26 / 44
第1章 赤ちゃんじゃん!
26ーどこだよ
しおりを挟む
ミミを見て、俺は驚いた。驚いたってもんじゃない。思わず変な声が出ちゃったくらいだ。
「ぷぎゃ!?」
「なんみゃ?」
「あぶあー!」
「これがみみの、ほんとのしゅがたみゃ」
今の状況も理解できていないのに、俺の前にいたミミがデカイ!
俺が優に乗れる位の大きさだったんだ。
ここが精霊女王の世界で、しかもミミは本当はデカイ!? あのちんまりとしたミミが!?
「みみは、らうみぃのしぇかいにあわしぇて、あのおおきしゃになってるみゃ。みみはてんしゃいらからみゃ」
なんて言って大きな胸を張っている。大きな鳩胸だ。フワッフワじゃないか。ダイブしたいぞ。モフリたいぞ! デカくなってもミミのフォルムはまん丸だった。
「あばばばば!」
「うるしゃいみゃ、おちちゅくみゃ」
「あぶば!」
落ち着けるかってんだ! 何なんだ? 一体どうなっているんだ!?
何処までも続く真っ白に輝く世界、その上ミミがデカイ。
そしてミミの向こうに、昼間見た精霊女王が輝きを放ちながら宙に浮いていた。と、いうか俺自身も浮いているぞ。いや地面そのものがないんだ。
どっちが上で、どっちが下なのかも分からない。足元がないってだけで、こんなに不安なのか。
俺はどうしようもなく、ただボーッと精霊女王とミミを交互に見比べていた。
ハイハイの体勢でだ。いつでも動けるようにだけはしている。赤ちゃんなりの危機管理だ。
高速ハイハイをマスターしておいて良かった。
「ふふふ、ラウ」
「あばぁ」
分からん。何をどう考えれば良いのかも分からない。抵抗するにも、どうすれば良いのか何も分からない。
いやいや、ちょっと待て。精霊女王だって昼間見た時より大きくないか!?
「らから、これがほんとうみゃ。らうみぃのしぇかに、えいきょうをあたえないように、あのおおきしゃになってるみゃ」
「ぶあ! あばぁ!」
俺は混乱しまくった。こんなのどうすればいいんだ? 昼間、母が言っていた。連れて行かれないようにと。なのに、連れてかれちゃったぞ。俺はどうなるんだ!?
「らうみぃ、らいじゅぶみゃ。ちょ~っとよばれたらけみゃ」
「あば?」
そうなのか? ちゃんと元の世界に帰してくれるのか?
「ラウ、貴方の為に態々場所を変えたのよ。まだアリシアに知られたくない事があるでしょう? 例えばラウが一度死んでしまったとかね」
「あ、あぶ……」
なんだと……? 今精霊女王は何と言った?
「らうみぃ、けいやくしたみゃ。じぇんぶ、わかるみゃ」
「あぶ」
「にかいめみゃ。らうみぃ、かわいしょうらったみゃ。みみは、なきしょうになったみゃ」
「あば」
俺の一回目の時の事を、精霊女王とミミは分かっていると言う事なのか? バレバ~レってヤツなのか?
「しょうみゃ。けろ、らうみぃはありしあしゃまに、しられたくないみゃ?」
「あう」
そうだよ。もし話すとしても今じゃない。なにしろ俺はまだ喋れないんだから。
打ち明けるにしても、ちゃんと自分で話したい。
「だからこの世界に呼んだのよ。ラウ、いらっしゃい」
もしかして、俺の気持ちを配慮してくれたって事なのか?
精霊女王が俺に手を出す。恐る恐る俺は、その手に近付いて行くとそっと抱き上げられた。
とても優しい手つきで、ふんわりと抱っこされた。
「らうみぃは、しぇいれいじょうおうの、おきにいりみゃ。らうみぃがうまれたときから、しってるみゃ。らからみみがえらばれたみゃ」
と、また自慢気に胸を張っている。本当かよ。その割によく父に叱られているぞ。
「みゃみゃみゃ、しょれは、いまいったららめみゃ!」
「ふふふ、ミミ。これから頑張りなさい」
「もちろんみゃ。みみはがんばるみゃ!」
「そういう事なのよ、ラウ」
「あぶぅ」
おう、母の前で言わないでいてくれた事は感謝するよ。
「でもね、ラウ。無茶は駄目」
「あぶ?」
俺、何も無茶なんてしてないぞ。
「これからしようとしているじゃない」
あれれ? それもお見通しなのか?
