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第二章
81ーユリウスの提案
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次の日も朝早くに出発し馬車を王都に向けて進めます。昨日は、モモが突然明かした加護の話で皆浮き足立っていたけど、今朝はもういつも通りに戻ってました。次の街までまた数日掛かります。
お昼休憩で馬車を停めていますが、今日も早々にクロノス侯爵とジュノー様は馬車に戻られました。
お二人は旅慣れておられないので、辛い様ですね。馬車の中で横になれる様に座席を変えて休んでおられる様です。
大丈夫かしら? 私はズッと馬車の中にいる方がキツイわ。そして、ユリウスから提案がありました。
「このまま真っ当に、逐一街に寄って魅了に掛かっている者をゼロから探し出して解呪して……と、していると王都に着くまでにかなりの時間が掛かります。そこで、考えました。此方が王都迄の道のりを街に立ち寄りながら進むのは変わらないのですが、向こうからも集まってもらってはどうでしょう?」
「ユリウス、向こうから集まってもらうとは一体どうするんだ?」
お父様の疑問は尤もですね。
「はい、アーデス様。これはレオン殿下の従者であるケイにもご協力願いたいのですが、連絡は取れますか?」
「ああ、大丈夫だぞ。帝国では従者との間で使用可能な魔道具があるんだ。今迄もそれを使って呼びよせていたからな」
「ピピー」
なんでピアがドヤってるのよ。そんな物があるの? どうりでケイはいつもタイミング良く来る筈だわ。知りたいわね。ねえ、見せて。
「ルル、目が怖い」
「ピ……」
なんでよ!
「作れないか見せて欲しいな~、て思っただけよ」
「ああ、いいぞ。作れたら便利だな。ほら、コレだ」
「ピピ」
何? レオン様とピアは二個一なの? ズッとレオン様の頭にいるけど。
「わふ……」
そうね、モモ。もうスルーしておくわ。
「ユリウス」
「はい、ルル様。レオン殿下拝見します」
2人で穴が空く程見つめます。丁度、前世にある折り畳んだガラケー? いや違うな。そうiPodみたいな感じの大きさで魔石を埋め込んであります。魔石が反応したらどうにかしたりする魔道具かな?
「ルル様……」
「ユリウス……」
「作りましょう」
「ええ、作りましょう! ユリウス、これ文章を送れる様に出来たりしないかしら?」
「そうですね……マーリソン殿」
「はいはい。どれどれ拝見します」
マーリソン様もジーッと見ます。ガン見てやつですね。
「私が思うに……この魔道具を少し進化させて、皆が持つ物は一言二言の伝言が出来る程度にする方が良いのではないでしょうか? 文章までとなると、使用する魔石が大きな物になりますから持ち歩くのは不便ですね」
なるほど……。
「例えば、ティシュトリア邸と王都のモーガン様との間にならば設置型にしてしまうとか。そうすれば、流す魔力量に因っては文章だけではなく通話が出来る様になりますね。いえ寧ろ、文より音声の方が簡単かと。以前、ルルーシュア様は通話の出来る魔道具を作っておられますからね。あれは魔石もごく小さい物で、通話出来る範囲がそう広くはなかったのでしたか? いや、証拠収集が目的だったので、通話はオマケで音声を保存する方を重視でしたか? 何にせよ、あれをもっと進化させれば良いのでは? かと言って持ち歩くのでしたら、そう長い通話は無理ですが。やはり魔石が大きくなりますからね。実用的ではなくなりますね」
「「「……!!」」」
「ルル、ルル」
ん? このコソコソ話す感じはレオン様かしら?
「どうしました?」
「マジ、電話じゃん、携帯じゃん……!」
「そうね。レオン様が魔道具を早く見せてくれていれば、もっと早くに出来たかも知れないわよ」
「まぁ、いいじゃん。できるんだからさ」
軽っ! 相変わらず軽いわ。
「でも直ぐには作れませんね。今直ぐにだと…2、3個位ですか」
「マーリソン様どうして?」
「手持ちの魔石がないのですよ」
「ユリウス」
「はい、ルル様。次の街で購入しましょう」
「ええ、購入しましょう!」
「ルル、なんかユリウスといいコンビだな」
あら、レオン様。どう言う意味かしら?
