76 / 77
偽装結婚 20240507
しおりを挟む
「君を好きになることはない」と偽装結婚をさせられた受け。
ヒモ体質の受けは金に困ってたし、男同士はこんなもんだろうと一人遊び歩き楽しく生きていた。
だけどどある日攻めがぶち切れた。
「もっと僕に興味を持て!」なんていう。
意味が分からず放置して趣味に没頭。
シュノーケリングにソロキャンにと多趣味な受けは毎日が楽しい。
そのうえ攻めのカードは使い放題だ。豪遊するわけではなかったが、働かず金に困らず楽しく遊べる日々は最高だった。
だがある日そのカードが止められる。限度額はいっていないのに、だ。
しぶしぶ自宅に帰ると攻めが仁王立ちをして待っている。カードを使えない旨を伝えるとフンと鼻で笑う。
「遊ぶよりも僕に興味を持てばいいだろう」なんていう。これは世話をしてほしいということだろうか?と考えて、まあ遊ばせて貰ったしなと素直に家にいることにした。
料理も好きな受けは、せっせと日々料理を作った。なんならおやつまで手作りしたし、仕事に行く攻めに弁当も持たせた。家もピカピカに保ったし、これで攻めも満足だろうと思ったのに不満げだった。
「まだなにか文句あるのかよ」と聞けば、攻めはソワッソワしている。
「ふ、ふうふの営み……」ぽつりと攻めが呟く。
「そういうのは愛し合うふーふがするもんじゃねえの?俺らは愛がないだろ」
受けはこの結婚が偽りのもので、ただ攻めの親によるお見合い攻撃を回避するためだけのものだと聞いていた。
そもそも「好きにならない」と宣言されていた。
そう伝えると攻めはぼそぼそとなにかを呟く。
「あ?はっきり言え」
「僕たちは、あ、愛し合ってるだろうが!」攻めが顔を真っ赤にしながらそんな寝言を言う。
受けには訳がわからなかった。
ぽつぽつと話す攻めの言葉を纏めると、こうだった。子供の頃に二人は出会っていた。
結婚しようと約束して、受けの引っ越しで泣く泣く離ればなれになった。それから攻めは受けを迎えに行くために必死になって勉強し、仕事にせいを出して、家を継いだ。生活基盤も整い受けを迎えに行ったが受けは自分を覚えていなかった。
それどころか男女問わず遊び回っていると知った攻めは、実力行使に出たという。
「好きにならないなんて、嘘だ。だって僕は最初から君の事を愛しているんだから」
今までの尊大な態度と打って変わって、しょげかえった攻めにキュンとする受け。
偽の契約結婚でも、その間に好きになって欲しかったなんて。そんないじらしいことを言われてしまっては好きになるだろう。
「最初から言えよ」
「悔しいだろう、僕だけ君を好きなんて」
恋愛なんて好きになった方が負けだ。偉そうな攻めの内側は意外と可愛かった。
攻めのお望み通り、ふうふの営みとやらは実行された。だけど契約結婚は破棄された。
「ちゃんと結婚しようぜ」
そんな受けの言葉が嬉しくて、攻めは一生幸せにすると一層仕事に精を出した。
受けは趣味に遊びに忙しく出かける。だけど帰ってくるのはいつも攻めと過ごす家だ。
「お帰りダーリン」
「ただいまダーリン」
更に磨きをかけた料理の腕は、攻めのために惜しみなく振るまわれる。
次の週末は、二人で星を見に行く予定だ。
終
ヒモ体質の受けは金に困ってたし、男同士はこんなもんだろうと一人遊び歩き楽しく生きていた。
だけどどある日攻めがぶち切れた。
「もっと僕に興味を持て!」なんていう。
意味が分からず放置して趣味に没頭。
シュノーケリングにソロキャンにと多趣味な受けは毎日が楽しい。
そのうえ攻めのカードは使い放題だ。豪遊するわけではなかったが、働かず金に困らず楽しく遊べる日々は最高だった。
だがある日そのカードが止められる。限度額はいっていないのに、だ。
しぶしぶ自宅に帰ると攻めが仁王立ちをして待っている。カードを使えない旨を伝えるとフンと鼻で笑う。
「遊ぶよりも僕に興味を持てばいいだろう」なんていう。これは世話をしてほしいということだろうか?と考えて、まあ遊ばせて貰ったしなと素直に家にいることにした。
料理も好きな受けは、せっせと日々料理を作った。なんならおやつまで手作りしたし、仕事に行く攻めに弁当も持たせた。家もピカピカに保ったし、これで攻めも満足だろうと思ったのに不満げだった。
「まだなにか文句あるのかよ」と聞けば、攻めはソワッソワしている。
「ふ、ふうふの営み……」ぽつりと攻めが呟く。
「そういうのは愛し合うふーふがするもんじゃねえの?俺らは愛がないだろ」
受けはこの結婚が偽りのもので、ただ攻めの親によるお見合い攻撃を回避するためだけのものだと聞いていた。
そもそも「好きにならない」と宣言されていた。
そう伝えると攻めはぼそぼそとなにかを呟く。
「あ?はっきり言え」
「僕たちは、あ、愛し合ってるだろうが!」攻めが顔を真っ赤にしながらそんな寝言を言う。
受けには訳がわからなかった。
ぽつぽつと話す攻めの言葉を纏めると、こうだった。子供の頃に二人は出会っていた。
結婚しようと約束して、受けの引っ越しで泣く泣く離ればなれになった。それから攻めは受けを迎えに行くために必死になって勉強し、仕事にせいを出して、家を継いだ。生活基盤も整い受けを迎えに行ったが受けは自分を覚えていなかった。
それどころか男女問わず遊び回っていると知った攻めは、実力行使に出たという。
「好きにならないなんて、嘘だ。だって僕は最初から君の事を愛しているんだから」
今までの尊大な態度と打って変わって、しょげかえった攻めにキュンとする受け。
偽の契約結婚でも、その間に好きになって欲しかったなんて。そんないじらしいことを言われてしまっては好きになるだろう。
「最初から言えよ」
「悔しいだろう、僕だけ君を好きなんて」
恋愛なんて好きになった方が負けだ。偉そうな攻めの内側は意外と可愛かった。
攻めのお望み通り、ふうふの営みとやらは実行された。だけど契約結婚は破棄された。
「ちゃんと結婚しようぜ」
そんな受けの言葉が嬉しくて、攻めは一生幸せにすると一層仕事に精を出した。
受けは趣味に遊びに忙しく出かける。だけど帰ってくるのはいつも攻めと過ごす家だ。
「お帰りダーリン」
「ただいまダーリン」
更に磨きをかけた料理の腕は、攻めのために惜しみなく振るまわれる。
次の週末は、二人で星を見に行く予定だ。
終
74
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる