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第1章 ルルンデで生活するのら
33ーアミュレット
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ギルマスが衛兵を連れて来るまでに、ディさんは『精霊眼』で見たらしい。
そんな事も分かるのか? と、俺は驚いた。精霊眼って凄いのだ。
これは本当に、あの泣き虫女神に要相談なのだ。とっても便利そうだ。
「『精霊眼』は誤魔化せないからね。過去に犯罪を犯していたらそれも分かるんだ。あの男は借金があって、それを帳消しにしてもらう事を条件にピカを攫う仕事を請けたんだ。たかがちょっと大きな犬だろう、とでも思ったんだろうね」
「ひょぉ~!」
げげげ、そんな事まで分かるのか? と、またまた驚いたのだ。
「ああ、これはもうギルマスに話してあるからね」
いつの間に話したんだ!?
「ふふふ」
俺がビックリした目をしていたのだろう。ディさんが俺の頭を撫でた。ギルマスのゴツゴツとした手と違って、ディさんの手は大きいけど優しいのだ。
「わふ」
「ぴか」
ピカが気にしている。何故なら、俺はそろそろお眠だ。ご飯を食べて、お腹が一杯になるともう瞼が重くなってきた。抗えないから仕方ないのだ。
「ロロ、ベッドに行こうか」
「れおにい」
俺はレオ兄に向かって両手を出す。そっと抱き上げてくれる。俺はコテンと、レオ兄の肩に頭を靠れかけた。
「でぃしゃん、おやしゅみなしゃい」
もう半分眠りながら、ディさんに手をフリフリとした。
「安心しておやすみ」
ああ、そうか。ディさんが今日1日この家に居てくれたのはそういう事だったのか。
また直ぐに、何かしてきた時の事を考えて残ってくれていたのだろう。ディさんの気持ちが嬉しい。有難いのだ。
それとは別に、聞きたい事があったのだ。何だっけ?
気になっていたのに、もう眠くて頭が回らない。俺はそのままベッドでおやすみなのだ。
次の日、いつも通りの朝だったのだ。と、思っていたら起きて下に降りると、ディさんが朝食を食べていた。
とっても爽やかな笑顔だ。歯磨きのCMに出られそうなのだ。
「ロロ、おはよう」
「あれれ、でぃしゃん」
「うん、ディさんだよ~」
もしかして、昨夜は泊まったのか?
「心配して下さっているんですよ」
「まりー、しょう?」
「はい」
俺に果実水を出してくれる。お喉が渇いているから飲もう。
「ロロ、今日はマリーやピカと一緒に家にいなよ」
「れおにい、分かったのら」
「うんうん、それがいいね」
「ロロ、早く食べな。美味いぞ」
「うん、にこにい」
取り敢えず食べるのだ。ディさんならずっといてくれてもいいし。賑やかでいいのだ。
あ、そうだ。引っかかっていた事を思い出したのだ。
「でぃしゃん、きのう」
「うん、何かな?」
ディさん、めっちゃ食べている……超特盛りのサラダを食べている。俺は思わず穴が開くほど見つめてしまったのだ。
「ディさんはいつもこうなのよ。お野菜をたくさん食べるの」
エルザが俺の視線に気付いてくれた。ディさんは、『うまいルルンデ』でもこうらしい。
お肉も食べるのだが、とにかくお野菜をたくさん食べるそうなのだ。
「ここの野菜は新鮮でとっても美味しいよ」
そう言いながらキラッキラの笑顔でシャクシャクと生野菜のサラダを頬張っている。
もしかして、エルフは皆こうなのか?
