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第2章 おともらちが増えたのら
135ーまたまた登場
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「またまた登場なのですーッ!」
バババーンと登場、女神なのだ。お名前覚えているかな? この世界の主神である女神の、リシアディヴィーヌだ。
ああ、せっかく良い夢が見られそうだと思ったのに。駄女神の登場なのか。
いつ呼ばれても、色とりどりの花がまるで絨毯のように咲いている。俺が癒してもらった小川も、心地良い水音を立てて流れている。あの美味しかった桃みたいな実も、たわわに実っている。
今日は眠っても、忙しい日なのだ。
女神は懲りずに両手を広げて抱きついてきたから、いつも通り避けておいた。
「ぶぶぶぶぅーー!!」
案の定、また顔面からスライディングして行ったのだ。もう何回同じ事をしているのだ。いい加減に学ぼう。
ああ、キラキラした長い髪に、花弁がついてしまっている。せっかく綺麗に咲いているのだから、折らないようにしようよ。
直ぐにシュタッと立ち上がって、何も無かったかのように澄まし顔で話してきた。
「今日はお疲れ様でしたねー!」
今回は復活が早いのだ。何もなかった風を装っているけど、やっぱお鼻の頭が赤くなって擦りむいている。懲りないなぁ。
「うん、色々あったのら」
「クーちゃんを進化させてくれて、有難うなのです!」
「聖獣なんだって」
「そうなのですッ! 霊獣になるだけでも超レア中のレアなのです。なのにッ! 聖獣に進化するなんて激レアです! SSRなのです! ロロのお陰なのですッ!」
そうかよ。それは良かったのだ。
「相変わらず塩対応なのですぅ。でも、そこがまたギャンかわッ!」
両手をほっぺに当ててクネクネしている。可愛くはないぞぅ。俺にそんな趣味はないのだ。
「なんとなんと! 聖獣になったから、スキルが一つ増えたのです!」
「え、しょうなの?」
「はいッ! シールドを張れるようになったのですぅッ!」
パチパチパチー、と自分で拍手をしている。自分一人で……虚しくはないのか?
「もう、ロロったから照れ屋さんなんだからぁ」
いや、違うのだ。呆れているのだ。若干引いてもいる。相変わらずだなぁーと思うのだ。
シールドってあれか? 見えない壁的なやつか?
クーちゃんは本当に守りに特化している。『擬態』に『硬化』今度は『シールド』だ。
「クーちゃんのシールド。役に立ちますよぅ!」
「しょうなの?」
「はいッ! 必ずです! ああぁ、聞かないで下さいぃー! 今は言えませんーッ!」
はいはい、そうなのか。無理には聞かないのだ。どうせ、後で分かるだろう。
「ああーッ! 今日はロロがお疲れの所為で時間が短いのですーッ!」
「ありがとね」
「ギャン可愛!! ああー! ピカちゃんが収納している物を……」
ブチッと時間切れなのだ。最後の方は何を言っているのか分からなかった。
余計な事を言っているから、時間がなくなるのだと俺は思うぞ。
そして、俺は若干疲れて目が覚めた。女神に呼び出された時はいつもだ。
きっとあの性格に、俺の心が疲れるのだ。
「ロロ、疲れてる? 昨日無理したんじゃない?」
「れおにい、らいじょぶ。起きるのら」
「そう? 今日は家でゆっくりしておきなよ」
「うん」
俺には計画がある。だから、そうゆっくりもしていられないのだ。
俺は俺で、お墓参りの準備をしていた。マリーに手伝ってもらいながら、チクチクチクチクと毎日ずっと縫っている。
午後からいつも通りディさんがやって来るのだけど、その相手もしていられない。
出発が決まったから間に合わせたい。
ごめんなさいなのだ。ディさんの刺繍は帰ってきたらちゃんとするからね。
「ロロー、何縫ってんの?」
「でぃしゃん、ひみちゅら」
