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第2章 やっと3歳だ

112ー魔王だから

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「みゃみゃみゃ! なにいうみゃ! なんれいるみゃ!」
「まおうが、きたんら」
「しぇいれいじょうおうの、しぇかいなのにみゃ?」
「しょうしょう」
「みみ、私が来たら悪いのか?」
「らって、まおうみゃ」
「おう、魔王だぞ」
「しぇいれいとは、ちがうみゃ」
「こいつは何を言っている?」

 呆れた顔をして、ミミを指さしている魔王。魔王より今はミミの方が大きいのだけど、態度は断然魔王の方がデカイ。

「ふふふ、別世界の魔王がと言いたいのよ」
「なるほど。だが、私はここに来るのは初めてではないぞ」
「みゃ!? しょうなのみゃ!?」

 ああ、確か俺が暫く行かないから、精霊女王と連絡を取ったと言っていたか。その時にでも来たのだろう。しかし、どうやってここが分かったんだ?

「それは私が魔王だからなッ!」

 全然分からない。こいつもミミと同じなのか? 言いたい事が分からないぞ。

「ミミと一緒にするでないッ」
「みゃ!? しちゅれい失礼みゃ!」

 どっちもどっちだよ。俺の周りってこんなのばっかなのか? 父も少し同じ匂いがすると思ってしまったのは、気の所為だと思いたい。
 そんな事よりも相談があるんだ。俺の両親も精霊界に連れて行って良いかな? なんなら魔王は父と会ってみて欲しいんだけど。

「ああ、昼間にみんなで話していた事ね」
「しょうしょう。バレちゃったから」
「何? バレたのか? 私の城へ来ている事をか?」
「ちがうの。しぇいれいかいにいってるって、ことになってるの」
「そうか」

 なんだか複雑そうな顔をする魔王。どうした? ちょっぴり残念そうに見えるのは気の所為かな?
 その魔王が戸惑いながら聞いてきた。ちょっぴりモジモジしている。魔王なのに、こんなところが憎めない。

「いや、私はラウと友達だよな?」
「うん、おともらちらよ」
「だなッ! ふふふん」

 え、そこでどうして胸を張る? 満足そうな顔をするんだ? さっきの残念そうだったのはどこいった?

「友達なのに隠されるというのもな。いや、仲が良いと言って欲しい訳ではないのだぞッ!」

 だからそこで、意味不明なツンデレを発動するのはやめてくれ。理解できないぞ。

「ふふふ、自分の事を秘密にされているのが嫌なのね。私は秘密なんかじゃないから」

 どう? 私は家族みんなに知られているもの。使い魔だって出しているし、頼りにされているのよ。みたいな勝ち誇った表情で、魔王を見ている精霊女王。そこでどうして対抗意識を燃やすんだ。意味が分からない。

「そ、そ、そんな事はないぞ。友達と言ってほしいとか、思ってないんだからなッ」

 もう言ってしまってるじゃないか。そんな事を思っていたのか?
 だって、魔王に会いに行った理由を話したくないんだ。

「ああ、ラウの前の時の事を話したくないと言う事だな」
「しょうしょう。しゅごいね」
「なにがだ?」
「しょれらけれ、わかるなんて、しゃしゅが、まおうらね。しゅごいね」
「ふふふん、私は魔王でラウの親友だからなッ! ラウの事情はちゃんと理解しているのだ」

 友達から親友にランクアップしてしまっているぞ。いつから親友になった? 俺は両足を投げ出して座ったままで、魔王を見上げた。
 それにしても、ちょろい。チョロ松さんだ。

「なに? 違うのか……?」

 悲しそうな顔をするんじゃないよ。縋る様な眼でこっちを見るんじゃない。
 羽織っているマントの裾を手で弄っている。魔王って慣れてくると印象が変わるよね。可愛らしいと思ってしまう。

「しんゆうらね」
「な、そうだなッ!」

 パアッと表情を明るくして笑った。な、こんなところが可愛らしい。

「まあ、ふふふ」
「精霊女王、何を笑っているのだ?」
「魔王なのに、ラウには敵わないのね」
「そうではない! そうではないのだ! ただラウが可愛いのだッ!」

 はいはい、有難う。俺は恵まれているよ。精霊女王だけじゃなく、魔王ともこんな関係になれるなんてな。前の時だと考えられない事だ。
 俺達の国を攻めてきた魔族の王、単純に敵の大将だと思っていた。当然だ、接点なんて何もなかったのだから。

「私は戦は好まない。あれは失うものが多すぎる。なのに得るものは何もない」
「そうね、その通りだわ」

 精霊界の長と、魔族の長がこうして同じ考えでいてくれると安心だ。
 その戦を起こさない為に、色々やっているんだ。

「ラウの父上とは、どんな人物なんだ?」
「とっても、あちゅいひとらよ」
「熱いのか?」
「そうね、外ではクールで通しているみたいだけど、本当は愛情深い温かい人ね」

 精霊女王は会った事がないだろう? ああそうか、いつも見ているからか。

「一瞬だけど、会った事もあるわよ。あの時よ」

 あの時って、母が無理矢理父を助け出した時だ。デオレグーノ神王国に父が捕らわれてしまって、救い出す為に母が精霊女王の力を借りた。

「向こうは覚えてないけれど」
「え、しょうなの?」
「そうよ。アリシア以外の者の、私に関する記憶は消しているもの」

 ひょえーッ! 記憶を消すだと。そんな怖い事ができるのか? 怖いねー、怖い怖い。

「あら、それが決まりなのよ。私は本当は関与しないのだもの」
「とくべちゅなの?」
「そうね、あの時はアリシアの気持ちに負けちゃったの。とっても特別なのよ」

 それだけ母は父を救い出したかったという事だ。



◇◇◇

お読みいただき有難うございます🌟
またまたお話のストックが尽きてしまいました😆今夜頑張ろう!
そして明日からはロロの初稿も頑張ろう!
もしもラウが書籍化されたら、皆様購入して頂けますか?🥲書籍化したい!
頑張ろう😤
いつも感想を有難うございます🩵
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