「エルフはねぇ、森人だからね。新鮮な野菜は大好きだよ。もちろん、肉も食べるしなんでも食べるよ」
ほうほう……いやいや、違う。俺は聞きたかったのだ。気になったのだ。
「でぃしゃん、昨日びゅーって」
「ん? びゅー?」
「しょう、でぃしゃんとにこにいとゆーりあ」
「ロロ、もしかして俺達がディさんを連れて来た時の事か?」
「しょう。びゅーってなったら、にこにいがいたのら」
「だろ? あれ、スゲーだろ!」
「しゅごい?」
「あれはね、僕の魔法だよ。転移して来たんだ。エルフは魔法が得意だからね」
シャクシャクと野菜を食べながら、バチコンとウインクされた。まつ毛が長いから風が起こりそうなのだ。
魔法が得意なのは知っている。いやいや、それよりも『転移』て何だよ。凄そうなのだ。
「ひょぉー!」
俺はびっくりしたのだ。思わず変な声が出てしまった。
「アハハハ、ロロは知らなかった?」
「うん、れおにい」
「驚くわよね。反則だわ」
「アハハハ。リア、反則じゃないよ」
「だって転移なんて私達にはできないもの」
「まあ、転移は無理でも身体強化だったら、君たち兄弟ならできるだろうね」
「えッ!? ディーさん、マジッ!? 何だよそれ? カッコ良さそうじゃん!」
「大マジだよ~。でもニコはもっと魔力操作を勉強しなきゃ駄目だよ」
「あぁー……」
ニコ兄の目が、泳いでいるのだ。頑張るって昨日は言っていたのに、もう諦めたのか? 早過ぎるのだ。
「いや、頑張る!」
ディさんが1人いるだけで、いつもより賑やかな朝食だった。
リア姉とレオ兄が出掛ける時に、ディさんも一緒に帰って行った。
その時に……
「ロロ、このアミュレットをあげるよ」
「え、でぃしゃん。あ、あみゅれ……?」
「アミュレット、お守りだ。ずっと着けておくんだよ。ロロの居場所が分かる様になっているんだ」
ディさんの瞳の色と同じ、エメラルド色した小さな石の付いたアミュレットを首に掛けてくれた。
俺の居場所か……ピカの事があるから心配してくれているのだな。
「でぃしゃん、ありがと」
俺はそのアミュレットの石を手に乗せて見た。小さいけど、キラキラとした綺麗な石だ。お高そうなのだ。
「それは魔石なんだ。綺麗でしょう?」
「うん」
大事にしようと思ったのだ。
そんな事も分かるのか? と、俺は驚いた。精霊眼って凄いのだ。
これは本当に、あの泣き虫女神に要相談なのだ。とっても便利そうだ。
「『精霊眼』は誤魔化せないからね。過去に犯罪を犯していたらそれも分かるんだ。あの男は借金があって、それを帳消しにしてもらう事を条件にピカを攫う仕事を請けたんだ。たかがちょっと大きな犬だろう、とでも思ったんだろうね」
「ひょぉ~!」
げげげ、そんな事まで分かるのか? と、またまた驚いたのだ。
「ああ、これはもうギルマスに話してあるからね」
いつの間に話したんだ!?
「ふふふ」
俺がビックリした目をしていたのだろう。ディさんが俺の頭を撫でた。ギルマスのゴツゴツとした手と違って、ディさんの手は大きいけど優しいのだ。
「わふ」
「ぴか」
ピカが気にしている。何故なら、俺はそろそろお眠だ。ご飯を食べて、お腹が一杯になるともう瞼が重くなってきた。抗えないから仕方ないのだ。
「ロロ、ベッドに行こうか」
「れおにい」
俺はレオ兄に向かって両手を出す。そっと抱き上げてくれる。俺はコテンと、レオ兄の肩に頭を靠れかけた。
「でぃしゃん、おやしゅみなしゃい」
もう半分眠りながら、ディさんに手をフリフリとした。
「安心しておやすみ」
ああ、そうか。ディさんが今日1日この家に居てくれたのはそういう事だったのか。
また直ぐに、何かしてきた時の事を考えて残ってくれていたのだろう。ディさんの気持ちが嬉しい。有難いのだ。
それとは別に、聞きたい事があったのだ。何だっけ?