「同じのが幾つもあるよ」
「らから、ひみちゅら。みたら、らめ」
「いやいや、それは無理だよ。だって、僕はもう見ちゃったもん」
見ちゃったもん、って子供じゃないんだから。
見ていても良いのだけどね、何なのか分かっても秘密だよ。言ったら駄目だ。
赤、青、ピンク、黄色、緑。戦隊モノじゃないのだ。
目立つところに数字をアップリケして。ふふふん、なかなか可愛いのだ。パッと見て分かるのも良い。
「ロロ坊ちゃま、ここはどうやって止めますか?」
「まりー、ろうしよう? 結ぶ? ボタンにしゅる?」
「そうですね、緩んだりしないようにボタンの方が良いのではないですか?」
「しょっか」
「丁度いい感じのボタンがありますよ」
「じゃあ、しょうしゅる」
「はい」
マリーと手分けして、チクチクチクチク。もう朝からずっと縫ってる。
俺が相手できないと分かると、ディさんは畑に出て行った。
麦わら帽子を片手に、スキップする勢いだ。きっとニコ兄か、ドルフ爺のところに行ったのだ。
「もう少しですね」
「うん。まりー、ありがと」
「いえいえ、マリーは手伝っただけですよ」
「まりーが、いろいろ教えてくれたから、れきたのら」
「ふふふ、そうですか?」
「しょうなのら」
そうだな~。例えばもしも、母さまがまだ生きていたら……
こうして一緒に刺繍したり縫物をしたり出来たのかな? お膝の上に座ったりもできたのかな?
「ふふふ、奥様も刺繍がとてもお上手でしたよ」
「しょうなんら」
「はい。マリーはいつも感心してました」
「へぇ~、まりーもじょうじゅなのに」
「マリーよりずっとお上手でしたよ。ロロ坊ちゃまはそれを受け継いでいるのでしょうね」
「しょう?」
「はい」
それは嬉しいのだ。母さまが上手だった刺繍。俺も好きだ。もっともっと上手になりたいのだ。
◇◇◇
お読みいただき有難うございます🌟
ロロが何を縫っているのか秘密です㊙️分かった方も、秘密ですよ🤐
明日をお楽しみに😋
いつも有難うございます🌟
バババーンと登場、女神なのだ。お名前覚えているかな? この世界の主神である女神の、リシアディヴィーヌだ。
ああ、せっかく良い夢が見られそうだと思ったのに。駄女神の登場なのか。
いつ呼ばれても、色とりどりの花がまるで絨毯のように咲いている。俺が癒してもらった小川も、心地良い水音を立てて流れている。あの美味しかった桃みたいな実も、たわわに実っている。
今日は眠っても、忙しい日なのだ。
女神は懲りずに両手を広げて抱きついてきたから、いつも通り避けておいた。
「ぶぶぶぶぅーー!!」
案の定、また顔面からスライディングして行ったのだ。もう何回同じ事をしているのだ。いい加減に学ぼう。
ああ、キラキラした長い髪に、花弁がついてしまっている。せっかく綺麗に咲いているのだから、折らないようにしようよ。
直ぐにシュタッと立ち上がって、何も無かったかのように澄まし顔で話してきた。
「今日はお疲れ様でしたねー!」
今回は復活が早いのだ。何もなかった風を装っているけど、やっぱお鼻の頭が赤くなって擦りむいている。懲りないなぁ。
「うん、色々あったのら」
「クーちゃんを進化させてくれて、有難うなのです!」
「聖獣なんだって」
「そうなのですッ! 霊獣になるだけでも超レア中のレアなのです。なのにッ! 聖獣に進化するなんて激レアです! SSRなのです! ロロのお陰なのですッ!」
そうかよ。それは良かったのだ。
「相変わらず塩対応なのですぅ。でも、そこがまたギャンかわッ!」
両手をほっぺに当ててクネクネしている。可愛くはないぞぅ。俺にそんな趣味はないのだ。
「なんとなんと! 聖獣になったから、スキルが一つ増えたのです!」
「え、しょうなの?」
「はいッ! シールドを張れるようになったのですぅッ!」
パチパチパチー、と自分で拍手をしている。自分一人で……虚しくはないのか?