「だって、ルルがユリウスて、名前を呼ぶだけで、ユリウスは意味を理解してるぞ?」
「だって、ユリウスですもの」
え? 何かおかしいかしら? なんだったらユリウスは、私が口に出さなくても少しの会話は出来るわよ? ユリウスは昔からよ。
「それでユリウス。魅了の解呪の方はどうするんだ?」
あらいけないわ。魔道具に気がいって本題を忘れてたわ。
「はい、アーデス様。先日立ち寄った街で思ったのですが、此方が考えているよりはずっと魅了を掛けられた人がいる様です。そして、その周りの人達は気付いているのに、どうすれば良いのか分からない状態でした。解呪したいけど、どうすれば良いのか分からないといった状況ですね」
「ああ、正にそうだったな」
「ですので、もう隠す必要はないかと」
「……と、言うと?」
「魅了を解呪するぞと大っぴらに言うと、不安要素になるとかどうとか言う状況では既にないと言う事です。寧ろ今、解呪方法が分からなくて困っていると言う状況ですね。ですのでもう隠すのはやめて、大々的に困っている人を集めるのです」
「大々的にか……」
「とは言え、魅了に掛かっているかも知れないからとは言い出せない方々もおられるでしょう」
「それはそうだな」
「ですので、病でもなんでも良いのです。実際大抵の病でしたらディアナが薬湯を作れます。これから訪れるティシュトリア公爵一行に凄腕の薬師と魔導師がいるらしい。との内容に魅了の解呪も出来ると。先だっての魅了騒ぎの時に、解呪薬を提供したのもティシュトリア公爵だとチラつかせるのです。そう宣伝するだけで、ある程度は集まってくるのではないでしょうか? そして集まって来た人達に、先だっての街でした様に話を聞くとピンポイントで情報が得られないでしょうか? 尚且つ、ルル様とレオン殿下に街をブラついて頂いて片っ端から鑑定する。その方が早くはないでしょうか?」
「成る程。それでレオンの従者が必要なのは何故だ?」
「はい、前もって街々に噂を流しておいて頂こうかと」
「噂か?」
「はい。出来るだけ絞り込みたいので先程の内容と、これから来るティシュトリア家の薬師は王家が魅了の解呪をしきれなかった人達を解呪したらしいと」
ユリウス天才! 流石、知識神の加護を持つだけの事はあるわ。
「わふぅ……」
え? モモさん違う? それ以前にユリウスが賢いて事かしら?
「わふ」
あら、そうなのね。まぁ、私の師匠だからね!
「わふぅ……」
何よ、モモさんその残念そうな顔は。
お昼休憩で馬車を停めていますが、今日も早々にクロノス侯爵とジュノー様は馬車に戻られました。
お二人は旅慣れておられないので、辛い様ですね。馬車の中で横になれる様に座席を変えて休んでおられる様です。
大丈夫かしら? 私はズッと馬車の中にいる方がキツイわ。そして、ユリウスから提案がありました。
「このまま真っ当に、逐一街に寄って魅了に掛かっている者をゼロから探し出して解呪して……と、していると王都に着くまでにかなりの時間が掛かります。そこで、考えました。此方が王都迄の道のりを街に立ち寄りながら進むのは変わらないのですが、向こうからも集まってもらってはどうでしょう?」
「ユリウス、向こうから集まってもらうとは一体どうするんだ?」
お父様の疑問は尤もですね。
「はい、アーデス様。これはレオン殿下の従者であるケイにもご協力願いたいのですが、連絡は取れますか?」
「ああ、大丈夫だぞ。帝国では従者との間で使用可能な魔道具があるんだ。今迄もそれを使って呼びよせていたからな」
「ピピー」
なんでピアがドヤってるのよ。そんな物があるの? どうりでケイはいつもタイミング良く来る筈だわ。知りたいわね。ねえ、見せて。
「ルル、目が怖い」
「ピ……」
なんでよ!
「作れないか見せて欲しいな~、て思っただけよ」
「ああ、いいぞ。作れたら便利だな。ほら、コレだ」
「ピピ」
何? レオン様とピアは二個一なの? ズッとレオン様の頭にいるけど。
「わふ……」
そうね、モモ。もうスルーしておくわ。
「ユリウス」
「はい、ルル様。レオン殿下拝見します」
2人で穴が空く程見つめます。丁度、前世にある折り畳んだガラケー? いや違うな。そうiPodみたいな感じの大きさで魔石を埋め込んであります。魔石が反応したらどうにかしたりする魔道具かな?