気になっていたのに、もう眠くて頭が回らない。俺はそのままベッドでおやすみなのだ。
次の日、いつも通りの朝だったのだ。と、思っていたら起きて下に降りると、ディさんが朝食を食べていた。
とっても爽やかな笑顔だ。歯磨きのCMに出られそうなのだ。
「ロロ、おはよう」
「あれれ、でぃしゃん」
「うん、ディさんだよ~」
もしかして、昨夜は泊まったのか?
「心配して下さっているんですよ」
「まりー、しょう?」
「はい」
俺に果実水を出してくれる。お喉が渇いているから飲もう。
「ロロ、今日はマリーやピカと一緒に家にいなよ」
「れおにい、分かったのら」
「うんうん、それがいいね」
「ロロ、早く食べな。美味いぞ」
「うん、にこにい」
取り敢えず食べるのだ。ディさんならずっといてくれてもいいし。賑やかでいいのだ。
あ、そうだ。引っかかっていた事を思い出したのだ。
「でぃしゃん、きのう」
「うん、何かな?」
ディさん、めっちゃ食べている……超特盛りのサラダを食べている。俺は思わず穴が開くほど見つめてしまったのだ。
「ディさんはいつもこうなのよ。お野菜をたくさん食べるの」
エルザが俺の視線に気付いてくれた。ディさんは、『うまいルルンデ』でもこうらしい。
お肉も食べるのだが、とにかくお野菜をたくさん食べるそうなのだ。
「ここの野菜は新鮮でとっても美味しいよ」
そう言いながらキラッキラの笑顔でシャクシャクと生野菜のサラダを頬張っている。
もしかして、エルフは皆こうなのか?
「エルフはねぇ、森人だからね。新鮮な野菜は大好きだよ。もちろん、肉も食べるしなんでも食べるよ」
ほうほう……いやいや、違う。俺は聞きたかったのだ。気になったのだ。
「でぃしゃん、昨日びゅーって」
「ん? びゅー?」
「しょう、でぃしゃんとにこにいとゆーりあ」
「ロロ、もしかして俺達がディさんを連れて来た時の事か?」
「しょう。びゅーってなったら、にこにいがいたのら」
「だろ? あれ、スゲーだろ!」
「しゅごい?」
「あれはね、僕の魔法だよ。転移して来たんだ。エルフは魔法が得意だからね」
シャクシャクと野菜を食べながら、バチコンとウインクされた。まつ毛が長いから風が起こりそうなのだ。
魔法が得意なのは知っている。いやいや、それよりも『転移』て何だよ。凄そうなのだ。
「ひょぉー!」
俺はびっくりしたのだ。思わず変な声が出てしまった。
「アハハハ、ロロは知らなかった?」
「うん、れおにい」
「驚くわよね。反則だわ」
「アハハハ。リア、反則じゃないよ」
「だって転移なんて私達にはできないもの」
「まあ、転移は無理でも身体強化だったら、君たち兄弟ならできるだろうね」
「えッ!? ディーさん、マジッ!? 何だよそれ? カッコ良さそうじゃん!」
「大マジだよ~。でもニコはもっと魔力操作を勉強しなきゃ駄目だよ」
「あぁー……」
ニコ兄の目が、泳いでいるのだ。頑張るって昨日は言っていたのに、もう諦めたのか? 早過ぎるのだ。
「いや、頑張る!」
ディさんが1人いるだけで、いつもより賑やかな朝食だった。
リア姉とレオ兄が出掛ける時に、ディさんも一緒に帰って行った。
その時に……
「ロロ、このアミュレットをあげるよ」
「え、でぃしゃん。あ、あみゅれ……?」
「アミュレット、お守りだ。ずっと着けておくんだよ。ロロの居場所が分かる様になっているんだ」
ディさんの瞳の色と同じ、エメラルド色した小さな石の付いたアミュレットを首に掛けてくれた。
俺の居場所か……ピカの事があるから心配してくれているのだな。
「でぃしゃん、ありがと」
俺はそのアミュレットの石を手に乗せて見た。小さいけど、キラキラとした綺麗な石だ。お高そうなのだ。
「それは魔石なんだ。綺麗でしょう?」
「うん」
大事にしようと思ったのだ。
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