「あなたは今はまだ赤ちゃんなのよ」
「あばぁ」
分かってるさ。でも、隣国が魔族に戦を仕掛けるまでにはなんとかしたい。
「そうね、戦は駄目だわ。こっちの世界にまで影響するもの」
ほう、そうなのか。俺の頭をそっと撫でながら精霊女王が話す。
「戦に巻き込まれて、精霊の子供に被害が出たりするわ。何より世界の魔素濃度に影響が出るのよ」
魔素濃度。魔族の国は魔素濃度が高いという。魔素とは、魔法を使う為に必要な超ファンタジーな成分だ。この世界には普通に漂っている。
その魔素濃度が濃すぎると人体に悪影響が出ると言われている。
「精霊は超自然的な存在なのよ。魔力で出来ているといっても過言ではないわ。その元となる魔素濃度が大きく変化する事は私達も避けたいの」
なるほど。精霊女王って昼間話した時より話しやすいじゃん。
俺の事を理解してくれていると思って良いんだよな?
「理解はしているわ。ただ、協力できるとは限らないわ」
「あぶぅ」
「れも、みみはらうみぃのちゅかいまみゃ。いっしんろうたいみゃ」
おう、一心同体と言いたいんだな。そうかよ、有難う。
「何かする前にミミと相談すると良いわ。決して無茶はしないと約束してちょうだい」
「ぶぶぅ……」
それは分からないな~と、眼を泳がす。
◇◇◇
お読みいただき有難うございます🌟
週末は投稿しますよ~🤣
また週中はお休みするかも知れませんが💧
書籍化作業の進み具合によります😅そろそろ原稿戻ってくるかなぁ?
リリ④の発売に合わせて公表できる事もあるので、楽しみにして頂けると嬉しいです🌟
宜しくお願いします🌟
毎日書いて~書いて~また書いて~と頑張ってます😤
因みに…リリのコミカライズも進行していますよ~✨オクソールが超かっちょいい🩵
「ぷぎゃ!?」
「なんみゃ?」
「あぶあー!」
「これがみみの、ほんとのしゅがたみゃ」
今の状況も理解できていないのに、俺の前にいたミミがデカイ!
俺が優に乗れる位の大きさだったんだ。
ここが精霊女王の世界で、しかもミミは本当はデカイ!? あのちんまりとしたミミが!?
「みみは、らうみぃのしぇかいにあわしぇて、あのおおきしゃになってるみゃ。みみはてんしゃいらからみゃ」
なんて言って大きな胸を張っている。大きな鳩胸だ。フワッフワじゃないか。ダイブしたいぞ。モフリたいぞ! デカくなってもミミのフォルムはまん丸だった。
「あばばばば!」
「うるしゃいみゃ、おちちゅくみゃ」
「あぶば!」
落ち着けるかってんだ! 何なんだ? 一体どうなっているんだ!?
何処までも続く真っ白に輝く世界、その上ミミがデカイ。
そしてミミの向こうに、昼間見た精霊女王が輝きを放ちながら宙に浮いていた。と、いうか俺自身も浮いているぞ。いや地面そのものがないんだ。
どっちが上で、どっちが下なのかも分からない。足元がないってだけで、こんなに不安なのか。
俺はどうしようもなく、ただボーッと精霊女王とミミを交互に見比べていた。
ハイハイの体勢でだ。いつでも動けるようにだけはしている。赤ちゃんなりの危機管理だ。
高速ハイハイをマスターしておいて良かった。
「ふふふ、ラウ」
「あばぁ」
分からん。何をどう考えれば良いのかも分からない。抵抗するにも、どうすれば良いのか何も分からない。
いやいや、ちょっと待て。精霊女王だって昼間見た時より大きくないか!?
「らから、これがほんとうみゃ。らうみぃのしぇかに、えいきょうをあたえないように、あのおおきしゃになってるみゃ」
「ぶあ! あばぁ!」
俺は混乱しまくった。こんなのどうすればいいんだ? 昼間、母が言っていた。連れて行かれないようにと。なのに、連れてかれちゃったぞ。俺はどうなるんだ!?
「らうみぃ、らいじゅぶみゃ。ちょ~っとよばれたらけみゃ」
「あば?」
そうなのか? ちゃんと元の世界に帰してくれるのか?
「ラウ、貴方の為に態々場所を変えたのよ。まだアリシアに知られたくない事があるでしょう? 例えばラウが一度死んでしまったとかね」
「あ、あぶ……」
なんだと……? 今精霊女王は何と言った?