「ルル様……」
「ユリウス……」
「作りましょう」
「ええ、作りましょう! ユリウス、これ文章を送れる様に出来たりしないかしら?」
「そうですね……マーリソン殿」
「はいはい。どれどれ拝見します」
マーリソン様もジーッと見ます。ガン見てやつですね。
「私が思うに……この魔道具を少し進化させて、皆が持つ物は一言二言の伝言が出来る程度にする方が良いのではないでしょうか? 文章までとなると、使用する魔石が大きな物になりますから持ち歩くのは不便ですね」
なるほど……。
「例えば、ティシュトリア邸と王都のモーガン様との間にならば設置型にしてしまうとか。そうすれば、流す魔力量に因っては文章だけではなく通話が出来る様になりますね。いえ寧ろ、文より音声の方が簡単かと。以前、ルルーシュア様は通話の出来る魔道具を作っておられますからね。あれは魔石もごく小さい物で、通話出来る範囲がそう広くはなかったのでしたか? いや、証拠収集が目的だったので、通話はオマケで音声を保存する方を重視でしたか? 何にせよ、あれをもっと進化させれば良いのでは? かと言って持ち歩くのでしたら、そう長い通話は無理ですが。やはり魔石が大きくなりますからね。実用的ではなくなりますね」
「「「……!!」」」
「ルル、ルル」
ん? このコソコソ話す感じはレオン様かしら?
「どうしました?」
「マジ、電話じゃん、携帯じゃん……!」
「そうね。レオン様が魔道具を早く見せてくれていれば、もっと早くに出来たかも知れないわよ」
「まぁ、いいじゃん。できるんだからさ」
軽っ! 相変わらず軽いわ。
「でも直ぐには作れませんね。今直ぐにだと…2、3個位ですか」
「マーリソン様どうして?」
「手持ちの魔石がないのですよ」
「ユリウス」
「はい、ルル様。次の街で購入しましょう」
「ええ、購入しましょう!」
「ルル、なんかユリウスといいコンビだな」
あら、レオン様。どう言う意味かしら?
「だって、ルルがユリウスて、名前を呼ぶだけで、ユリウスは意味を理解してるぞ?」
「だって、ユリウスですもの」
え? 何かおかしいかしら? なんだったらユリウスは、私が口に出さなくても少しの会話は出来るわよ? ユリウスは昔からよ。
「それでユリウス。魅了の解呪の方はどうするんだ?」
あらいけないわ。魔道具に気がいって本題を忘れてたわ。
「はい、アーデス様。先日立ち寄った街で思ったのですが、此方が考えているよりはずっと魅了を掛けられた人がいる様です。そして、その周りの人達は気付いているのに、どうすれば良いのか分からない状態でした。解呪したいけど、どうすれば良いのか分からないといった状況ですね」
「ああ、正にそうだったな」
「ですので、もう隠す必要はないかと」
「……と、言うと?」
「魅了を解呪するぞと大っぴらに言うと、不安要素になるとかどうとか言う状況では既にないと言う事です。寧ろ今、解呪方法が分からなくて困っていると言う状況ですね。ですのでもう隠すのはやめて、大々的に困っている人を集めるのです」
「大々的にか……」
「とは言え、魅了に掛かっているかも知れないからとは言い出せない方々もおられるでしょう」
「それはそうだな」
「ですので、病でもなんでも良いのです。実際大抵の病でしたらディアナが薬湯を作れます。これから訪れるティシュトリア公爵一行に凄腕の薬師と魔導師がいるらしい。との内容に魅了の解呪も出来ると。先だっての魅了騒ぎの時に、解呪薬を提供したのもティシュトリア公爵だとチラつかせるのです。そう宣伝するだけで、ある程度は集まってくるのではないでしょうか? そして集まって来た人達に、先だっての街でした様に話を聞くとピンポイントで情報が得られないでしょうか? 尚且つ、ルル様とレオン殿下に街をブラついて頂いて片っ端から鑑定する。その方が早くはないでしょうか?」
「成る程。それでレオンの従者が必要なのは何故だ?」
「はい、前もって街々に噂を流しておいて頂こうかと」
「噂か?」
「はい。出来るだけ絞り込みたいので先程の内容と、これから来るティシュトリア家の薬師は王家が魅了の解呪をしきれなかった人達を解呪したらしいと」
ユリウス天才! 流石、知識神の加護を持つだけの事はあるわ。
「わふぅ……」
え? モモさん違う? それ以前にユリウスが賢いて事かしら?
「わふ」
あら、そうなのね。まぁ、私の師匠だからね!
「わふぅ……」
何よ、モモさんその残念そうな顔は。
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