「もう、ロロったから照れ屋さんなんだからぁ」
いや、違うのだ。呆れているのだ。若干引いてもいる。相変わらずだなぁーと思うのだ。
シールドってあれか? 見えない壁的なやつか?
クーちゃんは本当に守りに特化している。『擬態』に『硬化』今度は『シールド』だ。
「クーちゃんのシールド。役に立ちますよぅ!」
「しょうなの?」
「はいッ! 必ずです! ああぁ、聞かないで下さいぃー! 今は言えませんーッ!」
はいはい、そうなのか。無理には聞かないのだ。どうせ、後で分かるだろう。
「ああーッ! 今日はロロがお疲れの所為で時間が短いのですーッ!」
「ありがとね」
「ギャン可愛!! ああー! ピカちゃんが収納している物を……」
ブチッと時間切れなのだ。最後の方は何を言っているのか分からなかった。
余計な事を言っているから、時間がなくなるのだと俺は思うぞ。
そして、俺は若干疲れて目が覚めた。女神に呼び出された時はいつもだ。
きっとあの性格に、俺の心が疲れるのだ。
「ロロ、疲れてる? 昨日無理したんじゃない?」
「れおにい、らいじょぶ。起きるのら」
「そう? 今日は家でゆっくりしておきなよ」
「うん」
俺には計画がある。だから、そうゆっくりもしていられないのだ。
俺は俺で、お墓参りの準備をしていた。マリーに手伝ってもらいながら、チクチクチクチクと毎日ずっと縫っている。
午後からいつも通りディさんがやって来るのだけど、その相手もしていられない。
出発が決まったから間に合わせたい。
ごめんなさいなのだ。ディさんの刺繍は帰ってきたらちゃんとするからね。
「ロロー、何縫ってんの?」
「でぃしゃん、ひみちゅら」
「同じのが幾つもあるよ」
「らから、ひみちゅら。みたら、らめ」
「いやいや、それは無理だよ。だって、僕はもう見ちゃったもん」
見ちゃったもん、って子供じゃないんだから。
見ていても良いのだけどね、何なのか分かっても秘密だよ。言ったら駄目だ。
赤、青、ピンク、黄色、緑。戦隊モノじゃないのだ。
目立つところに数字をアップリケして。ふふふん、なかなか可愛いのだ。パッと見て分かるのも良い。
「ロロ坊ちゃま、ここはどうやって止めますか?」
「まりー、ろうしよう? 結ぶ? ボタンにしゅる?」
「そうですね、緩んだりしないようにボタンの方が良いのではないですか?」
「しょっか」
「丁度いい感じのボタンがありますよ」
「じゃあ、しょうしゅる」
「はい」
マリーと手分けして、チクチクチクチク。もう朝からずっと縫ってる。
俺が相手できないと分かると、ディさんは畑に出て行った。
麦わら帽子を片手に、スキップする勢いだ。きっとニコ兄か、ドルフ爺のところに行ったのだ。
「もう少しですね」
「うん。まりー、ありがと」
「いえいえ、マリーは手伝っただけですよ」
「まりーが、いろいろ教えてくれたから、れきたのら」
「ふふふ、そうですか?」
「しょうなのら」
そうだな~。例えばもしも、母さまがまだ生きていたら……
こうして一緒に刺繍したり縫物をしたり出来たのかな? お膝の上に座ったりもできたのかな?
「ふふふ、奥様も刺繍がとてもお上手でしたよ」
「しょうなんら」
「はい。マリーはいつも感心してました」
「へぇ~、まりーもじょうじゅなのに」
「マリーよりずっとお上手でしたよ。ロロ坊ちゃまはそれを受け継いでいるのでしょうね」
「しょう?」
「はい」
それは嬉しいのだ。母さまが上手だった刺繍。俺も好きだ。もっともっと上手になりたいのだ。
◇◇◇
お読みいただき有難うございます🌟
ロロが何を縫っているのか秘密です㊙️分かった方も、秘密ですよ🤐
明日をお楽しみに😋
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