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第一章

30ー敵襲?

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「ルル様、マーリソン・モルドレッド様がいらしてますが、如何いたしましょう?」

 え……? さっき別れたとこよね? 突然何かしら? この魔道具の山を見られるとヤバくない? ヤバイわよね?

「ルル、どうする?」
「どうすると言われても。来てしまってるなら会いましょうか?」

 どうしましょう? ユリウス、どうする?

「お会いしましょう。良い機会です」
「サロンにお通ししてちょうだい。お茶もお願いね」

 まぁ、話を聞くだけ聞いてみようかしら。

「ああ、ルルーシュア様! 突然押し掛けてしまい申し訳ございません! しかし、どうしてもお話ししたく!!」

 あー、やっぱテンションおかしいし。この人が本当に闇の魔石を作ったの? 本当に?

「いえ、どうかなさいましたか?」
「どうしてもルルーシュア様と魔法談議をしたく、我慢できませんでした!」

 なんか頰をピンク色にして見つめてくるのよ。フンスッて音が聞こえてきそうよ、ユリウス助けて!

「マーリソン様、お気持ちは分からないではないのですが……ルル様にはそれは無理かと」

 ん? どう言う意味かしら?

「なんと!! 私などでは相手になりませんか!?」
「いえ、そうでなく……ルル様は……」

 なによ。私は何よ。

「ルル様は力任せなのです」

 んん!?

「ブフッ!!」

 はいレオン様、吹き出すの今日何回目?

「はい? 力任せとは?」
「ですから、ルル様は魔力操作や、魔法の技術等とは程遠いお方で……」

 なんですって?

「仰っている意味が分かりかねますが?」
「ルル様は何も考えず、感覚で魔法を駆使するタイプで、魔力談議などはご無理かと」

 なんですって……!?

「ブフフッ!!」
「なんと!! 天然ですか!?」
「そうですね。無尽蔵の魔力があるからこそですが」

 …………。

「ブハハハハッ!!」
 
 レオン様、とうとう爆笑しちゃったわ。

「素晴らしい!! なんと!! 魔法の神に愛されておられる!!」

 はっ?……そんな神聞いた事ないし。

「あぁ、この機会を与えて下さった神に感謝を!!」

 いや、おかしいからっ!! 誰か止めてよ!!

「あー、マーリソン・モルドレッド殿、少しお伺いしたい事があるのだが、宜しいか?」

 まあ、レオン様、真面目だわ。さっきまで爆笑してたのに。

「申し遅れました。私はルルーシュア嬢の婚約者で、帝国第3皇子のレオン・ド・ペンドラゴンと申します」
「帝国の皇子殿下……! これは失礼致しました。しかし、私は断じてルルーシュア様に疾しい気持ちはないのです!!」

 それは誰が見ても分かるわ。この人、魔法バカなのね。そう思えば納得できるわ。

「ユリウス、例の魔石を」
「レオン殿下、しかし……」
「構わない。持ってきてくれ」

 そして、例の魔石を4人で見つめてます。リザードマンの巣にあった闇の魔力が込められていた魔石ですね。お母様が浄化したので、今は唯の透明な魔石に戻ってます。

「あの、失礼ですが、これをどちらで?」
「ティシュトリア領から王都へ来る途中の湿地帯に設置してありました」
「何故……?」
「覚えがありませんか? この魔石は発見時、闇の魔力が込められておりました。貴方が作成されたのではないのですか?」
「レオン様……」
「ルル、いいから」
「確かに、私が作ったものです。ですが、何故その様な所に?」
「貴方方が湿地帯に設置したのではないのか? 魔石から漏れ出た闇の魔力の影響で、リザードマンが凶暴になっていた」
「なんですとっ……!?」
「覚えがないと?」

 ……どう言う事?

「なんという事でしょう!!」

 マーリソン様が頭を抱えられました。

「実は……大変、大変お恥ずかしながら……私は家族に対して嫌悪感を抱いておりまして、家族に対する鬱憤がどうしようもなく溜まってしまった時にその……この魔石にその気持ちを込めていたのです。魔導士団にある私の部屋に保管していた筈なのですが、いつの間にか無くなってしまって」
「それを信じろと?」
「神に誓って! いえ、ルルーシュア様に誓います! 確かに魔力を込めたのは私ですが、私はその様な所へ設置してはおりません! この数ヶ月、王都からも出ておりません! それどころか……そろそろ魔石の許容量だったので、浄化しなければと思っていたところなのです」

 私に誓ってどーすんのよ? どういう事よ? 黒幕の父親と共謀してるんじゃないの?

「ルル、そういう事だ」

 だから、どういう事よ!? 説明して!

「そうですね。予想ですが、貴方のお父上若しくは弟君が持ち出されて、利用されたのでしょう」
「あのクソボケ共がぁ!!」

 あらやだ、怒りの炎が見えた気がしたわ。ホホホ。
 そして、マーリソン・モルドレッド様は話し出されました。
 彼はお母上を事故で亡くした時に、ショックで魔力を暴走させて気を失ってしまった。その時から魔力量が跳ね上がって自由に魔法を使える様になった。元々、魔法バカで研究熱心だったマーリソン様は魔法の腕を磨いて、学園卒業後そのまま魔導士団へ入団した。
 父親や、弟、義母とも反りが合わず、魔導士団入団を切っ掛けに侯爵家を出た。しかし、侯爵はマーリソン様の魔力を利用ようと度々接触してくる。その度に、ムカついた気持ちを魔石に込めていたのだそう。

「お恥ずかしい話です。最近、また何か企んでいるだろう事は気付いていましたが、まさか私の魔石をその様な事に使うとは。大変申し訳ありません!!」

 また、土下座したよ。本日2回目、リアル土下座。

「ルルー!! 大丈夫かー!?」

 ――バターーン!!!!
 この大声は、お父様ですね。扉が壊れますよ。

「ルル、この状況は……?」

 そうですよね……。黒幕の嫡男が訪ねて来ていると聞いて驚いて入ってきたら、嫡男本人が土下座してるんだもん。お父様に説明しましたよ、ユリウスが。
 もうわちゃわちゃで、訳が分からないわ。レオン様、どうして大丈夫だと思ったのかしら?

「ふふーん、ルル、その顔は分かってないな?」

 あ、なんかムカつく! ムカつくからシカトよ!

「いや、ルル相手して!」

 仕方ないわね。私は大人ですからね。聞いて差し上げましょう。

「どうして分かったのですか?」

 レオン様、小さな声で……でもドヤりました。

「鑑定したんだよ」
「うわ、反則じゃない!!」
「だってさ、ルルがガンガン鑑定してレベル上げろって言ったんだよ?」
「私は、人じゃなくて物とかと付け足しましたよ?」
「まぁまぁ、結果良かったんだからさ」

 納得できないわ。
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