「らうみぃ、けいやくしたみゃ。じぇんぶ、わかるみゃ」
「あぶ」
「にかいめみゃ。らうみぃ、かわいしょうらったみゃ。みみは、なきしょうになったみゃ」
「あば」
俺の一回目の時の事を、精霊女王とミミは分かっていると言う事なのか? バレバ~レってヤツなのか?
「しょうみゃ。けろ、らうみぃはありしあしゃまに、しられたくないみゃ?」
「あう」
そうだよ。もし話すとしても今じゃない。なにしろ俺はまだ喋れないんだから。
打ち明けるにしても、ちゃんと自分で話したい。
「だからこの世界に呼んだのよ。ラウ、いらっしゃい」
もしかして、俺の気持ちを配慮してくれたって事なのか?
精霊女王が俺に手を出す。恐る恐る俺は、その手に近付いて行くとそっと抱き上げられた。
とても優しい手つきで、ふんわりと抱っこされた。
「らうみぃは、しぇいれいじょうおうの、おきにいりみゃ。らうみぃがうまれたときから、しってるみゃ。らからみみがえらばれたみゃ」
と、また自慢気に胸を張っている。本当かよ。その割によく父に叱られているぞ。
「みゃみゃみゃ、しょれは、いまいったららめみゃ!」
「ふふふ、ミミ。これから頑張りなさい」
「もちろんみゃ。みみはがんばるみゃ!」
「そういう事なのよ、ラウ」
「あぶぅ」
おう、母の前で言わないでいてくれた事は感謝するよ。
「でもね、ラウ。無茶は駄目」
「あぶ?」
俺、何も無茶なんてしてないぞ。
「これからしようとしているじゃない」
あれれ? それもお見通しなのか?
「あなたは今はまだ赤ちゃんなのよ」
「あばぁ」
分かってるさ。でも、隣国が魔族に戦を仕掛けるまでにはなんとかしたい。
「そうね、戦は駄目だわ。こっちの世界にまで影響するもの」
ほう、そうなのか。俺の頭をそっと撫でながら精霊女王が話す。
「戦に巻き込まれて、精霊の子供に被害が出たりするわ。何より世界の魔素濃度に影響が出るのよ」
魔素濃度。魔族の国は魔素濃度が高いという。魔素とは、魔法を使う為に必要な超ファンタジーな成分だ。この世界には普通に漂っている。
その魔素濃度が濃すぎると人体に悪影響が出ると言われている。
「精霊は超自然的な存在なのよ。魔力で出来ているといっても過言ではないわ。その元となる魔素濃度が大きく変化する事は私達も避けたいの」
なるほど。精霊女王って昼間話した時より話しやすいじゃん。
俺の事を理解してくれていると思って良いんだよな?
「理解はしているわ。ただ、協力できるとは限らないわ」
「あぶぅ」
「れも、みみはらうみぃのちゅかいまみゃ。いっしんろうたいみゃ」
おう、一心同体と言いたいんだな。そうかよ、有難う。
「何かする前にミミと相談すると良いわ。決して無茶はしないと約束してちょうだい」
「ぶぶぅ……」
それは分からないな~と、眼を泳がす。
◇◇◇
お読みいただき有難うございます🌟
週末は投稿しますよ~🤣
また週中はお休みするかも知れませんが💧
書籍化作業の進み具合によります😅そろそろ原稿戻ってくるかなぁ?
リリ④の発売に合わせて公表できる事もあるので、楽しみにして頂けると嬉しいです🌟
宜しくお願いします🌟
毎日書いて~書いて~また書いて~と頑張ってます😤
因みに…リリのコミカライズも進行していますよ~✨オクソールが超かっちょいい🩵
688
お気に入りに追加
1,311
あなたにおすすめの小説
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~
紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの?
その答えは私の10歳の誕生日に判明した。
誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。
『魅了の力』
無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。
お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。
魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。
新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。
―――妹のことを忘れて。
私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。
魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。
しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。
なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。
それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。
どうかあの子が救われますようにと。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
子育て失敗の尻拭いは婚約者の務めではございません。
章槻雅希
ファンタジー
学院の卒業パーティで王太子は婚約者を断罪し、婚約破棄した。
真実の愛に目覚めた王太子が愛しい平民の少女を守るために断行した愚行。
破棄された令嬢は何も反論せずに退場する。彼女は疲れ切っていた。
そして一週間後、令嬢は国王に呼び出される。
けれど、その時すでにこの王国には終焉が訪れていた。
タグに「ざまぁ」を入れてはいますが、これざまぁというには重いかな……。
小説家になろう様にも投稿。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる