……お嬢。まだ8歳なのに、それ以上強くなってどうすんッスか?」
「え……?」
「そうですよぅ。お嬢さまは充分強いんですよぅ」
本当に!? まだ8歳なのに、俺そんなに強いの!? うっそだぁ。
俺が、今世の状況を頭の中で整理して、擦り合わせてなんとか折り合いをつけ令嬢らしい態度も取れる様になって暫くした頃、熱血漢の父と兄が領地に戻って来た。大きなお土産を持ってだ。
「あなた……そのお方は……」
母が固まっている。いや、母だけでなく2番目の兄もだ。俺はさっぱり分からない。
ふわふわしたプラチナブロンドの髪にミッドナイトブルーの瞳の華奢な男の子が、父に手を取られて馬車から降りてきた。
「知らない者もいるだろう。紹介する。第3王子殿下であらせられる、フィルドラクス・ヴェルムナンド殿下だ」
なんだって!? 第3王子を連れて帰って来てどうするんだよ!? 脳筋親父、一体何考えているんだ!?
突然の王子登場にも動じず、母が前に出て挨拶をする。
「妻のティエリア・インペラートと申します。お目に掛かれて光栄でございます。長旅、お疲れでしょう? 急ぎ部屋をご用意致します。その間、お茶でもいかがですか?」
母が、狼狽えることなく第3王子を応接室へ案内しろとメイドに指示する。メイドや使用人達は弾かれた様に動き出した。大急ぎで第3王子の部屋を用意する為だ。
脳筋親父よ。先に文で知らせるとかしないと使用人達が大迷惑じゃないか。
「バルト、ロディ、ココいらっしゃい」
逃げようと思ったのに……母に指名されちゃったよ。仕方ない。
「お嬢様、お嬢さまですからねぇ」
咲が、こっそりと俺に耳打ちする。咲、日本語になってないぜ。てか、日本語喋ってないんだけど。分かってるよ。お嬢様らしくするさ。
第3王子を通した応接室へと行くのかと思ったら、父の執務室へと連れて行かれた。なんだ? どうした? 王子のところに行かなくていいのか?
「あなた、事情を説明してくださいな」
母の目がちょっと怖い。大人しく座っていよう。隣に座っているロディ兄が俺の頭を撫でながらにっこりとしている。ロディ兄はもう状況が理解できているのだろう。
「ココの誘拐の件はこっちの思惑通りに通した。心配ない。バカブータダ子爵は爵位剥奪となるだろう。でだ、王城で私は見たんだ」
「父上、第3王子が冷遇でもされていましたか?」
「ロディ、その通りだ」
「やっぱり」
何だ? 何で分かるんだ? 俺はさっぱりなんだけど?
「父上、私から説明します」
「ああ、バルト。頼む」
1番上のバルトシス兄さんだ。通称、バルト。そのバルト兄さんが、父が見て調べた王城での第3王子の状況を話して聞かせた。
この国には3人の王子殿下と1人の王女殿下がいる。
第1王子と、第2子の王女、第3子である第2王子の母親は言わずもがな王妃だ。唯一、末っ子に当たる第3王子の母親だけが違う。今はもう亡き第1側室だ。流行り病で亡くなられたのが3年前。それから、第3王子殿下は迫害されていた。
別宮へ移され、幽閉の様な処遇を受けていたんだ。まともな食事を出してもらえず、外にも出して貰えなかった。メイドと護衛も以前から付いている者2人に減らされた。それが、王子と一緒にやって来た護衛とメイドの2人だ。あの2人が断固として離れなかった為、仕方なくだそうだ。
親父が拝謁した際に、第3王子だけがその場にいなかったのを不審に思い調べたのだそうだ。
親父は変なところで勘が働く。おかしいと引っかかったんだろう。そんな状況の王子を、黙って放っておけるような人じゃない。
このまま、王城に置いておけば命に関わると判断した親父は、無理矢理第3王子を暫く引き取ると言って連れ帰って来たと言う訳だ。
どんな理由をつけたかは知らないが、無茶をする。しかし、そんな無茶が通るのも王国の要である辺境の地を治めている親父だからだ。
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