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第1章 転生後

5ー紹介 2

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 俺の誘拐から発覚した隣領を治めているバカブータダ子爵の企み。俺を保護し、不成者達を捕まえたその足で父はバカブータダ子爵邸に踏み込んだ。もちろん、兵を連れてな。
 そして、バカブータダ子爵を捕らえ王都へと向かったらしい。バカブータダなんて酷い名前だよ。『名は体を表す』とはよく言ったもんだ。
 この子爵、うちの領地を狙って今迄何度も喧嘩を売ってきては親父に軽く撃退されている。だから今回は、俺を誘拐するなんて暴挙に出たんだろう。

 そして、バカブータダ子爵邸の捜索隊も同時に行動開始だ。こんな時、頼りになるのが2番目の兄だ。
 ロディシス・インペラート。18歳。
 冷静沈着、頭脳明晰。優秀すぎて、王都にある学園を1年早く卒業し領地に戻ってきている。
 父親譲りのアッシュシルバーで、母譲りの少しウェーブがある長い髪を後ろで結んでいる。瞳は父と同じアメジスト色で、少し切れ長の涼しい目をしている。
 家族には優しいが、学園ではクール過ぎて兄が歩いた後には氷の花が咲くとか言われていたらしい。意味不明。女子生徒達のハートまで凍りつくとかつかないとか。凍りついちゃったら駄目じゃん!
 そんな兄だが、実は超が付くシスコンだ。妹2人を超可愛がってくれる優しい兄だ。特に俺は歳が離れているせいか、猫可愛がりをしてくる兄だ。
 この兄に掛かると、どんなに帳簿や書類を誤魔化していても騙せない。どうして分かるのか俺には理解不能だが、兄に言わせると一目瞭然らしい。
 その兄が調査に出た。もう勝ったも同然だ。きっと、動かぬ証拠を見つけ出している事だろう。
 父と1番上の兄の影に隠れて、頭脳派だと思われがちだがそんな事はない。この領地であの父に育てられた兄だ。強くない筈がない。その上、魔法まで規格外だと言う。嘗めてかかると死ぬ目に合う。

「ロディシスもキレちゃってるみたいなの」

 と、家族で唯一呑気な母が言っていた。
 この天然風で呑気な母は、ティエリア・インペラート。40歳。
 父の事が大好きな母だ。学生時代に、母から迫ったとか押し倒したとか。とにかく、今でも仲が良い。と、言うかイチャイチャしている。マジ止めて欲しい。
 軽いウェーブがあるブルーブロンドの髪にガーネット色の瞳の美人さんだ。
 魔法全般に長けていて、俺は其れを継いでいるのではと言われている。呑気なので、いつもポヤポヤとしているが家族や領地の事となると冷静沈着で用意周到。実は裏の司令塔かも知れないと俺は思っている。2番目の兄は絶対に母似だな。俺に面白がって魔法を教えたのもこの母だ。

「まだ、エリアちゃんがいなくて良かったわぁ」

 いなくて良かったと言われているエリアちゃんとは、姉のエリアリア・インペラートの事だ。
 まだ15歳で、兄と同じ王都の学園に通っている。全寮制なので、長期休暇以外は帰って来ない。辺境伯領から王都までは何日も掛かるからな。なんせ、国の端っこ辺境だ。
 この姉はまだ15歳なのに、騎士団の入隊試験に合格するだろうとお墨付きを貰える程の剣の腕前だ。そんな姉でも兄2人には勝てないそうだ。その姉曰く……

「お兄様達と一緒に領地を守ります! だから、嫁には行きません!」

 ……と、公言している。男勝りな姉だ。だが、前世の姉達も普通の男より余裕で強かったからな。俺は、そういう姉を持つ運命なのか?
 そんな姉だが、見た目は呑気な母似だ。緩いウェーブのブルーブロンド色の髪をポニーに結んでいて、瞳はガーネット色。燃える闘魂の赤だ。嫁には行かないと言っている様に、姉も家族が大好きだ。この姉も1番下の俺の事を超可愛がってくれている。そんな姉がいたら、今頃は父と一緒に走って行った事だろう。うん、いなくて良かった。母に同意だ。

「ココちゃんは気にしなくて良いのよ。まだ安静にしていなさいね」

 俺のオデコにチュッとして部屋を出て行った。まあ、母は呑気だから。と言うか、母が呑気にしていると言う事は、もう既に証拠を握っているのだろう。

 ココちゃんと呼ばれている俺は、ココアリア・インペラート。現在8歳。
 少し歳が離れている事もあって、兄姉や両親からそれはとても可愛がられている。
 俺は、両親両方に似ていると言われていて、ふんわりとした母親譲りのブルーブロンドの髪に父親譲りのアメジスト色した瞳の美少女だ。(自称)

 だけどなぁ……中身が……俺だよ。残念だったな。
 皇 大和 享年20歳。歴とした男だ。しかも、皇組組長の息子で若頭だぜ。
 ショックだよ。隆や咲も性別はまんまなのに、何で俺だけ男じゃないんだよ。理不尽すぎるぜ。

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